テイルズオブレジェンディア~melnes~《本編完結》   作:舞@目標はのんびり更新

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ジェイ編

何故か草むらが気になった。職業柄、人が隠そうとしている物事には敏感な方だ。だから目立たない場所に何かがあると気付き、それを暴きたくなった。それだけの事だ。

だが草むらを覗いたとき、普段冷静なジェイにしては珍しく叫んでしまった。

「セネルさん!?」

そこにセネルが蹲っていた。

「……ジェイ?」

血の臭いはない。しかし顔色があまり良くない。焦点の合わない視線でジェイを見上げる。

「ここで何をしてたんです」

「……俺、寝てたのか?」

「……はあ!?」

絶句した。輝きの泉近辺には魔物の影は少ない。とはいえ皆無ではないのだ。こんな所で見張りも立てずに眠りこけるのはグリューネくらいしかいない。そもそもセネルは警戒心が強いタイプだ。体調不良でもない限り、あり得ない。それくらい、ジェイはセネルを信頼している。

「……セネルさん。僕達に隠し事、してますよね?」

セネルは嘘が苦手なタイプだ。モーゼスのように顔に出たり、嘘がつけないというわけではないだろう。しかし生来の気質なのか、嘘をつくよりは沈黙を選ぶ。

だから今回も、セネルは唇を噛み締める。

「……そりゃあ、俺だって知られたくないことくらい、あるさ」

「例えば、ご自身の出生、ですか?」

あえて、ジェイはセネルの地雷と思われる部分を踏み抜いた。

案の定、セネルは無言を貫く。そのまま立ち上がり、ズボンについた土を払った。

「……俺に、親はいないよ」

あり得ない。人間は動物と違い保護者の庇護が必要だ。そうでなければ生きられない。ジェイとてそうだったように。

「……ありがとな、ジェイ」

脈絡のない言葉にジェイは首を傾げた。

「俺、嘘はつけないし……皆には、つきたくない。けど……教えるのが、怖い。ジェイに聞かれて、やっと分かった」

「それは……卑怯ですよ」

ジェイだってそうだ。過去を知られたくない。遺跡船でモフモフ族に拾われて、ずっといていいのか悩んでいる。無償の優しさを受け取り続けるのが、怖い。

それは、セネルも同じだ。だから現在、仲間達の為に精力的に動いている。

「ジェイはいつだって冷静でいてくれるし」

「それは……皆さんが甘いから」

「ああ、俺は冷静になりきれないからさ。……だから、いざという時は、頼んだ」

「それは、どういう……」

「何かあったら、俺の家に来てくれればいいから」

「ちょっと、セネルさん!」

しかしセネルに答える気はないらしく、あっという間に立ち去ってしまった。

 

 

 

 

 

 

