「持ってきましたよ。」
「お、サンキューだぜ!」
俺は台所にあった手作りの団子を持ってきた。これは今日の早朝に作ったものだ。
「どれどれ……うまいぜ!!」
どうやら魔理沙さんには好評みたいだ。
「ありがとうございます。」
「で、一緒に住むことになってからの話も聞いてみたいんだぜ!」
うーん、色々な事があったしなぁ。多すぎて話がまとめにくい。
「じゃあある一日の事について話しますね。」
「Zzz・・・・」
その話は一ヶ月前の話だ。俺は霊夢さんから借りた部屋で寝ている。
チュンチュン
「ん?、もう朝か。」
俺は毎朝7時に起きている。長年の習慣が身に染みてる。俺は目を開けて起きようとしたが、
「スゥ、スゥ。」
……隣で霊夢さんが寝ていました。俺昨日なにかしたかな?
「とりあえず起き、れない。どうしよ?」
霊夢さんに後ろから抱き付かれているので、起き上がれない。霊夢さんの腕をほどいて起き上がろうとする。
「ん、置いてかないで。」
そう言ってさらに腕を絡めて来ました。しかも霊夢さん女性なのに力が強い!俺は起きてるんじゃないか?と思い霊夢さんの顔を覗く事にした。
「(やっぱり可愛いなぁ。)」
普段は素直になれなかったり、何かと仕事を押し付けてきたりと一緒にいるのが大変な人だけど、こうして見るとやっぱり年頃の女の子なんだな。
「もう少し素直になればいいのに。」
異変の時で戦った時にも言ったけど変に突っ張るから駄目なんだよなぁ。
「でも霊夢さんも大変だったんだろう。」
さっきの寝言から推測だけど、霊夢さんはずっとここに一人で暮らしていたんでしょう。こんなに広いところを一人でだなんて、寂しくはないはずがない。
「頑張ったな。」
そう言い俺は霊夢さんの髪を撫でる。さらさらしていて気持ちいい。
すると、
「……ん?良太?」
「おはよう霊夢さん。」
霊夢さんは寝惚けているのか、ぼぅとしたまま動かなかった。やがて意識が覚醒していったらしく、
「ごごごめん!!」
霊夢さんは慌てて自分の部屋に戻って行きました。
「そんなに慌てる必要もないのに。」
俺はやれやれと思いながら着替えて、居間に向かうことにした。
「そんなに顔を赤くしなくても大丈夫ですよ。」
「良太が良くても私は良くないの!!」
今は霊夢さんと朝食を食べている。霊夢さんはさっきのことを気にしていたのか、ずっと顔が真っ赤になったままだ。
「前も寝たじゃないですか。」
「前は前なの!!」
むぅ、1度一緒に寝てしまえば少しは耐性がつくと思いますけどね。女心はわかりません。
「それと今日、仕事があるから夕飯作っておいてくれる?」
「わかりました。」
「ふう、暇ですね。」
あれから朝食を食べ終え、霊夢さんは出発した。暇な時間帯は掃除をしたり、縁側でお茶を飲んだりしてまったりしていた。
「いや~暖かいね。」
日射しが暖かくて寝そうですよ。でも寝たら起きれないような気がします。
「やることがない。」
いつもならこの時間帯に魔理沙さんが来るはずなんだけど、忙しいのかな?
「しゃあない、トレーニングでもしますか。」
まずポケットにある銃を速く抜いて、木に向かって霊力弾を打つ。いわゆる早撃ちってやつだ。
「うん、まあまあかな。」
10発中8発当たったからよしとしよう。次に両手に銃を持って、ジグザグに走りながら撃つ。これが意外と難しい。
「まあ、トレーニングあるのみか。」
こんな調子で三時間くらいトレーニングをした。
その後昼食を食べて、人里に行き、食材や酒などを買った。霊夢さんはよく食べますからね、人里にちょくちょく行かないとすぐに食材がなくなるからね。
「さて、帰りますか。」
俺は帰ろうと人里の出口の方へ向かった。向かう途中に二人の大人が青ざめた表情をして何かを話し合っていた。俺はその話に耳を済ます。決して盗み聞きしている訳じゃないですからね!!
