武士娘転生 剣の聖地にTS転生した忠犬の奮闘記   作:斑模様のキャットフィッシュ

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本筋というかアスラ王国編だけはルーデウス視点でやり切らなきゃ行けない話があるのと剣の聖地組が多いからどうしてもダイジェストにできません、どうかご容赦をば。


グレイラット家&ギレーヌvs北神三剣士

────ルーデウス視点────

ナックルガードは片割れを失いウィ・ターは死に、一方の俺達は前回の襲撃から誰も欠けてない。

前回の結果から見れば圧勝できるはずの状況で、俺達は予想外の苦戦を強いられていた。

 

『双剣』ナックルガード。死んだ片割れとの鏡写しのコンビネーションが強みだったそうだが、それを残った片割れとオーベールの二人でやって来た。

元々同格の二人が高め合うコンビネーションだったものを多人数を相手取る事を得意とした三剣士最強であるオーベールの補助機能として徹する事で全く別の戦闘スタイルになっている。

 

オーベール一人では凌ぎ切れないエリス達の『光の太刀』や俺の魔術をナックルガードが小技や隙潰しに回って補う戦法は、北聖二人のコンビネーションでエリス相手に時間を稼ぎつつジャイアントキリングを狙うものではなく北帝オーベールの強みを活かし切って俺達全員を捩じ伏せるためのもの。

あらゆる状況を想定して見合った戦闘スタイルを準備してきたのだろう、どこか水神の前に潰すべき前哨戦のような心構えだった俺達とはこの一戦に向ける熱意が明らかに違った。

 

 

だが、いくら多人数相手が得意とはいえ一対一で拮抗する相手に明らかに型落ちの北聖を含めた二対三の不利は大きかった。

エリスと入れ替わりにルークがシルフィ達に合流して逃走を図るピレモンを捕まえに行く。ピレモンを抑えられればオーベール達の負けだが、彼等にそれを阻止する余裕は無い。

「ガド、ここから先は某が受け持つ!お主はピレモン殿の護衛に加勢しろ!」「了解!」

 

あった…この状態で相方をピレモンの護衛に回すという事はまだオーベールには切り札が残っているのかも知れない。

一人では北聖相当とは言え三剣士の片割れが主力のいないアリエル達を襲う危うさと得体の知れない切り札に俺達が焦った瞬間、オーベールはこれ見よがしにクナイのような短剣を取り出し二人に投げつけた。

「毒武器です!俺達では解毒出来ません!」

 

 

日記の未来でエディトの片腕を奪った毒武器が飛び出し、俺は悲鳴をあげるような声で二人に呼びかけた。

短剣の投擲を警戒してエリス達の足が止まった隙にナックルガードがシルフィ達を追いかけて離脱する。

 

『剣よ、燈火を!』

短剣を投げて二人の手が緩んだ瞬間を狙い、オーベールは前回同様火炎放射の準備を始める。

またぞろ靄の中から不意を打つつもりだろうがそれは対策済みだ。

 

「『土砦』!」

「「ぬあぁぁぁぁっ!!?」」

 

火炎放射を吹き付けるオーベールの周囲を土のドームで囲んで窯焼きにする。オーベールは悲鳴を上げながら『土砦』を切り裂き脱出して見せる。

 

 

「ハァ…ハァ……やるなルーデウ「「ガアアァァァァ!!!」」スぅぅぅぅぅ!!!?」

 

脱出した瞬間をエリス達の光の太刀に狙われ、素っ頓狂な声をあげながらも崩れた『土砦』の上をカサカサと動きまわって回避する。

そこを俺が上から『岩砲弾』を落として撃墜を狙うが飛び上がり際に切り裂いて後ろに下がる、対空と離脱を同時に熟すとはとことん器用な奴だ。

 

 

「どうした!某一人に随分と攻めあぐねているではないか!」

「くそっ…!」

 

完全に相手の力量を見誤った、時間稼ぎに徹したオーベールがここまで強いだなんて…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────シルフィエット視点────

正直想定外だった。北神三剣士が出てきた時点でボク達が魔法大学時代に集めた協力者の人達はついて来れない戦いだと思っていた。

実際にアリエル様も政争が終わった後に取り立てるつもりで放置するつもりだった彼等がまさか今回の襲撃の最高功労者になるなんて。

 

幾らオーベール達が前回の戦いで半壊したとは言え主力のメンバーをアリエル様の護衛に割いて勝てるほど甘い相手じゃ無い、かと言ってアリエル様を置いて行けばその隙を狙われるかもしれない。

そんな時彼等に白羽の矢が立つ。アスラ王国に送った協力者でその日の内に集められる人員に手紙を出し、アリエル様の護衛として襲撃に同行してもらった。彼等がいなかったらボク達は全滅のリスクがつきまとう分の悪い賭けに出る所だった。

ルークにすら散々な評価でもそこは大貴族の当主、子飼いの護衛もかなりの腕でボク一人ではピレモンを殺さずに制圧するのは難しかったから今もとても助かっている。

 

 

「ルーク!この裏切り者のバカ息子が!

