魔法少女が終わらない! ~陰謀もギスギスもドロドロもありな全員死亡のバトルロイヤル展開から時間逆行魔法を駆使して目指せ大逆転ハッピーエンド!~   作:天都ダム∈(・ω・)∋

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ババァーーーン


14-1.最強vs最優

☆ クロムローム魔法学園 観戦席 ☆

 

 たとえどれほど空気が冷え込んでいたとしても、一瞬で場を最高潮に盛り上げる。

 

 プレシャス・プリンセスには、その力がある。二つの世界をまたいで含む〝全人類〟が、彼女の登場に湧いた。

 流石のクァトランすら、呆気にとられた様子だった。

 ぽかん、と口を開ける姿なんて、そうそう見れるもんじゃない。

 

「…………あー、そう、そーね、なるほど、そーくるわけか」

 

 小さくなにか呟いてから、ちら、とプレシャスの方を見た。

 

「運営委員会の決定で、私に拒否権はないんでしょ?」

 

 そう言われると、プレシャスは少し困ったように笑い、頬をかいた。

 

「えーと、その、はい…………や、私たちもね、色々協議したんだけど」

 

 ……『大魔爛祭(マギアラフェスタ)』の現地にいて、クァトランに比肩するレベルの魔法少女。

 それも、ある程度の消耗を強いなければならない、となると、そりゃ限られる……っていうか、もう、ほとんど存在しないレベルだ、一部の例外を除いて。

 そして、その一部の例外こそが、まさにプレシャス・プリンセスなのだ。

 

「――――というか、ごめん、正直にいうねっ!」

 

 そして、プレシャスはぱちん、と両手を合せて、頭を下げた。

 

「キミが壊した《蒼希の剣(ホーブブルー)》の件で、所有国だった《ツヴァイア帝国》がすっごい怒ってます!」

 

 ……………………。

 会場中に、『あー』という空気が蔓延した。

 そりゃそうだ、よく考えたら各国の来賓も招かれているだろうし、その上で《蒼希の剣(ホーブブルー)》は多分、将来有望な使い手である神門ユニィナ氏に貸し出されてたんだろうし……。

 

「そもそもアイフィスの一番太いスポンサーがツヴァイアだからな……」

「役満じゃん」

 

 ラミアの呟きに、私は思わず言ってしまった。試合上のアクシデントというか、トラブルというか、敵意はあったけど悪意はないというか、まあそういうものだったとはいえ、ケジメは必要……というか、お灸を据えなきゃどうにもならないって話なんだろう。

 

「なので、受けてくれると嬉しいです。それに……」

「それに?」

「私も、キミがどれだけ強いのか、ちょっと気になるから」

「…………ははっ」

 

 クァトランは浅く笑うと、ひら、と手を振って、告げた。

 

「別に良いわよ、異論はない。正直勢いで壊しちゃったのまずかったなーって思ってたし」

 

 勢いでやったのかよ。

 

「けど、本当にそれでいいのね? 『大魔爛祭(マギアラフェスタ)』は」

「? どういう意味?」

 

 首を傾げるプレシャスに、クァトランは笑いかけた。

 

 

 

 

 

「今この戦いが、《個人戦(スターダスト)》一番の盛り上がりになってしまっていいのか、って聞いてるのよ」

 

 

 

 

 

 それは、決勝戦に控える最高の魔法少女を蔑ろにする言葉であり、

 聖イーヴィス魔法女学園の選手たちが集う、観戦席へ向けて放たれたものだった。

 

「――――構わないさ」

 

 控室から声が上がる。先に決勝進出を決めたシャクティーバが、高らかに告げた。

 

「この戦いがどのような結果になるにせよ、勝つのは私だ。前座としては申し分ない」

 

 黒と白。二人の魔法少女の視線が交錯し――――合意が取れた。

 

「……熱いなあ! この世代の魔法少女たちは、きっと強くなるよ!」

 

 改めて、プレシャス・プリンセスが《桜花の剣(アンルージュ)》を引き抜いた。

 煌々と輝くピンクゴールドの《魔力光(エーテルライト)》、光が強く高くなっていく。

 

