魔法少女が終わらない! ~陰謀もギスギスもドロドロもありな全員死亡のバトルロイヤル展開から時間逆行魔法を駆使して目指せ大逆転ハッピーエンド!~   作:天都ダム∈(・ω・)∋

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16-2.極光の大魔爛祭(マギアラフェスタ)

 ☆ 《個人戦》 決勝戦 リング ☆

 

 自分で言いだしたことだから頑張らないといけないんだけど、もうほんっとうにきっつい。

 

「『天裂く閃光(ラディアンス)』!」

 

 『天裂く閃光(ラディアンス)』、えーと、ああそうだ、背後に作った三つの圧縮された《魔力光》から光線が伸びて、一本になって飛んでくる奴だ。

 腹をぶち抜かれた私は、小さく呟いた。

 

「《時間を逆行する魔法(リーン・マジック)》」

 

 逆行、五秒。

 視界に映る全ての現象が逆再生される、私はそれを、凝視する。

 シャクティーバが《魔力》を収束させた瞬間に――ここかな、プリズムを置く。

 

「『天裂く閃光(ラディアンス)』!」

 

 光線が放たれ――あいた、しまった、ちょっとズレた。拡散しきれずに喰らってしまった。

 まずいまずい、これはイージーミスだ、もったいないぞ。

 

「《時間を逆行する魔法(リーン・マジック)》」

 

 一秒逆行、腕の位置を微妙に修正して……と。

 

「がああああああああ!」

 

 ああ、よかった、上手く反射した。

 手元での反射角を間違えると、置きプリズムに当たらなくてどっかに飛んでいっちゃうだけになるんだよな……あーほんとにしんどい。

 

「な――――ぜ、なぜ、だ、なぜっ!」

 

 理解できない、と言った様子で叫ぶシャクティーバ。

 まあ、そうだと思うよ。私以外の周囲からしたら、全ての攻撃を完全に見切って、的確に反射してるように見えていることだろう。

 

「『横薙ぐ燐光(ルフレ)』!」

 

 ずば、と光線が横薙ぎに伸びてきて、身体を斬られた。これは反射し辛いんだよな……。

 

「《時間を逆行する魔法(リーン・マジック)》」

 

 逆行、二秒。相手が攻撃する前に素早くベタっと伏せて回避。こういうのを連打されると実は手も足も出なくなっちゃうんだけど、それには気づいてないみたいだ。

 

「『瞬く滅光(サンティユマン)』――――――!」

 

 実際は、相手の攻撃を一回見て、普通に喰らって、対策を立てて。

 失敗したらやり直して(、、、、、、、、、、)、当たるまで調整してるだけだ。

 とにかく、普通にやってたら敵わないって、早く気づいてほしいんだよな、あの段階まで行く(、、、、、、、、)のがまず結構大変なんだから。

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 というわけで、主観的にはともかく、時間的には少し前の回想シーン。

 

「クァトランはこの後、プレシャス・プリンセスとの戦いで《魔力(エーテル)》を使い切ってしまった、っていう理由で、リザーバー出場の申請をしてくれるし、その後、私の作戦にも協力してくれる。これはもう決まってる(、、、、、、、、、、)事なんだ」

「いや、もう《魔力(エーテル)》は全回復してるけど……」

 

 私にそう言われたクァトランは、あっけらかんと言い放った。

 やっぱバケモンだこの女。

 

「大体、何よその言い方、決まってるって、まるで………………」

 

 クァトランは、乱暴だし横暴だしすぐ手が出るし短気だけど。

 

「…………待ちなさい、リーン。アンタ、今何回目(、、、、)?」

 

 頭の回転が凄く早いから、説明する手間が省けて、助かる。

 私は曖昧な笑顔を浮かべて、肩をすくめた、

 もう慣れきった工程を、作業のように繰り返している……そんな風に。

 

「…………ま、待ってください、リーンちゃん、その……そっちのお姫様は」

 

 レイがあたふたと手を振った……そっか、レイは知らなかったんだっけ。

 

「うん、クァトランは、私の《時間を逆行する魔法(リーン・マジック)》を知ってる」

 

 ちら、とメアを見るレイ、うう、と肩をすくめ、羊娘は申し訳無さそうに顔をそらした。

 

