【コミカライズ化】魔法少女が終わらない! ~陰謀もギスギスもドロドロもありな全員死亡のバトルロイヤル展開から時間逆行魔法を駆使して目指せ大逆転ハッピーエンド!~   作:天都ダム∈(・ω・)∋

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コミックマーケット108 2日目 西1ホールて23a「Southree」で頒布予定の新刊

「魔法少女が終わらない!!3 -魔法少女の日々これ徒然-」収録の短編エピソード、先行公開です。


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魔法少女と配信騒動 5

 

 ◆

 

「五億ですよ五億! 半分ぐらいもらってもよかったじゃねーですかバカリーンちゃん!」

「そうだよ卒業したらお家買えたよ、そうだリーンちゃん今から配信しようよ!」

 

 部屋に戻ったらメアとレイにめちゃくちゃ詰められた。

 おかしいな、さっきまでいい話だったのに……。

 

「いや、やっぱいいよ……私には向いてないや」

「大丈夫だよリーンちゃん変な女の子だから終始面白いよ!」

「メアさん?」

 

 家族になんてこと言うんだ。

 

「私の持ちネタ、基本一発芸だし、《個人戦(スターダスト)》を見て固有魔法(オリジン)やらを知りたかった人たちには大体話しちゃったし、今日みたいなことってもうないと思うよ」

 

 私が今からチャンネルを作ったとて、どれぐらい人が集まり、配信をしたとしてどれぐらいお金を落としてもらえるのか、という話だ。

 

 今日の事態で味をしめて、やっぱりのこのこお金欲しくて戻ってきた……なんて思われても困るし。

 

 私は、アイドルでも配信者でもなく、正義の味方になりたいのだ。

 

「分不相応なお金は身を滅ぼすよ、私達はこれでいいんだって」

 全く、二人ともがめついんだから。

 私はなるべくしたり顔に見えるようにそう言ったのだけど、レイがぼそりと。

 

「で、本音は?」

 

 と言った。

 

「………………ちょっと貰っておけばよかったあああああああ! 全額じゃなくてさあ! 端数ぐらいはさあ!?」

「めっちゃ後悔してるじゃねーですか!」

「よく考えたら三月の魔法少女エキスポ(マギスポ)でやるプレシャスのライブチケット申し込み始まるんだった! まとまったお金が必要だったのに!」

 

「あれ、まーたわたし達も応募させられるんですかね……」

「前みたいに、ハルミ先生に頼んでチケット貰えばいいじゃない」

「自分でチケットを取る事に価値があるんだろ!?」

「当たらなかったら当たらなかったで泣きつくくせに……」

「最悪なのはライブにいけないことなのでそれは仕方ないじゃん!」

 

「つまり三月は関東旅行ですかねー。メアちゃん、行きたいとことかあります?」

「まくら堂!」

「ノータイムで全国展開の安眠グッズ専門店選びやがりましたよこの女……」

 

「…………なぁレイ。やっぱ私達も配信始めよっか。イキりカラスにツッコミ入れる芸風でさ」

「【心音天使(カデンツ)】」

「ぐっ……し、心臓、が…………」

「リーンちゃん、アンタ全然自覚なさそうなんで言っときますけど、これからはもーちょっとわたしに媚売らないといけなくなったのわかってます?」

 

 呆れ顔でタッチペン(陰険目隠し女に踏まれた奴。直した)を軽く振るレイ。

 

「ど、どういう意味だよ……」

 

 数秒心臓の鼓動を遅くされるだけで、えっぐい負担が来るからマジでやめてほしいんだけど、最近こいつツッコミ感覚で使うんだよな……。

 

「固有魔法(オリジン)は未来予知……まーこれはいーでしょう。本命はこっちですよ、スフィアカラーは戦闘面じゃポンコツな透明、って暴露したんですよ? 《個人戦(スターダスト)》優勝者に勝てるかも、って思った魔法少女に不意打ちで戦闘しかけれたらどーすんです?」

 

「………………いや、大丈夫だし、《少し先の未来を見る魔法(リーン・マジック)》は自動発動だって言ったし」

「あれ、むしろヤバくないですか? 通じないかも知れないけどとりあえず一発かましてみるか、って人増えそうじゃありません?」

「………………………………」

 

「わたしならー、近づいてくる魔法少女の足取りが不審だったらそれだけでわかるしー、大抵の相手は【心音天使(カデンツ)】で退けられますしー、ていうか、いざというときに備えに《魔力》を大量供給したいときは、誰の協力が必要なんでしたっけー?」

「………………レイさん、胸でもお揉みしましょうか」

「肩を揉めよ!」

「やだよガッチガチじゃねえかお前のショルダーは!」

「おやすみなさーい」

「メア、メアさん! 言うだけ言って寝るんですか!」

「夢見メアの睡眠ちゃんねるー……安眠の秘訣は、静寂」

 