「……ところで、始める前にもう一つ聞いていい?」

「? どうぞ、答えられることなら」

「あたしの友達、子供の頃からアンタのファンらしいんだけど」

「わ、嬉しいな。ありがとって伝えて! ……それで?」

「アンタ今何歳?」

「『桜凰斬(チェリィングスラッシュ)』!」

 

 皆知ってる必殺技が、禁句をかましたクァトランにぶちかまされて、戦闘が始まった。

 

 

 

 

 

 《桜花の剣(アンルージュ)》に注がれ、圧縮された《魔力(エーテル)》の刃を遠距離に飛ばすのが『桜凰斬(チェリィングスラッシュ)』。

 

 何が恐るべきって遠距離攻撃でありながら、近距離での斬り込みと同じ威力を有してるってことだ。八大魔界から現れた〝終焉の獣〟はこの技がなければ倒せなかったと言われているほど。

 

 それを放たれたクァトランは――――――。

 

「ははっ!」

 

 笑っていた。無傷。今までの戦闘とは比較にならない量の膨大な《魔力光(エーテルライト)》を纏いながら、斬撃の中を悠々と突き進む。

 

 《蒼希の剣(ホーブブルー)》を破壊した時ですら、クァトランは全く本気じゃなかったのだ。

 本当に、軽く掴んで、握りつぶしただけだった。

 

「いいじゃない、じゃあ今度はこっちからいくわ」

 

 クァトランが人差し指を立てて、高く掲げると、

 

「!」

 

 その先端から数mの高さに、渦を巻きながら回転する巨大な黒球が出現した。

 

「うわ」「きゃっ!」「何だあれ」「ひっ」

 

 聴衆が悲鳴を上げた。ごうごうと鳴る音は、空間が混ぜられて暴風が逆巻く音。

 それはみるみるうちに高く、そして大きく膨れ上がり、直径数十mの大きさに達し――一気に圧縮され、クァトランの指先に戻った。

 

「『堕獄天(ゲヘナ)』」

 

 それは、かつて悪魔(くーちゃん)を蹂躙せしめた一撃。

 見ただけで意識が飛びそうな量の《魔力(エーテル)》を極限まで圧縮した黒点を《魔弾》として射出。

 それこそシャクティーバの光線に勝るとも劣らぬ速さで、プレシャスに着弾し、

 

 ――――圧縮された《魔力(エーテル)》が膨れ上がって、飲み込んだ。

 

 一度それを再現したファラフ曰く――『堕獄天(ゲヘナ)』は《魔力(エーテル)》の濁流を作り、相手をその渦の中に閉じ込め、押しつぶし、叩き、削り、そして最後は爆発に巻き込む技なのだという。

 

 本家本元のクァトランが、本気で放ったその技は、実に三〇秒以上、プレシャスを閉じ込め、荒れ狂い続けた。

 

 あの中にあって生きていられるものなどいるわけがない、《魔力(エーテル)》というものを知覚できる存在なら、誰もがそう感じるはずだ。

 

 だけど――――。

 

 回転し続ける黒球が、最後の圧縮を始める前に、しゅぱ、と光る刃が、内側から生じた。

 

 ゴウッ! と暴風を伴いながら、『堕獄天(ゲヘナ)』が割り砕かれる。

 剣を掲げ、現れたプレシャス・プリンセスは――――無傷(、、)

 

「へえ」

 

 クァトランは更に笑みを強めた。対するプレシャスも、にこりと微笑み、告げた。

 

「すごい魔法だ、これは、本当に本気でやらないと――勝てないね」

 

 高らかに、誇らしく、堂々と。

 

「この身は決意ある限り、決して揺るぐことはない――《理想の私になる魔法(プレシャス・マジック)》!」

 

 世界一有名な、自身の固有魔法(オリジン)の名前を口にした。

 





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【プレシャス・プリンセス】
ルシルフェル魔法騎士団団長。
世界で一番有名な、最優の魔法少女。
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