魔法少女が終わらない! ~陰謀もギスギスもドロドロもありな全員死亡のバトルロイヤル展開から時間逆行魔法を駆使して目指せ大逆転ハッピーエンド!~ 作:天都ダム∈(・ω・)∋
☆
「『
クァトランがつい、とその場で爪を動かすと、遠く離れた位置にいたプレシャスの眼前で、鋭い三日月型の黒い刃が生じる。つい、つい、つい、と、まるで遠くに居る相手を軽く引っ掻いているような仕草だが、その向こう側で生じる破壊の規模はそんな生易しいものじゃない。
プレシャスは《
一度放たれた〝引っかき傷〟が、その場に残り続けているのだ。ラミアは
「『
プレシャスが相殺しきれなかった〝引っかき傷〟が、その場で暴れ狂うように動き回り始めた。四方八方から襲い来る黒い斬撃に、対し、プレシャスは足を止め、《
「『
《
プレシャスを追尾して追いかけてきた〝引っかき傷〟をすべて巻き込む絶妙なタイミングで放たれたその先には――――。
「『
クァトランを射線に収めている。黒く圧縮された防壁を展開。ピンクゴールドの《
「はあああああああああ!」
光線は《
更に出力を増す光に対し、クァトランは空いた片手を掲げた。
「『
光を受け止めていた『
「わぁ!」
慌てて飛び退くプレシャス、光の放出が止まると同時に、クァトランは一歩前に出た。
踏み込みでリングを構築する石材が砕け割れ、ゴムで弾かれた様に勢いよくプレシャス目掛けて突っ込んでいく。
「『
片手に《
「凄いね、近距離戦も出来るの!?」
「なんでできねーと思ったわけ?」
――――斬る、受ける、弾く、捌く。避ける。交わす。打ち合い、また跳ぶ。
キン、キン、キン――いっそ心地よくすら聞こえてしまう、リズムの良い剣戟の音。
二人の手の動きが見えない――剣技を極めたプレシャスのそれは当然として、クァトランがあんなに剣を使えるなんて思ってなかった。
遠目から見る限りは、ほぼ互角だった。お互いが攻めきれず、守りきれず、やがてどちらからともなく、より深く一歩踏み込んで――――。
「!」
ブシュ、と防御を貫いて、クァトランの腕から血が吹き上がった。
クァトランが――――負傷した。
「――――はぁああああ!」
その隙を見逃すプレシャスじゃない、返す刃で切り上げる動作に、とうとうクァトランの方が退いた。
「……いまのを避けるんだ、ほんとすごいね、キミ」
ダメージを与えたのはプレシャスの方なのに、驚いているのは彼女の方に見える。
クァトランは流れた血を軽く舌で舐め取って、ふん、と鼻を鳴らし、
「何発かはあたったはずなのよね……」
「うん、結構痛かったよ」
クァトランが、恐らく本気で固めた《
何より当人がそれを感じているらしく、なるほどね、と呟いた。
「
そう、それがプレシャス・プリンセスの《
本来であればピンクゴールドは、比較的
けれど、プレシャス・プリンセスが胸に掲げる理想がある限り、誰もその色彩を濁す事はできない。
どんな攻撃を受けても退かず、どんな危機も乗り越えて、どんな敵でも絶対に勝つ。
掲げる理想を体現するこの魔法は、プレシャスが重ねてきた数々の戦歴を以て、無敵の魔法に昇華されたのだ。
経験と実績、周囲の期待というプレッシャー、それら全てを背負って立って、最前線に立ち続けた自負。他者が自分に見出す理想すら、プレシャスは己のものにしている。
「そういうことっ!」
……ここに来て、いや、このレベルの極限だからこそ、
クァトランの《
しかしそれはあくまで燃料として《
クァトラン自身の出力と技巧と操作能力が常軌を逸しているから、とんでもないことが起こっているように見えるだけで……その証拠に、今クァトランが見せた技は、ファラフが全て、現象だけなら再現できてしまう。
一方で、プレシャスの《
魔法少女の
どれだけクァトランが強くても、プレシャスの理想が揺るがない限り――――。
「勝てない……?」
空想しなかったことがないわけじゃない、
だけど、実際にその結果が見えそうになると……クァトランが、負けるかも知れない、と思ってしまうと。
友達と憧れ、どっちを応援すれば良いんだろう。
どっちに勝ってほしいんだろう。
「リーンっち! 見ろって!」
「痛ぇっ!」
クローネが、私の背中をばしんと叩いた。
満月のような黄色い瞳を、キラキラに輝かせて、クローネは笑いながらいう。
「お嬢、すっげー楽しそうじゃん! まだなんかやらかすって!」
…………ああ、そっか。
疑問に思う時点で決まってるんだ、そんなこと。
だって今日は『
だから、足りなかったものを足そう、今までの戦いで、私たちがしてこなかったこと。
「頑張れー! クァトラン!」
大声で声援を送る――なんて。当たり前のことなのに、そう言えば無粋すぎて、してなかった気がする。
声が聞こえたのだと思う、ちら、とこちらに視線を向けたクァトランは、にや、と笑い。
「馬鹿ね」
小さく呟いた。
「勝つわよ」
そして、高く高く、右手を掲げた。