「おい、あの化け物はまだ倒されてないのか?」
「大丈夫だ。今日博麗の巫女が退治しに行ってるはずだ。」
「でもあの化け物、弾幕が効かないらしいぞ。慧音さんが退治しようとしたけど、まったく攻撃が効いてなかったらしいぞ!」
「本当かよ!じゃあ博麗の巫女も……。」
「ああ、もしかしたらやられるかもしれない。」
「マジかよ、今の博麗の巫女結構良かったのに。」
霊夢さんはその情報を知ってたのか?、一気に不安になってくる。
「ちょっとよろしいですか?」
俺は二人の大人に話しかける。
「その化け物ってどこにいるかわかります?」
「ああ、妖怪の山付近の草原だ。もしかしてあんた退治しに行くのかい?」
「わかりました。情報ありがとうございます。」
俺は荷物を片手で持ち、もう1つの手に銃を持って霊力弾を発射させて飛んだ。
「なんだあれは!!」
「すげーな!!」
などの声が聞こえてきたけど、俺は無視して博麗神社に向かう。
「さっさと行かないと!!」
俺は博麗神社に荷物を下ろし、必要なものを持って人里で聞いたところに向かった。
「ここかな?」
俺はその場所に着いた、ちょっと飛ばしすぎた。
「グオオオオ!!」
「なんなのよこいつは!!」
化け物と傷だらけでところどころ出血をしている霊夢さんの姿があった。化け物っていうか、蜘蛛だな。
「グオオ!!」
蜘蛛は糸を吐き出した。霊夢さんはそれを慌てて避けていたが、足を滑らした。
「こんな時に空を飛べたら。」
霊夢さんはもう力が残ってないみたいだ。急いで行かないと!!そこにこ転んだ霊夢さんに向けて蜘蛛は糸を吐き出して、霊夢さんを拘束した。
「う、動けない……。」
霊夢さんは糸から脱出しようとしてるが、力が入らないのか抜け出せないでいた。蜘蛛は霊夢さんにだんだんと近付いていった。
「嫌よ!!来ないで!!」
霊夢さんはそう叫ぶが、蜘蛛は止まらなかった。どうやらこの蜘蛛はスペルカードルールを知らないように見えた。そして、蜘蛛は霊夢さんを食べようとした。
「ごめんね良太、もうちょっと素直になればよかったかな?」
くそ、銃で撃つにしても蜘蛛は止まらないな。ならこのスペルに賭けるか!!俺は飛び上がり、スペルカードを持ち銃を構える。
「銃符 カットウォール!!」
俺は霊夢さんの周りの地面に霊力弾を撃ち込み、さらに撃ち込んだところから衝撃波を出した。蜘蛛は霊夢さんを食べるのを止めて、後ろに下がっていった。
「無事か?」
おれは蜘蛛の糸を取り除いた。
「良太!!何で来たのよ!!」
「人里で聞いてきたから来た!」
「ばか!!これは私の仕事なのよ!!」
など口論してると蜘蛛がこっちに向かって糸を吐き出してきた。
「とりあえずその話は後だ!!」
俺は糸を撃ち落としていく。それを見て、蜘蛛は俺に向かって突進してくる。
「良太逃げて!私がやるから!!」
霊夢さんがそう言ってるが、俺は無視してライフルを取り出し、蜘蛛に向かって撃った。
「弾幕は効かな「グオオオオォォォ……。」えっ?どうして?」
俺の撃った弾幕は蜘蛛の頭を貫通した。流石対戦車ライフル、実弾を用いてなくても威力は絶大だな。
「俺の能力を使えばそんなのは関係ない。」
相手が弾幕を効かないようにしても、俺の能力じゃ無意味だからな。
「どうして来たのよ?」
「心配したからな。」
そう言うと霊夢さんは怒りだした。
「必要ないわよ!あのときだってちゃんと脱出する手段はあったんだから!」
「うるせぇ!!!」
俺は霊夢の頭を拳骨で殴った。
「痛いわね!!何するのよ!!」
「強がってるのが見え見えなんだよ!!少しは人の気持ちも考えやがれ!!あとちゃんと情報を確認してから行けよ!!」