「クァトランちゃんは秘密を知ってるよ? って言い出すタイミング、なくてぇ……そ、それはリーンちゃんの仕事じゃないかなあ!」

 

 それは本当にそうだ。申し訳ないことをした。

 進級試験の時に色々とぶっ壊れて、一〇回近くぐるぐるしたことは話したんだけどね。

 

「な、なんですかそれ、そんなの、リーンちゃん、じゃあ、何、いつ、どこから」

「それは秘密、それよりレイ、お前の協力も必要なんだぞ」

「…………はぁ!?」

「クァトラン、一つ目の答えだけど……はっきり言って、シャクティーバは強い。普通だったら、万に一つの勝ち目もないと思う」

「アンタに客観的な視点が残ってて何よりだわ」

 

 失礼な……私はいつだって他人事の様に自分を扱ってるのに。

 

「ただ、一〇万回やったら、一回は勝てるかも知れないよね」

「……………………何て?」

「ようは、その一〇万分の一を、一番最初に持ってくればいいんだよ」

 

 付き合いの長いメアとレイは経験で、クァトランは、付き合いは短くともお互い死線を乗り越えた仲だし、私の言いたいことはわかるはずだ。

 

 

 

 

勝つまでやるつもり(、、、、、、、、、)、ってこと?」

 

 

 

 

「そういうこと、策もあるよ」

 

 というわけで、私はシャクティーバの魔法の大まかな性能予測と、対策を伝えた。

 

 透明な《魔力》を圧縮した『透明な烏(クリアプリズム)』を駆使した反射戦法、その後に起こるであろうシャクティーバの選択と行動、それに対する対応策――全部上手く行って、勝率は多分五%くらいだと思うし、まず『全部うまくいくようにする』までに時間がかかるはずだけど。

 

「馬鹿げてます、ありえねーです! 大体、数秒戻ったら《魔力》がからっけつになっちゃうのに、そんなトライアンドエラーできるわけねーじゃねーですか!」

 

 至極もっともな意見だ。でも、口走っているレイが一番心当たりがあるはずだ。

 だって私はレイに一度、抱き枕化と引き換えにおねだりしている。

 

 『大魔爛祭(マギアラフェスタ)』に向けて、《魔力》がたくさんほしいから。

 『色彩変遷(カラーチェンジ)』で透明な(、、、)魔力(、、)を作り出して(、、、、、、)吸収させて欲しい(、、、、、、、、)と。

 

「そのために、レイに手伝ってほしいんだよ」

「うぐぐぐぐ……! い、いや、それだって、リーンちゃん、自分のエーテル容量わかってます!? あのときはそこら中の環境魔力を吸い尽くして、ようやく二〇%とか、そんなもんだったじゃないですか!」

「その分だってまだ使い切ってないけどね」

 

 《集団戦(マギアパーティ)》では『やり直そう』と思うタイミングがなかったから使わなかったけど、ラミアに《魔力》をフルチャージしても、私はまだまだ余裕たっぷりなくらいだ。

 

 何もかも平均値かそれ以下の私だけど、スフィアに備わった固有魔法(オリジン)の影響か、蓄えられる容量だけは、文字通り桁が違う。

 

 普通の魔法少女がペットボトルだとすると、非常に優れているとされる娘が浴槽ぐらいに例えられる中、私はダム(、、)と呼ばれるぐらいには、規格外なのだ。

 

 唯一この一点だけは、クァトランと並べるぐらいに。

 

「ただ、やっぱり消費が激しい。数秒戻るだけでも一メアくらいは使っちゃう」

「ボクを単位にしないでよ!」

「ハルミ先生は指数関数的に消費が増えていくーって言ってたから、できれば満タンにしたいんだよ」

「あー……アンタそれで、そいつをつれて私のところに来たのね」

 

 クァトランが呆れ顔で、しかし納得したように呟いた。

 

「私の《魔力》をアンタに移し替えるつもりなんでしょう」

「さすがクァトラン、その通り」

 

 もちろん、黒い《魔力》をそのまま注ぎ込んだら私は死ぬ。前に一回やったときはスフィアが砕け散る本当にギリギリまで追い込まれたわけで、そんな無茶は出来ない。

 

