虚飾の魔女の事象改変アカデミア   作:地獄楽

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 昨日リゼロを見返してる時に思いついたものです。
 1発ネタ感あるけど、頑張って書きました。


原作開始100年前
虚飾の魔女は転生する


 

 

 

 

 気がつくと俺は自分が転生したことを自覚した。

 先程までいた場所とは打って変わり荒廃した街の中で俺は目が覚めた。

 冷たいコンクリートの感触が直に皮膚に伝わる、どうやら靴を履いていないみたいだ。

 それにさっきまでと視界の高さがだいぶ違う、おそらく以前の体では無いことが予想できる。

 ちょうど近くにあったガラスで体を確認したところ、俺は思いもよらぬ事態に絶句した。

 そこには一人の女性、というにはあまりに小さい美少女がいた。

 年齢はおよそ十代に行くか微妙なところだ、背丈はおよそ150センチほどあり、小学校低学年くらいだろうか?

 腰まで伸ばした白金色の長髪は絹のように美しく艶があり、宝石のような輝きを放っている。

 体つきは華奢で細く、小柄な少女といったかんじだろう。

 その肌は、雪のように白く、陶器のような質感を持つ。

 そして最も目を引くのは、不気味なほどに整ったその顔立ちである。

 驚く程無表情なその顔は見る者を圧倒する神秘的な美貌を持っていた

 目の前にいるまさに"完璧"と言える見た目をした美少女が自分であることを理解するのにいくらか時間が必要だった。

 

 ーそんな超絶美少女ともいえる自分の姿はどこか見覚えがある。

 

 この見た目は前世で自分が愛読していたラノベ『Re:ゼロから始める異世界生活』という作品に登場するキャラ【虚飾の魔女】パンドラであった。

 元男である自分が女になったと思えば、前世の作品のキャラになってるとかどういうことだよ、と言っても内心はかなり喜んでいた。

 性格は置いといてこのキャラ、見た目と強さだけはガチでチートなのだ。

 彼女の権能である虚飾の魔女因子はあらゆる事象を改変することができる。

 死んだとしても見間違いで済ませ、この場にいなかったことにすれば一瞬で敵を排除できる。

 超絶チートな能力だが、ここは見るからにリゼロの世界では無い。今は情報が足りないのでとりあえず適当に誰かに聞いてみるか。

 

 少し歩いてみると第一現地人を発見。今のうちに口調を変えておく。

 

「まあ、こんなものでしょうか。第一印象は大事ですからね。もし…そこの人、できればここがどこか教えて欲しいのですが…」

 

「あぁ?なんだ…お前…」

 

 おや、なんだか歯切れが悪いなもしかして俺が瘴気放ってるとかじゃないよな、仮にそうなら人とまともに話せないんだが、どうしようとりあえずもう一回聞いてみるか。

 

「すみません、実は少しばかり迷ってしまいまして、ここがどこだか知りたいのですが…」

 

 秘技上目遣い。これほどの美少女の上目遣いだ、いくら怖くてもこの可愛さには叶うまい。さあ今すぐ情報を教えてもらおう。

 

「ッッ!?…コホン、なんだ嬢ちゃんもしかして超常孤児か?ここは東京の端にある俺達みたいな異能持ちの隠れ家だ。そんなことも知らねーで随分と命知らずだな。」

 

 東京!?こんな荒廃した街が東京とは…それに"超常孤児"という単語も気になるな。

 どうやらこの世界はその"異能"とやらの影響でこんなことになってるらしい、見るからに法律とか政府が機能してなさそうだ。これはとんでもない世界に来ちまったな…

 

「なるほど…教えていただきどうもありがとうございます。お互い大変ですが、どうかお気をつけて。では、さようなら。」

 

 だいだいは理解した。とりあえず重要なのは、これからどうするかだ。確かに体はパンドラだが、うまく彼女の力が使えるかどうか怪しい。この世界の治安は見るからに悪い、力の扱いに早いところ慣れて損は無いしな…

