武士娘転生 剣の聖地にTS転生した忠犬の奮闘記   作:斑模様のキャットフィッシュ

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ぐだぐだの行軍

────ルーデウス視点────

 

 

 

 

 

『オルステッドの事はこのまま鎧の改良に努めるという事で飲み込ますがな、師匠。

余から見ても今の師匠は変ですぞ、師匠のその様子がオルステッドへの疑いを深めさせているという事は分かっていただきたいのです。』

 

 

 

『呪いの研究はこちらでやっておこう、君に頼ってもらえないのは悔しいが…言いたい事はあらかたザノバが言ったからな。

せっかくいい店を取ったんだ、乾杯して食おう。』

 

 

 

『前にも言った通り、いざとなれば私達は勝手にルディを助けます。

ルディが私達に隠し事をする理由は聞きませんがそれだけは覚えておいてください。』

 

 

 

『お兄ちゃん…エディト達と遊んできたら?怖い顔になってるよ。』

 

 

 

 

 

 

俺の周りのあらゆる人間から疑う声とそれ以上の心配をかけられた。

まだ幼いエディトとルーシーを除けば、アスラ王国に旅立つまでになんの追求もしてこなかったのはエリスだけだ。

何もなさすぎて逆に聞きたい事はないのかと言えば何があっても守ってやると言い切られた、相変わらず漢らしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は現在、赤竜の上顎周辺にある街道付近で俺を尾行していたオルステッドと定時連絡を取っていた。

旅が始まってからは声に出して疑われる事こそ減ったが、別に疑われなくなったわけでもないのは分かっている。

 

 

「どうだ?」

「正直、かなり疑われています。」

 

 

そう伝えるや否やオルステッドは悪魔のような顔面を更に不機嫌そうに歪めて睨んできた。

仕方ないだろう、元々人を騙して動かすなんてした事がないし人を殺すのもこれからするのが初めてなんだ。

 

 

「それでは、俺からの指示だと隠した意味が無いだろう」

「意味ならありますよ、疑われたところで役には立ってるし裏切る意図もないんですから。

裏でオルステッド様が糸を引いていると思われても実害が無いなら周りもその内慣れます、会っただけで疑われて悪感情を持たれるオルステッド様を素直に表に出すよりマシでしょう。」

「む………」

 

 

そう言うとオルステッドは目に見えて落ち込んだような顔になる、キツく言い過ぎただろうか…

でも、事実なんだから仕方ないだろう。クリフが呪いを抑える魔道具を完成させるまでは余計な不信感を持たれるのは出来るだけ抑えたい。

 

 

「襲撃があった場合、北帝オーベール・コルベットが出てくる可能性が高い、奴には気をつけろ。」

「はい。水神もいる事ですし来るならそこで仕留めます。」

 

「…妙だな。」

「何がです?」

「お前がだ、それなりに経験もあるだろうに焦りが目立つ。」

「そりゃ、魔物とは山ほど戦ってきましたけど人相手の殺し合いなんてこれが初めてですよ。緊張ぐらいします。」

「俺は……いや、分かった。これを持っていけ。」

 

オルステッドは懐の中から複雑な魔法陣の描かれたスクロールの束を取り出して、俺に手渡した。

これを使えば王級治癒魔術が発動できるわけか、程度の重さは分からないけど欠損にも対応できるのはありがたい。

 

 

「仮に襲撃があって北帝オーベールを殺せたら次に使徒になる候補、みたいなのはいるんですか?」

「問題ない。奴の未来予知は、ある転換点が境となる。

今回はアスラの次期国王が決まった時点までになるだろう。

それまでは使徒の変更も入れ替えも起こらん。」

 

 

 

………いい加減、こいつは計画に重要な情報を隠しすぎだろう。

俺が言える事じゃないかも知れないが、意味もないのに黙ったままにされて後から修正させられるなんて無駄も良いところだ。

そのくせ詳しく聞こうとすれば威圧してくるし、何度舌打ちしそうになったか分からない。

 

 

「……では、戻ります。あまり遅くなると、不審に思われますので。」

「わかった。」

 

 

 

予知した未来が一段落するまでは使徒は変えられず、殺せばそれまでの間は確実にヒトガミの手先が一人潰れる。殺せと言うわけだ。

 

 

 

次の日、赤竜の上顎の一本道を通る途中で商隊を見かけた。

エリスに捨てられたと思い込んでいた頃を思い出したりその頃にはエリスが俺の子供を身籠もっていた事にも思い至ったり、色々切なくなってエリスのおっぱいを揉もうと声をかけたが容赦なく断られた。

 

いいんだ、そんな彼女も夜には俺が泣いて謝るくらい激しく求めてくるし現在馬に相乗りしているシルフィは一声もかけずに無意識で揉みしだいても受け入れてくれる。

…そんな風に思っていたらエリスが明日は自分の馬に乗っていいと言ってくれた。ほんと、いい嫁さん達に恵まれたよなぁ。

 

赤竜の上顎を抜けて襲撃も間近になったので気を引き締め直しているとアリエルが道端に並べられた石に祈りを捧げていた。

俺も理由に思い至って同じように祈りを捧げる。

 

 

 

(シャリーアに来る前もここを通って、アリエルは仲間を失ったんだよな…そしてそれは、シルフィに取っても同じ事だった。

そりゃあアリエルもシルフィを連れて行きたくなるし、シルフィだって断らないよなぁ。)

 

 

 

更に次の日、事前にオルステッドと決めていた襲撃を知らせるマークを見て臨戦体制に入った。

とうとう、オーベールが来るのか。

 

 

 

「我が名は北王ウィ・ター!

 北神三剣士が一人!

 『光と闇』のウィ・ターである!」

 

 

 

 

 

…また聞いていない奴じゃねえか、しかも三剣士とか言ってるから他にもいそうだし。

本当にこのままオルステッドについて行って大丈夫なのか…?




初めての仲間で浮かれる社長、周りと関わらないせいでルーデウスの暴走に気付けない上にコミュ障ムーブでジワジワとルーデウスからのヘイトを稼いでしまう。
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