魔法少女が終わらない! ~陰謀もギスギスもドロドロもありな全員死亡のバトルロイヤル展開から時間逆行魔法を駆使して目指せ大逆転ハッピーエンド!~   作:天都ダム∈(・ω・)∋

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ちょっと短め。


12-2.二日目終了後の嵐

 ☆ 

 

 ホテルの大浴場でたっぷり汗を流して、部屋に戻ってきたらもう二三時を回っていた。

 

 昨日は《集団戦(マギアパーティ)》の予選映像をガン見するのに手一杯だったからシャワーで済ませたけど、やっぱりでっかいお風呂で汗を流すのはいいね。

 

「まあいーんじゃねーですか? リザーバーの出番なんて数年に一度あるかないかですし」

 

 レイは何故か私たちの部屋にいた。

 ま、明日は試合が控えてるし、リラックス出来る環境にいたほうがいいか。

 ちなみにメアは不在。ハルミ先生の所に行ってくる、というので、大浴場の出口で分かれた。

 

「それはそれ、これはこれでさ、公的な記録にクァトラン・クアートラと並ぶのがあまりに分不相応というか……」

「身の程を知ってる辺りは好感が持てますねぇ」

 

 ぶん殴るぞこいつ。

 

「そういえば、お前はどうしたんだよ、リザーバー」

「ナハちゃんに頼みましたよ。フロムでもよかったんですが、白目むいてひっくり返ってたんで諦めました」

「何があったんだよ」

「そっちのクラスのお姫様(クァトラン)に喧嘩売って撃退されたらしいですよ」

「あー……」

 

 クローネといい勝負してテンション上がっちゃったんだろうなあ、で、クローネの上司はどんなやつだって試したくなったと。

 ……公式戦前に暴力騒ぎにならないか? 大丈夫か、身内のノリだし。

 

「でもさあ、本当にいいの?」

「何がです?」

お前の望み(、、、、、)。優勝したら本当に叶える気?」

「当たり前じゃねーですか、何のためにここまで頑張ってきたと思ってんです?」

「いや、それはそうなんだけど……」

 

 なんというか、それでいいのかな……という気持ちが私の中にあって。

 ……気持ちはわかるが、しかし、という奴だ。もっとも、レイは私の心配など素知らぬ風で。

 

「それに、あのシャクなんとかって奴は黙らせてやらねーといけねーですからね」

「……まあ、それには同意」

 

 優勝したらハルミ先生が死刑になって、学園もどうなるかわからない、なんてとんでもない事だ。……まあじゃあ黙って死にますってタイプの人じゃないし、そうなったらそうなったで別種の混乱が起こりそうな気もする。

 

「リーンちゃんだって、わたしを応援、してくれますよね?」

 

 いつの間にか、ずい、と身を乗り出して、私の布団に乗っかっているレイ。

 じぃ、と違う色彩の双眸が私を見つめている。私もレイも、右目は緑色だけど、その色彩の深さは、全然違う。

 

「応援してるよ」

 

 レイには嘘を吐いても意味がないから、私は、素直に正直に言った。

 

「私はいつだって、レイの味方だよ」

 

 言わなくてもわかってるだろうけど、言われると安心できる言葉というのはあるもので。

 いつかの進級試験でメアがそう言ってくれたように、私は同じ言葉を告げた。

 

「だったらいーんです、自分の立場ってもんがわかってれば」

「一言余計だなお前はいつも!」

「ねー、卒業したらどっかに家借りて、三人で住みましょうよ。『春の家』の近くなら、後輩たちにも会いに行けますし」

「それは別にいいけど……気の早い話をするなぁ」

「どうせなら借家じゃなくて持ち家がいーじゃねーですか、ってなると今から貯金ですよ」

「魔法少女ローンって結構通りにくいって聞くからね……」

 

 主に《迷宮》攻略における死亡率が高いからだけど……。

 メアが帰ってくるまで、私たちはそんなくだらない話をし続けた。

 

 

 

 