 

「ちょっと待ちな嬢ちゃん。」

 

「はい?どうかしましたか?」

 

「いくら何でもタダとはいかねえ。何か見返りをくれねぇと、そうだな…嬢ちゃん見た目は良いんだ、少し俺に付き合ってもらうぜ。」

 

 おいおいマジかこのおっさん、いくらなんでもそりゃないだろ。まぁ見るからに怪しい見た目してたけどこっちはまだ十代ちょっとだぞ…いや、これは俺の権能を試すチャンスじゃないか?このオッサンの口ぶりからして異能持ちなのは確定してるし、試す価値はある。

 

「見逃してはくれないようですね、仕方ありません…ここは実力行使といかせてもらいましょう。」

 

「ほう、嬢ちゃんも異能持ちか…だが、どんな異能であれ、俺には叶うもんか!」

 

 そう言うと男の体がみるみるうちに肥大化した。

 

「俺の異能は筋肉増強!嬢ちゃんみてえな体簡単にへし折っちまう。大人しく降参するのが身のためだ!」

 

 なるほど、シンプルかつかなり強力な異能。初めての相手にしては丁度いい、さてこの力試させてもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  俺はここら辺じゃかなり名の知れたゴロツキだ。

 俺の持つ異能は筋肉増強、そこら辺のチンケな異能とは一線を画す強さを持つ。

 俺はこの力で生まれつき欲しい物を全て奪ってきた。

 そして、気がつくと俺の周りには弱い奴らがウジみたいに群がってきやがった。

 俺はそんな弱者どもが心底嫌いだった。一昔前前まではどうだったか知らねえが、今の時代は暴力だけが全てを制す。そこについて行けない雑魚どもは淘汰されるべきだと心の底から思ってた。

 だからこの時の俺は夢にも思ってなかった。俺自身が今まで奪ってきた奴らと同じ、淘汰される存在だったなんて…

 

ー今日はいつも変わらない日だった。

 いつもどうり雑魚共から食料と金を奪い一息ついていた時だ。

 

「もし…そこの人、できればここがどこか教えて欲しいのですが…」

 

 突然後ろからガキの声が聞こえた、また別のやつが俺に助けを求めてきたと思い振り返るとそこにはとんでもねえ美少女が立っていた。

 人間とは思えない程整った顔に思わずたじろぎした俺に不思議そうな顔をしてもう一度聞き返してきた。

 

「すいません、実は少しばかり迷ってしまいまして、ここがどこだか知りたいのですが…」

 

 あまりの美しさとそいつの上目遣いに俺は思わず息を呑んだ。五年…いや、あと三年すればこいつは、見る者全てを魅了する絶世の美女になるだろう。

 それほどまでにガキの顔は完成されていた。それと同時にこのガキが心底欲しいと思った。俺は今まで欲しい物はなんでも力ずくで奪ってきたし、今回もそうなる筈だった。

 

「俺の異能は筋肉増強!嬢ちゃんみてえな体簡単にへし折っちまう、大人しく降参するのが身のためだ!」

 

 傷をつけたくなかった俺はできる限りの威圧を放った。どんな異能を持っていようが、所詮はガキ。泣き叫ぶか許しをこうかどっちかだと思ってた…だがこのガキはこの状況で笑いやがった。

 ーその瞬間俺はとてつもなく冷たい、凍てつくような違和感を感じた。

 触れてはいけないナニカに触れてしまったかのような恐怖が全身を駆け巡る。

 俺の本能が今すぐここから逃げろと言っている。だが、奴が言葉を発した時には、何もかも遅かった。

 

「貴方は異能発動と同時に筋肉の膨張で自滅する。」

 

「何言って…うわあぁぁぁ!?」

 

 ぐちゃぐちゃと音をたてながら筋肉が皮膚を突き破る、同時に彼の悲鳴が木霊する。

 彼の腕は見るも無惨な姿に変わっていた。

 

