テイルズオブレジェンディア~melnes~《本編完結》 作:舞@目標はのんびり更新
3つ目はイベントのネタバレを含みます。
「クーリッジ、頼みがある」
やけに緊張した様子のクロエに、セネルは小首を傾げた。
「どうしたんだ、一体」
「私と……手合わせしてくれないだろうか」
突然の申し出だが、セネルに断る理由はない。今まで何度も共に鍛錬をしているのだから、そう畏まる必要もないはずだ。
「それくらい問題ないが……」
「そうじゃないんだ」
慌てて、クロエは頭振った。
「……クーリッジには、槍を使ってほしいんだ」
その申し出に、セネルは目を瞬かせた。
ヒトに身をやつし陸の民の街に紛れているが、セネルの本質は精霊だ。つまり、陸の民で言うところのブレス系が本職である。
しかし核を砕かれ、ブレス系を使えなくなってしまった。扱えるマナが格段に減り、より少ない力で最大限の効率を求め、試行錯誤した結果が、アーツ系爪術を用いた格闘術だ。
しかし、メルネスが最も得手としていたのは槍である。ブレス系を使うのすら面倒にな時、或いはラタトスクと意見が衝突した時等、メルネスはその槍を振るった。
カンカンと、乾いた音が断続的に響き渡る。クロエの木剣と、セネルの棍がぶつかり合う音だ。
棍の間合いはクロエの木剣より広い。突きが主体で、握る箇所を変えることで間合いは更に広がる。加え、剣にはない円運動でクロエの攻めは簡単にいなされてしまう。
普段の格闘術が剛なら、今のセネルの戦い方は柔。セネルがクロエの型を熟知しているというのもあるだろう。完全に攻めあぐねていた。
「……いいなぁ」
打ち合いをするセネルとクロエは楽しそうで。その間にはシャーリィが割って入ることの出来ない信頼関係がある。
「そうかぁ?」
そこに疑問を投げかけたのは、いつの間にかいたラタトスクだ。
「ひゃあ!?」
まさか隣に誰がいるとは思わず、独り言を聞かれてしまった。しかもその相手は主神。驚きと羞恥で思わず声を上げてしまったシャーリィに、瞬時にセネルが反応した。
「ラタトスク、貴様シャーリィに何をした」
先程まで握っていた棍はいつの間にか三叉の槍へと変化し、鋭い切っ先はラタトスクに向けられていた。
「誤解だ誤解! 何もしてねえよ!」
「そ、そうだよお兄ちゃん! 何もされてないから!」
「……シャーリィ、ラタトスクに遠慮しなくていいからな」
「してないから、大丈夫だよ!」
慌てて両手を挙げるラタトスクに、シャーリィもフォローを入れる。
しかしセネルの目は据わっていて、すぐにでもラタトスクを槍で貫きかねない剣呑さを孕んだまま。
「……そうか」
それでもシャーリィの言葉を聞き入れ、渋々セネルは槍を下ろした。
「悪い、クロエ。中断させた」
「気にしないでくれ。……私も驚いた」
まさか水の民が奉じる精霊が、陸の民が住む街に程近い場所にいきなり現れるなんて誰も思わないだろう。
「それで、何か用か?」
「何だ、用がなきゃ来ちゃいけねえのかよ」
「そうは言っていない。だが、今まで陸の民を嫌っていた貴様が何故顔を出す」
あの時は、シュヴァルツの対処が優先だった。だから陸の民を助けた。しかし被害が落ち着いた現状、ラタトスクが陸の民と直接関わる必要はないはずだ。
「ああ、嫌いだね。だけど、嫌ってばかりじゃいられねえだろ。……俺は、陸の民に対して無知過ぎる」
ラタトスクもラタトスクなりに、後悔しているのだ。
メルネスが戻ってこなくて、怒りのあまり陸の民を根絶やしにすると宣言した。それが、数千年も続いた泥沼の抗争の始まり。
滄我に忠実な水の民は愚直に従い、数え切れない程の同胞が斃れて、徐々に数を減らしていった。
それでもラタトスクは争うことを止めなかった。ここで引いたら同胞の死が無駄になると、ますます頑なになった。忠臣の諫言にも耳を貸さず、引き際を見失い、大陸を全て失くすため同胞の命を利用した。
