魔法少女が終わらない! ~陰謀もギスギスもドロドロもありな全員死亡のバトルロイヤル展開から時間逆行魔法を駆使して目指せ大逆転ハッピーエンド!~   作:天都ダム∈(・ω・)∋

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☆『一回目』『一日目』『昼』☆ その4

 

 廃村から南に数百m移動した先にある、崖沿いの洞窟。

 それがこの《魔界》を形成する《迷宮(ダンジョン)》の入り口……なのだが。

 

「入り口、五つありますわね……」

 

 ルーズ姫が呆れたように呟いた。

 勢ぞろいした魔法少女十人に対して、一番大きな洞窟、その両脇に一つずつ、一回り小さな洞窟があり、その横にはマンホールより二周りぐらい大きな穴が地面にぽっかり開いていて、脇にある朽ち果てた大木の()()からも《空間魔力(エーテル)》が滲み出していた。

 

「突然ですが、メアさん問題です」

「何かなリーンちゃん」

「《迷宮(ダンジョン)》の攻略条件を述べよ……!」

「はーい、《迷宮(ダンジョン)》の核を破壊することでーす」

「正解! じゃあ一般的に、《迷宮(ダンジョン)》の核はどこにあるでしょうか!」

「はーい、基本的に最下層にありますが、別の所にあったり、強力な魔物そのものが核だったりするので注意が必要です」

「連続正解!」

 

 つまり何が言いたいかって言うと、どの入口が最下層、ひいては《迷宮(ダンジョン)》の核に繋がってるかわからないから、手分けして全部の穴を攻略しないと駄目ってことだ。

 

 《迷宮(ダンジョン)》は一つの生物に近い性質を持っている。自己の存在を保つために外敵から身を守ろうと罠を生み出したり、逆に獲物を誘い込んで殺し、栄養分にする為の撒き餌として財宝を蓄えたりもする。

 

 入り口Aの最深部にあるスイッチを押すことで、入り口Bの奥にある扉が開く……みたいな構造をしている可能性もあるしね。

 

 ………………またペア決めかあ、もう部屋割りのままで良くない? って言いそうになったけど、性格の相性以上に()()()()()があるから、そういうわけにもいかない。

 

「それなんだけど、ちょっといい?」

 

 マグナリアが挙手して、一歩前に出た……何あれ。

 

「私の個別課題に関わることで、これは、タイミングが来たら皆に言っていいことになってるんだけど」

 

 なんていうか……バラエティ的な、片手が入るサイズの、中身が見えない箱を持っているのだ。

 

「《迷宮(ダンジョン)》に入る際、チーム分けの必要が出てきたら、皆にクジを引かせること、だって」

「……………………」

 

 あの先生(アマ)、何考えてんだ。

 

 というか、人に言っていい個別課題もあるのか……マグナリアはこういう時サプライズを仕込むタイプの魔法少女ではないので、嘘はついてないと思うけど。

 

「それで、どういうクジなんだい? 同じ番号を引いたペアを組むとか?」

 

 ラミアの質問に、いいえ、とマグナリアは首を横に振った。

 

「番号が書いてあるアタリクジが五枚入ってて、書いてあるアタリクジの番号順に、ハズレを引いた人の中から一名選んでペアになること、だって」

「…………………………」

 

 あの先生(アマ)、ホントに何考えてんだ。

 ここまで来て、このメンツで、今更チームワークを鍛えましょうとでも言うつもりなのか……いや、試験っぽくはなって来たけど。

 

「へえ? じゃあこれに付き合わなかったら、アンタ落第なんだ?」

 

 クァトランがニヤニヤしながら、マグナリアに顔を近づけて言った。

 これがマグナリアに課された個人課題だと言うなら、たしかにそうだ。極論、このクジを無視して私達は任意のペアを作ったっていい、けど。

 

「そうなるわね、そうはさせないけど」

「させないって、どうするつもり?」

()()()()()()()()()、決まってるでしょ」

 

 クラスで、いや、学園全体でみても、クァトランにここまで啖呵を切れる魔法少女はマグナリアぐらいのものだろう……実際の実力差はさておいて、マグナリアは自分のルールを絶対に曲げない、ということぐらいはクァトランだってわかってるはずだ。

 

 しばらく睨み合う二人だったが、やがてクァトランはフン、と鼻で息をして、箱に手を突っ込んだ。

 

「…………何よこれハズレじゃない! バカ!」

 

 コインロッカーのナンバープレートなんかに使われてそうな楕円形のプラ板を引いたクァトランが苦々しげにクジを握り潰した。潰すなよ。

 

