東方外遠記   作:宗也

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第8話

「それじゃあ10日後に迎えにくるわね、言っておくけど逃げても無駄よ。」

 

「いや、逃げないから。」

 

こいつなら逃げてもどこまでも追ってくるだろうしなぁ。

 

「悔いのないようにしなさい。」

 

そう言って紫はスキマの中に入っていった。

 

ここは俺の部屋。帰ってきたのか、この世界に。

 

「はぁ、出来ればこの世界に居たいけど無理だろうなぁ。」

 

まあ、この世界にいてもつまらないんだが。

 

「とりあえず寝るか。」

 

時刻は夜の12だったので寝ることにした。宴会で皆が騒いでいるのを見たら疲れたからな。

 

「おやすみ~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝起きてからやることがたくさんあった。まず高校に退学届けを出し、クラスメートに退学する理由を言った。幻想郷のことは伏せてだけどな。そう言うと友達は泣き出した。でも早苗には言わないでおくことにした。理由?のちのちわかるさ。そして三日後にパーティーを開くことになった。

 

それから家の契約を打ち切ったり、パーティーなどに参加したり、友達と遊びに行ったりした。友達家で泊まりをして、朝まではしゃいだりもした。

 

あいつらに何か買って行こうと思いデパートで飲み物やお菓子、お酒など必要なものを買った。主婦達の目線が痛かったがな。え?なにあいつ、一人でどんだけ買ってるの?的な。

 

それから荷物の整理や持っていくものなどを鞄に積めたりとあっという間に過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして出発の日の朝。

 

俺は早起きしてあいつのところへと向かった。もちろん早苗のところである。

 

徒歩で10分歩いたところに神社があった。そこは守矢神社だった。

 

境内に入ると早苗は掃除をしていた。俺は神社の本殿に近付くと、掃除していた早苗がこっちを向いた。

 

「あら、朝早くから珍しいですね。何か用事でも?」

 

掃除の手を止めて話しかけてきた。

 

「……今日はお別れを言いにきた。」

 

「……そうですか。」

 

早苗はこの言葉を聞いた後、少し悲しそうな顔をしていた。

 

「多分しばらくは会えないと思う。」

 

「……………。」

 

俺はなぜ会えないのかを説明した。早苗は終始黙ったままだった。

 

「今までありがとう。」

 

「……………。」

 

「あの二人によろしくな。」

 

一応だが、守矢の神様二人とは面識がある。数回程度だけどな。

 

「…………わかりました、気を付けて。」

 

「じゃあまたな。」

 

俺はそう言い神社を後にしようとしたが。

 

「どうしてまたな、なんですか?」

 

早苗は不思議そうに言った。普通はじゃあな、とかだからな。

 

「また会えるかも知れないからな。」

 

その方が面白いじゃないか。人生何があるかわからないしな。今度こそ神社を後にしようとしたが。

 

「………かない。」

 

「??」

 

早苗が何かを言いたそうだったので、俺は歩くのを止めた。

 

「……いかないでよ。」

 

早苗は泣いていた。今まで泣いたことがなかった早苗が泣いた。当然か、いきなり友達がもう会えないかもしれないって言ったんだからな。はいそうですか、って受け入れられるわけないか。俺は早苗に近付き頭を撫でた。

 

「別に一生会えないってわけじゃないだろ?」

 

ひょんなことでまた会えるかもしれないし。

 

「それでもいかないでよ!!」

 

早苗はさっきよりも泣いていた。早苗とは長年の付き合いだしな。

 

「大丈夫だ。また会える。」

 

俺はとにかく早苗を慰めようと頭を撫でる。こんなことしか出来ないなんて情けねえ。

 

「……本当に?」

 

「ああ、本当だ。」

 

「……うそつかないでよ!!」

 

別に嘘はついてるつもりじゃない。さっきも言ったが何が起こるかわからないからな。

 

「じゃあそろそろ行かなくちゃ。」

 

「……………。」

 

「元気でな。」

 

「……はい。」

 

俺はそう言った後、泣いている早苗の頭を撫でた後、その場を後にした。

 

家に着いたのは午前9時。

 

「俺だって辛いよ。」

 

気が付けば涙がでてきた。今は家にいるからよかったが、神社で俺まで泣いてたらやばかったな。俺は涙を拭き。

 

「泣いてる場合じゃない、泣いてたら親父に怒られる。」

 

そう自分に言い聞かして早苗宛に手紙を書いた。

 

書き終わったあと、紫がきた。

 

「準備はいい?」

 

「……ああ。」

 

「じゃあ行くわよ。」

 

「その前にこっちのお金はあっちで使えるのか?」

 

「使えるわよ。」

 

「ほっ、使えなかったら1文無しだったな。」

 

俺は財布の中を確認する。よし、ちゃんと入っているな。

 

「そろそろいいかしら。」

 

「悪い、待たせたな。」

 

紫は先にスキマに入った。俺はそれを確認したあと和室に向かった、あそこは俺以外の人には見せなくないからだ。和室に入り、襖を開ける。そこにあったのは親父が残した刀だった。

 

その刀の名前は“真桜剣“親父が長年使っていた刀だ。

 

「親父、借りてくよ。」

 

そう言い親父の写真に向かって礼をした。そして天井を見て

 

「元気でやれよ。」

 

そう言うと俺は着替えが入った鞄二つと、お菓子や飲み物が入った段ボール、刀と医療道具と調理器具が入った鞄をもってスキマに入った。

 

早苗宛の手紙は家に残して。




早苗は聖人が離れた後自分の部屋にこもった。

「う、うわあーーーーーーーん!!!」

今まで出したことのない声を出して泣いた。このままずっと聖人と一緒にいたかった。他愛もない話をずっとしていたかった。お互いに笑っていたかった。でもそれはもう叶わない。

「えぐっ、ひっく、私だってそっちに行きたいよ……。」

あの笑顔はもう見れない。あの優しさはもう感じることができない。そう思うと涙が止まらなかった。本当はあのまま抱きついて行かせたくなかった。でも出来なかった。

「どうして離れるの?何で私を置いていくのよ。」

泣いていると誰かが部屋に入ってきた。

「どうしたんだい早苗?」

「神奈子様、今は放っておいて下さい。」

「何があったのさ?」

「諏訪子様まで、言えません。」

「もしかして聖人のことかい?」

「どうして知ってるんですか!?」

「あんだけ早苗が大声で泣いてたらわかるよ。」

「早苗、どうしても会いたいかい?」

「会いたいです!!」

「よっしゃ!!じゃあ準備するよ!!」

「準備って何のですか諏訪子様?」

「それは秘密だよ。」

「訳は後で教えるよ。」

「わかりました。」

聖人どうか元気に過ごして下さい。私は私なりにやっていきます。
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