魔法少女が終わらない! ~陰謀もギスギスもドロドロもありな全員死亡のバトルロイヤル展開から時間逆行魔法を駆使して目指せ大逆転ハッピーエンド!~ 作:天都ダム∈(・ω・)∋
☆
『
例のシャクティーバとのやり取りがあったからか、レイは結局、私たちの部屋にはこなかった。場合によってはハルミ先生に直接状況を確認しに行ってるかも知れないな……まあ、お陰で《
しかし、私はある程度の楽観を覚えていた。
もちろん、レイのことを信用してないわけではないけれど……レイが勝ち抜ければ、それが一番良いとは思っているけれど、シャクティーバが目的を達成するのに必要なのは《
であれば、必然そこにはクァトラン・クアートラという壁が立ちはだかる。
レイとクァトランがぶつかったらどっちが勝つかわからない……というのが、本人に告げた嘘偽りない意見なのだけど、クァトランがシャクティーバに負けているところは、なんだかんだ言って想像がつかないのだ。
だから、割と自分が参加する競技の準備に集中できていたし……その前に行われる、《
クロムローム魔法学園は、控えめに言っても台風の目と言って良い存在になった。
中等部での成績が『
大金星であると同時に、一気に注目選手に躍り出た委員長たちのデータがこぞって掘り返されて、MTube(※マギチューブ、魔法少女関連動画配信サイトを指す)の去年の中等部配信の再生数がぐっと伸びて、マグナリア・ガンメイジの名前がマジッター(※書き込みは魔法少女専用、閲覧は自由なSNSを指す)でトレンド一位になるなどしたらしい。
一方、Dブロック、星組の参加したレースは別の意味で話題になっていた。注目度だけで言えば、現状今大会ナンバーワンかも知れない。
らしい、というのは委員長たちのレースを見届けた後、《
なにせ参加者二十一名中、十四名が
接触事故とコースアウトの連続は、真っ当なレースを望んでいた観客たちにとっては悲劇みたいなものだろう。直後のトレンドは委員長の大活躍を上書きして、#悲劇、#絶望、#地獄といった嫌めのトレンドがランクインしてきたとかなんとか。
「がんばれー、皆―」
選手たちがコースに集い始めた。
開始の時を、今か今かと待っている……。
☆ クロムローム魔法学園 高等部一年月組 ファラフ・ライラ ☆
ファラフ・ライラは自分自身の事を、キワモノ揃いのクロムローム魔法学園において、比較的まともな方だ、と思っている。
先輩からは可愛がられ、後輩からはそれなりに慕われていると思う。
予選であっさり敗退してしまった二年、三年の先輩方からは熱いエールと寄せ書きをもらった。頑張らなきゃな、と思う。
「緊張しとる?」
竹箒に腰掛けながら、す、とミツネが近寄ってきた。
心配そう……というよりは、少しからかいの混ざった面持ち、いつも通りの様相だ。
「大丈夫、思ったよりは落ち着いてる」
嘘じゃなかった。去年ほど心臓の鼓動はうるさくないし、周りの音もちゃんと聞こえている。
「そっか。委員長は?」
「もちろん、冷静よ」
マグナリアの場合は判断力や思考力を強くして、強制的に頭を冷やせるのだという、それは凄く羨ましい話だ。
「今のところ、想定通りに来てる。事前に立てた作戦に変更は無しよ、いいわね」
その言葉に、ファラフとミツネは頷いた。
現在地、一〇〇m上空、スタートエリアの待機時間。
総勢十八人、予選を勝ち抜いた魔法少女たちが、各々のチームで固まって最後のミーティングをしている頃合いだった。
この間も《
本戦レースは合計一〇〇kmの長距離戦だ。
途中、コース分岐やトラップもあって油断ならない。五〇km地点にチェックポイントがあって、そことゴール、二箇所の通過順にスコアが加算される仕組みだ。予選と同じく、各チーム三人目のスコアは加算されない。
