武士娘転生 剣の聖地にTS転生した忠犬の奮闘記 作:斑模様のキャットフィッシュ
本編よりルーデウスが弱っていて暴走していた影響でルークとの衝突が無い→ルークが使徒から外れる。
オーベールが裏稼業から足を洗った影響で三剣士を第一王子派閥につけられない→ダリウスを使ってピレモンを脅しウィ・ター経由で三剣士を雇うが、ルークとの和解のきっかけになった上にオーベールに逆手に取られてダリウスの首を絞める結果となる。
レイダは概ね原作通りであるものの汚れ仕事担当のオーベールが剣士として散ったせいで自分が全てを引き受ける羽目に→メンタルが女々しくなり中途半端な対応をして完敗。
アスラでの目ぼしい戦力が何一つ思い通りにならないのでヤケクソでシャリーア周辺で使徒を作る→王国編の裏で頑張って使徒の好感度稼ぎに勤しんだ結果エディトの緑髪も後押しして北聖とミリス騎士団を雇う事に成功、ザノバがいなければエディトは殺せた。
翌日、シルフィ母様は一度アスラに舞い戻る事となった父様に一通の手紙を持たせた。
王位継承が確実となったアリエル陛下に認めた別れの手紙である。8年仕えた主君の護衛と父様の妻としての立場で悩んでいたシルフィ母様は、政争の決着を契機に護衛の任を降りるらしい。
災害で両親を失ってからずっと支え合って来た無二の友でもある陛下との別れが私のせいで手紙になって良いものかと思ったが、彼女はまた会えば良いのだと笑って頭を撫でてくれた。
それから十日と少しが経ち、再びアスラ王国から父様達が帰って来た。
余りにも早いのでアスラ土産の寝物語の本を受け取りながら聞いてみれば大英雄である『甲龍王』ペルギウス様の秘術をお借りしたと言う、相変わらず父様は途方もない事ばかりする。
そんな父様に聞かされた此度の顛末は中々に作劇的なものだった。
旅の序盤はそれぞれ思惑や事情がすれ違い不信が募り、その最中を天狗のオーベール殿、座敷童のウィ・ター殿、双子兎のナックルガード御両人という北神三剣士が総出で襲撃する。
苦戦の末にナックルガードの兄君を討ち取り三剣士を撃退、襲撃の指示を出したのはアリエル陛下の後ろ楯であったはずのノトス本家の当主だと判明した。
我らがグレイラット家の本筋に当たるノトス家の裏切りにアリエル陛下の下に取り残された本家次男のルーク様(従伯父だが伯父様呼びで良いとの事)が取り乱したものの父様と和解し、当主であるピレモン大叔父様の命を見逃すと言う形で旅の一行の心が纏まる。
刺客達の犇く国境を抜ける際にヒトガミの使徒ダリウスの毒牙にかかり賊に身を窶していた名家の御令嬢を救い出して盗賊団を配下にし、闇に紛れてアスラ本国への侵入を果たした。
道中に立ち寄った父様と母様方の故郷(ロキシー母様にとっても第二の故郷らしい)フィットア領は復興が進んで当時の活気を取り戻しつつあったそうな、私が生きている間に父様の話していた黄金色の麦畑を拝めるかもしれない。
そうして王都に辿り着き大叔父様の屋敷を襲撃、死闘の末にオーベール殿との決着を果たす。オーベール殿の死に際を語る父様の顔はなんとも言えない哀愁が漂っていた。
戦いの後に生き残っていたウィ・ター殿と大叔父様を説得の末味方につけ、アリエル陛下は政敵であった兄君と使徒であるダリウスと水神様を一網打尽にした。
オーベール殿と水神様を相手に一人も欠けることなく勝利を収め、ノトス本家とも復縁を果たせたと聞いて私は心底安心した。
パウロお爺様の代で喧嘩別れとなり、長らく敵同然だった本家との関係が父様とルーク伯父様の代で修復できたのだ。
