「何故そのようなことをしたのですか!!バルカン!!!!」
火山の奥地、通称【決戦場】に怒声と雷鳴が響きわたる。
「うるせぇなぁ・・・・・・・珍しくお怒りじゃねぇか。ルーツ。」
ミラルーツとは正反対のようなテンションでミラバルカンは心底面倒臭そうに言葉を返した。
それに対してミラルーツは怒りを露にしている。
人の型を象ってはいるが、純白の髪は所々紅く染まり身には紅い雷を纏っている。そしてその怒りの感情に呼応するように天地を貫かんばかりの雷が降り注いでいる。
「何故あのようなことをしたのか答えなさいと言っているのです!!」
「嫌だと言ったらどうする?」
「答えろ!!!!!」
ミラバルカンが言葉を発した瞬間にミラルーツの怒声と共に特大の雷がミラバルカンを撃ち抜いた。
「イテェな・・・・そう焦るな【王】よ。ちゃんと話すって。」
「では早く話して戴きましょうか。」
「ま、理由なんて簡単だぜ?このまま行くと竜が悪になっちまうだろ?俺はそれが気に食わねえ。ならあいつらが戦争を始める理由を作って向こうが吹っ掛けてきてくれれば正当防衛の完成になるから。ここまでが殺した人間にも話した内容。実はあともうひとつ。」
ミラバルカンはニヤニヤと笑いながら言葉を繋いだ。
「ボレアスの野郎をもう一度時代の最高悪にしてやろうと思ってなぁ。そんでお前は既にに竜からすりゃ異端者、人間からは言うまでもなく敵。お前とボレアス殺して俺は正義の味方にでもなろうと思ってな。」
「なっ!?」
ミラバルカンの言葉にミラルーツは驚き言葉を失った。しかしミラバルカンはまだ笑いながら言葉を繋ぐ。
「あぁ、そうだお前。第一次竜大戦が起こった切っ掛け覚えてるか?」
「たしか人間が竜の子を大量に拐って殺すようになったからでしたね。」
「その通り!わりと簡単に動くよなぁ人間も竜も!!」
ミラバルカンは一度笑いを止め、そのあと狂笑した。
「俺があのとき人間に指示を出してたんだからさぁ!!いい感じにことが進んでいって愉快だったなあ!」
ミラバルカンは最後に禍々しくいい放った。
「俺はこの世界そのものをぶっ壊しちまいたいんだよ、ルーツ。」
ミラルーツはミラバルカンが言い切ると同時に決戦場から飛びたった。頭から『危ない!逃げろ!』と情けない命令が全身に響きわたる。ここから逃げなければならないという本能に従い、ミラルーツは空を翔ていく。
直後、火山が溶岩や火山弾を噴き上げた。そして噴き上げられた火山弾が何発もミラルーツに向かい降り注いだ。
それはミラルーツの鱗を、甲殻を、翼を焼き、激痛を与える。そして、一発の火山弾がミラルーツの翼膜を大きく抉った。
「ぐっ!!っ~~~~!!」
痛みに顔をしかめながらもミラルーツは飛び続け、空の彼方へ消えていった。
「チィ・・・あいつ、このあとどうする気なんだろうなぁ。」
ミラバルカンは嘲笑うようにミラルーツの飛び去っていった空をみて呟いた。
「・・・・・・これからどうしましょう・・・・」
ミラルーツはテロス密林の離島に降り立ち、休息をとっていた。
この離島は、潮が満ちると本島との道が水に没して渡れなくなるのでハンターに襲われる心配がない。と考えミラルーツはひとまずここに降り立った。
そう、ハンターなんているはずないと思っていた。誰かの声が聞こえるまでは。
「あぁーーーーー!!!!か、帰り道が海になってるぅぅ!?」
「は?なに言って・・・・ってギャーーー!!!!マジかよ!?」
・・・・・・どうやら潮の満ち引きという罠にはまってしまったハンターらしい。あわてて茂みに隠れたが、少し笑いそうになった。そして後から同情が沸いてくる。
(ここ、潮引くのにかなりの時間がかかるのに・・・・大丈夫なんでしょうか?)
ミラルーツの心配を他所に二人のハンターは口論を始めた。
「どーすんのさ!!もう残り時間少ないのに帰れないじゃん!!」
「俺に言うなよ!!そもそも離島に珍しいものありそうだからって言ったのリーファじゃん!!」
「うっ、で、でも潮とか大丈夫かな?って聞いたらレオも大丈夫だろ!!って意気揚々と答えたじゃん!!」
「そりゃ言ったけど・・・・でも言い出しっぺお前だろ!!」
「ううぅぅ・・・・てかこの前無断外出で次迷子とか私先生に殺される・・・・・・」
とことんまで不毛な言い争いを繰り広げるハンターたち、会話を聞く限りまだ見習いであるような気がする。しかし、女の子のほうに見覚えがある気がするのは気のせいだろうか?
などとミラルーツが一人で考えていると不意に後ろからカサカサと音が聞こえた。
(?、なんでしょうか・・・・?)
振り向いたミラルーツの眼前に、カクバッタがとびかかってきた。
「きゃあ!?」
不意打ちだったというのもあり、うっかり悲鳴をあげてしまったのをミラルーツが後悔するより早く二人のハンターたちが謎の悲鳴を聞きつけ慌ただしく動きだした。
「えっ?今の誰の声!?」
「知らねぇよ!?」
「あっちの方から聞こえた・・・・よね?」
二人はまっすぐミラルーツの隠れている茂みに歩いてきた。
(うぅ、カクバッタに悪気はなかったでしょうけど・・・・すみません恨みます。)
(今もとの姿に戻ったりしたらそれこそ大騒ぎになってしまいますし・・・・しかしこのまま見つかるのも不味いですし・・・・あ、あの瓦礫の裏に移動することにしましょう!見つかりずらそうですし!)
ミラルーツはかなり短い時間で今とれる最善策を考え、実行するために遺跡のようなものがあるところへ走りだした。そしてなんとか見つかることなく瓦礫の隙間に隠れることができた。
「あれ?なんにもない・・・・」
「おっかしーなー。絶対声が聞こえたんだけどなぁ?」
ハンターたちの声を聞いて、ほっとミラルーツは胸を撫で下ろした。
(これで大丈夫でしょう・・・・)
「ん?おい、リーファ!あれ見ろよ!!白い綺麗な草生えてるぞ!」
「え?あっ本当だ!あれもって帰ったら先生許してくれるかな?レアっぽいし!!」
(白い綺麗な草?なんでしょうか?オーロラ草ではないでしょうし、ネンチャク草でもないですよね・・・・?)
ミラルーツが思い当たる草花をいくつかあげるが当てはまるものがないと考えているとミラルーツの頭に突如痛みが走った。
「あれ?抜けねーな?」
レオは見つけた白い綺麗な草、もといミラルーツの髪を思いきり引っ張った。
「いたたたたた!?や、止めてください!!痛いです!!!」
「「ひ、人ぉ!?」」
「あ・・・・」
ミラルーツは涙目になりながら最悪の状況を作りだした自らの長い髪を心の中で罵倒した。