魅惑の黄泉   作:猫間黄泉

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第1話「不思議な後輩」

 俺は今年大学2年生になった。それと同時に、とある後輩が出来た。

 

 鳴賀黄泉(なるがよみ)さん。彼女とは、同じ文芸サークルに入っている事から知り合って、仲良くさせて貰っている。

 

「ねね、先パーイ!」

 

 少し低めで、元気な声が俺を呼ぶ。

 

「おはよう、黄泉さん」

 

 俺がそう返すと、黄泉さんはニヤリと笑って、「おはようございます、せーんぱい♡」と煽るように返す。

 

 どうしてこう、この人は毎回俺を煽るような言い方をするのか……

 

黄泉さんはスマホの画面を俺に突き付けて、「この前の原稿、修正して先輩に送っといたんで確認お願いしますね〜♡」と言う。

 

俺は「ありがとう、確認しておくよ」と言って、移動を始めた。

 

 それから放課後、いつものように部室に集まる――

 

 とは言っても、集まるのは俺と黄泉さんだけ……部室は用意されているが、基本的に集まる必要は無いのだ。

 

 俺は部室が落ち着くから、1人だろうが関係無く部室に住み着いているが……

 

「あのさ……別に部室来なくたっていいんだぞ?」俺がそう言うと、黄泉さんは「分かってますよ〜、ここが落ち着くから居るだけなんで気にしないでください」と言って、作業に戻る。

 

 複数のスチールラックが並ぶ静かな部室。そんな中、2人……淡々と文字を打ち続ける。

 

 特に世間話をしたりとかも無く、淡々と。そんな中、黄泉さんは口を開いて――「先輩って、彼女さん居るんですよねぇ?」

 

 急にそんなことを聞いてくる黄泉さん。まぁ、彼女が居ることは前にも1度話した事がある。

 

「そうだけど、それがどうかしたの?」

 

 俺がそう聞くと、黄泉さんは「上手くやれてるんですかぁ? それに、私と2人きりでこんな話してたらマズイんじゃ〜?」と言って、やはり煽ってくる。

 

「大丈夫だよ、彼女には『サークルの友達だ』って言ってるし」

 

 俺がそう言うと、黄泉さんは少し残念そうな顔をしながら、「ふぅん…」と一言吐いて、作業に戻る。

 

 相変わらず全く読めないなぁ、この子は。

 

 外が暗くなり始めた頃、俺と黄泉さんは手を止めて、帰る準備をする。

 

「それじゃせんぱーい、お先に失礼しますね〜」

 

 そう言って、先に部室を出る黄泉さん。それから少しした後、私も後を追うように部室を出て、学校を後にする。

 

 プルルル……

 

 俺のポケットから着信音が鳴る。画面を見なくても誰から掛かって来ているのかは明白だった。

 

 電話に出ると、「もしもし? 今どこにいるの?」と声がする。この声の招待は彼女の未沙(みさ)

 

 俺が「今帰りの最中だよ」と言うと、美沙は「分かった。気を付けてね」と言って、俺が「うん」と言った後、電話を切る。

 

 冷めた会話だが、この電話は美沙が提案してきたものだ。毎回、俺が帰る時間帯に電話を掛けるという物。なんの意味があるのかって?

 

 俺は部室で作業するから、必然的に帰りが遅めになってしまう。美沙は寂しがり屋だから……少しでも声を聞きたいという事から、こんな日課が出来た。まぁ、帰りを把握するという意味合いもあるだろうが。

 

 家に着いて、玄関の前に立つ――

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