「そんなのわかってたわよ!」
「なら、何故協力を求めなかったんだよ!」
「いつも私一人でそういうのをやってきたからいらなかったのよ!!」
「だからって強い相手でも一人で行くのかよ?」
「これは私の仕事なの!!良太には関係ない!!」
考えを改めない霊夢に腹がたったので、俺はもう1発
本気で頭を殴った。
「なんで殴るのよ!?」
「関係なくないだろ!!死にてーのかバカ!!死んだら元も子もないだろ!それとも1回死んでみないとわからねえのか!!!」
「違うわよ……。」
そう言い霊夢は泣き出した。
「迷惑をかけたくなかったのよ。」
ようやく、素直になったか。
「迷惑なんかじゃない。置いていかれる方がよっぽど迷惑だ。」
俺は霊夢の傷を治療する。傷は深くはないから応急手当てで済みそうだ。
「それに傷ついてる霊夢なんて見たくない。」
「えっ?」
「本当は協力とかしたかったんだろ?でも今までやってきたプライドみたいなものが許さなかったんだろ?だからって一人で突っ走るなよ。」
そう言って俺は霊夢を抱き締めた。
「今まで辛かったな、苦しかったな、でも今度は俺もいるからさ。頼ってくれていいからさ。」
「うっ、うう。」
霊夢は俺に抱き付いたまま泣いた。俺は霊夢の頭を撫でる。
「さあ、帰ろう。」
「うん。」
「と、そんなことがあったんだよ。」
俺は残りのお茶を飲み干す。ちなみに今日の妖怪退治は前に戦ったこともある相手なので、霊夢に任せる事にした。
「良太って、言葉使い荒くなるんだな。」
「本気で怒った時だけだよ!」
いつも怒った時に荒くなってたら、皆から嫌な目で見られそうだから滅多に荒くしないけどね。
「それにお前は鈍感なのか?」
「えっ?何がですか?」
俺は魔理沙さんの言ってることが理解できなかった。
「(普通もうあそこまでいったらもうどっちかが告白してるはずだぜ。)」
「でも鈍感かもしれませんね。女心がわからないんですから。」
「まあいいぜ、じゃあ私は帰るからな。」
「また来てください。」
俺は魔理沙さんを見送った。
「さて、夕飯でも作りますか。」
霊夢さんはたくさん食べますからね。最初見たときは驚きましたよ。
「無難なのでいきますか。」
「ただいま。」
「おかえりなさい霊夢さん。」
日も完全に落ちた後、霊夢さんが帰ってきた。
「今日は数が多くて大変だったわ。」
そう言いながら霊夢さんはお払い棒などをしまう。
「ご飯でも食べます?」
「作ってくれたの!?ありがとう!!」
そう言い霊夢さんはご飯を食べ始めた。食べ物の事とかお金の事とかは本当に機敏に反応しますからね。
「モグモグモグモグ!!」
「霊夢さん、そんなに急いで食べたら詰まりますよ」
どこかの某漫画みたいにご飯をかきこんでいますからね。女の子もそういう食べ方するんですね。
「モグモ……~~ッ!!」
「あーあ、言わんこっちゃない。」
案の定喉に詰まったらしくのたうち回っていた。もう激しくね。
「ってそんなに暴れたら見えちゃいますよ!!」
俺は慌てて霊夢さんに水を渡す。霊夢さんは受け取り水を一気に飲んで。
「ぷはぁ~、よくやったわ!!」
「そんなに急いで食べるからですよ。」
慌てなくてもまだまだあるのに。
「ところでさっき良太が言ってた見えちゃいますってなんなのかしら?」
あっ、これはまずいですね。
「さ、さぁ?」
「とぼけないで、ちゃんと聞こえたんだから。」
「さ、ご飯が冷めちゃいますからいただきましょう」
「しらばっくれるな!!」
「良太、お酒飲む?」
あの後、なんとかごまかすことに成功して今は霊夢さんにお酒を飲まないかって誘われました。ってか霊夢さん未成年なのにお酒はどこから手に入れたんでしょう?