 

 

 ☆ 

 

 《個人戦(スターダスト)》は『大魔爛祭(マギアラフェスタ)』の華だけあって、やっぱり盛り上がりも凄い。朝七半時、私がクァトランと共にリザーバー登録を済ませ(《集団戦(マギアパーティ)》に出てた選手だ、という顔をされた後、透明なスフィアを見せたらバケモンを見る目をされた)外に出たら、もうギャラリーの多いこと多いこと。

 

 試合会場は開会式も行ったドームで、私たちが他の競技をやっている内に、修復しやすい材料で作られたリングを建設しているはずだ。

 

「《個人戦(スターダスト)》本戦は十時半から! 組み合わせ表はこちらでーす!」

 

 既にスタッフが号外形式で組み合わせ表を配っていた。私もまだ見てないな。

 

「クァトラン、対戦相手知ってる?」

「全然、興味ないし」

 

 少しは興味持てよ。

 

「すいません、一枚ください」

 

 近場のスタッフに声をかけて一枚もらう。目を丸くされたけど、ああ、《集団戦(マギアパーティ)》ではそれなりに目立ったからかな……。

 

「どれどれ、見せてよ」

 

 

 

 

 

 

 

【トーナメント表】

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 クァトランが覗き込んでくるので、二人でトーナメント表を確認する。

 出場選手は十六人、いずれも名だたる曲者揃い……のはず。実は私も詳しくは知らない……。

 

「ねえ、この黒・一ってのは何?」

「ああ、各学園のイメージカラーと、学年だよ。クロムロームは黒、クァトランは一年」

 

 青はアイフィス付属、赤はヴァミーリ魔法科、金はルード・ゴード魔導院……という感じ。白はイーヴィス、緑はエメラリア、虹はアルカシェーンだ。

 

「ふうん……白がやたら多いわね」

「エリート校だし、例年割合高めかな。でも今年はウチから三人も出てるし、凄いことだよ」

「ま、全員倒せばいいか――――…………ねえリーン」

 

 適当に流し見していたクァトランが、不意に声を低くした。

 

「緑ってどこだっけ、どんな学校?」

「緑はエメラリア・マジカルハイスクール、《魔法の世界(マギスフィア)》からの留学生が多い学校かな。あと数は少ないけど、日本国外の《地球(アースフィア)》生まれの魔法少女の受け入れしてる」

「ふうん、どおりで」

 

 なにかに納得したように頷くクァトラン、エメラリアの生徒に知ってる人でもいたのかな? と私も表を眺めた。

 

 とりあえずレイはAブロックだから、クァトランと決勝まで当たる心配はないか……げ、あのシャクティーバ某もそっちか。じゃあ準決勝でレイが倒してくれれば一番いいか。

 

 ニアニャとクァトランは……ああ、ついてない、一回戦目であたってるや。

 

「………………え?」

 

 いや、違う、確か例年、一回戦で同じ学園は当たらないようになっていたはず。

 

 一瞬見間違えたかのかと思った、クァトランじゃん、と勘違いした。

 違う、確かに書いてある、緑の三年、名前は……。

 

「トゥレリア・クアートラ(、、、、、)……?」

 

 って、まさか。

 ゆっくり、横目でクァトランの顔を見る。

 

ちい姉様(、、、、)ったら、《地球(アースフィア)》に来てたんだ、へえー?」

 

 口の端を釣り上げた、獰猛な、肉食獣の笑み。

 私が久しぶりに見る……クァトランの、怒りに滲んだ表情だった。

 

 ……進級試験の際、クァトランの家族の誰か……あるいは複数人、全員が結託してクァトランの暗殺を目論んだ疑惑があるわけだけど、結局今のところ、それを目論んだ下手人は明らかになっていない。ハルミ先生はすぐに見つかる的なことを言ってたけど……。

 

「いいじゃない――――殺る気になったわ」

 

 いや、殺しちゃ駄目なんだよ、と、言いたかったけど、言えなかった。

 

 

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