滅びた世界のアフランシ   作:翔々

2 / 9
仕事だよ、プロフェッサー

150:転生すれば名無し

前から疑問に思ってたんだけど聞いていいかな

 

文明崩壊してんのにどうやって弾薬やら食料やら補給してるの?

 

 

151:転生すれば名無し

あ、それワイも知りたかった

 

 

152:転生すれば名無し

拠点がやたらデカいからたんまり備蓄してたって限度があるやろ

1日に巨大生物1,000体駆除って何万発消費してんねん

 

 

153:転生すれば名無し

何で世界崩壊してんのに弾だけは確保できとるんや

 

 

154:転生すれば名無し

EDFが誇る脅威の兵站維持力に疑問を持つのはやめろ

 

 

155:12004

これに関してはあらかじめ拠点に設置してあった設備に依存している

 

 

156:転生すれば名無し

お? やっぱり解決策があったんか

 

 

157:12004

バイオ資源転換装置(バイオ・リソース・コンバージョン・ユニット)

通称『ハーベスター・システム』だ

 

具体的には倒した巨大生物の細胞・タンパク質・金属成分をナノ分解してまったく別の物資へと変換する

これが無かったら私は三日で素寒貧だったろう

 

 

158:転生すれば名無し

画期的過ぎぃ!!!

 

 

159:転生すれば名無し

おい

 

 

 

おい、何だその世紀の発明は

 

 

160:転生すれば名無し

それうちにもくれよ! こちとら現地調達の環境利用闘法でやりくりしてんだぞ!!

 

 

161:転生すれば名無し

そらそんなのあったら弾数気にせず撃てるわ

 

 

162:12004

装置には発明者である『プロフェッサー』の人格を模した人工知能AIが搭載されている

彼のおかげでこの崩壊世界の現状を把握できたのだ。まさしく恩人といっていい

 

初日で虫1,000匹狩ってこいといわれた時にバグを疑ったのは内緒だ

 

 

163:転生すれば名無し

ス パ ル タ

 

 

164:転生すれば名無し

個体を資源1としか認識しないのパラドゲーあるある過ぎる

 

 

165:転生すれば名無し

それをやってのけるシャアクローンも大概だがな!

 

 

166:12004

元はフォーリナーの宇宙船に搭載されていた装置をプロフェッサーが独自に解析した結果だ

連中の呆れた物量はこれが由来だったわけだな

 

 

167:転生すれば名無し

倒しても倒しても減らない原因はこれかぁ!

 

 

168:12004

親機は大部屋ひとつを埋め尽くすサイズだが分解・貯蔵・生産が可能

子機は手押しの台車サイズだが分解・貯蔵のみ

駆除と同時に分解作用が働くので地表を汚染することもない。さすがはプロフェッサーだ

 

 

169:転生すれば名無し

超技術過ぎるだろ……

 

 

170:転生すれば名無し

これが崩壊する前にあったら未来も変わっただろうに

 

 

171:12004

私もそう思ってしまったのでそのまま呟いたら

液晶画面がブルースクリーンになりかけたので傷つけたらしい

 

デリカシーが足らず申し訳ない

 

 

172:転生すれば名無し

そら(世紀の発明も時既に遅かったら)

そう(意味がない)

 

 

173:転生すれば名無し

鬼か貴様

 

 

174:転生すれば名無し

この気配りの足りなさはまさにシャア

ニュータイプの出来損ないなだけはある

 

 

175:転生すれば名無し

ずけずけと人の心に土足で踏み入るよりはマシ定期

 

 

176:12004

翌日のノルマが3倍になったので相当怒らせたのだろうな

 

 

177:転生すれば名無し

通常の3倍のスピードで動くなら実績も3倍達成できるよね?

 

 

178:転生すれば名無し

ブラック思考やめろ

 

 

179:転生すれば名無し

三人分の能力があってもこなすのは一人だけなんですよ!

 

 

180:転生すれば名無し

じゃあ増やせばいいじゃん(いいじゃん)

 

 

181:転生すれば名無し

本当に増やすやつがあるか!!!(クローン計画)

 

 

182:12004

実際人手が足りないのは死活問題ではある

私とプル・オルタのふたりでは拠点のスペースを持て余すからな

 

 

183:転生すれば名無し

土地だけは有り余ってるのになぁ

 

 

184:転生すれば名無し

国家が滅びとるんで法律に縛られないのはいいんやが

 

 

185:転生すれば名無し

マンパワ―が圧倒的に足らんな

 

 

186:転生すれば名無し

猫の手も借りたいところやでホンマ

崩壊世界でペットが生きていけるかっちゅー話やが

 

 

187:転生すれば名無し

食わせるメシも馬鹿にならんしな

何なら電気だけで動くペットロボットの方がマシかもしれん

 

 

 

 

 

「……ロボット?」

 

 脳内スレッドに浮かんだ単語を意識した瞬間、12004は仮眠中の寝台から跳ね起きた。駆け足でフロア最奥の大部屋にたどり着くと、稼働中のハーベスター・システムに向かって声を掛ける。