「お前、まだ続ける気か? もう限界だろう」

それが親切心だということは分かっている。負担を考えれば、止めた方がいいに決まっている。

だけれども。

「私、は……」

これは、甘えだ。ただひたすら期限を先延ばしにして、現実を見ないようにしているだけ。それくらい分かっている。けれども、手放すのが惜しいくらいには執着しているのだ。

「……分かっている。私は、結局のところ異分子だということは」

「そうじゃねえよ。そこまで覚悟決まってんなら、いっそのこと本気で紛れちまえってんだ」

青年の言葉に彼は目を丸くした。

それはすぐに頷きたくなるくらい、甘美な言葉だ。だが彼の矜持と……罪悪感が押し留める。

だから、青年は頭を振った。

「……いや」

瞼の裏で、とある女性の姿が浮かぶ。青年の心を動かした、今はもういない愛しい人。

「私は……この件を終わらせたら、眠りに就く」

それは、青年からしても想定外の言葉だった。

「なっ……本気か?」

「ああ、私達が常にヒトを守る必要はない。時には彼らを尊重しなければならない」

矢面に立ち災厄から守護することも時にはしなければならない。だが彼らは、自らの意思で困難に立ち向かう強さを秘めている。それを、彼は知った。

「だから私は離れよう。この自我を星に溶かし、彼らを見守ろう」

自意識を失くし、ただの機能となる。それはある意味死ぬのと同義だ。それを、青年は簡単に認めるわけにはいかない。

「……お前は、また俺に同胞の死ぬ様を見ろと言うのか」

「消滅ではない。眠るだけだ」

「もう二度と、目覚めることはないのに?」

「私の意思は星に満ち満ちる。常に寄り添うというのに、不満があるというのか?」

だが、彼の決意も固い。青年が何を言おうと実行するだろう。かつて来訪者達と会談すると、箱舟に向かった時のように。

「……私は、ヒトに近くなり過ぎた。今はいい、しかしいずれこの感情は重石になる」

そっと、彼は目を伏せた。

千を遥かに超える年月を過ごしてきたが、これ以上の経験は得られないだろうと思えるくらいに濃密な時間を得た。

だがその時間もいずれ終わりが来る。それが遅いか早いかの違いに過ぎない。そして時を見誤れば、醜い執着となり星を乱すだろう。それは彼も本意ではない。

「それにな……もう、疲れたんだ」

たった数十年。彼らからすれば瞬きにも満たない時間だというのに、彼の精神はあっという間に疲弊した。

「なあ、ラタトスク。私から銘を、力を奪った愚かで大切な同胞よ。どうか私の願いすら奪ってくれるな」

そう言われてしまえば、青年は何も言い返せない。

「……本当に、それでいいのかよ」

「無論」

青年の言葉で、彼は覚悟を望まぬ方に決めてしまった。だが、青年は彼の決意を翻させる言葉を持たなかった。

 

 

 

 

 

 

輝きの泉のほとりで、シャーリィとクロエが楽しそうに会話しているのを、セネルは離れたところで見つめるだけしかしない。

「あの2人ってば、どうしちゃったわけ?」

「俺が知りたいよ」

ノーマに聞かれても、セネルが知るわけがない。セネルはシャーリィの行動を管理しているわけではないのだ。けどこれは、悪いへんか

「ふ~ん、女子は女子同士か」

顎に指をあてていたノーマだが、すぐにノーマは思考を放棄した。

「何の話? あたしも混ぜて~~~!!」

「2人だけの秘密なんです。ね、クロエ?」

「うん、そうだな」

思わせぶりなやり取りに、面白くないのがノーマだ。

「急に真面目な顔してどうした?」

「リッちゃん、クロエって言ったね? 言ったよね? 絶対に言ってたよね? クーもなに冷静に受け止めてんのさ!」

シャーリィとクロエが顔を見合わせて、どちらともなく笑う。

「だ~も~、2人で通じ合ってるし~! 分かるように説明してよ~!」

「秘密です」

「秘密だ」

「うわっ、感じ悪っ! むき~! あたしだけ除け者か~! クーだけリッちゃんに接近してズルいぞ! あたしも仲良しにさせろ~!! させななさい! すみません、させてください。ねね、あたしも! あたしもノーマって呼んで!」

始めは高圧的な態度だったのに、どんどん下手になるノーマ。

「え、えっと……ノーマさん」

戸惑いながらもシャーリィがノーマを呼ぶが、それにノーマは拳を握りしめた。

「ちっが~う! 呼び捨てでいいの!」

「ノーマ」

そう呼んだのはクロエだ。これは完全に遊んでる。

「あんたが呼ぶなあ!」

「ノーマがいると楽しいね」

シャーリィの笑いながらの言葉に、じわじわとノーマは喜色満面な笑みを浮かべた。

「やった~! これであたしも仲良しだね!」

はしゃぐノーマに呆れるクロエ、笑うシャーリィ。

 

そんな日常の光景が愛おしくて、セネルは目を細めた。

 

