「うーん……。あり?ここは?」
気が付いたら見知らぬ天井が見えた。博麗神社でもなさそうだ。
「あっ、気が付いたみたいですね!」
首を横に向けると、さっきまで戦ってた少女が俺を見てきた。
「ここは?」
「私の部屋ですよ。」
なるほどなるほど、って今なんて?
「えっと……ここは?」
「だから私の部屋ですよ。他に寝かせられる場所がなかったものですから。」
そーかそーかそういうことか。
「お邪魔しました!!!」
俺は跳び跳ねるようにして起き、部屋から出る。女性の部屋にいられないっつーの!!
「逃げないでください!!」
少女に服の襟の部分を掴まれた。って首が締まる!
「どうして逃げるんですか!?」
「えっと、まあ、その……。」
「もういいです。私の名は魂魄 妖夢です。」
魂魄妖夢……はて、どっかで聞いたことあるな。
「俺は泊谷聖人だ。」
そう挨拶すると、妖夢は急に土下座してきた。
「どったの?」
「先ほどは申し訳ありませんでした。」
ああ、侵入者と間違われた事か。
「大事な用があるのにも関わらず、斬りかかったことをお許しください。」
「終わったことだからもういいよ。」
「ですが……。」
「俺が気にしないからあんたも気にするな。」
そう言うとようやく妖夢は顔を上げた。恐らく真面目なんだろう。
「あの、一つ聞きたいことがあるんです。」
「何かな?」
「なぜあなたが私の技を使えるのですか?」
うーん、説明した方がいいかな?
「まあ深い訳があってね。」
「きちんと教えてください!私の他に使える人はいないはずなんですよ!!」
そう言いながら妖夢は顔を近付けてくる。ちょっと妖夢さん、顔近いんですけど!?
「なんとなく出来た!」
「そんなわけないでしょう!」
あー ばれてしまうか。しゃあない。
「親父から教えてもらったんだ。」
「そのお父さんの名前は?」
妖夢は目を輝かせている。なんだろう、あいつに似ているな。ってだから顔近いって。
「泊谷 妖忌、昔は魂魄妖忌って言ってたな。」
「やっぱりおじいさんは生きてたんですね!!」
お、おじいちゃん?
「いや、俺が13の時死んだぞ。」
「そう……なんですか。」
妖夢は落ち込んだ。そりゃそうだ、自分のおじいちゃんが亡くなったのだから。
※亡くなってません。
「(と、いっても多分こっちにきてると思うけどな。)」
しばらく、妖夢は俯いた後、静かに泣き出した。
「おじいちゃん……。」
そう言って妖夢は刀を握りしめた。なるほど、その刀が形見なのか。
「おじいちゃんは、私が小さい頃からいろんなことを教えてもらいました。剣術やら料理やら庭師の仕事などを。」
「……………。」
「そして突然私にこの刀を預けると言ってこの白玉桜をでていきました。多分、私に託してくれたんでしょう。」
「………………。」
「でももういない。また会えると思っていたのに。」
妖夢はさらに泣き出した。本当の事を伝えるべきか?でも、親父になに言われるかわかったもんじゃないし黙っておこう。
「…………………。」
俺は妖夢の頭を撫でた。何か無意識に手が伸びて気が付けば妖夢の頭を撫でていた。
「ふぇ!?な、何をするんですか!?」
「今まで辛かったんだろう?苦しかったんだろ?」
「いえ、そんなことは……。」
妖夢はそう言い首を横に振る。いや、相当辛かったはずだ。ずっと修行ばっかで遊ぶことや誰かに甘えることができなかったはずだ。
「親父も心配してた、あいつに辛い思いをさせたって。もっと自由にさせてやりたかったって。」
「もしかして!?」
「多分、お前のことを言ってたんだろう。でもあいつなら俺を越えるはずだって、俺の自慢の孫だって。そう笑顔で話してくれたよ。」
「うっ……。」
「だから俺に最後こう言ったんだ。あいつを、妖夢を頼んだって。最後まで妖夢を心配してたぞ。」
「うわあーーーーーーーーん!!!」
妖夢は俺に抱きついてきた。それを優しく受け止める。普通なら嫌だと思うところが、そんなことは一切思わなかった。
どうしてかはわからなかった。
「うっ、ううっ!!」
「今までよく頑張ったな。」
そう妖夢に言い抱きしめた。少しの間抱きしめ合っていると。
「やっぱりこういうのっていいわね~。」
「「ぎゃあぁぁぁぁ!!!」」
いつの間にか後ろに幽々子が扇子をパタパタさせながらこっちを見ていた。一体いつからいたんだよ!?
