魔法少女が終わらない! ~陰謀もギスギスもドロドロもありな全員死亡のバトルロイヤル展開から時間逆行魔法を駆使して目指せ大逆転ハッピーエンド!~ 作:天都ダム∈(・ω・)∋
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かくして、キリ良い回数を重ねて、相手の技名もすっかり覚えて、諸々慣れてきた頃合いってわけだ。
最初のうちはもう、一発目を反射するトライ&エラーだけで余剰の《魔力》がなくなっちゃったくらいだからね。そりゃあ焦る焦る。
「ま、何事も慣れは大事ってことで……」
「はぁ、はぁ…………ああああああああああっ!」
いくら《魔弾》を撃っても跳ね返されてしまう。
何もしなければ、私は普通に近づいて殴る。
このままの戦いを続けるのであれば――――
まず相手が技を使ったのを見てから、リトライをしないといけないわけで、それだって一回でしっかり反射しきれないことだってあるから、消耗は重なっていく。
これでジリ貧になって諦める事になったのも、一〇〇や二〇〇じゃ効かないぐらいだ、だから私は悪意を込めて言葉で煽る。
「ビームを飛ばすぐらいしか芸がないのが、魔法少女の最高傑作ってこと?」
ふ、とざーとらしく、挑発的に。
「ああああああああああああああああっ!」
ついにシャクティーバが、怒りの限界を超えた。
勢いよくレースの目隠しに手をかけ、外す。
ああ、良し、やっとここまで来たぞ。
シャクティーバ・シュラクシャリアの左目には、在るべき
代わりに、白く眩く輝く――ピュアホワイトのスフィアが収まっていた。
眼孔から常に溢れ続ける光に焼かれて、普通の視力を失ったのだろう。
「我が白光の前に立ちはだかる、あらゆる邪悪を滅す者!」
いいぞ、始めたな――
詠唱、それは強力な魔法の予備動作であることが多い。
私たちが《魔弾》を飛ばす際にいちいち叫んだりしないけど、《魔力》に固有の運用をする場合は、技名をつけてスフィアに〝刻む〟事がある。
発声と連動して、使い方の感覚を覚えさせるわけだ。それが私であれば『
詠唱は、さらにその上を行く――より複雑な《魔力》操作の工程をスフィアに徹底的に刻み込んだものだ。
何度も何度も反復練習を重ね、複雑な《魔力光》の圧縮を、流れる力の操作を、スフィアに覚え込ませ、必殺技として昇華したもの。
欠点としては、やっぱり予備動作が大きいから妨害する手段が多い、ということなのだけど……ここで私が殴りかかって、近接戦に切り替えられて、反射の余地がない攻撃なら勝てるじゃん、って思い至られると困る。
というか、それで結構やられているので、最初にかなりボコボコに殴って、遠くから撃とう、っていう発想に絞らせるように立ち回ったんだけども。
……余談だが、ファラフはこの『詠唱』を使った魔法でも、
「我が天使コファリレナ! 睥睨せよ睥睨せよ睥睨せよ! 正道を征く者に祝福あれ!」
瞳から溢れる光の奔流が柱となって、高く高く天に伸びて弧を描き、ドーム全体を覆う天蓋となっていく。
「さあ舞い降りよ――――『
それは翼を持っていた。私を取り囲むように、大きく翼を広げた。
それは三対の腕を持ち、一組は祈り、一組は手を広げ、一組は嘆いていた。
それは――――光でできた、巨大な天使だった。
「この光量を、この熱量を、反射できるものならしてみるがいい! 所詮付け焼き刃の小細工、正道の天使に通じるものか!」
天使の指先、広げた翼、ありとあらゆる点に、光が収束し始めた。
連動するようにシャクティーバの眼光があふれる。瞳の代わりに収まったスフィアが、まさに限界まで励起している証明だった。
「――――ああ、やっとここまでこれた」
前は足りなかった、今は多分、行けると思う。
まだ、もう少し、更に向こうの力が溜まるまでの間に。
私は目を閉じて、口を開いた。
歌うように、語るように。
乞うように、望むように。
祈るように、願うように。
「願わくばほんの少し」
これは私が、一つだけ持っている、短い詠唱。
「叶うならより多く」
既に条件は満たしている、後はどこまで
「あなたの
最弱の魔法少女が、たった一つ身につけた、相手を倒す為だけの魔法。
「求める幸いに――――果てはないのだから」
「今更何をしようと無駄だ――――消え去れ、穢れた魔法少女!」
天使の瞳の空洞に、白い光が溢れて輝く。
放たれるのは、リング全てを埋め尽くす、圧倒的な白の熱量。
避けられないし、反射できないし、屈折や拡散の余地もない、正真正銘の
だから。
「――――だからこれは、願望の代償」
スフィアを励起するのは、こちらも同じ。
「ただここに在れ――――『
私の勝ちだ。