魔法少女が終わらない! ~陰謀もギスギスもドロドロもありな全員死亡のバトルロイヤル展開から時間逆行魔法を駆使して目指せ大逆転ハッピーエンド!~   作:天都ダム∈(・ω・)∋

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10-1.《集団戦(マギアパーティ)》決勝戦。

☆ 場所:ウエストエリア ☆

☆ クロムローム魔法学園 高等部一年月組 語辺リーン ☆

 

 

 表彰台でもじもじとしながらも、金のメダルを首にかけられるファラフやアイミを見届けて、私たち《集団戦(マギアパーティ)》チームは決勝の会場へと移動した。

 

 例年の傾向から、それなりに広い市街地……だとは思っていたんだけど、これはあれだ、いわゆる屋外型アウトレットモール……オープンモールっていう奴だ。

 

構造的に繋がっている建物が、道の両端にズラーッと並んでいて、場所によっては二階もあって、そんな感じのエリアが、さらにいくつかあって……という感じだ。

 

 身を隠せる建物は多いけど、階層の高い建築物はそう多くない。せいぜい三~六mくらい? 高所を取って狙撃する、みたいな有利を取る戦いは難しそうだ。

 

「私たちが今居るのがウエストエリア、上から見るとH字型になってて、中央に広めの室内マーケットがある。東に向かうとイーストエリア、これは呂の字になってるね。両方のエリアの南側から駐車場に入れる、見通しが悪いから狙撃に気をつけて……ってみなさん聞いてます?」

 

 相変わらず険悪な(フリをする)ルーズ姫とラミア、うとうとしているメア、はしゃいでるクローネという面々なので、私が本当に頑張らないといけないんだけど……せめてマップ情報ぐらいは頭に叩き込んでおいて欲しい。

 

 

 

【マップ】

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わーってるわーってる、つまり…………虱潰しにぶっ潰すにゃー!?」

「各エリアが前のマップより広いから前の戦術が使いづらいよねって話をしてるの!」

 

 クローネのぬいぐるみによる物量戦は、建物が多い事もあって前ほど有効ではないはずだ。

 

「ただ、七チーム三十五人で戦うわけだから、体感的にはずっと狭いはず。少し歩けばすぐ敵と遭遇することになる」

「じゃあ……固まって動いたほうがいいのかなぁ」

 

 うとうとメアがぽやぽやフェイスで手を上げてくれた。

 うん、話を円滑に進めてくれるのはありがたい。

 

「下手に偵察を出したら、割とすぐ囲まれる危険性があるかも。ただ……」

「ただ?」

「相手が使ってくる固有魔法(オリジン)のことを考えると、予測っていう予測は立てづらいかな。《集団戦(マギアパーティ)》の決勝にでてくるくらいだから、偵察に向いた魔法少女が居るはずだし」

 

 私たちはクラス内でなんとか頭数揃えて寄せ集めた感じだが、他の学園は多数の候補の中から、競技に向いたメンバーを選抜して来ているはずだ。予選を勝ち抜く実力がある事を鑑みれば、その手の能力はあるものだ、と考えるべきだろう。

 

「なら、序盤はどう動けばいい?」

 

 ラミアの問に、私は少し考えて答えた。

 

「前回は待ちの戦術を使ったけど、今回はある程度速攻を仕掛けたい、と思ってる」

「その理由は?」

星組が長期戦戦術を取ってくるはずだから(、、、、、、、、、、、、、、、、、、、)

 

 私の断言に、納得したのはラミアくらいで、ルーズ姫とメアは顔を見合わせ首を傾げ、クローネは勢いよく手を上げた。

 

「はい! どーいうこと?」『教えるニャー!』『気になるナー!』

「元気良くありがとうクローネ君……簡単に言うと、星組は全員時間経過で厄介になる(、、、、、、、、、、)面子で固めてきてる」

 

 予選の映像を見る限り、参加しているのはフロム、イチゴさん、ナハトお嬢、それにダヴィニアにグレープ。私の知る限り、彼女らの固有魔法は、揃いも揃って放置すればするほど手がつけられなくなっていく。

 

 だが、予選はフロムが大暴れした事もあって、他のチームは多分、それを知らない……向こうの策士はナハトお嬢だから、多分そこまで計算して『見せて』いるはずだ。

 

