魔法少女が終わらない! ~陰謀もギスギスもドロドロもありな全員死亡のバトルロイヤル展開から時間逆行魔法を駆使して目指せ大逆転ハッピーエンド!~   作:天都ダム∈(・ω・)∋

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前話投稿時、フロムのプロフを貼り忘れていたので更新しました。

集団戦マップ
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11-3.月組(ルナ・クラス)vs星組(ステラ・クラス)!

☆ イーストエリア 北部店舗 ☆

☆ クロムローム魔法学園 高等部一年星組 フロム・ヒドゥン ☆

 

 衝撃でクレーターが生じ、僅かに残った周囲の建物のガラスが衝撃で割れた。

「…………しかし、頑丈だね。これだけやってまだ退場しない、さすが我が好敵手サ」

 手応えはあった――のだが、ネックレスの安全装置(フェイルセイフ)が働いていないということは、まだ意識があるということだ。

 フロム・ヒドゥンは油断しない。

 油断できない。油断ならない――怪人とはそういうものだ。

 

「仕方ない、今度は地面で頭を削ってみるとするサ」

 

 残酷な結論を出して、再度、クローネの頭を握る指に力を込める。ミシ、と骨が軋む音が響き――――――ゴキッ、と骨が砕ける音がした。

 

「お?」

 

 フロム・ヒドゥンは己の右腕がへし折れているのを見た。

 猫のマペットが絡みついて、すがりついていた。

 その小さな手が、万力の様にミシミシと骨と肉を締め付けて、砕いたのだと理解し――――。

 

「――――そうか、マペットもぬいぐるみか」

 

 《ぬいぐるみを操る魔法(クローネ・マジック)》、なんてことない固有魔法(オリジン)だが、黒いスフィアから供給される高密度の《魔力(エーテル)》によって無類の力を発揮する――コスチュームに付随するマペットならば、その力はさらに強い。

 

 腕が折れても、フロムは指を離さなかった。込み上げてくる笑みを隠さず、痛みも意に介さず、湧いてくる衝動のままに。

 

「いいサいいサ! 素晴らしいサ我が宿敵! ボク様の腕がちぎれるのとキミの頭が砕けるの、どちらが頑丈か競い合――――――」

 

 競い合おうじゃないか、と最後まで言い切ることは、出来なかった。

 ドンッ、と強い衝撃が、背後からフロムを襲った。

 

「…………うん?」

 

 腹部を何かが貫いている、フロムからすれば、とても見覚えがあるものだった。

 愛しき魔物共の腕、これは攻撃力を高めて育てた個体のものだ。

 

「………………おやぁ?」

 

 ぐるり、と首を回転させて、フロムは背後の愛しき魔物を見た。目も鼻もないので表情、というやつも存在しないのだが、それでも普段とはなんとなく雰囲気が違うように見えた。

 

 その背中から、ひょこ、と小さなぬいぐるみが姿を見せた。手のひらサイズの猫だかうさぎだか、よくわからないが、まあ愛らしいこと。

 

 そいつは『よっ』、と挨拶するように片手を上げて、ぽんぽん、と魔物の頭を軽く叩いた。

 

 ずぶ、と腹部から腕が引き抜かれ、鮮血が溢れ出す。それでも、それでもフロム・ヒドゥンは手を離さない。絶対にクローネを離さない。腹部に穴が開いたまま、脳がぐるぐると回転し、現状を整理しようとする。

 

 なぜ自分の魔物が反旗を翻したのか? ありえない、彼らはどうあってもフロムの眷属、従いはすれど逆らいはしない。可能性があるとしたら、そう、何者かに操られている。

 

 だが、敵にそんな固有魔法(オリジン)の使い手がいたか? と、そこまで思考を巡らせたところで。

 

 

 

 

 

「――――やぁーっと、捕まえた、っと」

 

 フロムは指を開いて(、、、、、)、クローネを解放した。

 

「…………何だと?」

 

 違う、何があっても、たとえ腕が引きちぎれてたとしても、離さないつもりだった。

 意志に反している。この挙動は、フロム・ヒドゥンの望みではない。

 

「滅茶苦茶やりやがってー! 頭ぐわんぐわんするし全身いてーじゃねーかよー! コスチュームもボロボロだー! 仕立て直しだこんちくしょ―!」

 

