武士娘転生 剣の聖地にTS転生した忠犬の奮闘記   作:斑模様のキャットフィッシュ

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捏造祭りです。


森の死闘

────ルーデウス視点────

 

「『黒狼』のギレーヌ!ピレモン様を斬りたくば尋常なる一騎討「『爆音衝撃波』!!」

「なんとぉ!?」

「一騎討ちの宣言中に…!!」「ナクル兄ちゃん!『狂剣王』だけじゃない、こいつもイカれてるよ!」

 

 

 

 

名乗りを挙げる3人の元に刺客達が集中した瞬間を狙って爆音衝撃波を叩き込む。

北王が3人に北帝が1人、北神三剣士以外にも刺客は30人前後、完全に戦力で負けている。

護衛の俺達が1人ずつ請け負っても浮いた30人の誰かが後方に下がらせたアリエル達に辿り着くと判断した俺は、乱戦になる前に広範囲で雑兵を散らす事を選んだ。

 

 

──2発。3発。4発。爆音と暴風の波が敵を吹き飛ばしていく。

三剣士だけは難なく衝撃波を斬り伏せ(ナックルガードの2人は少し手こずっている)、オーベールが舌打ちを鳴らしながら俺に突撃する。

それを合図に後ろで様子を伺っていたギレーヌとエリスが飛び出し、すれ違い様に数合オーベールと打ち合って脇をすり抜けていく。

2人が作ってくれた時間でオーベールの足元に泥沼を作り、2歩遅れてエリスの後ろを追ったシルフィを見送る。

 

 

「ちょうど一対一で振り分けられたな…某の相手はお主か、ルーデウスよ!」

 

 

オーベールはロープ付きの鉤爪を近場の木に括り付け、泥沼からの脱出を果たしていた。

そう、一対一だ。 ギレーヌとウィ・ター、エリスとシルフィにナックルガードの兄妹、そして…俺と、オーベール。

 

 

「『北帝』オーベール・コルベット。」

「……」

 

 

オーベールがもう一度名乗りを挙げる。

俺も名乗った方がいいのかも知れないけど、こっちにそんな余裕はない。

俺が名乗る気がない事を察して、オーベールが駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────シルフィエット視点────

 

 

「ガアアァァァ!!!」

「「『鏡移し』!!」」

 

 

大上段から振り下ろされたエリスの剣を、鏡写しの双剣を交差させて受け止め、飛びずさりながら受け流した。

着地の瞬間に『風裂』と『氷霜刃』を打ち込んだけど、お互いがお互いの隙を埋め合って完全に対処されてしまう。

 

 

「『狂剣王』エリス・グレイラット、口ほどにも無し!」

「『無言のフィッツ』、我ら左右一対の妙技を攻めきれぬか!」

 

 

(不味い…!戦いの流れが速すぎて、ボクが入り込めない!)

 

 

 

ミルデッド族の双子剣士、ナックルガードは2人で一人前の北王だった。

2人の名乗りを聞いたボクは片方を先に落とせば攻め切れるかと思っていたけど、ダメだった。

鏡合わせで入れ替わり立ち替わり立ち位置を前後左右し、片方が踏み込み過ぎればもう片方が掴んで引き戻す、完璧な連携だ。

『光の太刀』が決まる距離には踏み込んでもくれない。

 

 

今もエリスの剣を兄が受け、両断される前に妹が引き戻して落涙弾まで叩き込む始末。

顔を抑えて悶えるエリスとナックルガード達の間に『氷刃』を差し込んで距離を作り、エリスに『水滝』を当てて落涙弾の粉を洗い流す。

完全に時間を稼がれてる、戦力ではボクらが勝ってるんだ、早く倒してルディを助けにいかないと…!

