魔法少女が終わらない! ~陰謀もギスギスもドロドロもありな全員死亡のバトルロイヤル展開から時間逆行魔法を駆使して目指せ大逆転ハッピーエンド!~ 作:天都ダム∈(・ω・)∋
☆ 場所:ウエストエリア ☆
☆ クロムローム魔法学園 高等部一年月組 語辺リーン ☆
表彰台でもじもじとしながらも、金のメダルを首にかけられるファラフやアイミを見届けて、私たち《
例年の傾向から、それなりに広い市街地……だとは思っていたんだけど、これはあれだ、いわゆる屋外型アウトレットモール……オープンモールっていう奴だ。
構造的に繋がっている建物が、道の両端にズラーッと並んでいて、場所によっては二階もあって、そんな感じのエリアが、さらにいくつかあって……という感じだ。
身を隠せる建物は多いけど、階層の高い建築物はそう多くない。せいぜい三~六mくらい? 高所を取って狙撃する、みたいな有利を取る戦いは難しそうだ。
「私たちが今居るのがウエストエリア、上から見るとH字型になってて、中央に広めの室内マーケットがある。東に向かうとイーストエリア、これは呂の字になってるね。両方のエリアの南側から駐車場に入れる、見通しが悪いから狙撃に気をつけて……ってみなさん聞いてます?」
相変わらず険悪な(フリをする)ルーズ姫とラミア、うとうとしているメア、はしゃいでるクローネという面々なので、私が本当に頑張らないといけないんだけど……せめてマップ情報ぐらいは頭に叩き込んでおいて欲しい。
【マップ】
「わーってるわーってる、つまり…………虱潰しにぶっ潰すにゃー!?」
「各エリアが前のマップより広いから前の戦術が使いづらいよねって話をしてるの!」
クローネのぬいぐるみによる物量戦は、建物が多い事もあって前ほど有効ではないはずだ。
「ただ、七チーム三十五人で戦うわけだから、体感的にはずっと狭いはず。少し歩けばすぐ敵と遭遇することになる」
「じゃあ……固まって動いたほうがいいのかなぁ」
うとうとメアがぽやぽやフェイスで手を上げてくれた。
うん、話を円滑に進めてくれるのはありがたい。
「下手に偵察を出したら、割とすぐ囲まれる危険性があるかも。ただ……」
「ただ?」
「相手が使ってくる
私たちはクラス内でなんとか頭数揃えて寄せ集めた感じだが、他の学園は多数の候補の中から、競技に向いたメンバーを選抜して来ているはずだ。予選を勝ち抜く実力がある事を鑑みれば、その手の能力はあるものだ、と考えるべきだろう。
「なら、序盤はどう動けばいい?」
ラミアの問に、私は少し考えて答えた。
「前回は待ちの戦術を使ったけど、今回はある程度速攻を仕掛けたい、と思ってる」
「その理由は?」
「
私の断言に、納得したのはラミアくらいで、ルーズ姫とメアは顔を見合わせ首を傾げ、クローネは勢いよく手を上げた。
「はい! どーいうこと?」『教えるニャー!』『気になるナー!』
「元気良くありがとうクローネ君……簡単に言うと、星組は全員
予選の映像を見る限り、参加しているのはフロム、イチゴさん、ナハトお嬢、それにダヴィニアにグレープ。私の知る限り、彼女らの固有魔法は、揃いも揃って放置すればするほど手がつけられなくなっていく。
だが、予選はフロムが大暴れした事もあって、他のチームは多分、それを知らない……向こうの策士はナハトお嬢だから、多分そこまで計算して『見せて』いるはずだ。
一方、こっちはこっちでクローネのぬいぐるみ戦術を予選で他のチームに見せているので、自然、周囲を警戒しながら序盤を進めることになるだろう……物陰から出てきたぬいぐるみに不意打ちで首を折られて即リタイア、は一番避けたいパターンのはずだし。
「あと、勝ち抜けチームは意外と『待ち』の戦術を使うところが多いんだ、例えばBブロック勝者のイーヴィス三年のチームは……」
相手がどう戦術を切り替えてくるかはわからないが、警戒すべきものはある程度わかる。
例えばイーヴィスの《
ルード・ゴード魔導院一年チーム、
アイフィス付属二年の
