魔法少女が終わらない! ~陰謀もギスギスもドロドロもありな全員死亡のバトルロイヤル展開から時間逆行魔法を駆使して目指せ大逆転ハッピーエンド!~   作:天都ダム∈(・ω・)∋

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11-4.月組(ルナ・クラス)vs星組(ステラ・クラス)!

☆ イーストエリア 中央通路 ☆

☆ クロムローム魔法学園 高等部一年月組 リーン ☆

 

「ごめんあっそっばっせっ、でっすっ、わー!」

 

 ナハトお嬢の暴力が、ラミアに襲いかかる。

 わかっていたことだけど、二人の相性は最悪だ。ラミアの〝置く斬撃〟は、切れ味こそ鋭く、破壊力もそのままだけど、あくまで変質した《魔力(エーテル)》をその座標に固定する能力だ

 

「くっ――――!」

「申し訳ありませんわー! メタッメタにメタってしまいましたわねっ!」

 

 だから、ナハトお嬢からすれば《魔弾》と大して変わらない。普通ならラミアが切り払った空間に足を踏み入れれば両断されるところ、ナハトお嬢はその斬撃そのものを同化して取り込んでしまう。

 

 加えてラミアが身につけた剣術は自分の固有魔法(オリジン)を前提とした立ち回りをするものだから、ことごとくリズムが外されてしまう。

 引いたタイミングで踏み込まれ、振り抜いたタイミングで受け止められ、身をかわすタイミングで攻めてくる。一番厄介なのは生半可な打ち込みでは武器そのものを同化されて取り込まれてしまう事だ。だからどうしても攻めきれない。

 

 逆に言えば、そんな状況で防戦が出来ている、というのがラミアの凄い所。ナハトお嬢のフィジカル性能に任せたゴリ押しに対し、ラミアはしっかり技術を収めた剣士、という一点で、受けて、捌いてがギリギリ成立している。

 

 ルーズ姫は《魔弾》で攻撃するタイプだから、ナハトお嬢への攻撃は意味が無い。

 私はそもそも論外で、マップの構造上、多分この奥にはイチゴさんが居るはずだから、ナハトお嬢は仕留めておきたいのだけれど……。

 

「ラミア! 作戦AMSだ!」

「聞いたこと無いぞその作戦名は!」

後は任せた先に行く(AMS)!」

「リーン!!!!!!!!!!」

 

 すげー怒鳴られた、まぁ許してよ。

 交戦する二人の間をすり抜けて、イーストエリアの南部ブロックに移動し――――。

 

「行かせるとお思いですのーっ!?」

「うわぁっ!?」

 

 私に背を向けていたはずのナハトお嬢から、何かが飛び出してきた。

 トゲの付いた尻尾が尾てい骨のあたりから伸びて来たんだ。壁に穴を開けるぐらいの破壊力――ぬるぬるてらてらとした皮膚に棘が生えていて、これは……フロムの魔物を取り込んだのか!?

 

「生き物は同化できないんじゃなかったっけ!?」

「死体なら別ですわー! 生まれた直後にキュっと絞めて塵になる前に同化したんですの!」

「やっぱバケモンだよお前!」

 

 第三の手が出てきてしまった……それを見たラミアの顔に驚愕が走る。

この長さとこの威力を持つ、第三の腕が生えてきてしまった。

 

「こ、こんにゃろう!」

「あ、ちょっと、いやん、くすぐったいですわ!」

 

 ちょっと生理的に抵抗感があるけど、私はナハトお嬢の尻尾を抱きかかえるように掴んだ、みっちり詰まった筋繊維が凄まじい勢いで暴れる感覚が伝わってくる、五秒でふっとばされそうだ。

 

「ルーズ姫! 先行って!」

「で、ですが……」

「いいから!」

「っ」

 

 ルーズ姫はフィジカル面でも私よりはそりゃ上だけど、私一人がこの先に向かったところで、一対一だとイチゴさんにやられてしまう恐れがある。だからここで囮になるのは悪い判断ではな――――――――ぐえっ。

 

「リーン!」

 