「飲みますよ。」
ここでは何でもありだから俺も飲んじゃいますけどね
「じゃあ。」
「「乾杯!!」」
2つのコップのぶつかる音がなり、俺と霊夢さんはお酒を飲む。
「美味しいですね。」
「これは前からとっておいたものだからよ。」
そう言い霊夢さんはお酒の味を楽しむかのように飲んでいた。
「そういえば良太?」
「何ですか?」
「良太は、私といて楽しい?」
霊夢さんは頬を多少赤くしながら聞いてきました。お酒の影響かな。
「とても楽しいですよ。今まで生きてきた中で一番楽しいです。」
「そう。」
そう言い霊夢さんは縁側に移動する。俺も霊夢さんの後についていった。霊夢さんが座り、俺も霊夢さんと少し距離を空けて座る。
「私もね、今が一番楽しい。けど、それと同時に思うことがあるのよ。」
「何でしょうか?」
「もし、良太がいなくなったらどうしようって考えるのよ。良太もいつか帰ってしまって、もう2度と会えなくなったらどうしようって。」
普段強気な霊夢さんもこういう悩みを持っているんですね。
「それが不安で不安で、夜も眠れない時があるの」
霊夢さんはお酒の入ったコップを見つめながら言った。
「大丈夫ですよ、俺はいなくなりません。」
「でも!!もしもって事があるじゃない!!」
「大丈夫てず。俺はここにいますよ。」
そう言い霊夢さんの頬を撫でる。霊夢さんは突然の事でビックリしていた。こういう時、何をしたらいいかわからないので、とにかく霊夢さんを安心させようと不器用なりに行動してみる。
「現に俺の体温が伝わって来ますでしょう?」
俺がそう言うと、霊夢さんは切なそうな目をしながら頬を撫でている俺の手を優しくさする。霊夢さんもたまには甘えたいんですね。
「本当ね。良太の体温が伝わってくるわ。とても優しくて、暖かい。」
そう言い霊夢さんは俺の肩に体を寄せた。霊夢さんのお酒なのか恥ずかしさなのかはわからないけど火照った体の暖かさが伝わってくる。
「霊夢さん。」
「何かしら?」
俺はダメ元であの言葉を言ってみる。
「月が……綺麗ですね。」
「そうね、確かに綺麗ね。」
外しましたね、どうやら霊夢さんはこの言葉の意味を知らなかったようですね。霊夢さんは今見えている月の事を言っていると思ってるのかな?
「良太。」
そう言い霊夢さんは俺に抱き付いてくる。俺は一瞬頭が真っ白になったが、霊夢さんを優しく受け止め。
「たまには甘えてもいいんですよ。」
少しでも霊夢さんを安心させようと俺は抱き締める。しばらく抱き締め合った後、霊夢さんが。
「良太……。」
そう言い目を閉じて顔を近付けてくる。これはもう腹をくくるしかないと思い、俺も顔を近付ける。あと数十cmまで近付いた時。
「暑いわねぇ。」
声が聞こえた瞬間、俺と霊夢さんは急いで顔を遠ざける。声の主は。
「ごめんなさいね。静かに見守ろうとしたのだけれどつい声が出ちゃったわ。」
「ゆ、ゆゆゆ紫!?」
霊夢さんは目玉焼きが焼けるんじゃないかってくらい顔を赤く染めていた。
「紫さん。どうしてくれるんですか?」
「ごめんなさいね、邪魔者は消えるわね。」
そう言いスキマの中に入っていった。
「霊夢さん?」
未だに顔を赤く染めた霊夢さんに声を掛けると。
「紫のバカぁぁぁ!!!!」
そう叫び俺に向かって夢想封印を放ってくる。
「お、落ち着いて!!八つ当たりにしてもそれは洒落にならないから!!!」
「うわあぁぁぁぁぁ!!!!」
俺の言葉は聞こえてないらしく、涙目になりながら大量に放ってきました。ってヤバイ!!!
「それはヤバイってぇぇぇぇ!!!!」
「わああああぁぁぁぁ!!!」
夜の博麗神社に俺と霊夢さんの叫び声がこだましましたとさ。
「ふふふ、霊夢ったらあんなに顔を真っ赤にして、可愛いわね。」
「紫様、わざと声を掛けたんですか?」
「そうよ、その方が面白いと思ってやってみたけど、予想以上ね♪」
「彼の気持ちも察してあげてくださいよ。」
「ふふ、これからの楽しみが増えたわ。」
「御愁傷様です。良太さん。」