 ふらふらと体を揺らしながらも、起き上がり、憤り、しかし。

 

「さすがだぜ、フロムっち。おかげで見せたくもねー奥の手を使う羽目になっちまった」

 

 にや、と口元を歪めて、笑った。

 

「――――――ああ」

 

 微動だにしない己の体。口は聞けるがそれ以外の自由はない。

 自分自身の身体を動かす権利を奪われている――そしてそれは、愛しき魔物も同様に。

 

「ク、クハハハッ! クーッハッハッハッハッハ! クハハハハハハハハハ!」

 

 喉の奥から笑みが溢れて止まらない。言葉を発する自由まで奪われなかったことを感謝する外ない。

 

「履き違えていたな! ボク様は! ぬいぐるみだけではないのか! クローネ! キミが操れるものは!」

 

 自身の右足だ。余程集中しないと見えないような、髪の毛のように細い糸が、クローネの手から伸びて絡みついている。壁で体を削られていた間、クローネは反撃出来なかったわけではなく――ちゃんと戦っていた(、、、、、、、、、)のだ。

 

「まあにゃー、フロムっちは色が濃い方だから、結構大変だったぜ」

 

 フロム・ヒドゥンのスフィアはディープブルー。

 極めて黒に近く、僅かに青みがかった色。それ故に強く、それ故に怪人とも言えるのだが。

 

「よかったのかい? 隠していたんだろう今まで。キミの真の力は全世界中継で広まってしまったのサ」

「そーなんだよにゃー、まいったにゃー。よくねーよにゃー」

 

 本当に困っているんだろうなと思わせるような、がっくりとした肩の落とし方。

 

「けど、今回はクラスのみんなで勝つって、お嬢が張り切ってるからさー」

 

 クローネが、つい、と指を動かした。

 同じく『糸』を接続された魔物が大きな口をあけて、動けないフロムの頭部に降ってくる。

 

「あたしががんばんねーわけにいかないじゃん?」

「――――――ハハハハハ! なるほどっ! それはそうだ! やっぱりキミもボク様と同じだ! よく似てる! 大丈夫だクローネ! 固有魔法(オリジン)を勘違いして見当外れな考察を世界中に巻き散らかしたボク様よりマシだろう!」

「あーにゃるほど、それもそっか!」

 

「ハハハハハハ――――楽しかった! グッドゲーム!」

 

 ぐしゃり、と頭を噛み砕かれて、フロム・ヒドゥンの敗北が確定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆ クロムローム魔法学園 高等部一年月組 クローネ・クローネ 星

 

 《あらゆるものを操る魔法(クローネ・マジック)》、それがクローネの固有魔法(オリジン)

 

 糸が刺さり、黒いエーテルの侵食を防げなければ、人であろうと物であろうと、思いのままに操ることが出来る。

 

 普段は《ぬいぐるみを操る魔法(クローネ・マジック)》として偽っている……理由はもちろん、その規格外な性能を伏せるための隠れ蓑として……クァトランもニアニャも知らない秘中の秘だ。

 

やってしまった、と今でもじわじわ後悔がにじみ出てくる。

 

「…………ま、しかたねーにゃ」

 

 だから、フロムの言う通り、全世界中継のこの場面で使うつもりはまったくなかったのだ。

でも、ここでクローネが手を抜いて負けたり、誰かが傷ついたりしたら。

 

(お嬢、ああ見えて繊細だかんなー、泣いちゃうかもにゃー)

 

 いや、泣いてるクァトランはちょっと見たいか。

 何にせよ、最大の強敵を倒すことはできた――――が、同時に。

 

「ちょっと休むよん……後は頼んだぜー、みんなー」

 

 まだかろうじて形の残っていた店舗に体を滑り込ませ、壁に体重を預けて力を抜く。

 自分以外の誰かに、何かを期待する、というのも――そういえば初めてのことかもしれないな、と、他人事のように思いながら、クローネは最低限の《魔力(エーテル)》回復の為に、目を閉じた。

 

 

 

 

☆ ウエストエリア マーケット内部 ☆

☆ クロムローム魔法学園 高等部一年月組 夢見メア ☆

 

「やっぱりリーンちゃんはすごいなあ」

 