 何せこれから、同じ工程を何回踏むかわからない(、、、、、、、、、、、、、、、)んだから。

 クァトランの膨大な《魔力》を、レイの『色彩変遷(カラーチェンジ)』で透明にしてもらって――蓄えようという魂胆なのだ。

 

「ば、ばかばかばかばかばか! ぜぇーったい、協力なんてしねーですからね!」

「ええ……ここまで来て?」

「つれてきたのアンタじゃねーですか!」

 

 いや、それはそうなんだけども。

 

「そんなの、そんな、何回やることになると思ってんですか、馬鹿なんですか!?」

「さあ……まあ一〇万回以内には行けるんじゃない」

「気軽に、い、言うな、そんなことっ! メアちゃんも、なんとか言ってくださいよ!」

「この状態に入っちゃったリーンちゃんには何言っても無駄」

 

 メアはその工程の中に自分が存在せず、レイが反論を重ねるに連れて思ったより元気を取り戻し始めたからか、一安心して眠気が勝り始めてきたようだった。ちゃっかりクァトランのベッドに腰掛けて、くぁ、と小さいあくびをし始める。

 

「クァトラン……さん! 《個人戦(スターダスト)》優勝の栄光が欲しくねーんですか!? 願い事だってあるでしょ!?」

「や、クラスが優勝できればいいし……別に叶えたい願いとか無いわね」

「な、無い…………!?」

「あったけど、なくなっちゃったわ。ま、どっちにしても人にどうこうしてもらうような話じゃねーし、リーン、アンタがそれでいいならいいわよ」

 

 だって。

 

「アンタ、失敗したらここまで戻ってこれるんでしょ? なら――どうしても駄目だったら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「…………あ」

 

 そう、なんとありがたいことに。

 時間逆行というとんでもない特権を、文字通り死ぬほど乱用して、勝利を掴もうとしている私には、あろうことか途中で諦めること(、、、、、、、、)すら出来るのだ。

 

「面白そうだし、いいじゃない、やってみなさいよ」

 

 くつくつと口元を抑えて、クァトランは笑った。

 

「そのうち、何かお礼してあげるって言ったもんね」

 

 日頃の努力や献身は、こういう時に実を結ぶものだ。

 

「クァトランちゃん、ちょっと嬉しそうだね?」

「どーかしらね、ま、いい傾向じゃない。一人で無茶されるより、無茶する為に頼られた方(、、、、、)がマシだもの」

 ……実際の所、クァトランにかましたのはハッタリで、主観的には正真正銘、これが一回目(、、、、、)なのだけど。内緒にしとこう。

 

「というわけで、後はレイが手伝ってくれれば、私は戦える」

「う、うう、い、嫌、いやです、絶対いや! そんな事させられねーです、しない!」

 

 強情だな……仕方ない、奥の手を使うか。

 

「レイ」

「やーだ! 絶対嫌っ!」

「手伝ってくれたら」

 

 耳をふさいでも、固有魔法の関係で耳がいいレイには聞こえているだろうことを、私は重々承知だから、そのまま続けていった。

 

 

 

 

 

 

「ちゅーしてやるよ」

 

 

 

 

 

「…………………………」

 

 ぴたり、とあれだけ抵抗していた、レイヴン・グレイヴの動きが止まった。

 クァトランがは? という顔をして、メアが口元を抑えて笑いをこらえているのが見えた。

 

「…………あー、うー、えー、いー、おー……」

 

 背を向けて、しばらく唸り、ぐるぐると周り、口をパクパク開いて閉じて。

 やがて、ちら、と振り向いて、それはそれは小さな声で。

 

 

 

 

 

「………………何秒?」

 

 

 

 と聞いてきた。

 

「えー……じゃ、三〇秒で」

「…………分割払いは?」

「五秒単位で」

「……………………………………」

 

 再び熟考に入るレイ。いや、時間が無限にある訳じゃないから早くしてほしいんだけども。

 

「ねーユメミ、キスって分割払いするもんなの?」

「しーらないっ」

「ていうか、アンタはいいの、あれ」

「レイちゃん、昔からリーンちゃんの事好き好きだよ?」

「はぁ…………あっそう」

 

 なんか呆れられてる気がする……いや、だって、ほら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 惚れた弱みに付け込むのが、一番手っ取り早いじゃん。

 

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