「あら、脅かすつもりはなかったのよ。」
絶対に嘘だ。
「そのわりにめっちゃ笑顔じゃないか。」
「そんなことはいいじゃない。妖夢、お腹すいたー 今すぐごはん頼むね。」
「わかりました。 あ、聖人さんもどうです?」
「いや、俺は遠慮しとくよ。」
ぐぎゅるるるる!!!
「………………。」
「あははははは!!!」
「笑うなよ!!!」
何でこうも都合よく鳴るんだよ!センサーでも付いているのか!?
「じゃあ、とびきり美味しいのをつくりますね!」
そう言うと妖夢は笑顔で台所へ向かった。
「妖夢に何したの?」
「ちょっと昔ばなしをな。」
「妖忌のことでしょ?」
幽々子、鋭すぎるよ。
「まあそんなところですね。」
「あの子には辛い思いをさせたわ。一つお願いがあるけどいい?」
「何ですか?」
「白玉桜に住んでくれない?」
「どうしてです?」
「あなたがいると妖夢は変われるような気がするのよ。」
「なるほど、(でも、多分あいつの方が適任だと思うけどな)。わかりました。」
「ありがとう~♪」
「いえいえ。」
その後、しばらく雑談していると。
「出来ましたよ!!」
「今行くわよ~。」
幽々子はそそくさと居間に向かった。どんだけ腹空いてたんだよ?
「(何かわかるってこういうことだったのかな?いや、他にもあるはず、明日探して見よう。)」
「何してるんですか? 冷めちゃいますよ!!」
「はいは~い。」
難しい事はご飯を食べてからだな。
妖夢の料理はとても美味しかった。今まで料理を食べてきた中で一か二を争うくらい旨かった。 けど、幽々子の食べっぷりには驚いた。
「いやーよく食べたわ~。」
「一体何皿食べたんだ?」
「ご馳走さまでした。じゃあ私は皿洗いしてきますね。」
「俺も手伝うよ。」
「いや悪いですよ。」
「いいからいいから。」
ただ飯は流石にまずいからな。けどなんか妖夢は嬉しそうだな。
「やっぱりいいわねー、あの二人。」
「そうですな。」
いつの間にか幽々子の隣に妖忌がいた。妖忌と幽々子はお茶を飲みながら。
「妖夢は変われるかしら?」
「心配しなくとも聖人がついてるから大丈夫でしょう。それにもうすぐあいつが来ますからな。」
「それもそうね。」
「私達はあの二人を見守りましょう。」
「何が見守りましょうだよ。」
懐かしい気配がしたと思ってきてみたら、親父がいたなんてな。
「ばれてしまったか。」
妖忌は驚いた顔をしていた。本当はわかっていたくせに。
「バレバレだっつぅーの。」
「むむむ、仕方ない。聖人あの刀は持ってきたか?」
「真桜剣でしょう?腰にさしてますよ。」
「ならよい。それと聖人にもう一つ刀を預ける。」
そう言って妖忌は刀を取り出した。
「それは?」
「かつてワシが使ってた刀だ。これはあの条件でのみ使えよ。」
「わかりました。」
妖忌から刀を受けとる。その刀は青かった。今までに見たこない形だし色だな。
「すげぇ!!!」
「鍛練を怠るなよ?」
「わかってるよ。」
「妖夢を頼むぞ。」
「任せとけ。けど本当の適任役はあいつだからな。」
あいつの方が剣の腕はいいし、何かと面倒を見そうだからな。俺には出来ない。
「わかっておるわ。」
そう言うと妖忌は姿を消した。どうやって姿を消してるのやら。
「さて、まだ眠いから寝ますか。」
「私は先に寝てるわね、おやすみ~。」
「おやすみ。ってもう昼過ぎじゃないか!?」
言っておくけど、今は昼の1時だ。約半日寝ていたのか。
「いいのよ~。昼寝するだけだから。」