魔法少女が終わらない! ~陰謀もギスギスもドロドロもありな全員死亡のバトルロイヤル展開から時間逆行魔法を駆使して目指せ大逆転ハッピーエンド!~   作:天都ダム∈(・ω・)∋

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☆『一回目』『一日目』『昼』☆ その9

 

「……ゃん、リーンちゃん」

「……んぇ?」

 

 頭上から聞こえる甘やかな声、あれ、私は誰、ここはどこ。この起こし方ほんの数時間前もされたような……。

 

 私は語辺リーン、ここは……えーっと、《迷宮》の中か……?

 

「あ、よかった、目が覚めたね」

 

 声は聞こえる、しかし顔が見えない。何故かはすぐにわかった、大きな山が影となって視界を遮っているのだ……私は今、膝枕をされている……。

 

「みゃあっ!」

 

 後頭部を支えていた膝枕が、テーブルクロス引きのごとく消失し、クッションを失った私の頭部は重力に従って高さの差分を衝撃という形で受ける事になった、痛っ。

 

「なんで毎回胸を触るの!?」

「じゃあ目の前に置いとかないでよ!」

「置いといたわけじゃないよ!」

「ちょっと夢か現実か確認しようと思って……」

「それは自分ので試して欲しいなあ!」

「自分のを触ったって夢かどうかわかんないじゃん、あとメア」

「何!? まだなにかあるの!?」

「触るのと揉むのじゃ法的に罪が違うんだよ」

「じゃあより重罪だよ!」

 

 ほんとだ。

 それはさておき、ようやく記憶が戻ってきた。

 なにせ手足も全身も馬鹿みたいに痛いもんね……うん、振り回されて叩きつけられて、トドメにメアに向かって体当りしたわけで。

 

 ただ、魔法少女は基本的に《魔力(エーテル)》を利用した攻撃でないと致命傷を受けない。マザーウッドは膂力(でいいのかな? 植物だけど)は凄かったが、振り回す枝そのものに《魔力(エーテル)》を付与していたわけではなかったので、こうしてポンコツ魔法少女の私も、怪我はすれど五体満足で帰ってこれたわけだ。

 

 リソースをほとんど、メアの動きを邪魔するウッドマンの生成につぎ込んでいたのもあると思うけど。

 

「……てか、メアは平気? ごめん、とんでもなく振り回されちゃって」

「ん、大丈夫だよ。ちょっと頭ぶつけちゃったけど、ちゃんとキャッチできたし」

 

 にへ、と笑うメア。そして、私達がこうやって会話出来てるってことは……。

 

「……無事撃破、と」

 

 階層の主、マザーウッドの姿は、もうそこにはなかった。代わりに、更に下の階層へ続く孔が、ぽっかりと開いている。

 

「あと、これも拾ったよ」

 

 そういってメアが広げた手のひらの上には、10cmぐらいの長さがある、琥珀色の結晶体が乗っていた。

 

 強力な魔物は、こういったアイテムを落とすことがある、固形化した《魔力(エーテル)》の塊であったり、《迷宮》の先へ進む鍵だったり……攻略に必要なものだった場合、紛失したら取り返しがつかない事もあるので、管理は厳重にせねば、

 

「じゃ、私達のノルマはクリアかな。私、どれぐらい気を失ってた?」

「三十分くらいかな? 今、十五時とか、そのへんのはずだけど」

「絶妙な時間だなあ……」

 

 引き上げるには早すぎるけど、何も考えず突き進むにはちょっと怖い……でも軽く様子を見て情報を集めるくらいはしておかないといけないか。

 

「んー、もう少し休んだほうがいいよ、リーンちゃん。まだ《魔力(エーテル)》回復してないでしょ? ボクも流石にちょっと余裕ないかも」

「確かに……もうちょっと休んで余裕ができたら、ちょっと下の様子見て、それから戻ろうか」

 

 そうとなればもう一度膝枕の恩恵に預かりたいな、と思った時。

 

 

 

 

 ズズズズズズズズズズズズズズズズズ

 

 

 

 

 階層……どころじゃない、迷宮全体を揺るがす大きな振動が、私達を襲った。

 

「ひえっ」「きゃあっ」

 

 何が起きた? 何かヘマをした? まさか階層の主を倒しちゃいけなかった?

 揺れはまだ収まらない、私はとっさにメアを抱き寄せてかばおうとした。

 

「えっ」「あっ」

 

 そしてメアも私を抱き寄せてかばおうとしていた、お互い同じ動きをした結果、額と額がガツンとぶつかった――運が良かった、もうちょっとメアの顔が斜めだったら、角が私の顔に直撃していた。

 

 いや、バカやってる場合じゃない――何だこれ。

 天井が落ちてくるか、床が抜けるか、そんな不安は、幸運にも徒労に終わった。

 実際の時間は、一分もなかったかも知れないけれど、体感的にはもっと長く続いていた揺れが、ようやく収った。

 

 壁や床にひび割れが生じているものの、崩落にまでは至ってない。

 

「何だったんだろう、今の」

 

 メアが額を抑えながら起き上がる。

 

「さあ、他の子達が何かやったとか……?」

 

 可能性としては、それが一番ありそうな気がする……そう思った時。

 

 

 

 

 

 

 

「うわああああああっ! ああああああああああっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 それは人の声だった。

 それは悲鳴だった。

 絶望の混ざった慟哭が、孔の下から聞こえてきた時、私もメアもためらわず、下層へ向かって飛び込んでいた。

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