そして、大切な同朋の声にも気付かなかった。
「だから、少しでも知ろうかと思ったんだよ。……取り敢えず手始めにミミーとかいう訳分からん奴からレシピを貰ったんだが」
「ミミー?」
思わぬところで思わぬ名を聞いてしまい、セネルは顔を顰める。
「何だ、知り合いか」
「……認めたくないが」
可能なら出会いたくない、もし見かけたとしても全力でスルーしたい部類だ。というかラタトスクが料理をしている姿が想像できない。
まあ、それを言ったらメルネスが料理をしている姿の方が想像できないと言われそうなので、セネルは口を噤むことにした。かつてはメルネスの方が人間味が薄かったことは自覚しているので。
「……ラタトスク様が、ミミーと」
「……というか、料理するのか」
「ああ、それで雑貨屋での目撃情報があったんですね」
またもや声が割り込んできた。
「ジェイ!」
「ジェイさん」
「こんにちは。セネルさんが変わったことをしていると思ったら……随分と興味深い話が聞けました」
どうやらジェイはセネルとクロエの手合わせから観察していたらしい。
「ところでセネルさんにひとつお聞きしたいんですけど……その武器って、自在に形を変えられるんですよね?」
「ああ、そうだけど……」
「という事はセネルさん、他の武器……例えば剣とかも使えるんですか?」
「……やろうと思えばやれるけど」
言いながら、セネルは槍を剣へと変化させる。セネルの思う通りに形状を変えることが出来るが、使いこなせるかどうかは話が別。
「でも剣はクロエより劣るぞ」
「剣術も並ばれたら、流石にショックだぞ」
「むしろ、剣ならラタトスクの方が上じゃないか?」
「あ、そこで俺に振るのかよ」
「ほぅ」
「……そういえば、水の民の剣士として活躍してましたもんね」
水の民の剣士の噂は結局噂のままで、誰も正体を知らない。だが彼らはその正体が人型を取ったラタトスクだと知っている。
クロエの闘争心とジェイの好奇心に火がついたらしい。陸の民2人ににじり寄られるラタトスクを他所に、セネルはシャーリィの隣に腰を落とした。
「お疲れ様」
「ああ、やっぱりクロエは強いな」
額に薄っすらと滲んだ汗をタオルで拭う。
「あれでラタトスクは面倒見良いし、きっかけさえあれば馴染めるだろ」
「……うん、そうだね」
セネルの横顔を、シャーリィはこっそり盗み見る。普段よりも大人びて見えるのは、ラタトスクがいるからだろうか。垣間見せるセネルの別側面、メルネスとしての顔。この時ばかりは、セネルはシャーリィの兄ではなく星の守護者となる。そうなると傍にいるはずなのに遠くにいるような気がして、それが少し寂しかった。
でも今のセネルは楽しそうで、距離が近い気がする。セネルにとってラタトスクは気の置けない間柄だからからだろう。先程の対応もかなり雑だった。
「へえ、セネルさんからはそう見えるんですね」
セネルを挟んだ反対側に、ジェイが並ぶ。
ラタトスクとクロエは2人の間で合意出来たのか、向かい合い……同時に地面を蹴った。
「まあ……今までのアレの怒り具合を考えると、そうは見えないよな」
「でも今のセネルさんも、第一印象からするとかなり変わりましたし」
「それはジェイもだろ」
苦笑し、剣を苦無へと変化させる。
かつては子供という体格を生かし、暗器を使っていた事もある。その後は拳闘へと移行したが、剣より馴染み深いというのはジェイには内緒にしておいた方がいいだろう。
そんな時、ドタドタと足音がしてノーマが駆けてきた。
「よっすセネセネ、それちょーだい」
あまりの展開の唐突さに、セネルたちは無言になってしまった。どうやらセネルの持つ、形状の変化する道具に目をつけたらしい。
「……何だよ突然」
「……ノーマ」
「ノーマさん……相変わらず、騒々しいですね」
「あれ、リッちゃんとジェージェーもいたの」
