魔法少女が終わらない! ~陰謀もギスギスもドロドロもありな全員死亡のバトルロイヤル展開から時間逆行魔法を駆使して目指せ大逆転ハッピーエンド!~   作:天都ダム∈(・ω・)∋

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※作中におけるキャラ視点のお知らせ

同人誌版においてはこちらの図のように(挿絵参照)


【挿絵表示】


「地の文が誰視点か」をなるべくわかりやすくアイコンシステムを採用しておりましたが、ハーメルン上のフォーマットでこれやると凄くややこしい為、誠に遺憾ながら『主観視点のキャラクター名』を毎回律儀に明記しようと思います。
全然知らねえキャラ名が定期的に出て来たり、レイアウト的には大変見苦しいのですがご了承ください。





7-2.《集団戦(マギアパーティ)》は大賑わい! 

 

 ☆ アイフィス魔法大学付属高等学校 二年雪組 草加部(くさかべ)セリーナ ☆

 

「何このぬいぐる――――――きゃああああ!」

「助けっ、助け……ひいっ!」

「《凍てつく冷気を吐く魔法(ユキメ・マジック)》……駄目―! 通じなーい!」

「《歪んだ空間を作る魔法(デュメイン・マジック)》でこいつらを場外に弾き出し……いやあああ! 沢山来るう!」

 

 アイフィス魔法大学付属高等学校、二年雪組の代表である魔法少女、草加部(くさかべ)セリーナは、同級生の美月(みつき)レイシーと共に、他チームの魔法少女が蹂躙される悲鳴に背を向けながら、逃走していた。

 

「こっちこないでよー!」

 

 あのぬいぐるみだ。黒くてツギハギだらけで、可愛いけどちょっと怖い奴。

 あれが斥候として様子をうかがっていた、もう一人のチームメイト、ヤン・ユンの顔面を殴り飛ばし、一撃でリタイアさせたのだ。

 

 パニックになって《惑いの霧を作る魔法(セリーナ・マジック)》を発動してしまった。気配と《魔力(エーテル)》を遮断する霧で、姿を隠すのに最適な固有魔法(オリジン)だが、果たして誤魔化しきれるだろうか。

 

「何あれ何あれ何あれ……!」

「わかんない、けど、誰かの固有魔法(オリジン)? ぬいぐるみに意識を移して……とか」

「ヤンちゃんの首、すごい方向に曲がってたよ!?」

「ネックレスがなかったら死んでたかもね……」

 

 接近戦では強力無比な《暴風を身に纏う魔法(ヤン・マジック)》を使う暇もなかった。見た目で油断してしまった、という部分もないではないけれど……。

 

「とにかく、一旦アズサレナたちと合流しましょう。セリーナ! ついてきて」

 

 こんな状況でも、レイシーは冷静で頼りになった。段々と恐怖心が薄れてきて、次はちゃんと対処しよう、という気持ちになってくる。

 

 後ろの方からは今もドン、ガン、という戦闘音が聞こえて来る。

 いや、怯えるな、頑張るのだ。私たちはクラスの代表としてここに来たのだから!

 

 指揮官兼リーダーでもある(くぬぎ)アズサレナは《高速で分析する魔法(アズサレナ・マジック)》という固有魔法(オリジン)を持っている。彼女のところまで情報を持ち帰れば、何らかの対策を立ててくれるはずだ。

 

「レイシーちゃん、あのぬいぐるみの弱点とかって……レイシーちゃん?」

 

 セリーナは、少し後ろに注意を払っていただけだった。

 だから、前を向けば、先行したレイシーがいるはずだった。

 なのに、いつの間にか、彼女は姿を消していた。

 

 レモンイエローの《魔力光(エーテルライト)》の粒子だけが、静かに舞っていて、それはまるで、この場で攻撃を受けて、退場してしまったかのような……。

 

「……レイシーちゃん!?」

 

 慌てて前に駆け出したセリーナは、ずばずば、と何かが斬れる音を聞いた。

 

「…………え?」

 

 腹部に燃えるような熱と、刺すような軽い痛み。

 それらが実在の苦痛となる前に、首飾りの安全機構が働いた。

 

 

 

 

 

 ☆ 国立クロムローム魔法学園 高等部一年月組 語辺リーン ☆

 

 

 結論から言うと私の出番は特になかった。

 いや、最初の方は少し頑張ったよ、色々調べたり考えたりしていたけど、自陣営にクローネ・クローネという魔法少女が居る意味合いを、私は少し履き違えていた。

 

 一度に操れるぬいぐるみの数を尋ねた所、クローネはしれっとこう答えた。

 

あるだけ(、、、、)全部(、、)

「…………射程距離は?」

「やってみないとわかんないけど、結構遠くまで行けるよん?」

 

 魔法少女にこんな事をいうのも本当に意味がないんだけど、どこにそんなに入ってたんだ、と言いたくなるぐらい、馬鹿げた量のぬいぐるみがスカートの中からぼとぼと落ちてきた、手のひらサイズのものから両手で持てるぐらいまで、大きさはまちまちだったが、クローネの固有魔法(オリジン)で操られた彼らは並の魔法少女では手も足も出ないぐらいの戦闘力を持っている。

 