 と幼馴染ながらに思う。

 少なくとも、メアはこれから皆でイーストエリアに殴り込んで、ドンパチやるんだろうなと思っていたのだけど、

 

『多分ナハトお嬢はこっち(ウエストエリア)に予備兵力――多分グレープとダヴィニアを送り込んでるはずだから、メアに足止めして欲しい』

 

 なんて迷いなく断言してみせた。もし予想が外れてたらあっちは四対五になっちゃうのに……そういう決断を、一切ためらわない娘なのだ。

 

「に、にぇっ! ダ、ダヴィ!」

「Drrrrrrrm!」

 

 ぐぼ、と音を立てて、ダヴィニアの身体が膨れ上がる。内側からドロドロと彼女を構成する〝汚泥〟が溢れ出し、見た目の体積を超える凄まじい質量がマーケットの中を満たしていく。

 

 一応、《魔弾》を撃ってみたけど焼け石に水だった。盛大に泥が飛び散りはするけれど、飛び散った泥が更にぼこぼこ蠢いて膨れ上がるからどちらかと言うと被害が拡大している、津波に向かって大岩を投げ込んだようなものだ。

 

「に、にぇっにぇっ、にぇっ! ひ、一人でぼくたちに向かってくるのは、さ、さすがのメアでも、む、無謀なんじゃないかなぁっ!」

「それは本当に、そうかもーっ!」

 

 仕方ないから走って逃げる。夢見メアはどう贔屓目に見ても足が速い方の魔法少女ではないが、それだってダヴィニアほどではない。狭い室内を飛び出して、外に向かう。

 

 大して間をおかず、内部の物を全部押し出しながら、ダヴィニアが追いかけてくる。

 

 既に頭の位置は三~四mくらいの位置にあるんじゃないだろうか、普段からあれだけの質量を閉じ込めているのだから、それは動きも緩慢になっちゃうよ、と改めて思う。

 

「えいっ」

「にぇっ!?」

 

 流石にあれを全部吹き飛ばすには、メアには無理なので、最初から狙いはグレープ一本。

 

 『流星をみる人(モーニングスター)》のコンセプト(《魔力(エーテル)》節約)を、グレープ目掛けて文字通り投げ捨てる。

 

 メアが普段ぶっぱなす基準の、三発分の《魔力(エーテル)》が詰まった大玉を、ダヴィニアがもはや腕と呼ぶのも憚られるようになった部位を持ち上げて受け止める。

 

 凄まじい爆裂音。肩から先がすべて吹き飛んで――――ずるりと再生、というか泥が補填されていく。

 

「Drrrr…………」

 

 怒っている、というよりはしょんぼりした表情が見える。相変わらず優しい娘。

 

「ひ、ひっ! あっぶな…………に、にぇぇぇぇっ! もう許さないにぇっ!」

 

 しかし狙われて、守られたグレープは怒り心頭! という面持ちで、手を振り上げた。

 

 手にグレープパープルの《魔力(エーテル)》を収束させて、注射針のような形状の《魔弾》を生成し、ぶっ放し始めた。自分の《魔力(エーテル)》を毒に変換できるグレープの《魔弾》は、当たれば何かしらの症状が生じることは間違いなく、メアはなるべく硬い《防壁》を生成してそれを受け止めた。

 

「む、むきぃーっ! ダヴィー! 追いかけろ! ぜぇーったい倒すんだにぇ!」

「Drrrrrrrrrr……?」

「い、いいから! 行くんだにぇっ!」

 

 感情的になるグレープに、いいのか? と言いたそうに首を傾げるダヴィニア。

 その様子を見て、メアはよし、と内心で頷いた。

 

『メアの今回の仕事は、囮です』

 

 リーンははっきりと、そう言っていた。

 

『ダヴィニアとグレープをウエストエリアの奥に引き込んで、なるべく長く引き付けて――そしたらあとは、やられてもいいから』

 

 メアはリーンを凄いなと思う。

 だって、幼馴染を平気な顔して、捨て駒として使うつもりなんだもん!

 

 

 





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【グレープ・クレープ】
クロムローム魔法学園 高等部一年星組所属。
調子に乗るタイプの陰キャ。
固有魔法が凶悪なので公的機関に常に挙動を監視されている。
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