「何だったんだかな」

「どうしたセの字、悩み事か?」

「いや、悩み事が解消したっていうか……まあ、大体そんな感じだ」

「……面倒な娘っ子の話か?」

モーゼスもシャーリィたちに目をやる。女性3人集まれば、というがとても楽しそうなので止めるつもりは全くない。

「何か言わないといけない、最初はそう思った。けど結局それって、全部が全部俺の自己満足に過ぎないんだよな」

軍に追われていたとき、セネルには焦りもあった。シャーリィを守るために自由を制限した自覚もある。ステラを死なせた責任もあり、必死にシャーリィを守ろうとした。

けどそれは結局セネル自身の為で、シャーリィの為になっていたかは分からない。

「行動で果たされる責任もあれば、黙って見守ることで取る責任もある」

ウィルの言葉には実感が籠っていた。ウィルも娘とのハリエットの仲で色々思い悩んでいたからだろう。

 

「……俺はもう、何もしちゃいけないんだ」

そもそもセネル・クーリッジは本来存在しないヒトだ。いつまでもセネルがいては、シャーリィの成長の妨げになりかねない。

 

「まじめな話はそこまでね。はいパパ、今度はこれ食べて」

何故か顔を見合わせていたウィルとモーゼスの間に、ハリエットが割り込んだ。差し出されたのはサンドウィッチと思わしき物体だ。セネルとモーゼスが躊躇する中無言で、ウィルは渡されたサンドウィッチを無言で食べ始める。

「よく食べられますね、毒物より恐ろしいのに」

ぼそりと呟いたジェイの言葉を、ハリエットはちゃっかり聞き咎めた。

「ジェイくん!」

「じ、冗談ですよ」

あたふためくジェイ。しかし幸いなことにハリエットはすぐにウィルと向き直った。

「どう? おいしい?」

「昨日の晩飯に比べれば、確実にうまいな」

ウィルの言葉を聞いて、ようやくセネルとモーゼスもハリエットが持ち込んだパンに手をつける。しかしそれはお世辞にも美味いとは言い難いものだった。

「ハティだって、やればできるんだから」

「のう、セの字……ワイ……なんだか気分が……」

「黙って食え……」

「ウィの字は大物じゃの……顔色ひとつ変えんで食うちょる」

「あら、とっても美味しいわねぇ」

先程まで精霊の種子を植えていたグリューネが、いつの間にかランチボックスの中身を食べていた。

「ここにも、大物がいる……」

むしろグリューネの場合、味覚というよりも込められた想いを感じ取っているのかもしれない。セネルは味覚が重要だと知ってしまったから、今更棄てるつもりはないけれど。

「はい、次は自信作のこれね。あ~ん」

だがウィルはきちんと味覚が生きているはずなのに、ハリエットへの愛で完食している。その根性に感服する。

「……ジェー坊、食わんとなくなるぞ。この喜びを分かち合わんでどうする?」

しかしジェイは無反応。ウィルとハリエット親子を見つめ、何やら考え込んでいた。そんなジェイに、モーゼスは何か悪戯を思いついたらしい。

「ジェー坊、あ~ん」

ジェイの口元に差し出したのは、ハリエット特製のサンドウィッチだ。

「な、なにバカやってるんですか!」

「家族との触れ合いじゃ!」

「気味の悪いことしないでくださいよ」

「何じゃと!」

「ジェイ、イキイキしてるキュ!」

「皆さんと一緒は楽しいキュ」

「ジェイがどんどん明るくなって、ポッポたちも嬉しいキュ」

「セネルちゃん達のおかげねぇ」

「言われてみれば、昔より愛想もようなったかの」

いつもなら、そこでジェイがモーゼスに反論するはずだ。だというのに、今日に限ってジェイの反応が鈍い。訝しんだモーゼスだが、生き生きとしてハリエットに声をかけた。

「……おチビちゃんや、すまんが自信作をひとつ分けてくれ」

「はい、いいわよ」

そしてハリエット作成のサンドウィッチを、ジェイの口に押し付ける。

「食らえ、ジェー坊!」

「……もがっ!」

突如として押し込まれた物体を仕方なしに咀嚼し、目を白黒させるジェイ。それでも礼儀として口の中のものを飲み込んでから、モーゼスに詰め寄った。

「こ、殺す気ですか!」

「ジェイくん、何か言った?」

剣呑なハリエットの声に、無言でジェイは首を振った。ハリエットの背後でウィルが睨みを効かせていたのは、きっと関係ないはずだ。

 