 遠回しにうるせえ黙れ、と言われた私達は顔を見合わせて、大きくため息を吐いた。

 ……あんま得るものあんまりなかったなぁ、今回の配信ってやつ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 マジチャの設定を切り忘れていた事に気づいた時、血の気が引いた、どころの騒ぎじゃなかった。

 

 私が……明星イチゴがアイドルになりたいと思った事に、実は大きな理由はない。

 

 小さい頃に、幼稚園の行事でちびっこ応援団長に任命されて、張り切って歌って応援したら、可愛いねって褒められて、その体験が嬉しくて、幸か不幸か、何かにその矜持を折られる事なく、普通に育ったのが私だ。

 ふわふわとしたイメージのまま抱いた夢が、この歳になっても続いているだけ。

 

 魔法少女として目覚めた固有魔法(オリジン)もそれなりに有用で、スカウトを受けたときは凄く悩んだけど、七大魔法学園に入れるチャンスが巡ってきたのも、何かの縁だと思って。

 

私はもっともっと出来るかもしれない、と考えてクロムローム魔法学園に入学した。

 

 家族は私の道を応援してくれているし、それに恥じない魔法少女(アイドル)になりたい。

 

 年齢を重ねるにつれて、それは夢じゃなくて実感の伴う目標になっていった。

 

 配信は、私に合ってたと思う。私に興味を持って、私を見たい人が、私に声をかけてくれる。歌もダンスもお喋りも、皆が褒めてくれる。少しずつ登録者数を伸ばして、中堅……と呼べるぐらいにはなれていたと思う。

 

 でも、伸び悩んでいたのは事実だ。この世界でぐっ、と前に行くためには、実力以上に、運とかきっかけが必要だった。

 

 《大魔煌祭(マギアラフェスタ)》は学生である私にとって、その『きっかけ』だったし、実際に登録者数は伸びて、凄く嬉しかったけど――――何かで一番には、なれなかった。

 

 

『語辺さんっ、お願いっ! 私と一緒に配信に出てほしいのっ!』

 

 

 

 だから、視聴者からのコメントで、『語辺リーンとコラボできないの?』と色んな人に聞かれたのは、チャンスだ、と思ってしまった。

 

 同じ学年で、顔を合わせたら気軽に話せるけど、個人的な連絡先は知らないし、プライベートで遊びに行ったこともない。正しい言葉を選ぶなら、知り合い以上友達未満だ。

 

 可愛い子だな、髪の毛綺麗だな、瞳もヘテロクロミアなのが個性的で、配信映えする見た目はちょっと羨ましいな……って思ったけど、正直な所、魔法少女としては全く脅威に感じてなかった。

 

 戦闘面に関しては特に優れているわけじゃない私ですら《集団戦(マギアパーティ)》の時も『直接相対したら普通に倒していい、というか何するかわからないから見たら仕留めろ』って如月塚さんにマジ顔で言われたくらいだし。

 

そんな彼女が……あの、魔法少女の最高傑作と呼ばれたシャクティーバを打ち破って、《個人戦(スターダスト)》で優勝してしまうなんて、思わなかった。

 

 しかも、あの(、、)クァトランさんの代理として、なんて、考えるだけで恐ろしい。

 

 語辺さんは、一躍時の人になった。しばらくはトレンドに載らない日がなく、姿を見せないことで更にその神秘性は増して行った。クロムローム魔法学園は孤島にあるから、部外者が語辺さんを知ることも出来なかったし。

 

 語辺さんを利用しよう、という気持ちが一切なかったかといえば、嘘だ。

私は明確に、これでバズったらいいな、って期待をしていた。

 

 もちろん、バズらせてもらう分、ちゃんと語辺さんにも楽しんでもらって。

 これからも仲良く出来たらいいな、と思っていた。

 

 ……期待通りに大バズりして、その規模が、私の予想をはるかに超えていた。

 

 配信者の世界で生きていると、偶然と、運と、〝流れ〟みたいなものが重なって、一気に熱を生むことがある。今回は私のところに熱が生まれて、それは私が制御できる規模じゃなくなってしまった。

 

 これから私は、多分沢山叩かれる。語辺さんを呼んだことは売名だ、と言われるだろうし、なにかを企画しても実力じゃなくて他人の背中に乗っかった、と言われると思う。

 

 魔法少女の人気は、イメージに大きく左右される――だから自分のブランディングを、ちゃんとしなきゃいけなかった。

 

 私は普段から、配信の時にマジチャを切っている。

 

 気持ちをお金で表現する人は世の中沢山いるけれど、学生の身分でそういうのを受け取るのは違うな、と思っていたからだ。

 

 広告収入と、ファンの皆に頼まれて作ったメンバーシップくらいのものだ。

 登録者数は中堅で、お金目当てで活動しているわけではない、とても頑張ってるアイドル志望の魔法少女、それが私が築き上げてきたイメージ。

 

 