 

「聞いてくれプロフェッサー! 解決策が思い付いたぞ!!」

 

 部屋一面を埋め尽くす機械の集合体。心拍のように鳴動するエンジン、複雑な演算処理をこなすCPU、熱を冷ます冷却チューブ、etc……異なる要素のひとつひとつが合わさることで、それは一体の存在となっていた。

 

 12004を迎えるように、正面の液晶モニターがひとりの人間を映し出す。人生に疲れたような、痩せぎすの中年男性。遮光処理を施されたサングラスによって表情は見えないが、12004を見つめる姿からは良心が伺えた。

 

『やぁ、12004。仮眠は2時間を予定したはずだが、まだ半分も経っていないぞ?』

「眠っている場合ではない! このブラック企業じみた現状を打破するための策がやっと浮かんだのだ! 聞いてくれなければ私は帰らんからな!!」

 

 子供のように駄々をこねる12004。その表情は切実であった。

 

 

 

 

『自動化、つまるところオートメーションか』

「なにも人間だけにこだわる必要はなかったのだ。単純かつ機械的にこなせる作業ならば、システマチックに特化させたロボットに任せた方が合理的だ。崩壊世界といえど、ここには知の研究者たるプロフェッサーが存在する。どうしてこれを真っ先に思いつかなかった……!」

 

 ボディスペックこそ人類最高だが、中身は前世の常識に拠るしかない12004には酷な要求である。

 

 結果として、この発案は大正解だった。資源になる巨大生物なら向こうから寄ってくる環境において、12004は初めて発奮する。人生の目的が見えずに惰性でこなしていた作業は、『現状打破』のための道筋をつけたことで、彼のやる気に直結したのだ。

 

 具体的にはスパロボ風の気力150、Gジェネなら超強気、ドラクエでは常時スーパーハッスルモードに突入。たまたまテリトリーに侵入したクイーンアント相手にプル・オルタとのタッグで無双するシャアクローンの姿にスレ民もドン引きであった。

 

 

 

 

 

「プロフェッサー、ひとつ聞きたいのだが」

『どうした? 君の分のパフェをプル・オルタが狙っている。早く食べるべきだ』

「ジ~ッ……」

「それはもう諦めているから構わん」

 

「あなたほどの知性の持ち主なら、最初からオートメーションの選択肢があったはずだ。どうしてそれを提案しなかったのだ?」

『ああ、それは単純だよ』

 

 

 

『君が思いつくべきだったからだ』

 

 

 

『世界は滅んだ。海は縮小し、地は裂けた。あらゆる生命体は存続の危機にある。それでも人類は生きている。ならば、どう生きるかも人類が決めるべきだ。旧世界の残り香に過ぎない私が決定権を持ってはならない。生前の私ならそう判断しただろう。それに私も従ったまでさ』

 

 

 

「───あなたがいてくれてよかったと、心から思う」

 

 

 

 

☆人物・舞台説明

 

 

〇モビルスーツは生産できないの?

 

 現状のハーベスター・システムの技術ツリーでも生産自体は可能、ただし数の暴力が過ぎて12004だけでは押し潰されるレベルの機体しか選択肢がない。赤い彗星の遺伝子をもってしても経験が足りなくてはご覧の有り様だが、『下手なモビルスーツに乗るくらいなら歩兵で戦った方が無双する』とかいうバグの逆転現象が発生している。

 

 なお、実際には12004のスペックなら既存モビルスーツでも十分に対応できるし無双するのだが、最初に選んだ戦闘スタイルが白兵戦だったせいで本人の選択肢から消失している。まさに宝の持ち腐れである。

 

 

 

〇プル・オルタ

 

 前回の少女に無事名前が付けられた。正確にはプル・オルタナティブ。その意味は「代替品」ではなく「新人類」。プロフェッサーの作り出した物資を12004自ら調理したパフェが大のお気に入り。食べ過ぎではないかと心配されるが、消費カロリーが多すぎるのでこれぐらいがちょうど良い。

 

 それまで悩みがちだった12004が急にハッスルし始めたのでプルも笑顔になった。パートナーが笑顔なら嬉しいよね! ちょっと愛が重いかもしれない。

 

 

 

〇プロフェッサー

 

 

 旧世紀を生きた研究者。肉体は既になく、現在は精神のみがハーベスター・システムの人工知能AIとして活動している。

 

 世界崩壊前からフォーリナーを研究していたが、解析された技術を普及させるにはあまりにも時間が足りなかった。同僚である研究者達とともに巨大地下ロケット発射場施設をシェルター化して崩壊を乗り越えたものの、ひとり、またひとりと別れていく。やがて最後のひとりとなった彼はハーベスター・システムに自身の疑似人格を記憶させ、病によって死去した。

 

 12004とプル・オルタには保護者として接する。『優生人類創造プロジェクト』の産物にしてはあまりにも似つかわしくない行動をする12004を好ましく思っており、案外本物のシャア・アズナブルも愉快な人物だったのかもしれないと想像している。多分そう。部分的にそう。

 

 

おしまい

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。