 

「は~い! 皆、あたしにちゅ~も~く!!」

そんな和気あいあいとしたピクニックの最中、ノーマが大声を出す。

「何の騒ぎじゃ」

「ええい、これを見よ!」

掲げたのは葉っぱ。その意味がセネルには分からなかったが、どうやらウィルは違ったらしい。

「そうか、今日は星祭の日か」

「星祭キュ?」

「ありゃ? ホタテは知らないの?」

「キュッポ達はホタテじゃないキュ!」

「ピッポ達はホタテじゃないキュ!」

「ポッポ達はホタテじゃないキュ!」

モフモフ族三兄弟の声がハモる。セネルも知らないが、ホタテの仲間入りをしたくないので黙っていることにした。

「ウィルっち先生、説明よろしく!」

説明を丸投げされたウィルは、呆れながらも教えてくれた。

「星祭というのは、葉に願いを書いて川や泉に流す祭のことだ」

「そうすると、何か起こるんですか?」

「書いた願いが叶うと言われている」

「そりゃ、ええのう」

「まあ、本当に叶うかどうか保証はないのだがな」

「何じゃ、おもろない」

「祭の始まった当初は、固く信じられていたのだろう。古くからある祭で、当時のことは何一つわかっていない」

起源が不明の行事。きっとこれも、大沈下で失われた文化のひとつなのだろう。

滄我の怒りは分からなくもない。だが、今の世代に罪があるのかと言われたらセネルは否定する。

「水に流す……か。もしかしたら滄我に、願いを託してたのかもな」

陸の民は未だ滄我の恩恵を受けられていないけれど。水の民が海を神聖視しているのを知って、そんな行事を始めたのかもしれない。

「俺も今ではそう思っている」

「ま、何じゃ? 要するに葉っぱにお願い書いて流せばええんじゃろ?」

「そそ、せっかくだからさ! 皆でやろ~よ!」

「……僕に願い事なんてありませんから、遠慮させてもらいます」

せっかく皆乗り気だというのに、ジェイは一礼してさっさと行ってしまった。

「ジェイ、待つキュ!」

その後を、慌ててキュッポたちが追いかけて行く。しかし彼らの手に葉っぱが握られていることを、セネルは見逃さなかった。

 

 

真っ先に書き終えたのはグリューネだった。

「世界が平和でありますように。やっぱりお願い事はこれで決まりよねぇ」

「流石グー姉さん! スケールが大きいね!」

「パパは何て書いたの?」

ウィルも予め願いを決めていたのだろう。手つきに淀みがない。

「食卓に平和が訪れますように」

「ちょっと、それどういう意味!?」

そのままの意味なのだが、詳しく説明すると絶対にハリエットは怒る。なのでウィルは逆に聞き返した。

「ハリエットは何を書いた?」

「ハティのはこれ、パパにうまいと言わせる!」

奇しくも親子共々台所事情を願いにしていたらしい。道のりは険しそうだが。

「クーは何を書いたの?」

「エルザに幸多き人生を」

「うわっ、優等生でやんの。つまらん女がここにいる~!」

「ワイのはこれじゃ! ギートが元気にやれるように!」

モーゼスは誰に聞かれるでもなく、高らかに宣言した。

「ふふん。皆、まだまだ甘いわね」

「優等生じゃないノーマは、一体何を書いたんだ?」

「スタイルが良くなりますように!!」

「しょ~もない願いじゃのう」

間髪入れず突っ込んだモーゼスに、ノーマが拳を振り上げて力説する。

「呆れたように言うなあ! あたしにとっては深刻なんだかんね! 最近、全然成長してないしさ! グー姉さんとまでは言わないけど、女として、クーぐらいになりたいのよ!!」

