魔法少女が終わらない! ~陰謀もギスギスもドロドロもありな全員死亡のバトルロイヤル展開から時間逆行魔法を駆使して目指せ大逆転ハッピーエンド!~   作:天都ダム∈(・ω・)∋

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13-8.星降る祭典(スターダスト)

☆ 選手控室 ☆

☆ クロムローム魔法学園 高等部一年月組 クァトラン・クアートラ ☆

 

 控室にいても、その演説と歓声はよく聞こえた。 

 単純に思ったことは、気に食わねー、だった。

 ああ、そういえば負けた奴って、あの子の友達なんだっけ――――。

 そこまで思考が及んだ時、クァトランは本当に――自分自身に、驚いた。

 

 

 ――――これからちい姉様と戦うのに。

 ――――あれだけ会いたかったはずなのに。

 ――――私、あいつの事を先に考えてる?

 

 

 呆れ、考え、振り返ってみて…………やっと気付いた。

 寂しいな、とか、帰りたいな、とか。

 押し込めていたけど、気づかないふりをしていた自分が、もう、どこにもいない事に。

 

 ――――そうか、私の居場所はもう。

 大姉様の膝の上でも、中姉様の腕の中でも、ちい姉様の隣でも――――ないのか。

 

 もやもやしていたものが、急速に吹き飛んで、足が少し軽くなった。

 なんであの時、教室で、《個人戦(スターダスト)》に出る……なんて口走ったのか、やっと理解した。

 

 あいつら(クラスメート)が馬鹿にされたような気がして、だったら、勝って見返してやりたいって。

 クァトランだけが勝っても意味がない、全員で思い切りだ。

 

 『大魔爛祭(マギアラフェスタ)』で大活躍して、どでかい風穴ぶちあけて、舐めてた連中に向けて、私たち(、、)は凄いだろうと誇り、ざまあみろと笑ってやりたくて――――。

 

 いつの間にか、そっちのほうが大事になっていたから、再会した姉が、拒絶の態度を示しても、あんまり傷つかなかったんだ――なんて。

 

「なんだ、私、あいつらの事、結構好きなんだ」

 

 そっか、そっか、そうなんだ。だったら――――。

 

『準決勝第二試合、トゥレリア・クアートラ選手vsクァトラン・クアートラ選手の試合を、開始します!』

 

 試合開始の宣言と同時に、紅蓮の炎が猛り、迫ってくるのを見て。

 

「ごめん、ちい姉様」

 

 クァトランは、笑った。

 

「言いたかったこと、全部忘れちゃった」

 

 黒い《魔力光(エーテルライト)》の奔流が、煌々と燃える炎を、それ以上の密度で飲み込んで、終わらせた。

 

 

 

 

 

 

 ☆ クロムローム魔法学園 観戦席 ☆

 

『しょ、勝者、クァトラン選手…………です』

 

 瞬殺だった。ニアニャを蹂躙し、焼き尽くした実の姉を、クァトランは腕を一回振っただけで終わらせてしまった。

 

 しかも、何か……すっごい笑顔だ。見たこと無いぐらい眩しい笑顔。

 

 もう、観客も私たちも、なんなら他の学園の観戦席に居る他の魔法少女たちも、全員ドン引きだった。圧倒的すぎる。

 

「あははー、お嬢、何か言いたそうなことあったのに、全部すっ飛ばしてるー! せっかくわたし、我慢したのにー!」

 

 すっかりいつもの調子に戻ったニアニャなんかはもう、パチパチ手を叩いて笑っていた。

 

 ……ん?

 

「……ねえ、ニアニャ、我慢って?」

「おいおいリーンっち、気づいてなかったのかよ~」

 

 クローネがひょこっと横から顔を出して、言った。

 

「ニアニャ、わざと負けたんだぜ~?」

「………………えっ?」

「うん、お嬢がね、話したいことがあるから、適当なところで負けていいよって」

「………………」

 

 いや、まあ、どうせ勝ち抜いたところでクァトランvsニアニャになったら、もう全然クァトランが勝つんだけどさ。

 

「えっと、じゃあ、何、勝とうと思えば……勝てた?」

「え? うーん、どうだろー、熱かったのは本当だしー、でも、もうちょっと耐えられたし、いくつか使ってない《魔弾》もあったよー?」

 

 少し悩む素振りを見せたが……要するに当事者目線だと、あれだけ一方的にやられることはないぐらいで、良い勝負は出来るラインだった、ということらしい。

 