 なにせ……こいつらはあの(、、)マグナリア・ガンメイジの首を一撃でへし折れるのだ。

 殺意を持って暴れ出せば、この場に居る全員を、皆殺しに出来るのだ。

 総勢三◯体のぬいぐるみが、ショッピングモールに放たれた。クローネ曰くそれぞれ視界を共有することも出来るらしく、偵察兼斥候として情報をかき集め、とりあえず遭遇した魔法少女に襲いかかったら、結構あっさり倒せてしまった。

 

 つまり、クローネ無双の始まりだ。エース級の魔法少女なら、戦って打ち勝てる娘もいるだろうけれど、試合開始直後ならある程度固まって動いている頃だろうから、後方の仲間を守るまで手は回らない。何体かやられてもこちらの陣営は特に大きなダメージじゃない。

 

 その上で……深追いはせず、基本的にはヒット&アウェイに終始する。

見つけたら襲う。倒せたら倒す、だけど逃げるなら、追いかけない。

 

 そして逃がした先で――――仕留める。

 

「む、二人倒したな。D-6地点」

 

 ラミアからの報告。彼女の固有魔法(オリジン)は《空間に斬撃を残す魔法(ラミア・マジック)》、《魔力(エーテル)》を込めた強力な斬撃を置いておける(、、、、、、)

 

 ぬいぐるみをけしかけて追い込み、逃げ道となる狭い廊下には、ラミアの斬撃が無数に張り巡らされているのだった。

 

 ラミアが固定した斬撃は《魔力光(エーテルライト)》がその場に残り続けるので、よく目を凝らせばわかるのだけど、なにせ斬撃……横から見れば広い範囲を塗り潰していても、正面から見たらただの線。何も知らなかったら注意するのは難しいはずだ。

 

 この仕掛けで序盤の得点を稼いだ私たちのリードを巻き返せるチームは……相手方からすれば残念なことに、居なかった。

 

「貴様ら…………貴様らぁぁぁ!」

 

 やり口があまりに正々堂々としていなかったからか、かなり逆鱗に触れたらしい。

 唯一、聖イーヴィスの三年、グロリア・グロースターという騎士のような風体の魔法少女が、勇猛果敢にクローネのぬいぐるみを正面から倒し、私たちの前に立ちはだかったが……。

 

 

 

 

「へへっ、ぬいぐるみを操ってる本体が、ぬいぐるみより弱いわけないじゃんかよ」

 

 クローネが真っ向からの殴り合いで撃破した。

 そんなわけで乱戦とか混戦とか、そういった要素に頭を悩ませることは一切なく、ゴリ押しの力押しで勝利を手にしてしまったのだった。

 いくらなんでも塩試合がすぎる。SNSで試合感想を検索するのはやめておこう……。

 

「リーンちゃーん」

「はい」

「ボク、やることなかったよぉー?」

「そうだね……私もなかったよ」

「決勝もこんな感じになっちゃうの?」

「…………いや、それはどうだろう」

 

 今回は屋内ショッピングモールという立地がクローネとラミアの連携に有利に働きすぎたのも大きいし、七チームで競う決勝は伝統的に市街地戦だ。高低差が少なく、狭い廊下もなく、面の広さで競い合う形になるだろうから、こんなにうまくは運ばないだろう。

 

「次の試合ではメアもルーズ姫もフル稼働してもらうから、そのつもりでね」

「かしこまりましたわ、全力を尽くします」

「ふん、貴様の力など必要ない。明日も私が斬ればよいだけのこと」

「まあ、リーン様のお話を聞いて居られなかったのかしら」

 

 バチバチ火花を飛ばし合う二人、うん、もうほっとこほっとこ。

 

「へいへーい、こんなもんかよ『大魔爛祭(マギアラフェスタ)』~!」

『楽勝だナー!』『かかってくるニャー!』

「クローネ、お疲れ様。おかげで勝ち進めたよ、歴史的偉業」

 

 今回のMVPというか九割九分九厘こいつのおかげというか、改めてクローネって本当にやばいんだなという実感を深めつつ、一応指示を出した身として私はそう言った。

 

「おー、リーンっち~、へっへっへ、見て見て~」

 

 ウキウキで両手を振り回していたクローネは、唐突に私の前で、ずぼ、と右手の猫マペットを外した。

 

「ん? どうし」

 

 たの、と言う前に、それが視界に入ってきた。

肘と手首の間ぐらいのところに、大きな痣が出来ていた。

 魔法少女にとっては大きな傷じゃない、一日たてば治る程度のもので、大した問題ではない……けれど。

 

「一発もらっちった」

 

 それが示しているのは、クローネの黒い《魔力光(エーテルライト)》から作られた、強固な《防壁》を貫き、ダメージを与えた者が居る、という事実だった。

 

「最後の魔法少女、あいつ、すげー強かったっぽいにゃ? リーンっち~、あたし嬉しいよ~」

「あ、嬉しい方なんだ」

「そりゃそうだよ~、あたしと喧嘩出来る奴が沢山いるんだ~!」

『嬉しいナー!』『やりがいあるニャー!』

 

 ……まあ、モチベーションが上がってくれるならいい事なんだろう。

 とりあえず『大魔爛祭(マギアラフェスタ)』初日、クラスとしては、《箒競争(ブルームレース)》と《集団戦(マギアパーティ)》を勝ち抜く、最高の立ち上がりを見せることが出来た。

 

 

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