パウロの息子とサウロスの孫娘なぞを引き連れて私を殺そうとするとは!お前はノトス家を潰す気か!」

「裏切ったのは父上でしょう!話し合おうともせずにアリエル様に刺客を差し向けて!俺達のラノアでの努力はなんだったのですか!?」

「話し合えだと!?政争から切り離された田舎の北国でのうのうと過ごしていたお前に何が分かる!

ダリウス上級大臣は私の護衛に北帝を充てがったのだ、囮の私如きにだ!第一王子派がそれほどの権力を持つ以上全面降伏以外にノトス家の生き延びる術は無い!」

「父上…っ!!」

 

 

二人の口論はどんどん加熱して行っている、もう今の段階ではピレモンは説得出来ないだろう。

ボクが子飼いの剣士の殲滅に集中しようとした瞬間凄まじい勢いで何かが飛びかかり、ボクは咄嗟に『風裂』を放って距離を取る。

即座に剣士達がボクのカバーに入るもどんどん押し切られそうになる。

 

 

「フィッツ…!ナクル兄ちゃんの仇…!!」

「ナックルガード!…オーベールは!?」

「さぁ?どこだろうね、余裕があるなら探してみれば?」

 

「…!オーベールはいない!各員、ナックルガードに集中!北聖だから気をつけて!」

 

 

ルディ達が負けたならどうしようもない、ボクはここに流れ込んだのがナックルガードだけだとアタリをつけて余計な迷いを遮断した。

図星だったみたいで舌打ちをしたナックルガードにルークが斬りかかる。

 

 

「ルーク様…!アンタ邪魔だよ…!」

「邪魔は貴様らだ!貴様らが父上を脅して裏切らせたのだろう!」

「はぁぁぁぁ?調子乗んな!アンタがピレモン様のガキじゃなきゃ!あんな馬鹿正直に正面から挑まなくて済んだんだ!アンタがいなきゃ!ナクル兄ちゃんだって死なずに済んだのに!」

 

 

激昂したナックルガードが暴れ狂うも、殺せないルークがしつこく張り付くせいで中々攻め切れずに上級剣士達に押し込まれる。幾らなんでも人数差が激しすぎた。

 

「『氷柱』!」

「くそぉっ…!フィッツ…お前えぇ!」

 

剣士達の攻撃を掻い潜った先の逃げ場に氷の柱を生やして妨害する。『氷柱』を背にして剣士達を迎え撃とうとした瞬間に『風槍竜巻』を落とす。

 

 

 

「読めてるんだよぉっ!こんな魔術…!エリスがいなきゃ…がっ!?」

 

 

頭上からの『風槍竜巻』を防いだ瞬間、周りの剣士達が巻き添え覚悟でナックルガードに突撃し両側から胸を剣で突き貫いた。

 

 

「ちくしょう…!ナクル兄ちゃん…ごめ…」

 

 

 

────ルーデウス視点────

オーベールの縦横無尽の立ち回りに惑わされながらも少しずつ俺達に形勢が傾き始める。

体力の限界が見え始めたオーベールはギレーヌへの対処を放棄してエリスに突っ込み、競り合いでエリスの手が塞がった瞬間に足に仕込んだ短剣を投げつけた。エリスの脇腹に短剣が突き刺さる。

エリスだけでも道連れにする気だったのかも知れないが、解毒薬を隠し持っている事は知っている。

ガラ空きの背中にギレーヌが迫る、勝った!これで…

 

 

「北神流……『赤墨』」

 

 

突然オーベールの背中から飛び出した赤い玉が弾け、パァンと言う大きな破裂音と共に粘着性の強い液体でギレーヌの足を地面に縫い付けた。

 

「もらったぁ!」

「ちぃっ…ぐ、があぁっ!!」

 

オーベールの背中に隠れていた小柄な少年が飛び出してギレーヌに斬りかかり、辛うじてギレーヌが回避したものの返す刀で片腕を斬り飛ばされてしまう。

騙された…放置されたミラーボールの鎧も火葬跡も全て偽装だった。この瞬間のためだけに、切り札を隠していたのか。

 

 

 

「『黒狼』のギレーヌ、破れたり!」

「すまぬなルーデウスよ、先程の話は嘘だ!」

 

 

北神三剣士が一人にして北王『光と闇』のウィ・ターがそこにいた。




弟子に胸を張れない汚れ仕事や戦いですらない暗殺はやめたけどコスい騙し討ちや嘘は平気でします、だって奇抜派だもの。
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