「ふふ、やはり異能の発動は問題ないみたいですね、ありがとうございます。貴方のおかげで私は安心してこの世界で過ごせそうです。」

 

 途中意味の分からないことを言っていた気がするが、そんなこと俺の頭に入ってこなかった。

 奴が喋ったと思えば俺はいつのまにか地面に倒れていた。何が起きたか理解できない、だが、これだけはわかる。俺は負けた…完膚なきまで

 

 俺は今人生で初めて後悔した。この化け物に挑んだ愚かな自分をこいつと俺を引き合わせた運命を心底呪った。

 俺はこんなところでくたばるのか…いやそんな筈はない!あってたまるか!俺はこんなことで死んでいい人間じゃねえ!

 生憎今の奴は油断してる、この隙に一撃叩き込む。

 

「調子に乗るなクソガキがぁぁぁぁ!これでも食らえぇぇ!」

 

 そういうと彼は近くにあった岩を思いっきり投げ飛ばした。その岩は彼女目掛けて飛んでいきその小さな体を押しつぶした。

 

「やった‥のか?フフフ、アハハハ、アーハッハッハ…呆気ないもんだなぁ!?俺をコケにした罰だあの世で泣いて後悔するんだなクソガキ!」

 

 喜ぶのも束の間、後ろから突如、聞こえる筈のない声が聞こえる、その声は先程殺した彼女の声と同じだった。

 

「初めての戦闘で思わず油断してしまいました。やはり敵の死を確認するまでは、警戒を解かない方が良いですね。」

 

「…は?…お前、なんで生きてるんだ?」

 

 そして、確実に目の前で殺した筈の女はさも当然に言い放つ。

 

「もし……『何かの見間違え』ではありませんか?」

 

 気味が悪かった、まるで人間じゃない別の存在を相手にしているかの錯覚を覚えた。コイツはイカれてる…なんてレベルじゃない。関わること自体が間違いだったんだ。

 

「お前は一体何者なんだ…?」

 

「私は【虚飾の魔女】パンドラと言っても貴方が覚える必要はありません。」

 

「安心してください、決して殺しはしません。ただ、私に関する記憶は消させてもらいます。」

 

 記憶を消すことは本来であれば忌むべき行為であるが、今の彼からすればこの化け物のことを忘れられることに歓喜し、むしろ早くして欲しいとすら思っていた。

 

「早くしてくれ、お前のことは一秒でも覚えていたくない…」

 

「この短時間で随分と嫌われたものですね…まあいいでしょう。貴方の中の、『今日に至るまでの思い出は、私の存在なしで完結する』こと。」

 

「ご自由に補完してください。そうですね。貴方は一生懸命に戦った。そのことはしっかりと心に刻んで、今のままでいてくれると嬉しく思います。」

 

 そうして彼の意識は遠のく、目が覚めると彼は、いつもと変わらぬ日常に戻ることだろう…その一部始終をある人物に見られていなければの話であったが…

 

「この辺りに強力な異能持ちが居ると聞いて来てみれば、とんだ収穫だ。あの異能は僕が使うに相応しい。」

 

 まるで新しいおもちゃを見つけたかのように笑うその姿は、あまりに不気味で心底楽しそうであった。

 

「【虚飾の魔女】パンドラか、君の異能は必ず手に入れてみせる。それまで楽しみに待っていてくれよ。」

 

 本人の意図しないところで物語は進んでいく…この時代、この世界に生まれ落ちた彼女は一体どのような影響を及ぼすのか…今はまだ誰も知らない。

 

 

「(能力を試すことはできたが口調パンドラから直すの忘れてたな。まあこのままでいっか、そっちの方が強者感あるし何かと都合が良さそうだ。さて次は食料と住まいの確保だな、どっかに宿とかないかなー。)」

 

 

 巨悪に狙われているとは夢にも思わず本人はかなり能天気であった。

 




 今書いてる作品の息抜きで書いたものなので、続くかは気分次第です。
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