 同級生をバズるのに利用して、その上、大量の課金を期待していた、なんて思われてしまったら、アイドルとしての明星イチゴは、おしまいなのだ。

 

 

 アイミちゃんは忠告してくれたのに、語辺さんと何を話すか緊張して、すっかり頭から抜け落ちてしまっていた。

 

 どうしよう、どうしよう、どうしよう、どうしよう。

 

 五億。人生のゴールにしてよい金額。何を言われたってその事実は変わらない。

 

 私はこのお金はいらない。必要ない。ファンの皆に、あるいは今私を知らなくて、これから知る人に、『そういう魔法少女なんだ』と思われる方が怖い。

 

 間違いだったの、そんなつもりはなかったの、なんて言ったって、説得力なんてあるものか。

 

 だったら手放してしまえばいい、私はそれを後悔しない。ためらいなんてない。

 

 

 

 でも、このお金は私じゃなくて、語辺さんが生んだものだ。

 

 

 

 分前が発生して然るべきモノ、いや、本来は全部、語辺さんが受け取るべきものだ。

 

 私一人の意思で、無かったことには出来ない。

 だけど、受け取った事実は残ってしまう。

 記録の上では明星イチゴのチャンネルに送られたマジチャの行く先を、追いかける人なんてそうそういない。

 

 戸惑いの時間をかければかけるほど、不満と不信は広がっていく。

 積み重なれば、取り返しがつかなくなる。私はそれを知っている。

 

 ごめんなさい、語辺さん、無かったことにさせてくれませんか――なんて、利用しようとした私が、どの口で言えるだろう。

 

 客観的に見たら、私は得しかしてない。登録者数は大幅に増えて、名前を沢山知られて。

 

 だったら、語辺さんになにか持って帰って貰わないと、不公平だ。

 息ができない。苦しい。どの言葉を吐き出せば正解になるのかがわからない。

 

 だから。

 

 

 

 

『人気者になっちゃいなよ、イチゴさん』

 

 

 

 

 全部わかった上で、笑顔でそう言ってくれた語辺さんに、私は――救われた。

 

 配信の翌日、私達のやったことは、とても大きなニュースになった。

 ネットはもちろん、テレビのニュースですら、一面だった。取材のDMが山程届いて、てんやわんやになって、結果的に私は、時の人にしてもらった(、、、、、、)。

 

 

「はーい! 皆こんイチゴー! フレーッ、フレーッ! あなたを励ます応援団長! あ・け・ぼ・し! イチゴでーすっ! 今日も配信、始めるよー!」

 

 何倍も増えた視聴者を前に、私は声高らかに叫ぶ。

 

 

 誰よりも透明で、誰よりも弱く、誰よりも優しい魔法少女(せいぎのみかた)。

 いつかきっと、貴女が困っていたら、私は絶対、その力になる。

 

 

 

 

魔法少女と配信騒動 Fin




先行体験版はここまでになります。
新刊はこのような短編エピソード集となっております。

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◆魔法少女と配信騒動
「語辺さんっ、お願いっ! 私と一緒に配信に出てほしいのっ!」

9月のお話。
隣のクラスの魔法少女、明星イチゴから頼まれたのは、
MTubeの配信に一緒に出てほしいというお願いで……。
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◆魔法少女と真紅の聖夜
「て、手伝いたいっ、お願い! おねえさん、あたしを弟子にしてっ」

12月のお話。
クリスマス、プレゼントを配って回るボランティアに
参加することになったクァトランをサンタと勘違いした魔法少女が、
弟子入りを申し込んできて……!?
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◆魔法少女と初詣
「ぼくは…………頼れる相手のことを、友達って呼びたいです」

1月のお話。
人工島にある小さな神社で巫女のバイトをしていたミツネは、
ファラフと共に進級試験で犯した自分たちの「罪」を振り返る。
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◆魔法少女とバレンタイン
「とびきりのバレンタインになりそうやねえ。誰に渡すん? 彼女?」
「そうよ」

2月のお話。
島のショッピングセンターに急遽入荷することになった最高級チョコ、
〝ル・ルルルエ〟を巡る一騒動。
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◆語辺リーンは星を見る
「髪を梳かせて欲しい、です」

3月のお話。
年に一度の技術の祭典、魔法少女エキスポが遂に開幕。
二箔三日の旅行を兼ねて東京にやってきたリーン達を待っていたのは、
楽しみにしていたプレシャスのライブ中止の危機だった……!?
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こんな感じのラインナップ。
BOOTHで通販もしておりますので興味がありましたらぜひ!


◆ C108 西1ホール て23a「Southree」お品書き ◆

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◆ マップ ◆

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またcomipo comics様(https://www.comipo.app/product/BJ02850519)にて

「魔法少女が終わらない!!(作画:あずまとばり/原作:天都ダム)」

コミカライズが連載中です!

こちらもご確認いただけると幸いです。では!
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