これは他の仲間を捨て置いて単独で一位が取れても、場合によっては競技優勝を逃す可能性があることを意味している。もちろん、一位ゴールのスコアが一番高いのは当然だけれど、中間の一位二位、ゴールの二位三位を同じチームに取られたらリードがひっくり返ってしまうことも充分にあり得る。
「ファラフさぁーん!」
ふわり、と滑らかな動きで、ファラフに向かってくる魔法少女が居た。
「アイミちゃん!」
青い民族衣装のような装いの、星組の生徒、アイミ・ソルベットだ。
「予選通過できてよかったべよぉ、思い切りやれんなぁ」
「はい! 頑張りましょうね!」
「んだ、おら、
方言が強く、傍から聞くと言葉遣いは乱暴に感じるかも知れないけれど、実際にアイミの人懐こい笑顔を見れば、彼女の人の良さがわかろうというものだ。
アイミが跨る大きな葉っぱのような形の《
を注ぐことで反重力の作用をもたらす〝アレイトラ〟と呼ばれる浮遊樹の葉だ。
魔法少女たちの《
「ハッハッハッハ」
そのアイミの横にすぅ、と滑り込んできた、二人の魔法少女。
「ボク個人としては競い合うのに厳しい相手だから遠慮したかったのだがねぇ」
巨大な絵筆型の《
「うー、寝不足デス、不当労働デス、朝が早すぎデス……」
眠そうな顔で目をこすっている、露出度が危険な魔法少女、ロロ・ルルだ。
学園支給の無改造品という『
「っ」
そのロロが動いた瞬間、他の選手たちの間にピリっとした空気が走り、全員の視線が――露骨ではないにせよ――集まった気がした。
「やっぱ注目の的やねえ、ロロ。ウチなんか問題にならへんよ」
「勘弁してほしいデスよ、いい迷惑デス」
眠そうに目を擦りながら、そんな事を言うロロだが……しかし周囲の反応もむべなるかな。
何せ、
「やることやった結果やん。ほんで、
主語を告げずに、ミツネはロロに対して問うた。
「んー。気は進まないデスが、一蓮托生って意味じゃ変わらないデス。のみマスよ」
「ミツネさん、何のこと?」
心当たりのないファラフが首を傾げると、ミツネはああ、と小さく手を振った。
「大したことやないよ、ファラフはレースに集中し?」
「え、えーっと、うん」
ミツネが言葉を濁す、ということは、伝えないほうがいい、と判断したということなのだろう。ファラフはそれ以上何も言わず、もうすぐ始まるレースに備えた。
お金、時間、資源……様々なコストを支払って整えられた高価な《
『位置に着いてください』
会場に響くアナウンス。空撮用のドローンの数が増える。めいめい、選手たちが指定の位置へと移動し始める。
順番は予選のタイムラップ順だ。ファラフは前から七番目。
自分より速かった選手が、前に何人も居る。
ファラフは自分が劣っている、とは思わなかった。
追いつけるはずだ、と思う。
追い抜けるはずだ、と感じる。
『只今より、第二十四回『
全員に見えるよう、少し離れた位置に、光で数字が描かれる。
五、四、三、二――――――。
「いこう、ジーン」
『ホッホッホッ』
―――― 一。
数字がゼロになった瞬間、後方の魔法少女たちが一斉に《魔弾》をぶっ放した。
妨害――つまり他の選手を攻撃してよいルールを採用した《
何せ基本的に前進する競技だ。上位に居る、ということは、無防備な背中を敵にさらしている、という意味だ。
赤、黄、青、緑――色とりどりの《
後方に《防壁》を張れば、推進力が損なわれる。
回避の為に大きく軌道を変えれば、タイムロスとなる。
もちろん、直撃すれば落下や《
一番最初にして、最大の攻防戦――ここの展開が、序盤の勝敗を決すると言っても過言ではない。