翌日
「ところで幽々子、一つ聞きたいことがあるけどいいか? 」
「何かしら~?もしかして今日のご飯の話~?」
「ちげえよ!!幽霊と話せることが出来るか?」
「……話せるわよ。なんならその場所に案内する?」
「ぜひお願いします。」
あの子に会うのは何年振りかな?俺の事を覚えているのだろうか。
「聖人さん?幽々子様と何の話をしているのですか?」
「まあ、ちょっとな。」
妖夢にはこの事を話したくない。
「わかりました。」
「それじゃあ行きましょう。妖夢、留守番よろしくね~♪ 」
幽々子に案内されて来た場所は、枯れてる木のところだった。
「ここは?」
「ここは幽霊が集まりやすいところなの。」
確かに幽霊がうようよといる。この中から探すのかよ。
「この中にあなたの探している人がいるわよ。」
「ありがとな。今度旨いものをご馳走するよ。」
と言ってから俺はあの子を探す。しばらく探しているとその子らしい雰囲気の幽霊がいた。
「……久しぶりだな。」
そう言うと幽霊が女の子になる。そこには10さいくらいの女の子がいた。
「やっと来たのね。もう待ちくたびれちゃった。」
「本当に久しぶりだな、亜美。」
亜美は、俺に関わったばかりに短い人生で幕を閉じた女の子の一人だ。
「本当にすまない!!俺のせいで亜美を死なせてしまった!!」
「いいのよ、私はこの結果には受け入れてる。聖人兄が謝る事ないよ。」
「でも!!もしもっと生きてたらもっと楽しい事があったかもしれない!!幸せな事があったかもしれない!!それなのに、俺のせいで!!」
「その気持ちを聞けただけで嬉しいよ!!」
「本当にすまなかった。亜美を守れなかった、俺が力不足だったばかりに!!」
「でも聖人兄はあの時、必死で私のことを守ってくれたじゃない。」
確かに、必死で亜美を守ろうとはしたさ。
「それでも、守れなかった。」
「だから、女の子を避けているの?」
「!!!」
「それはただ逃げてるだけよ。他の人にも言われなかった?もっと前を向いて、今度こそ守ってみせればいいじゃない。あの時のように。」
「そう……だな。」
「わかったなら行動で示してよ!!聖人兄なら出来るはずだよ!!」
と言うと亜美の体が薄れてくる。そろそろ別れの時か。
「お別れなのか?」
「そろそろ時間みたい。聖人兄と最後に話せて嬉しかったよ!!」
「もう逝ってしまうんだな。」
「長い時間取らせてはくれなかったし、最後にプレゼントをあげる。」
そう言うと革の手袋を渡してきた。
「いいのか、もらっても?」
「貰って欲しいの。今までありがとう聖人兄!!」
そう言うと亜美の体は消えた。もう会えないんだな。
「こっちこそありがとう。安らかに眠ってくれ。」
俺はしばらくあの場で泣いた後、白玉桜へ戻った。
「お帰りなさい、何かあったんですか?」
「すまない、一人にしてくれ。」
そう言い俺は庭に向かう。
「行動を示せ、か。そうだもんな。」
「一体何があったんですか?」
と妖夢が隣に座り言ってきた。
「過去の話だよ。思い出したくない過去の話さ。」
「その話を聞きたいんですけど、だめですか?」
「……いいよ。」
「いいんですか!?」
「誰かに話した方が楽になりそうだ。」
そして俺は今まで目を背けてきた過去を思い出す。
5年前
「ねえ!!まってよー!!」
「まったく、遅いな亜美は。」
「仕方ないでしょ。聖人兄が速いんだもん!!」
あのとき俺は中1、亜美は小5だった。そして、今は亜美の家に向かってる。理由は遊ぶためだ。
「今日は聖人兄の他に誰が来るの!?」
「いつものメンバーだよ。」
など雑談していた時。
「よう餓鬼ども。何かの帰り道か?」