血縁同士でのすれ違いは血で血を洗う惨劇になりやすい、お爺様は間に合わなかったが人死なく和解出来るのならそれに越したことはない。
ギレーヌは仇討ちの機会をくださったアリエル陛下にそのまま仕える事となる。別れ際に父様と母様に稽古をつけ、その場でとうとうエリス母様がギレーヌを超えて見せた。
ギレーヌはこれからアリエル陛下を守りながら新たな弟子を育ててゆくのだろう、再会できた時に恥ずかしくないよう私も精進あるのみだ。
因みに父様は二度目の帰宅を果たした際にロキシー母様の臍を舐め回していた。
身籠った影響で臍が表に出てしまった事をロキシー母様はとても気にしていた、私は相談された時に父様は大喜びするだけだから見せない方が良いと言ったのに結局こうなるのか…
ロキシー母様とお腹の御子の負担にならなければ良いが、やはりロキシー母様でも父様から直接言葉をかけられて安心したい思いはあるのだろう、私はそっとその場を後にした。
その日の晩、私は帰って来たエリス母様の背中を流していた。
前世の私は湯船に浸かる体力もなく、親の背中を流すどころか自分の身体すら周りに拭いてもらう事が多かった。こうしてエリス母様と共に風呂に入り背中を流せるのはとても幸せな事だ。
「エディト、サウロスお祖父様の仇を討ったわ。」
「はい、エリス母様。確かダリウスという使徒ですね…ようやくギレーヌの肩の荷を降ろせましたね。」
「そこは少し自信がないわ…仇の一人を我慢させてしまったもの。」
「ピレモン大叔父様ですか…大叔父様の護衛だったウィ・ター殿もアリエル陛下に仕える事となったそうですし、ギレーヌは納得していると思いますよ。」
「それもそうね、後から文句を言うような人じゃないもの。
…そうだったわ!ウィ・ターと言えばエディト、あいつあなたを弟子にしたいって言ってたわよ!」
「そうなのですか!?」
「ええ、オーベールの兄弟弟子だから北神流の手解きを引き継ぎたいって言ってたわ!会った時はちゃんと行儀良くするのよ!」
「兄弟弟子…オーベール殿の剣は、奇抜派は途絶えていないのですね。良かった…!分かりましたエリス母様、北神流でも認可を賜われるよう精進します!」
ウィ・ター殿は二度に渡ってギレーヌを追い詰めた程の猛者、彼が奇抜派を継いでアリエル陛下に仕えるのなら断絶したり他の派閥に飲まれる心配は無いだろう。
水神様も死罪を免れイゾルテ様もアリエル陛下の配下となった。
元々覚悟していたものよりも遥かに血の流れない結果に落ち着いたが、それまではかなりの綱渡りもあった事だろう。父様はじめ全員が信頼を寄せ合い全力で事に当たったおかげで今があるのだ。
「北聖に付けられた傷…残ってしまったわね…」
「クリフ殿が治してくださるまで刺したままにしていたのが悪かったのでしょうね。ですが向かい傷ですよエリス母様、これくらいはむしろ勲章です!」
ふと、母様が申し訳なさそうな顔で私の傷痕を撫でる。
確かに腹に刺し傷など女にあって良いものではないが、私は元々男であり今世でも忌子なのだ。女どうこうと言うには傷以上に問題となる部分が多すぎるので今更だろう。
「また心配をかけてしまわぬようもっと強くなります。安心してください母様!」
「そう、ね…勝手かも知れないけれど、もっとゆっくりで良いのよエディト。シルフィも言っていたけど、あなたもルーシー達もお母様が守ってあげるんだから。」
4才にして実質的な総合値は上級剣士並のエディト君ちゃんの戦闘スタイルは剣神流と水神流が主体だけど出力した結果は十人中九人くらいが北神流と答えるぐらいなんでもあり。
ミリス騎士団と北聖の襲撃を生き残った事もありウィ・ターは今から期待で一杯です。