武士娘転生 剣の聖地にTS転生した忠犬の奮闘記   作:斑模様のキャットフィッシュ

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ルード傭兵団人事部長『エディト・グレイラット』

リニアーナがメイドを解雇されてからはや一月、私達は全力で兵団の立ち上げに取り掛かっていた。

なにせこの野蛮極まりない土地だ、訓練と躾の行き届いた兵士など引く手数多…外道働きをするまでもなく仕事にありつける事だろう。

兵団名は父様が仕事でよく使う『ルード・ロヌマー』と言う偽名から取って『ルード傭兵団』となった。

 

アイシャ姉様はリニアーナが家に戻って来ないよう、リニアーナは奴隷から抜け出せるよう、各々全力で取り組んでいる。

アイシャ姉様はペルギウス様にご挨拶に伺いそこで大量の資金を貸り受け、リニアーナは獣族を始めとする荒くれ者達を呼びつけた。

私は兵団が街の衛兵や冒険者に睨まれないようロキシー母様とシルフィ母様経由で話を通していただき、兵の貸し出しや契約の際に客に無礼を働かぬよう、仕事を探している魔法大学の生徒や研究者から事務員や仲立ちのできる人間を五人ほど採用した。

 

「そこまでする必要ある?グループに一人はそれなりに賢いリーダーがいるんだから問題ないと思うんだけど。」

「実際に問題が起きるかではないのです、アイシャ姉様。彼らの振る舞いが問題を起こしそうに見える事が問題なのです。

いきなり人を集めて徒党を組んだ彼らが、この街で何をしたいのか分からない事が問題なのです。

兵団は周りから嫌われては終わりです、体面には気を配りましょう。

何より、ちゃんと説明をしておかないとふとした拍子にエリス母様に皆殺しにされかねませんよ?」

「それは確かにありそうだね…うん、わかった。じゃあそっちの方はエディトに任せるからね!」

 

魔法都市シャリーア、ここは人材の宝庫である。

読み書きができて魔術も堪能である程度自衛ができ、それでいてそこそこ金に困っていて仕事を探している人間が山ほどいるのだ、傭兵団をただの荒くれ者の集まりにしないためにも彼らを取り込まない手は無い。

 

「今ある資金から幾らか削って宣伝するの?ちゃんと元取れる?」

「リニアーナが声をかければ北方大地の獣族はまず間違いなく従います。

そうでなくても冒険者より安全で給金も良い仕事…何より父様の傘下に入れるのです、誰だって入りたがるでしょう。」

「それはそうだけどエディト…やけにやる気じゃない?リニアの手伝いをしろって言われたの、あたしだけだよ?」

「だって…人手が増えればそれだけ父様の休みが増えるじゃないですか。」

「あ、そう…なんと言うか、エディトって本当にお兄ちゃん大好きだよね。」

 

傭兵団の戦闘員達には自由参加で私の修行に参加し、北神流の基礎や護衛の仕事に有用な知識の手解きする事も忘れない。

剣神流に素質があればエリス母様に、奇抜派に素質があれば師匠に紹介する事も視野に入れている。

私は未だ聖級の認可を持たぬ身ではあるが、そこらの街道場の師範くらいには指導ができている事だろう。

弟子に指導する経験は私が聖級に上がるために必ず役立つ、彼らも仕事での失敗や戦死の可能性が下がる、正しく一石二鳥である。

 

跳ねっ返りは私とリニアーナで徹底的に殴り伏せて躾け、魔法大学生のように服装を統一する事で規律と礼節を叩き込んだ結果…総勢百人前後の戦闘員からなる傭兵業は気持ちがいいくらい跳ねに跳ねた。

 

 

 

 

「ニャァッハハハハハ。やっぱりサングラスを買って正解だったニャ。

 金貨の輝きで目がやられてしまうからニャ!」

 

やられているのは頭だろう、さんぐらすとやらをつけても金に魅入られた心はどうにもならないと思う。

 

「ニャヘヘヘ、こちらが顧問料になりますニャ。

これで、これからもお願いできますかニャ?」

「もちろん。」

 

私の目の前で堂々と袖の下を渡している、いや、単に正当な報酬金だからふざけいてるだけなのだが。

 

「ニャフヒヒヒ、あなた様も悪ですニャあ?」

「フフ、リニアほどじゃないよ。」

 

二人とも楽しそうだなあ…

あ、こら!大事なお金を胸の中に入れて遊ぶのはダメでしょうが!

 

「はしたないですよアイシャ姉様!」

「え〜、いいんじゃんこれくらい〜」

「そうニャそうニャ!エディトはボスの子供なのに頭が硬すぎるニャ!」

「リニア所長、エディト先生、アイシャ顧問。ルーデウス会長がお見えです。」

「「「あっ」」」

 

アイシャ姉様が仕事帰りの父様にはしたない姿を見せた事はともかく、私達の働きぶりは父様の期待を大きく上回る結果であったらしい。

この調子ならばリニアーナも数年で借金を返済し切る事ができるだろうと言われた。

仕事ぶりを褒めると言う名目で父様に撫で回される羽目になったが、これで一件落着だろう。

 

 

 

 

「あ、そうだボス。」

 

帰り際、リニアーナが思い出したかのように父様へ手紙を渡して来た。

どうして父様が私を肩車して両手が塞がった後にそう言うことをするのか、そう言うところですよリニアーナ。

手紙の内容は獣族の村に奉られる聖なる獣、即ちレオが行方不明になったと言う事件の報告と、レオの捜索要請であった。

レオは父様に召喚される前に話をつけておかなかったのだろうか、まだ仔犬とはいえそこはしっかりして欲しいものだが…というか。

 

「父様、村に手紙を出していなかったのですか?」

「………」

 

帰宅早々、父様の謝罪行脚が決定した。

 

父様とレオとリニアーナが大森林へ行く事が決まり、エリス母様もついて行きたいと駄々を捏ねたので全力で説得する事になった。

彼女は私達がリニアーナを家から追い出したせいで欲求不満なのだ、今大森林なんかに行かせたら間違いなく獣族の一人や二人は拐かしてくるだろう、絶対に許可するわけにはいかない。

 

あと、リニアーナが「行きたくない、行ったらプルセナの配下にさせられる。」とごねた時は心底失望させられた。

争いの種にならない配慮ではなくただただ相方のプルセナ殿の下につくのが嫌で逃げただけだったとは…父様が彼女を畜生と呼ぶ理由が分かった気がする。




サラッとルード傭兵団の重要なポストに付いていますがこれからも傭兵団を中心に彼女は色々働いていく予定です、ルーデウスの休暇のために。
役職名は人事部長だけど戦闘員達には教官や先生と呼ばれています。
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