魔法少女が終わらない! ~陰謀もギスギスもドロドロもありな全員死亡のバトルロイヤル展開から時間逆行魔法を駆使して目指せ大逆転ハッピーエンド!~ 作:天都ダム∈(・ω・)∋
正直、委員長やその他の誰かが、いつブチきれてもおかしくなかったけれど、それでもなんとか、強引に、話をここまで持ってこれた。
ミツネさんもファラフも、強い覚悟と決意を持って、決定的に自分の意志で実行したわけじゃない。選択を強制されて、守りたい方を選んだだけだ。
ツッコミどころが多々あって、冷静に捌かれたら狂人の妄言になる所を、本来知り得ぬ事実を列挙して混乱を誘う事で、無理やり理屈をこじつけて――証拠や根拠が足りなければ、
ニアニャを舞台に引きずり下ろし、
「――――――――」
ぐるぐると瞳孔の歯車を回転させながら、ニアニャはかくん、と首を傾げ。
まるで糸が切れた人形のように、立ち尽くして、ぴくりとも動かない。
「…………あの、ニアニャ?」
どうしよう、ここで止まられて、皆に冷静になられると、色々と粗探しされる可能性があるので、できればなにか言ってもらいたい…………。
「ぞる」
とてとてと、くーちゃんがニアニャの前にやってきた。
ニアニャと同じ周期で、瞳の歯車をぐるぐると回し。
「ぞるぞぞるぞるぞるぞぞるぞるぞるぞるぞぞろるぞるぞる」
言語なのか雑音なのかわからない、独特の音を放ちながら、ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる――――。
「――――『ああ、申し訳ないね』」
不意にニアニャの口から発せられたのは、今まで聞いたことのない、低く濁った、
いや、もしくーちゃんの放つ音を、言葉に変換する事ができたら、こんな声になる、か?
『はじめまして、魔法少女諸君』
ぎこちない動作で一礼したそれは、動揺する私達を尻目に、続けてこう言った。
『私は君たちが《悪魔》と呼ぶ存在であり、
☆
悪魔。
それは《
魔法少女は《
自身の素養と、悪魔の性質。この二つが合わさって、魔法少女の唯一無二の個性が生まれるのだ。
ただ、悪魔はあくまで(冗談ではなく)間接的に触れて影響を受けるものであって、実体が伴う存在ではない。彼らが住まう世界と、私達が住まう世界は、根本的にルールが違うから、悪魔は魔法少女の世界で、魔法少女は悪魔の世界で存在することはできない。
悪魔は例外なく、頭部に一本から三本までの角を持ち、基本的に本数が多いほど、強い力を有しているという。
……っていうのが、私が知っている、授業で習った悪魔という存在の知識だ。
本物を見たことがないし、そもそも『孔』の外に出てくるなんて聞いたことがないし。
……この期に及んでこんな奴がでてくるとは思わないじゃん、だって。
『見事な推理だった。おみそれしたよ。ただ、付け加えるなら、私の
機嫌が良いのか、どうなのか、聞いても居ないことを、ぺらぺらと語りだす悪魔(くーちゃん)は、実に楽しそうに見えた。
『
「おい」
最初に動いたのは、クローネだった。
「んなどーでもいいことは聞いてねーんだよ」
マペットを掲げ、腰を揺らすと、スカートの中からボトボトと、幾つもぬいぐるみが落ちてくる。
「テメー誰だよ、ニアニャをどうした」
殺意と敵意を隠そうとせず、全身から黒い《
『ふむ』
ぐるぐるぐるぐる。
『勘違いしているようだから説明するけれど、私こそが本体であり、
ゆったりと構えた口調は、とても敵対者と相対しているとは思えないほど、優雅でのんびりとしている。
「あぁ!?」
『そして、勘違いしてほしくはないのだ。私は
『
「――――っざけんなテメェ!」
わ、っと一斉に、ぬいぐるみたちがニアニャの足元に居る、猫のくーちゃんに群がった。
加減など微塵も介在しない、躊躇なき全力の攻撃。凶暴な攻撃力を秘めたぬいぐるみ達の一斉攻撃。
それらが体に触れる、その瞬間。
ぞる、とくーちゃんの口が開いて。
『君の挙動の意味がわからない。君は救われたはずなのに』
内側から、
「リーンちゃんっ!」
メアの悲鳴が聞こえたけれど、多分、その場に居た皆は平等に吹き飛ばされた。
地面を二度、三度と転がって、咳き込む間もなく顔を上げ、私はそれを
……真っ黒な《
頭部に当たる部分に、ニアニャの身体がぷかりと浮かんでいて、そこから、三本の大きな角が生えている。
「…………嘘、でしょ」
それはきょろきょろと何かを探すように首を動かし、やがて腕を緩慢に動かして、太い指先の先端で、器用に小さな者をつまみ上げた。
「――ルーズ姫!?」
遠目だけれど、それは確かにルーズ姫だった。片腕を掴まれて宙ぶらりんになった状態で、《魔弾》を作り出し、
ボン、ボンと大玉が炸裂するも、まるで霧の中をゆくように、全くの無傷で。
ぐにゃりと頭部の一部に孔が形成され、菓子でも摘むように、軽くヒョイと放り入れて。
グチャグチャバキバキゴリゴリグキ、と。
噛んで、砕いて、潰して、飲み込む音が、聞こえた。
「きぃ――――さまぁああああああああああああああああああ!」
ダン、と大地そのものを揺るがす力強さでもって、離れた場所にいたラミアが、剣を構えて跳躍した。
「通じた!?」
ずずず、と僅かに重力に逆らいながらも落下を始める腕の断面から、ずるりずるりと黒い光の束が伸びた。
「――――っ、止め、あっ」
それはあっという間に奔流となって、ラミアを飲み込んでしまった。本体側の断面からも《魔力(エーテル)光》が伸びて、彼女が与えた傷だったものは、あっという間にくっついた。
『本当はこんなこと、したくはなかったのだ。
呆然と立ち尽くすファラフを、
『私も君たちのことを、決して嫌いではなかったのに』
その惨劇を見て吼え叫び、突撃したミツネさんを、
上半身が吹き飛んで、バラバラになって飛んでいった。
『ああ、悲しい。とても悲しい――――私はただ、自由になれさえすればよかったのに』
先ほどから、
「――――――――」
どうしろってんだ、こんなモン。
何が出来るんだ、これ相手に。
「リーンちゃん、危な――――」
「…………あ」
気づいたときには、眼前に
今までに感じたことのない衝撃が身体を貫いて、自分の体が空中を舞う感覚。
どしゃ、と高所から落下しても、まだ生きているのは、頑丈な魔法少女の身体と、たまたま落ちた場所が、例の砂浜だったから、程度の理由しかない。
…………これは、無理だ。どうにもならない、どうにもできない。
最弱の魔法少女の、手に負える問題じゃない。
メアはどこに飛ばされたんだろう、姿が見えない。無事かどうかもわからない。
『おや、しまったな。どこへ行ったかな……そこかな』
ぎょろりぎょろりと首を動かし、私の居場所を探る
瞳らしい器官がないし、知覚は《
『ああ、いたいた。君は本当に目立たないね。君と話がしたかったんだ、語辺リーン』
けれど、滲む絶望を加速させるように、
『一つ確認したいのだけれど』
囁くように、告げた。
『君は、時間を遡っているのではないかな?』
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