魔法少女が終わらない! ~陰謀もギスギスもドロドロもありな全員死亡のバトルロイヤル展開から時間逆行魔法を駆使して目指せ大逆転ハッピーエンド!~   作:天都ダム∈(・ω・)∋

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☆『二回目』『一日目』『昼』☆ その2

 

 一人部屋が良いと言い出したクァトラン、『一回目』と同じ折衷案を出す私、採用されて部屋割りが完了。

 

「ここまでの流れは、ほぼ一緒だったな……」

 

 後は準備を終えて《迷宮》へ突入、という所まで話が進んでから、忘れ物がある、と言って、部屋に戻ってきた。

 

「…………()()()()、出てきて」

 

 《秘輝石(スフィア)》が見えるよう、右手の甲を上にして、()()()()()使い魔(マスコット)()()()()()()()

 透明な《魔力光(エーテルライト)》が立ち上り、集まって形を成していく。

 

『………………』

 

 出現したそいつは簡単に言うと………………手のひらサイズの水まんじゅうだ。

 ……うん、どう解釈しても水まんじゅう、あるいは透明なわらび餅。

 

 だって私の《魔力(エーテル)》で出来てるんだもん……。

 

 一応ビジュアルに個性を出してみようと悪魔みたいな翼と角をつけてみたら、翼と角が生えた水まんじゅうにしかならなくて……控えめに言葉を選んでも雑魚モンスターみたいな見た目をしている、これが私の《使い魔(マスコット)》である。

 

『………………』

「久しぶりだね、レムリア」

『………………』

「どの面下げて……って感じ? うん、言いたいことは、わからなくもないよ、でも、力を借りたいんだ」

『………………』

「や、違うんだよ、私もさ、あれから考え直したんだ。謝れって言うなら謝るし……やっぱりもう一度前みたいな関係に戻りたくて…………痛っ! 噛んだなお前!」

 

 手を伸ばしたら指をがぶりとされた……訂正、全然痛くはない、牙もなければ爪もない無害な《使い魔(マスコット)》である。

 

『………………』

「そっちがそういう態度を取るなら知らないぞぉ! こっちが下手に出てればいい気に……あ、ごめんごめん、違うんだって、本心じゃなくて、ちょっと色々混乱してて……」

 

 駄目だ、元カレとよりを戻そうとして失敗してる人みたいになってる、元カレなんて居たこと無いけども。

 

「……レムリアは、私に何があったか、見てたでしょ?」

 

 私の《時間を逆行する魔法(リーン・マジック)》は、主観的な記憶を引き継いだまま、数秒前の過去へと戻る。

 だから先に未来を見た上で、過去の行動を変えることで、生じる結果を変えられる。

 その場合、当然のことながら、『変えられてしまった未来』は私以外の誰も覚えていない。カツサンドを拾い上げた時点で、カツサンドを落として食べられなくなった未来は、そもそも生じないのだから。

 

 それを《少し先の未来が見える魔法》だと言い張っているのは、結果が大して変わらないなら、未来予知という言葉の方がまだ大人しい印象を与えるからだ。

 

 私の魔法の本質が、『過去へ戻ること』だと知れたら、大変なことになりますよー……と、忠告してくれたのは、ハルミ先生なんだけど。

 

 しかし何事も例外があるもので、レムリアは私の《魔力(エーテル)》で構成された《使い魔(マスコット)》であり、《秘輝石(スフィア)》が持つ機能の一部、身体の延長線上のものとして扱われる。

 

「私の固有魔法(オリジン)じゃ数秒以上の時間逆行は不可能だった、なのにどうして私はここに居るの?」

 

 つまり、レムリアは私と同じ時間を観測できる、唯一の存在なのだ。

 私が自害を試みた後、何が起こったかを、()()()()()()()()()()()()()()()

『……………………』

「…………はあ、わかった、もういいよ」

 

 許可を出すと、レムリアは無音で《魔力光(エーテルライト)》に還元され、《秘輝石(スフィア)》の中へと戻っていった。

 

 最悪、核を砕いて強引に吸収しちゃえば強制的に記憶を見れなくもないんだけど……うん、ジーンの生き死にの後に自分の《使い魔(マスコット)》バラすとか、考えるもんじゃないな。

 

 レムリアは正真正銘、私が作った私の《使い魔(マスコット)》だが、少々特殊な事情があって、私と決裂している…………自分の《使い魔(マスコット)》と決裂してる魔法少女ってなんなんだよと我ながら思うけども。

 

「…………覚悟を決めるか」

 

 理由は分からないが、私は二十四時間以上に時間逆行を実現した。

 つまり、未来を変える機会を得た。

 最悪のバッドエンドを見てから、それを覆す余地を、手に入れてしまった。

 

「だったら、私がやるべきことは、決まってる」

 

 マントを羽織り直し、帽子を整えて、私は部屋の扉を開けた。

 

 ☆

 

 時間を遡って未来を変えようってなった時、大事なことってなんだか分かる?