 予想通り、尻尾の膂力(というべきか?)に耐えきれず、吹き飛ばされる私。

 背中から店舗の壁に叩きつけられて、肺から空気が全部出た。

 幸い一撃でダウンするほどの威力じゃなかったけど、息を整えるのに数十秒は欲しい。

 

「……あれを追わなくていいのか? 明星嬢は戦闘力に長けたタイプではないと思っていたが」

「馬鹿にする物じゃありませんわ、あの子、アレで結構やるのです、それに」

 

 ずるり、と尻尾を引き戻しながら、ナハトお嬢は笑った。

 

「仮にイチゴさんがやられても、ここで貴方がた二人を倒せば帳尻は取れますわよね」

 

 明確な挑発、優位はナハトお嬢にあるが……ラミアにだって切り札はある。

 ナハトお嬢が同化できるのは、あくまで滞留している《魔力(エーテル)》だ。

 剣そのものを《魔力(エーテル)》で強化して放つ、必殺の斬撃そのものは止められない。

 

「クローネさんはフロムが止めますから……ラミア様さえ退場なさってしまえば、もうわたくしを止められる魔法少女は居りませんわ」

「なら、試してみるがいい」

 

 全ては、ラミアの一撃が、ナハトお嬢の耐久力を上回るかどうか、だ。

 対峙して、沈黙は一瞬。

 ラミアが残る全ての《魔力(エーテル)》を注ぎ、裂帛の斬撃を放った。横薙ぎの腹部狙い。

 狙いすました様に、ナハトお嬢も腹部に《魔力(エーテル)》を収束させ、強固な《防壁》を作り上げる。

 

 果たして――――――――――。

 

「………………う、っふっふっふっふ!」

「…………ちぃっ!」

「――――御免遊ばせ!」

 

 ラミアが剣を刀身半ばからへし折るのと、ナハトお嬢が身体に食い込んで、しかし止めた刃を同化して取り込むのはほぼ同時だった。

 

 瞬時に武器を完全に失わない判断をできたのは凄いけど……それ確か家宝の剣とか言ってなかったっけ。

 

「勝負ありましたわね! ゴチになりますわ!」

 

 ナハトお嬢の回し蹴り、紙一重で避ける――その向こうから、更に長い尾が横殴りでラミアの体を殴りつけ――――。

 

「がはっ!」

 

 私のほぼ真隣に吹っ飛んできた。

 直撃しなくてよかったと思うべきか、袋の鼠になってしまったと思うべきか。

 

「やあラミア、調子はどう……?」

「最悪だな……それでも、下がるわけには行かないのだが」

「一つ提案があるんだけど……」

「現状を巻き返せるなら、聞くだけ聞こう」

「開始前に話した作戦、あれをやる」

「……………………正気か」

「正気で本気、後はラミア次第」

「………………賭けに出るのも一興か、いいだろう」

「ご相談は済みましてー!?」

 

 私たちがひそひそと話しているのがしっかり聞こえてたんだろう、ざくざく足音を立てて近づいてきて、どんと仁王立ちして待ち構えているナハトお嬢。

 

「ここで待ってくれるんだから、ホントいいやつだよね、ナハトお嬢」

「あら、およしになって。――――いい女と呼んでくださいでーすーわー!」

「ほんと、いい女だよ……それじゃあ」

「――――もう一度だ」

 

 半分に折れた剣を構えて、ラミアが立ち上がった。

 

「あら、あら、あら――――」

 

 楽しそうに、口の端を釣り上げて。

 

「受けて立ちますわ、かかってらっしゃいませ!」

 

 獰猛に笑い、飛び込んできた。

 

「――――はああああああああああああああっ!」

 

 ラミアが再び、《魔力(エーテル)》を絞り出す。折れた刀身にオレンジゴールドの《魔力光(エーテルライト)》がまとわりついて、伸びて、噴き上げた。

 

「今の一瞬でリーン様から《魔力(エーテル)》を供給してもらったのでしょう!? 抜け目のなさはさすがですが――――!」

 

 先程の再現だ、同じ様に《魔力(エーテル)》による《防壁》を作り出すナハトお嬢。

 