 

 

「エリス、ボクが合わせるから…迷わず突っ込んで。」

「…分かったわ!」

 

「来るか!」「いざ勝負!」

 

 

再び鏡写しの構えを取る2人に、エリスが突撃する。

 

 

「ウラアアァァァ!!!」

「「『重ね鏡』!!」」

 

 

回避を捨てたエリスの横薙ぎを兄が受け止め、それに追いつく様に妹の剣がエリスの手元を貫こうとした瞬間、ボクが妹の足元に『氷柱』を生やす事で体勢を崩す。

妹のサポートが間に合わず、エリスの剣を抑えきれなかった兄は手の平の肉と数本の指ごと剣が吹き飛ばされていた。

 

 

「…ッガド!!」「了解!!」

 

 

掛け声と同時にナックルガードは腰につけた短剣をそれぞれ3本ずつ引き抜き、互いに2本を指から投げ放して眼前のエリスの前でぶつけた、ちょうど猫騙しをするかの様に。

それぞれに抜き終わった一本をエリスに向けながら、余った方の腕で空中に舞う4本の短剣に手を伸ばす。

 

 

 

「「秘技『鏡紋・落花「『風槍竜巻』!!」

 

 

エリスの対処で足の止まった2人に、竜巻が降り掛かる。

 

 

 

「しま…った…!『無言のフィッツ』を見落とした…逃げろガド!」

「なっ…ちょっと待ってよ!?ナクル兄ちゃん!!」

 

「ダアァァァ!!!」

 

 

『光の太刀』が、妹を突き飛ばし無防備になっていた兄の胴体を真っ二つに斬り裂いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

────ルーデウス視点────

 

 

こちらに突っ込んでくるオーベールに人間大の『岩砲弾』を飛ばす。

唐竹割りで『岩砲弾』を切り裂いた振り下ろし際に『電撃』を撃って、動きを止める。

この距離で俺が巻き添えを食らわない威力では完全に無力化し切れないのでオーベールの足元に『土槍』を生やして後方に投げ飛ばす。

 

 

『視界の右側が真っ黒になる』

 

 

「……ツッ…!」

 

 

飛ばされる勢いで足裏に仕込まれた短剣を投げて来たので身体を大きく傾けながら倒れ様に『強風』でオーベールを吹き飛ばす。

 

 

 

「流石は『赤竜殺し』のルーデウス、中々詰めさせてはくれんな…!」

「冗談じゃないですよ…誰ですか卑怯者の奇抜派なんて言い出したバカは。」

 

 

本当に冗談じゃない。詰められた距離を剥がすだけで魔術を4発、かなり綱渡りをさせられた。

『電撃』も『岩砲弾』も当てる事は出来ても来る前提で堪えられたら決定打にならない。

 

 

「このまま睨み合っても埒が開かぬ…ならば!」

「ッッ『風裂』!!」

 

 

空中から飛びかかって来たオーベールを風の刃でバラバラに引き裂く。

 

 

「やったか!?」

 

 

 

 

「………丸太?しまっ!!『岩砲弾』!!」

 

 

切り裂いたはずのオーベールがバラバラの丸太になって、身代わりだと気づいた瞬間に山勘で振り返り様に『岩砲弾』を打ち込む。

背後には右肩を突き出しショルダータックルの様な姿勢で落ちてくるオーベールがいた。

オーベールは突き出した肩で『岩砲弾』を受け、弾き飛ばされる様に回転して落下の勢いで左手の剣を振り下ろして来た。

 

 

『オーベールの脇下から剣が飛び出す。』

 

 

振り下ろされる剣を避けて着地狩りを決めようとしたが、左腕と脇の間から右手で持った剣を突き出してくる。

更に一本下がって距離を取った瞬間、オーベールは顔前に剣を構えた。

 

 

『剣よ、燈火を!』

 

 

『詠唱が終わると同時に剣に火が付き、オーベールの吹き出した油によって火炎放射が降り掛かる。』

 

 

「ブゥゥゥ!」

「『水壁』!」

 

 

『水壁』にぶつかった炎が水蒸気の靄を発生させる。

 

 

 

『靄の向こうから何かが飛んでくる。』

 

 

「クッ………ガァッ!?」

 

 

身体を傾ける様にして飛来物を回避した瞬間に、左手にオーベールの剣が差し込まれていた、予見眼の裏をかかれた!