 だったら……最初からクァトラン姉に勝ち目なんてあるわけなかった。

 因縁の姉妹対決が始まると思ったから、冷や汗ダラダラだったんだけど……。

 

 ……レイ、大丈夫かな。

 悔しかったり、落ち込んだりした時、泣いてる所を私に見られると余計拗ねてしまうのがあいつなので、一旦メアに迎えに行ってもらって……私はまだ観戦席から動いてなかった。

 

 この後、休憩が挟まるし……その時に落ち着いていたら、様子を見に行こう。

 決勝戦はクァトランvsシャクティーバ。私は、クラスメートを信じるだけだ。

 

 ……そう、思っていたのだけど。

 

『では、これより休憩時間を挟んで――――――ええ?』

 

 その時、実況の魔法少女が、アナウンスの最中に細い声を上げた。

 なんだろう、と首を傾げる私たち。めいめい立ち上がり始めた観客たちも、ざわついている。

 

『し、失礼しました。えー…………皆様、一度ご着席ください』

 

 そう言われて、座る人もいれば、良いから休憩に行こう、とそのまま席を離れる人もいた。

 

『ただいま、『大魔爛祭(マギアラフェスタ)』運営委員会から通達がありまして……クァトラン・クアートラ選手に関しまして』

「何、私?」

 

 自分がぶっ倒した姉を顧みる事無く、控室に戻る――んじゃなくて、休憩だからこっちに来ようとしていたクァトランも足を止めた。

 

『その……え、本当にいいんですか? はい……一回戦でのフェリア選手の欠場による不戦勝が、他選手と比べ《魔力(エーテル)》の消費量が不公平ではないか、という意見が提出され――――』

 

 や、まあ、それは確かにそうだけども……。

 正直クァトランだと、その辺、気にしてもしょうがない気がする。

 

『…………公平を期す為に、エキシビジョンマッチの開催が決定しました』

 

 エキシビジョンマッチ。ええ? こんな事、過去の《個人戦(スターダスト)》であったっけ?

 

『試合時間は十五分、この試合の勝敗に関係なく、クァトラン選手の決勝出場は決定となります――申し訳ありません、お静かにお願いします、クァトラン選手、リングにお戻りください』

 

 実況の言葉も、思いの外たどたどしいというか……間違いなく、本来の想定ではない、なんていうのかな、〝ねじ込まれた〟感じがある。

 

「はー、まあいいけど」

 

 一定の理はあると判断したのか、あるいは単に暴れ足りないのか、クァトランはリングの中央へ戻った。

 でも……エキシビジョンマッチって言ったって、誰と戦わせるんだろう。

 他校の選手にしたって、ここまでのクァトランの暴虐を見て、立候補する魔法少女なんているんだろうか……。

 私のその疑問に応じてくれたのは、空からの乱入者だった。

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんねっ、こんな事になっちゃって!」

 

 私はその声を知っている。私はその姿を知っている。

 いや……誰もが、彼女を知っている。

 ピンクゴールドの《魔力(エーテル)》を纏い、聖剣《桜花の剣(アンルージュ)》を振るう、世界で一番有名な、

 

 

 

「プレシャス・プリンセス! 貴女の元へやってきたよ!」

 

 

 

 

――――――最優の魔法少女(、、、、、、、)

 

 

 

 

 ☆ 貴賓室 ☆

 ☆ ??? ☆

 

 《魔法の世界(マギスフィア)》からの来賓を招く専用の貴賓室で、女は一人頬杖をついた。

 トゥレリア、全く愚かな妹。

 

 一度我が国を訪れたプレシャス・プリンセスに焦がれ惹かれ、《地球(アースフィア)》への留学を許した結果、《地球(アースフィア)》の民衆に無様を晒す羽目になってしまった。

 

 正面からアレ(、、)を排せないから、迂遠な手段を色々と使っていたというのに。

 

 しかし状況は悪くなかった、《クアートラ王国》は『大魔爛祭(マギアラフェスタ)』の太いスポンサーの一つであるし、その上、《ツヴァイア帝国》の来賓達がそりゃあもうブチ切れている。下手するとこ の女王よりもだ。《蒼希の剣(ホーブブルー)》が砕かれたときはさすがの女王も冷や汗が滝の様に流れたし。

 

 まあそういう状況であるからして、女王からも口添えして、このカードが実現した。

 ある程度の筋さえ通っていれば、要求を押し通す事は可能であった。

 

 プレシャス・プリンセスを『駒』として使えるのであれば。

 あるいは――――アレ(、、)を何とかすることも、可能であるかも知れない。

 

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