「刀身が短い分、流せる《魔力(エーテル)》の量も減る――私の消耗を期待していたのなら、お粗末な作戦でしたわね!」

 

 短い刀身は、初速の勢いで《防壁》を叩き割るものの、ナハトお嬢の強靭な腹筋に僅かに食い込み――――しかしそれで、止まった。

 予想通り、予測通りの結果。

 

「先ほどと違う点が、もう一つあるな」

 

 …………そのはずだった。

 ナハトお嬢からすれば、『突如』と言っていいタイミングで。

 

 

 

 剣から放たれる《魔力(エーテル)》の量が、倍増した。

 

 

 

「はあああああああああああああああっ!」

 

 至近距離からの、再度の振り抜き。刃が肉に食い込み、内臓を両断し、背骨を斬り断ち、つまり――――――。

 

「な、なんですってぇー! ですわー!?」

 

 ナハトお嬢を横薙ぎに、真っ二つにした。

 

 

 

 ☆

 

 

 

 ……事前の練習では、まだ調整が必要だったのだけど、どうやら上手くいったみたいだ。

 

 力を失い、ドサリと転がり落ちるナハトお嬢……本当に、危ないところだった。

 

「はぁ、はぁ…………はぁ」

 

 全力を尽くしたラミアは、もうからっけつらしい。

 

「ラミア、大丈夫?」

「あ、ああ……――いや、強がるものじゃないな。すまない、少し《魔力(エーテル)》をわけてくれ」

「オッケー」

 

 スフィアから再び魔力を取り出して、ラミアに向かって流し込む。ラミアの右手の甲にあるスフィアに、私の放った《魔力光(エーテルライト)》が触れると、すぐさまオレンジゴールドに変化して、するりと吸い込まれていく。傍から見ると、煙を掃除機が勢いよく吸い込んでいる様に見えるんじゃないだろうか。

 

 私の《魔力(エーテル)》は無色透明(クリアー)、どんな色にも抵抗なく、すぐに染まって力を失い、取り込まれる。

 

 だから攻撃や防御にはとことん向いていないけど、こうやって、他人が使った《魔力(エーテル)》の補給をするのには適している。私の魔法少女としての適性は、つまり電池役なのだ。

 

 魔法少女が行う正規職の一つに、エース級の魔法少女の《魔力(エーテル)》供給係、みたいなのもあって、その進路を狙うなら、私は多分、界隈で一番になれるだろう。

 

「…………」

 

 なれるんだけどなあ、それは私のなりたい魔法少女(せいぎのみかた)じゃないんだよなあ。

 

 ま、理想と現実はかけはなれてるよね、ってお話だ。

 もちろん、ただ何も努力をしてないわけではなく……色々と新技を考えてはいるのだ。

 

 例えば今回は――ただの燃料として《魔力(エーテル)》を供給するのではなく、生じる《魔力(エーテル)》の流れに励起させた私の《魔力光(エーテルライト)》を注ぎ込み、巻き込んで――他の魔法少女の出力を底上げして見せた。

 

 火に薪を焚べるのではなく、炎に直接ガソリンを注ぎ込むようなイメージ。

 本来であれば、全く同じ《魔力光(エーテルライト)》の色彩でなければ起きない、スフィアの共鳴現象――私はそれを、今回、外側から再現してみたわけだ。

 

「『透明な奇跡(ミラクリア)』とでも名付けよう……」

 

 魔法少女にとって技名は大事だからね、うん、ネーミングセンスはお察しだけど、最初に『透明な領域(クリアランス)』なんてものを作ってしまったので、統一感出さなきゃ行けない感じがして……。

 

 ラミアの裂帛の斬撃に、私の出力を重ね掛けして威力を倍増させた、というわけ。

 

 初見殺しみたいなものだし、次《集団戦(マギアパーティ)》に参加したら、種が割れてる以上私から狙われるんだろうなー、やだなー、でも今回は勝ちだ。勝てば官軍、よし。

 

「――よし、大分回復した。ありがとうリーン……それで、次はどうする?」

 

 ラミアの問いに、私は次の作戦を告げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、復活のヘクセンナハト(最終形態)
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