 一方、こっちはこっちでクローネのぬいぐるみ戦術を予選で他のチームに見せているので、自然、周囲を警戒しながら序盤を進めることになるだろう……物陰から出てきたぬいぐるみに不意打ちで首を折られて即リタイア、は一番避けたいパターンのはずだし。

 

「あと、勝ち抜けチームは意外と『待ち』の戦術を使うところが多いんだ、例えばBブロック勝者のイーヴィス三年のチームは……」

 

 相手がどう戦術を切り替えてくるかはわからないが、警戒すべきものはある程度わかる。

 

 例えばイーヴィスの《物体を透過する魔法(ヘクサ・マジック)》のヘクサ・マギサと、《物体を透過して見る魔法(ヘキサ・マジック)》のヘキサ・マギサの双子狙撃手コンビ。

 

 ルード・ゴード魔導院一年チーム、黄金郷(おうごんきょう)ユイナの《世界を黄金郷に変える魔法(ユイナ・マジック)》は強力な代わりに発動に大きな準備が必要だし、

 アイフィス付属二年の聖域(せいいき)ソウが使う《仲間と力を合わせる魔法(ソウ・マジック)》による、メンバー全員の《魔力(エーテル)》を結集した必殺技、『恒星落とし(ソルドロップ)』は一撃で勝負を決める力はあれど、発動タイミングはどうしても勝負終盤になる。

 

「リーン様、他の選手の固有魔法(オリジン)を全て把握しておられるのですか……?」

 

 ルーズ姫が恐る恐る、という感じで尋ねてきた。なんでそんな驚いてるんだろう……。

 

「いや、二、三年生は前回前々回の動画があるし、マギスタグラム(※魔法少女系SNSの一つ、偏見だけど意識高い系)なんかだと自分で固有魔法(オリジン)を公開してる魔法少女とかも居るし……調べて分かる範囲ぐらいだよ」

 

 そして調べても分からなかった魔法少女もいる。究極的には行き当たりばったりなのだ。

 

「とにかく、点数を稼げないと勝ち抜けないからね……というわけで、クローネ、ルーズ姫」

「あい?」「何でしょう」

 

 二人が同時に声を上げたので、私は笑顔で作戦を告げた。

 それとほぼ同時に。

 

『第二十四回、『大魔爛祭(マギアラフェスタ)』《集団戦(マギアパーティ)》、決勝戦を開始します』

 

 勝負の火蓋が、切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

☆ ウエストエリア ☆

☆ ヴァミーリ高等学校 高等部三年 南屋(みなみや)トトル ☆

 

 ヴァミーリ高等学校・魔法少女科は人数こそ多いが、選手層の薄さ、という意味では多分クロムロームのことを笑えないよなー、と三年代表、南屋トトルは思っている。

 

 まず以て――自分もそうだけれど――魔法少女と地球人のハーフ、〝マジカリアン〟が七割を占めている。学校があるのも千葉だし、トトルは普通に実家から自転車で通学している。なんなら、小学校と中学校は公立だった。

 

 つまりヴァミ高は《地球(アースフィア)》における、普通の家庭(、、、、、)に生まれた魔法少女が通う学校なのだ。

 

 中には祖母が魔法少女だけどスフィアを持って生まれなかったマジカリアン・クォーターの娘なんてのもいるぐらいで、だからよくも悪くもフツーの学校なのだ。

 

 違いと言えば……学部は違えど男子がいるから、魔法少女は超モテる事だろうか。

 

 《魔法の世界(マギスフィア)》では男性はほぼ絶滅《、、》しているから、魔法少女同士で結婚するのが主流らしいが、トトルは仲睦まじい父と母の姿を見て育ってきたので、やっぱり恋愛対象は男子だな、と思っている。

 《集団戦(マギアパーティ)》で良い結果を出せば、ニブいあの馬鹿も少しはトトルのことを見直して、デートの一つでも誘ってくれるかも…………違う違う、話が逸れた。

 

 初期位置はウエストエリア、H字でいうと右上の端っこ、ハンドメイドのアクセサリを扱う店舗の中だ。試合開始の合図が鳴って、トトルは一旦様子見の指示を出した。

 

 予選の映像や過去のデータで予習をしたが、迂闊に見通しの良い所へ出るのはまずい。

 