と、声をかけられたらと思ったら暴力団の集団に囲まれてた。
「貴方達誰!?」
「俺らか?俺らはここら辺で有名な暴力団の団員だ!!」
「自分から暴力団って言うのかよ。」
「う、うるせぇ!!命が惜しければ金を置いてきな!!」
「今はお金ないんだ。また今度にしてくれないか?」
「仕方ないな、じゃあ女を貰うぜ!!」
そう言ってナイフで切りかかってきた。当時俺は喧嘩には自信があったが、大人を8人相手するのは結構きつかった。それでも5人程を倒した。
「なかなかやるじゃねえか!!じゃあこれならどうだ餓鬼?」
そう言って男は拳銃を取り出した。
「っく!!!」
「諦めな、女を渡せば見逃してやる。」
「亜美、今のうちに逃げろ。」
「どうしてよ!?聖人兄を置いて逃げれないよ!!」
「俺が時間を稼ぐから早く!!」
「おっと!!そうはさせねえよ!!」
男が俺に向かって発砲した。
「ぐっ!!!」
「ああもう面倒だからこいつ殺すわ。」
「止めて!!!」
「止めねえよ、じゃあな!!」
俺は死を覚悟した。けどいつまでたっても来なかった。目を開けてみると。
「大丈夫?」
と、肺を打たれた亜美がいた。
「おまっ!!何で!!」
亜美は俺を庇ったのだ。こんな俺を。
「何で庇ったんだよ!?何で逃げなかったんだよ!!」
「友達を、見捨てれるわけないじゃない。」
そう言って亜美は倒れる。
「しっかりしろ!!今助けを呼んでやる!!」
「来るわけねえだろ。ここは人通りが少ないんだからな!!」
男はまた発砲した。けどそれも亜美が俺の代わりに受けた。
「何でだよ!!何でなんだよ!!」
「聖人……兄…には………生きてほしかったから。」
「だからといって、こんなのありかよ!!」
「ありがとう、……好き……だよ。」
と、言って亜美は目を閉じた。
「あー女が死んだか。折角の金目のもんが。まあいい、お前もすぐに逝かせてやるからな!!」
「ふざけるな。」
「あーー?なんだって?」
「てめえなのがいるからこういう悲劇が起きるんだ。」
「だったらどうするよ?」
「てめえをぶっ倒す!!」
「やれるものならやってみな!!」
男は発砲してくるが、その前に銃を切り刻んだ。
「ちっ、なんだよこれ!?」
「さあ、覚悟はいいか!?」
と、言ったときに警察がやって来た。
「ずらかるぞ!!」
と、男達は逃げていった。亜美はそのあと病院に運ばれたが既に死んでいた。俺は肩を撃たれたが、命に別状はなかった。
あれ以来から俺は女性を避けるようになった。別に嫌いではない。それは守れる自信がなかったから。また同じことをするのではないか。だったら突き放した方がいいと思った。
暴力団の男はリーダー以外は捕まった。リーダーの名は時弥謙治らしい。今も逃げている。もしあの男にあうと守れる自信がない。そう思い女性を避け続けていた。
「以上だ。」
「……。」
ふと、妖夢の顔をみれば泣いていた。
「それは、おじいちゃんにも話したんですか?」
「いや、話してない。」
「何で話さなかったんですか!!なぜ一人で抱えて来たんですか!?」
「これは自分の問題だったからだ。」
「関係ありません!!」
「関係ある。俺はけじめをつけたかったんだ。俺は臆病者だから話しても無駄だと思ったんだ。」
「……何で泣かないで話せるんですか!?」
「泣いても意味がないじゃないか。それに泣かないと決めたんだ。」
「嘘ついても無駄ですよ。」
「……やっぱりばれてしまうか。」
「泣いてもいいんですよ。」
「いやもう泣いてるから。」
「今は泣いた方がいいですよ。」
妖夢は後ろから背中をさすってくれた。今度こそは守らないといけない。いや守ってみせる。
「ありがとな、妖夢。」