魔法少女が終わらない! ~陰謀もギスギスもドロドロもありな全員死亡のバトルロイヤル展開から時間逆行魔法を駆使して目指せ大逆転ハッピーエンド!~ 作:天都ダム∈(・ω・)∋
同人誌版においてはこちらの図のように(挿絵参照)
【挿絵表示】
「地の文が誰視点か」をなるべくわかりやすくアイコンシステムを採用しておりましたが、ハーメルン上のフォーマットでこれやると凄くややこしい為、誠に遺憾ながら『主観視点のキャラクター名』を毎回律儀に明記しようと思います。
全然知らねえキャラ名が定期的に出て来たり、レイアウト的には大変見苦しいのですがご了承ください。
☆ アイフィス魔法大学付属高等学校 二年雪組
「何このぬいぐる――――――きゃああああ!」
「助けっ、助け……ひいっ!」
「《
「《
アイフィス魔法大学付属高等学校、二年雪組の代表である魔法少女、
「こっちこないでよー!」
あのぬいぐるみだ。黒くてツギハギだらけで、可愛いけどちょっと怖い奴。
あれが斥候として様子をうかがっていた、もう一人のチームメイト、ヤン・ユンの顔面を殴り飛ばし、一撃でリタイアさせたのだ。
パニックになって《
「何あれ何あれ何あれ……!」
「わかんない、けど、誰かの
「ヤンちゃんの首、すごい方向に曲がってたよ!?」
「ネックレスがなかったら死んでたかもね……」
接近戦では強力無比な《
「とにかく、一旦アズサレナたちと合流しましょう。セリーナ! ついてきて」
こんな状況でも、レイシーは冷静で頼りになった。段々と恐怖心が薄れてきて、次はちゃんと対処しよう、という気持ちになってくる。
後ろの方からは今もドン、ガン、という戦闘音が聞こえて来る。
いや、怯えるな、頑張るのだ。私たちはクラスの代表としてここに来たのだから!
指揮官兼リーダーでもある
「レイシーちゃん、あのぬいぐるみの弱点とかって……レイシーちゃん?」
セリーナは、少し後ろに注意を払っていただけだった。
だから、前を向けば、先行したレイシーがいるはずだった。
なのに、いつの間にか、彼女は姿を消していた。
レモンイエローの《
「……レイシーちゃん!?」
慌てて前に駆け出したセリーナは、ずばずば、と何かが斬れる音を聞いた。
「…………え?」
腹部に燃えるような熱と、刺すような軽い痛み。
それらが実在の苦痛となる前に、首飾りの安全機構が働いた。
☆ 国立クロムローム魔法学園 高等部一年月組 語辺リーン ☆
結論から言うと私の出番は特になかった。
いや、最初の方は少し頑張ったよ、色々調べたり考えたりしていたけど、自陣営にクローネ・クローネという魔法少女が居る意味合いを、私は少し履き違えていた。
一度に操れるぬいぐるみの数を尋ねた所、クローネはしれっとこう答えた。
「
「…………射程距離は?」
「やってみないとわかんないけど、結構遠くまで行けるよん?」
魔法少女にこんな事をいうのも本当に意味がないんだけど、どこにそんなに入ってたんだ、と言いたくなるぐらい、馬鹿げた量のぬいぐるみがスカートの中からぼとぼと落ちてきた、手のひらサイズのものから両手で持てるぐらいまで、大きさはまちまちだったが、クローネの
なにせ……こいつらは
殺意を持って暴れ出せば、この場に居る全員を、皆殺しに出来るのだ。
総勢三◯体のぬいぐるみが、ショッピングモールに放たれた。クローネ曰くそれぞれ視界を共有することも出来るらしく、偵察兼斥候として情報をかき集め、とりあえず遭遇した魔法少女に襲いかかったら、結構あっさり倒せてしまった。
つまり、クローネ無双の始まりだ。エース級の魔法少女なら、戦って打ち勝てる娘もいるだろうけれど、試合開始直後ならある程度固まって動いている頃だろうから、後方の仲間を守るまで手は回らない。何体かやられてもこちらの陣営は特に大きなダメージじゃない。
その上で……深追いはせず、基本的にはヒット&アウェイに終始する。
見つけたら襲う。倒せたら倒す、だけど逃げるなら、追いかけない。
そして逃がした先で――――仕留める。
「む、二人倒したな。D-6地点」
ラミアからの報告。彼女の
ぬいぐるみをけしかけて追い込み、逃げ道となる狭い廊下には、ラミアの斬撃が無数に張り巡らされているのだった。
ラミアが固定した斬撃は《
この仕掛けで序盤の得点を稼いだ私たちのリードを巻き返せるチームは……相手方からすれば残念なことに、居なかった。
「貴様ら…………貴様らぁぁぁ!」
やり口があまりに正々堂々としていなかったからか、かなり逆鱗に触れたらしい。
唯一、聖イーヴィスの三年、グロリア・グロースターという騎士のような風体の魔法少女が、勇猛果敢にクローネのぬいぐるみを正面から倒し、私たちの前に立ちはだかったが……。
「へへっ、ぬいぐるみを操ってる本体が、ぬいぐるみより弱いわけないじゃんかよ」
クローネが真っ向からの殴り合いで撃破した。
そんなわけで乱戦とか混戦とか、そういった要素に頭を悩ませることは一切なく、ゴリ押しの力押しで勝利を手にしてしまったのだった。
いくらなんでも塩試合がすぎる。SNSで試合感想を検索するのはやめておこう……。
「リーンちゃーん」
「はい」
「ボク、やることなかったよぉー?」
「そうだね……私もなかったよ」
「決勝もこんな感じになっちゃうの?」
「…………いや、それはどうだろう」
今回は屋内ショッピングモールという立地がクローネとラミアの連携に有利に働きすぎたのも大きいし、七チームで競う決勝は伝統的に市街地戦だ。高低差が少なく、狭い廊下もなく、面の広さで競い合う形になるだろうから、こんなにうまくは運ばないだろう。
「次の試合ではメアもルーズ姫もフル稼働してもらうから、そのつもりでね」
「かしこまりましたわ、全力を尽くします」
「ふん、貴様の力など必要ない。明日も私が斬ればよいだけのこと」
「まあ、リーン様のお話を聞いて居られなかったのかしら」
バチバチ火花を飛ばし合う二人、うん、もうほっとこほっとこ。
「へいへーい、こんなもんかよ『
『楽勝だナー!』『かかってくるニャー!』
「クローネ、お疲れ様。おかげで勝ち進めたよ、歴史的偉業」
今回のMVPというか九割九分九厘こいつのおかげというか、改めてクローネって本当にやばいんだなという実感を深めつつ、一応指示を出した身として私はそう言った。
「おー、リーンっち~、へっへっへ、見て見て~」
ウキウキで両手を振り回していたクローネは、唐突に私の前で、ずぼ、と右手の猫マペットを外した。
「ん? どうし」
たの、と言う前に、それが視界に入ってきた。
肘と手首の間ぐらいのところに、大きな痣が出来ていた。
魔法少女にとっては大きな傷じゃない、一日たてば治る程度のもので、大した問題ではない……けれど。
「一発もらっちった」
それが示しているのは、クローネの黒い《
「最後の魔法少女、あいつ、すげー強かったっぽいにゃ? リーンっち~、あたし嬉しいよ~」
「あ、嬉しい方なんだ」
「そりゃそうだよ~、あたしと喧嘩出来る奴が沢山いるんだ~!」
『嬉しいナー!』『やりがいあるニャー!』
……まあ、モチベーションが上がってくれるならいい事なんだろう。
とりあえず『