自分は死んだのだろうか?そんな考えがまだ覚醒しきらない頭に浮かび上がる。ーーーあれ?そもそも死んだ時は物事を考えられるのだろうか?しかし、あの【祖龍】ミラルーツの前で気を失い倒れたのだから死んでないほうがおかしな話だろう。ましてや龍大戦時代にである。生きてる確率なんてケルビから古龍の大宝玉が取れる確率に等しい。
なら此処は天国とかそんなところだろうか?よし、死後の世界はどんなところかと楽しみにして目を開けよう、死んだショックも紛れるかもしれない。と少女は心に決め、ゆっくりと目を開けた。
しかし目の前に広がるのはどう見ても古塔の最上階で、そこに古い時代のものらしい衣服を纏う綺麗な女性がいるだけである。ここまで考えて少女はもう一度目を閉じた。
(待て待て待て。夢?あ、あれは天使かな?綺麗で白いし。うんそうだ。諦めなさい私!私は死んだの!ここは古塔じゃない・・・はず。よしもう一度目を開けよう・・・)
しかし、少女の目の前には先程と何も変わらない光景が映った。しかも今度は女性がこちらに話しかけてきた。
「目は覚めました?」
女性は透き通るような声で話しかけてきた。しかし私は今自分が死んでいるかどうかさえ解らない上に現状もまったく理解できず第一声が
「此処はあの世ですか?この世でしゅか?」
これである。しかも噛んだ。正直恥ずかしくて死にたい。あ、死んでるかもしれないのか。
「此処は古塔です。貴女自ら来たのに忘れましたか?」
めちゃくちゃ冷静に返された。正直知りたいのは私が生きているか死んでいるかなのだが・・・いや、古塔ということはこの世なのだろうか。すると状況的に彼女が私を助けてくれたのだろう。しかしそうだとすれば祖龍はどこに消えたのだろうかなどと私が考えていると不意に女性が口を開いた。
「まったく、貴女その程度で私に挑もうなんて自殺行為ですよ。何をするために此処に来られたのです?」
「何をしにって私は・・・」
今彼女の話に変な部分があった気がする。絶対に。『私に挑む』?どういう意味だかまったくわからない。いや、理解したくないのかもしれない。
だが聞かねば会話にならないだろう。私は私の予想が外れることを願いつつ、彼女の正体を聞くことにした。
「あ、あの~あなたはどこの誰なんでしょうか・・・?」
「古塔のミラルーツです。」
再び脳内が混乱を開始した。あり得ない。龍が人になるなど聞いたこともないし百億歩譲って女性の言うことを認めても私を殺さない理由がない。
だが、女性(自称ミラルーツ)は混乱する私にお構いなしに質問をしてきた。あぁ、正直これ以上頭を使わせないでほしい・・・
「先程も問いましたが貴女は何をしに此処へ来られたのです?」
『目的は何か』という質問には実を言うと答えにくい。なにせ龍対人の戦争が起こっている今現在では人間の偉い人達に逆らえば最悪処刑されるご時世であって『龍を守ろう』『戦争を止めよう』なんて言えば即投獄である。
そんな中、ハンター初心者である私が【王】ミラルーツに殺されず戻ってこれれば龍側に敵意はないと証明できるかと考え、ギルドを通さずここに来たのだが、もしこの女性がギルドに繋がっていたら私は間違いなく二度と日の光を拝めないだろう。そんな心配をよそに女性は言い寄ってくる。
「目的がない訳ではないのでしょう?さぁ、何故此処に来たのです?」
何をどう言ってもここからは逃げられそうにない少女は諦めて
(あぁ、どうせ一度死に損なった命だ。もうどうなってもいいや・・・)
と思い、全て話すことにした。