魔法少女が終わらない! ~陰謀もギスギスもドロドロもありな全員死亡のバトルロイヤル展開から時間逆行魔法を駆使して目指せ大逆転ハッピーエンド!~   作:天都ダム∈(・ω・)∋

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☆『一回目』『二日目』『朝』☆ その3

 がらんどうで、光のない、くすんだ金色が、私を見た。

 

「あは――――――『『やっちまったナー!! あはははははははは!!』』」

 

 一人の口から発せられる、三重の声。

 高笑いをするクローネ。目だけが笑ってない。空っぽだ。何もない。

 もう、何も映してない。

 

 呆れ顔のニアニャは、まだ少し痙攣しているマグナリアに近づいて、おもむろにコスチューム……胸の中に手を突っ込んだ。

 何してるんだ、と制止できる魔法少女は、この場に居ない。皆、現状の急展開に、頭が追いつけていない、私も。

 

「あったあった、ばいばい、マグマグ」

 

 ビシリ、ミギッ、と鈍い破裂音がして、マグナリアの身体が一際、大きく跳ねた。

 服の裾からパラパラと、割れたオレンジ色の結晶の欠片が、こぼれて落ちた。

 ――――《秘輝石(スフィア)》を、砕いた?

 

「クーロークーロー、せめてやるなら、ちゃんとやろうよー、可哀想だよー、まだ生きてたよー?」

「『『あははははははは――――』』って、悪い悪い、勢い余っちゃった」

 

 クラスメートとして親しんできたから、忘れてしまっていたんじゃないか。

 この二人は問題児だけどいい子なのに、何をしたんだろう、だなんて、気楽に考えていたんじゃないか。

 最初から知ってたじゃないか。

 クローネ・クローネとニアニャ・ギアニャは―――()()()()()()()()()()()み在学を許されているだけの、大罪人であることを。

 

「――――――いやああああああああっ!」

 

 この場から逃げ出そうと、階段を駆け上がったルーズ姫を、誰が責めることができよう。

 

「――――待て!」

 

 それを追いかけたラミアを、誰が更に追うことができよう。

 この場に残った、私と、メアと、ミツネさんが。

 黒い《魔力光(エーテルライト)》を燻らせるクローネとニアニャ相手に身構えたことを、誰が咎められよう。

 

「元気だなー、ルーズっちはさー」

 

 クローネも視線で二人を追いかけるだけで、意識は私達に向いている。

 ニアニャは、くーちゃんを抱きかかえて、頭に乗せて、瞳の中の歯車を、くるくると回している。

 

「――――はよ逃げぇ」

 

 ミツネさんが、小さな声で言った。

 

「もうどうにもならん、()()()や。ウチらは全部間違えた。二人だけでも、逃げぇ」

「ミツ、ネ、さん――――」

「ウチは()()()()()()()の責任を取る。ホンマ、どこで間違えたんかな……」

「あはははは、ミツネっち? 遊んでくれるの?」

 

 返答は、ミツネさんの先制攻撃、狐の顔を指で作る、いつものポーズ。

 バチンッ、と音がして、クローネの顔が大きく揺れた――いや。

 

 

「――――――あははははは! えっぐー!」

 

 ()()()()()()()()()

 視界に映るものに触れる事ができる固有魔法(オリジン)、《遠くにある物(ミツネ)を動かす魔法(マジック)》。

 

 それは言い換えるなら、射程距離のない接触攻撃が可能という意味だ――手が届かないところから、眼球を潰すことだって出来る。

 

「痛い痛い! うわー! すっげぇー! こんな事ができるならもっと早く言ってほしかったナー! そしたらあたしさー、ミツネっちともっと仲良く出来たはずニャー!」

 

 そして、その程度で、クローネは怯まなかった。スカートの中からわらわら、ぞろぞろと、無数の小さなぬいぐるみ達が這い出てきた――何体いるのか、すぐには数え切れないぐらいの量だけど。

 

 マグナリアの……魔法少女の首を一撃でへし折る殺傷力を有する、クローネの兵隊達。

 

「歯ぁ食いしばれやおどれらァ!」

「ひひひひひひひひひひ! たぁのしぃーっ!」

 

 なにかしなくてはいけない。

 なにかしなくてはならない。

 それがわかっているのに、体が動かない。

 

 無力でも、無能でも、憧れの背中に追いつくために。

 泣いている誰かに手を差し伸べて。

 助けを求める誰かの、絶望を払う希望になれるような。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()

 

 魔法少女(せいぎのみかた)になる為に、ここに居るんじゃないのか、語辺(かたりべ)リーン。

 なのに。

 なんで私の足は、動かない。

 

「リーンちゃんっ!」

 

 ぬいぐるみの群れが押し寄せる、メアが私をかばうように、抱きついた。

 違う、そうじゃない。

 

「メア――――」

 

 哄笑、戦闘音、悲鳴、絶叫。

 傍若無人な質量が、メアもろとも私を押し出して、玄関の扉を破壊し、身体が外へと吹き飛ばされる。

 仰向けのまま、引っ張られる身体、押し出される感覚。

 建物の屋上から、赤い何かが吹き上がるのが見えた。

 

「大丈夫だよ、リーンちゃん」

 

 メアの《秘輝石(スフィア)》が生み出した、ココアブラウンの暖かな《魔力光(エーテルライト)》が、私の全身を覆っていく。

 

「ボクが、絶対守るから」

 

 違うよ、メア。

 それは、私がメアに言いたかった事なのに。

 ぬいぐるみが、黒い《魔力光(エーテルライト)》を迸らせながら殴りかかってくる。

 自分の《魔力(エーテル)》を、全て私を保護するための防壁に注ぎ込んで。

 あまつさえ、生身の身体で覆いかぶさって、一身に暴行を受けるメアを、私の貧弱な力では、色彩のない《魔力(エーテル)》では、押しのけることも出来ない。

 身代わりになることすら出来ない……守られることしか、出来ない。

 

 衝撃が、頭に響く。《魔力(エーテル)》の膜の上から、ぬいぐるみの殴打が続く。

 意識が揺らぐ、視界が霞む。

 私を抱きしめる、熱の感覚だけが、身体に伝わってくる。

 

 そして、

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