「リーン様、他の選手の
ルーズ姫が恐る恐る、という感じで尋ねてきた。なんでそんな驚いてるんだろう……。
「いや、二、三年生は前回前々回の動画があるし、マギスタグラム(※魔法少女系SNSの一つ、偏見だけど意識高い系)なんかだと自分で
そして調べても分からなかった魔法少女もいる。究極的には行き当たりばったりなのだ。
「とにかく、点数を稼げないと勝ち抜けないからね……というわけで、クローネ、ルーズ姫」
「あい?」「何でしょう」
二人が同時に声を上げたので、私は笑顔で作戦を告げた。
それとほぼ同時に。
『第二十四回、『
勝負の火蓋が、切って落とされた。
☆ ウエストエリア ☆
☆ ヴァミーリ高等学校 高等部三年
ヴァミーリ高等学校・魔法少女科は人数こそ多いが、選手層の薄さ、という意味では多分クロムロームのことを笑えないよなー、と三年代表、南屋トトルは思っている。
まず以て――自分もそうだけれど――魔法少女と地球人のハーフ、〝マジカリアン〟が七割を占めている。学校があるのも千葉だし、トトルは普通に実家から自転車で通学している。なんなら、小学校と中学校は公立だった。
つまりヴァミ高は《
中には祖母が魔法少女だけどスフィアを持って生まれなかったマジカリアン・クォーターの娘なんてのもいるぐらいで、だからよくも悪くもフツーの学校なのだ。
違いと言えば……学部は違えど男子がいるから、魔法少女は超モテる事だろうか。
《
《
初期位置はウエストエリア、H字でいうと右上の端っこ、ハンドメイドのアクセサリを扱う店舗の中だ。試合開始の合図が鳴って、トトルは一旦様子見の指示を出した。
予選の映像や過去のデータで予習をしたが、迂闊に見通しの良い所へ出るのはまずい。
とにかく、《集団戦》決勝に残れたのは実は結構凄いことなのだ、この世代、このクラスには素晴らしいメンバーが揃った。
《
《
《
《
そして《
「トトル!」
決意を新たに、プランを考えていたら、ナズミが声を上げた。
「うん、今いく! 絶対に優勝しようね、皆!」
「そうじゃなくて、上! 上!」
「上?」
上っていってもここは二階だし、この建物より高い場所はないはずだし。
そう思って向けた、トトルの視界の先に現れたのは……。
頭の位置が屋根よりも高い、巨大なぬいぐるみが、周りの建物を破壊しながらこっちに向かって来ているところだった。
☆ ウエストエリア マーケット ☆
☆ アイフィス大付属 高等部二年 聖域ソウ ☆
Cブロックの予選で暴れまわっていたぬいぐるみが、破壊の限りを尽くしている。
初期位置のマーケットから外に出た、アイフィス大付属二年チームのリーダー、聖域ソウが目にしたのは、そんな光景だった。
「…………何あれ」
いや、何かはわかる。ぬいぐるみである。それはわかるのだが……。
予選の映像を見る限り、
じゃあ、それが、クソデカサイズになったら? ちょっと想像したくない。とりあえず大きい分、操るのも難しいのでは? という希望的観測は、腕の一振りで建物を屋根ごと破壊している姿を見る限り、捨てたほうが良さそうだ。
「多分、物を大きくする
参謀役の魔法少女、
「確かにそれが一番ありそうなラインね、
「どうする? 離れる? 戦う?」
ソウは少し考える。《
……のだが、あれは、放っておくと厄介なタイプに見える。
倒そうと思えば恐らく倒せる。しかしあのぬいぐるみ自体をなんとかできても得点にならないし、消耗した自分たちが他のチームに狩られてしまう展開が一番おいしくない。
かといって《
「ヨトギ、あれ、
チームメイトの北沢ヨトギに問いかける。
紫の髪をサイドテールにくくった彼女は、うーん、と少し悩んでから。
「あれが物理的なぬいぐるみだっていうなら、出来ると思う」
「わかった。なら……戦いましょう」
リーダーがそう決断すれば、他のメンバーは異論を挟まない。
五人が一斉に躍り出た瞬間、ゴキ、と嫌な音がした。
「?」
このチームの近距離戦の要である、セピアル・ポワリアルの首がへし折れていた。