剣が肉をすり抜ける様に突き刺さり骨に引っかかってゴリ、と音を立てた。

───斬られる!

 

 

「『腕よ、飛べ』!」

「なにぃぃ!?」

 

 

魔術を作る隙すら無かった俺は咄嗟にザリフの義手をオーベールに飛ばしていた。

 

 

「『岩砲弾』!!」

「ぬうぅぅぅ!!」

 

 

「『土槍』!!」

 

 

 

ついさっきオーベールを投げ飛ばした様に今度は俺を『土槍』で後ろに投げ飛ばす、腕はついてる。仕切り直しだ。 

 

 

 

「母なる慈愛の女神よ、彼の者の傷を塞ぎ、健やかなる体を取り戻さん!『エクスヒーリング』!!」

 

 

 

 

「奇怪な男よ…ルーデウス・グレイラット…!」

「アンタ、ふざけんなよ…あれだけの撃ち合いで、俺の予見眼を利用しやがったな。」

 

 

「ナクル兄ちゃん!ナクル兄ちゃん!」

「な…2人の新技がもう破られたのか!?」

 

 

 

見れば、ナックルガードの片割れが真っ二つに斬り飛ばされていた。

それを見たオーベールは鉤爪でナックルガードの妹を引き寄せて大声を張り上げる。

 

 

「撤退だ!作戦を練り直すぞ!」

 

「勝負は持ち越しだな、ギレーヌよ!」

「くっ……」

 

 

仲間を抱えた片腕の塞がったオーベールに立ちはだかり…「ルディ!ダメ!!」

 

 

『視界が浮き上がって三回転する。』

 

 

「ぐうぅぅぅ…っ!」

 

 

大きく後ろに飛びずさると、逃走をやめたウィ・ターが俺のいた場所に体当たりをかましていた。

そしてそのまま頭を下げて背を水平にし、オーベールの踏み台になって木の上へと逃げ延びさせた。

 

 

「クソッ!『岩砲弾』!!」

「ごおっ…ぐぶ、ぅ………」

 

 

オーベールには追いつけないと悟って、ウィ・ターの胴体に全力の『岩砲弾』を叩き込む。

鎧が嫌な音を立てながらへし折れ中から血が溢れ出た。

殺した、俺が、殺し───

 

 

 

「ぅあ……?」

「ルーデウス!」「ルディ!」

 

 

 

鎧から血を垂れ流しながらウィ・ターは俺の脇を走り抜け、通りすがりに俺の横腹を切り裂いて行った。

 

 

 

(クソ…っモンスターの討伐で生き物が即死してくれない事くらい散々見てきただろ…!畜生…!)

 

 

薄れる視界で走り寄るシルフィ達を捉えながら、俺は痛感させられていた。 

 

 

 

「分かった、よ…分かってたよ……」

 

 

(やりようはあった、もっと上手いやりようはあったはずなんだ…俺がただ、ただ…この後に及んで人を殺すのを、怖がってただけなんだ。)

 

 

 

 

「ちく、しょう……」

 

 

 

オーベールを取り逃した。

俺はまた、間違えてしまったのだ。




『鏡移し』……2人で剣をクロスさせて相手の押し切る力のままに身体ごと受け流す技。
『重ね鏡』……片方が剣を受け止めもう片方が敵の持ち手を貫いて挟み込む形で倒れ込ませる技。
『鏡紋・落花』……空中の4本はブラフで手元の2本はガード用、本命は手元に視点を集中させた隙に足に仕込んだ短剣で急所を抉り蹴る初見殺し。


全部対エリス用にオーベールと訓練して編み出した新技でしたが、使用期間が短かったせいでエリスを仕留め切れずシルフィに潰されました。
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