 答えは再現性、つまり『状況A』に対して『行動B』をしたら『結果C』になったから、次は『状況A』に対して『行動D』をやってみよう、という変数をいじくれるのが大前提なのだ。

 

「私の個別課題に関わることで、これは、タイミングが来たら皆に言っていいことになってるんだけど、《迷宮》に入る際、チーム分けの必要が出てきたら、皆にクジを引かせること、だって」

「……………………」

 

 ここのクジ次第で何がどうなるかわかんないじゃん。

 え、え、どうしよう、そもそもジーンが死んじゃったのは、クァトランがブチ切れて物理的な破壊による下層へのショートカットを目論んだ事なんだけど、()()()()()()()()()のだ、というのを忘れちゃいけない。

 

 タイミング次第じゃ、ファラフやミツネさんが巻き込まれていた。ラミアとペアを組んで尚あれなんだから、もしクローネやニアニャが今回をアタリクジを引いて、順当にクァトランを選んだ場合、どうなってしまうのか想像もつかない。

 

 ………………この二人に常識とか、リミッターがないってのは、痛いほど理解してしまったから。

 

「あれ、どったんリーンっち」

「っっっっっ」

 

 私の顔を、ひょいとクローネが覗き込んだ。

 心臓が止まるかと思った。

 

「あは、緊張してんの? へーきへーき、しょぼくれ《迷宮》じゃん、楽勝っしょー」

『余裕だナー』『お嬢のほうが怖いニャー』

 

 私はクローネのほうが怖い……この楽しげで、人懐っこい笑顔の裏が『何』なのか、見てしまったから。

 

「んー?」

 

 そんな私の態度を訝しげに思ったか、体ごと首をひねるクローネ。

 

「や、うん、大丈夫、ありがと、心配してくれて」

 

 うまい作り笑顔を浮かべられたかはわからないが、クローネはそれで満足したらしい。

 

「どいたしましてー!」

『気にすんナー』『持ちつ持たれつだニャー』

 

 そういってバシバシ背中を叩い…………痛っ! 痛っ!

 

「それで、どういうクジなんだい? 同じ番号を引いたペアを組むとか?」

 

 ああ、しまった、話がどんどん進んでいく。

 

「番号が書いてあるアタリクジが五枚入ってて、書いてあるアタリクジの番号順に、ハズレを引いた人の中から一名選んでペアになること、だって」

 

 クァトランがマグナリアに詰め寄って、軽い口論をして、くじを引く。ここまでは同じ。

 

「…………何よこれハズレじゃない! バカ!」

 

 引いたクジを握り潰し、次にマグナリアが私に箱を向ける、ここまでも、同じ。

 

「ん」

 

 で、ここでどのクジを引くかによって、私の今後の行動が決まる。

 どれ引いたっけ、確か何も考えずに一番手前の奴を引いた気がするような……

 即決できずに迷っていると、マグナリアの眉間に少しずつシワが寄り始めた。

 

「ええい、ままよ……!」

 

 あの時の私はなんとなく選んだ、なら今の私もそれに沿ってやる。

 そうやって引き抜いた私のクジは――――。

 

「あら」

 

 マグナリアの声が、聞こえる。

 

「一番じゃない、おめでと」

 

 そこに記された『Ⅰ』の文字を見て、私は、あれ? と目を見開いた。

 くじの結果は、この様になった。

 

 私が一番、ミツネさんが二番、ニアニャが三番、クローネが四番、ラミアが五番。

 つまり選ばれるのはメア、ファラフ、クァトラン、マグナリア、ルーズ姫だ。

 

「………………」

 

 結果が、変わってない?

 

「……どうかした?」

 

 黙り込んだ私を見て、マグナリアが首を傾げた。

 ……マグナリアがクジになにか仕込んだわけじゃない……いや、これはそもそも、ハルミ先生の指示、というか、課題でやってるんだから。

 誰が選ぶ側で、誰が選ばれる側なのか、()()()()()()()()()

 

「…………えーっと、それじゃあ」

 

 メアがにこにこしながら、私を見ている。

 他の皆もきっと、私がメアを選ぶと思っているだろう。

 けど、これから起こることを、私が何かすることで、防げるとしたら。

 

「クァトランで」

「………………ん? …………は?」

 

 自分が呼ばれる事など全く想定していなかったであろう、クァトランの表情たるや。

 

「リ、リーンちゃん?」

「ごめんメア、でも、必要なんだ」

 

 唖然とするクァトランの前に歩み出て、私は手を差し出した。

 

「よろしく、クァトラン」

「…………あんた、頭おかしいんじゃないの?」

 

 これからペアを組む相手に、なんてこと言うんだ。

 クァトランの背後で、クローネとニアニャが顔を見合わせて、面白くなってきた、と言いたそうに、笑っていた。

 

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