「私は関係ないだろう。……大体、目指すなら私程度ではなく、グリューネさんにすべきだろう」

「は~」

「な、何だ?」

ノーマは大きく肩を落としたかと思うと、クロエに詰め寄った。

「これだから素人はダメなのよ! 分かってな~~~~~い!! 全っ然っ! 分かってない!! クーには平坦の苦しみが分からんのか!! いい? 心して聞きなさいよ!! 返事は!?」

「は、はい」

「グー姉さんは最早人にあらず! 神の領域なのよ! 至高の芸術なの! あれこそ、まさしくこの世の奇跡!! 流石のあたしだって、神に挑戦しようとは思わないわよ!! 現実的にいけそうなとこを狙って、クーを目指してんの! 今更グー姉さんみたいになれないのは、あたしにだって分かってんのよ! この微妙な乙女心が分からんとは、クーの人でなし! クーのバカ!!」

「わ、分かったから、落ち着け」

「これが落ち着いていられるか~! ぬお~~~っ!」

暴れるノーマに、どうしていいか分からずオタオタするクロエ。その隣でシャーリィがぼそりと、

「私もクロエが羨ましい」

そんな事を言い出した。

「シャーリィまで何を言ってる!」

「だって……」

「だってじゃない!」

「と・に・か・く! あたしの願いはこれしかないの! リッちゃんのお願いだって、きっと似たようなもんでしょ?」

「え? わ、私は……」

突然矛先を向けられ、狼狽えるシャーリィ。

「シャーリィは何を書いたんだ?」

シャーリィの願いはセネルも知りたいところなので、覗こうとしたら何故か全力で拒否された。

「み、見ちゃだめぇぇぇっ!!」

「ご、ごめん」

どうやら若い女性の機微は、まだセネルに分かりそうにない。なので謝るという選択肢を取ることにしたが、ノーマやクロエにまで詰られた。

「「「ひとでなし」」」

「ごめん、本当に悪かった。反省してる、許してくれ」

こうなってはセネルの立場なんて紙きれよりも弱いもので、誠心誠意頭を下げるしかない。

「まあ、セネルちゃんは2枚書いたの?」

おっとりした声が背後からかけられて、思わずセネルの肩が跳ねた。

「うわ、セネセネってば強欲〜」

「欲張りな男はモテんぞ」

「違う。……書き損じたんだ」

証拠に、塗り潰された葉ともう1枚を見せる。

「えっと……皆が、いつまでも幸福に?」

「うわっ、ここにもいたよ優等生! つまらん男がここにいる~!」

そう囃し立てるノーマだが、それを聞いたウィルは暗雲が立ち込めるような心地になってしまった。

「セネル」

「ん、何だ?」

セネルのいう「皆」に、セネル自身は含まれているのか。

「……いや、何でもない」

尋ねようとして、結局ウィルは聞くことが出来なかった。

聞いてしまえば、この穏やかな日が壊れてしまうような気がしたのだ。

 

ウィルの懸念は当たっていた。しかし暗雲というのはこちらが望んでいなくとも訪れてしまうもので。

 

 

8人が揃ったのは、この日が最後だった。

 

 

仲間といつまでも。

星祭で流すことが出来ず、塗り潰すしかなかった願い。これが叶うわけがないことは、セネルが一番良く知っていた。何せこの願いを反故にするのは、セネル自身なので。

だからせめて、彼らの短い生に少しでも幸が多からんことを祈るだけ。

セネルはそっと、握り潰した葉を泉へと棄てた。

 

 

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