 とにかく、《集団戦》決勝に残れたのは実は結構凄いことなのだ、この世代、このクラスには素晴らしいメンバーが揃った。

 

 《停滞空間を作り出す魔法(ナズミ・マジック)》によって常にトトルを支えてくれる相方の(くれ)ナズミ。

 《一瞬で距離を詰める魔法(サダメ・マジック)》で数々の奇襲を成功させてきた稲妻(いなずま)サダメ。

 《手元に引き寄せる魔法(セイナ・マジック)》で的確な支援をしてくれる高木(たかぎ)セイナ。

 《衝撃を蓄積させる魔法(コロン・マジック)》による一発逆転を狙えるコロン・カロン。

 

 そして《無数の剣を操る魔法(トトル・マジック)》による一対多を得意とする自分……いや、このメンツと比べると地味だなというか、なんでリーダーやってるんだろうと思わなくもないが、ここまで結果を出せているのだ、せっかくなら優勝したい。

 

「トトル!」

 

 決意を新たに、プランを考えていたら、ナズミが声を上げた。

 

「うん、今いく! 絶対に優勝しようね、皆!」

「そうじゃなくて、上! 上!」

「上?」

 

 上っていってもここは二階だし、この建物より高い場所はないはずだし。

 そう思って向けた、トトルの視界の先に現れたのは……。

 

 頭の位置が屋根よりも高い、巨大なぬいぐるみが、周りの建物を破壊しながらこっちに向かって来ているところだった。

 

 

 

 

 

 

☆ ウエストエリア マーケット ☆

☆ アイフィス大付属 高等部二年 聖域ソウ ☆

 

 Cブロックの予選で暴れまわっていたぬいぐるみが、破壊の限りを尽くしている。

 初期位置のマーケットから外に出た、アイフィス大付属二年チームのリーダー、聖域ソウが目にしたのは、そんな光景だった。

 

「…………何あれ」

 

 いや、何かはわかる。ぬいぐるみである。それはわかるのだが……。

 予選の映像を見る限り、大罪指定(ヴァニタス・シン)――黒いスフィアを持つ魔法少女の固有魔法(オリジン)がぬいぐるみを操る類のものであることは間違いないはずだ。

 

 固有魔法(オリジン)の性能そのものは大したことないが、突出した出力によって凶悪な兵器となっている事までは推測できる。

 

 じゃあ、それが、クソデカサイズになったら? ちょっと想像したくない。とりあえず大きい分、操るのも難しいのでは? という希望的観測は、腕の一振りで建物を屋根ごと破壊している姿を見る限り、捨てたほうが良さそうだ。

 

「多分、物を大きくする固有魔法(オリジン)の魔法少女が居るんだろうね」

 参謀役の魔法少女、御手洗(みたらい)ライカが告げた。

 

「確かにそれが一番ありそうなラインね、連携技(コンボ)ってわけだ」

「どうする? 離れる? 戦う?」

 

 ソウは少し考える。《仲間と力を合わせる魔法(ソウ・マジック)》は強力無比な在る種の万能技だが、メンバー全員に相応の消費を強いる為、長期戦になった時のことを考えると序盤に乱用は避けたい。

 

 ……のだが、あれは、放っておくと厄介なタイプに見える。

 

 倒そうと思えば恐らく倒せる。しかしあのぬいぐるみ自体をなんとかできても得点にならないし、消耗した自分たちが他のチームに狩られてしまう展開が一番おいしくない。

 

 かといって《集団戦(マギアパーティ)》がポイント制である以上、ウエストエリアに配置された他のチームがあれに蹂躙されたら、それこそ大きくリードをとられてしまう……悩ましいところだ。

 

「ヨトギ、あれ、奪える(、、、)?」

 

 チームメイトの北沢ヨトギに問いかける。

 紫の髪をサイドテールにくくった彼女は、うーん、と少し悩んでから。

 

「あれが物理的なぬいぐるみだっていうなら、出来ると思う」

「わかった。なら……戦いましょう」

 

 リーダーがそう決断すれば、他のメンバーは異論を挟まない。

 五人が一斉に躍り出た瞬間、ゴキ、と嫌な音がした。

 

「?」

 

 このチームの近距離戦の要である、セピアル・ポワリアルの首がへし折れていた。

 

 

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