「ん」

 

 で、マグナリアは次に私に向けて箱を差し出してきた。うぇー、出来ればアタリは引きたくないな……自分から選ぶより消去法で最後に残ってごめんねーって謝る方が気持ち的に楽だ。

 

「一番じゃない、おめでと」

 

 プラ板に記された『Ⅰ』の文字を見て、うん、まぁ、そんなこったろうと思ったよ。

 全員の手元にクジが行き渡って、結果はこの様になった。

 

 私が一番、ミツネさんが二番、ニアニャが三番、クローネが四番、ラミアが五番。

 つまり選ばれるのはメア、ファラフ、クァトラン、マグナリア、ルーズ姫だ。

 …………嫌な分け方になったなあ。

 

「えーと、じゃあ、メアで」

「やったー、よかったぁ」

 

 何にせよ、私の判断は即決だ。怖かったのはメアもアタリを引いて、テーブルが分かれてしまうことだったので、一番の特権を活用して気心知れたルームメイトを選ぶ。

 

「せやったらウチはファラフやねえ」

 

 二番のミツネさんも、同じ理由でファラフを選び、次いで三番のニアニャ。

 

「クロクロー、どうするー?」

「どうしよっかー、ニアニャー」

 

 ニアニャはクァトランやクローネと一緒でなければ……被害が生じないとは口が裂けても言わないけど、三人の中では一番大人しい部類の問題児だ。

 

 言い換えると、一緒にいる場合は、途端に(たち)が悪くなるのだ。

 ある意味で、アタリグループに二人居てくれて助かった。

 

「お嬢、お嬢、あたしとニアニャ、どっちがいーい? にふふふふ」

「お嬢、お嬢、好きな方を選んでいいよー、あ、わたし達が決めるんだっけ?」

「どっちでもいいからさっさとしなさいよ」

「えー、お嬢ひどーい、ラブコール待ちだったのにー」

 

 ニアニャのブーイングを受けて、クァトランの眉がぴくりと動いた、徐々にイライラし始めているのがうかがえる。

 

「いいもーん、じゃあマグマグ、一緒にいこー!」

 

 自分が選ばれると思っていなかったのか、一瞬呆けた表情をして、

 

「私? いいけど……」

 

 ちらりと、残ったメンツに視線を向けるマグナリア。ルーズ姫も、困ったような笑みを浮かべている。

 

「…………にひひひひひ」

 

 そう、残ってしまったのはクァトランとルーズ姫だ。

 順当にクローネがクァトランを選んでしまうと……ラミアとルーズ姫が強制的にペアを組む羽目になってしまう。

 

 かといって、ルーズ姫がクローネを御せるところもちょっと想像できない。良くも悪くも二人は別グループというか、同じクラス以上の接点がない組み合わせだから、ルーズ姫も自分を選んでくれ、とは言い出しづらそうに見えるし。

 

「どうしよっかー、悩んじゃうねー?」

『悩むことないナー』『お嬢の世話焼かなくていいチャンスだニャー』

「あんたねえ……」

 

 クァトランのヒールがじわじわと地面を削り始めた、イライラが募っているのが見て取れる。

 

「アンタに私を選ぶ以外の選択肢なんてないんだから、さっさと――――」

「よーし、ルーズっち、あたしと行こっ、ワクワクの冒険に出発にゃー」

『いいチョイスだナー!』『よろしくニャー!』

 

 はっ? えっ? あっ? とあっけにとられたクァトランを他所に、選ばれたルーズ姫はほっと胸をなでおろす仕草をした。問題児と天敵なら、問題児の方がよかったらしい。

 

「よろしくお願いしますね、クローネ様」

「よろしくよろしくー、まぁまぁ、あたしの後ろに居ればいいよ、戦いは全部……この子達がやるにゃー!」

『俺達に投げるのかナー!』『結局自分でやるニャー』

 

 クローネかニアニャのどちらかが自分を選ぶだろう、という大前提でいたクァトランは唖然としたままだった、普段は絶対見れない顔だ。

 

「お嬢、お嬢、()()()()()忘れてんじゃねーの? あたし達もいつまでもお嬢の面倒見てられないってこと、自立しよ、じ・り・つ! にゃははははは!」

 

 言いたい放題言われて、なお硬直し続けていたクァトランの肩を、ラミアが苦笑しながら叩いた。

 

「……よろしく、クァトラン」

「……………………ああそう、よーくわかったわ、あんたら、覚えておきなさいよね」

 

 クァトランの怒りの呟きを最後にペア決めも終わり、遂に、《迷宮(ダンジョン)》攻略が始まる。

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