「……どれだけ目に入ってないんだよ」
呆れながら、セネルは武器を消した。
「あ〜!」
「これは渡せる物じゃない」
「え~、セネセネのケチんぼ!」
「ケチで悪かったな。それに、ノーマが持ったとしても使えないぞ」
これは自身を構成するマナを変形させたもの。要はセネルの一部なので渡すことは出来ない。だがそれがノーマには納得がいかないようで、頬を膨らませた。
「ぶ〜ぶ〜、ズルいぞ〜」
「そう言われてもだな……」
「全く、何を言うんだノーマは」
呆れ果てるセネルの向こうから、クロエがやって来た。
「おんや、そこにいるのはクーと……ラタぽん?」
「……まさかとは思うが、俺のことか?」
突然の渾名に、ラタトスクが顔を引き攣らせる。
「何だ、この失礼なガキは」
「失礼とは何さ、見た目そんな変わんないじゃんかよ〜!」
「ハッ、見た目でしか判断できねぇのか」
腕を組み胸を反らすラタトスクと、腕を振り回すノーマ。はたから見ると、正直どちらも大差ない。
「……見かけによらないというか、見た目通りというか」
「判断に悩むところ、ではあるな」
「……ノーマったら」
「それが、ノーマの良い所でもあるんだけどな」
トラブルメーカーではあるが、周囲に気を配れる。騒動を起こすが、結局憎めないヤツなのだ。
良くも悪くも水の民のコミュニティは閉塞的で、ノーマのような劇薬はなかなかいない。これも良い機会だろう。
「……シャーリィ、これからアイツが迷惑かけるかもしれないけど、よろしく頼む」
「えっと……ノーマのことで、いいんだよね?」
シャーリィの確認に、セネルは曖昧に微笑むに留めるしかなかった。
≈
シュヴァルツの件が一段落し、魔物の凶暴化も収まった。すると当然だが魔物からの被害報告も少なくなった。
「何か、つまらんのぅ」
モーゼスがボヤくのも無理はない。遺跡船の魔物が、目に見えて大人しくなったのだ。
「そうか?」
「不謹慎だぞ、モーゼス」
だが平和なのはいいことなので、セネルは首を傾げたしウィルも溜息をついた。
「近頃、魔物どもが目に見えて大人しくての。なんか、こう……首輪つけられとるみたいな」
言語化が苦手なモーゼスにしては的確な表現に、思わず苦笑する。
「流石だな、モーゼスは」
魔獣使いなだけあり、モーゼスは遺跡船に棲む魔物の変化を機敏に察知していたらしい。
「……セネル。どういう意味だ」
「あ」
ウィルに指摘され、セネルは口を滑らせていたことに気付いた。
「……あー、うん」
少し考え込んでから、諦める。どうせウィルなら悪いようにはしないだろうし、良識もある。もしも世間に知られてはいけないと判断したらそのまま口を噤むだろう。
「ようやくラタトスクが仕事し始めたからだろ。特にウェルテスや水の民の里周辺は睨み効かせてるし、直接契約した魔物もいるみたいだしな」
「待てセネル、それはラタトスクが魔物を使役しているということか?」
「ああ。普段はラタトスク直属の配下であるセンチュリオンが魔物を使役し、マナの循環をさせる。だからラタトスクは魔物の王でもあるんだ」
「魔物の王、だと?」
「魔物の王、じゃと?」
何故かウィルとモーゼスの目が輝いた。
「……つまり、ラタトスクに頼めば魔物の生態を研究できるというわけか?」
「ゲートとの腕試しも、ラの字に頼めばいけるんかいの」
「俺じゃなくて、ラタトスクに聞いてみてくれ」
若干辟易しながら、セネルは茂みから飛び出してきたベアに水弾を放った。
あまりにも自然な動作。規模からして初級レベルだろうが、それでも威力は段違い。発動に必要な詠唱をした様子もなかった。この程度なら、精霊にとっては呼吸も当然なのだろう。
「……見事だな」
「ワイの獲物!」
ウィルの感嘆は、モーゼスの悲鳴に掻き消された。
「こうなったらセの字よりも多く仕留めちゃる! ヒョオオオオオッ!」
そして何処かへ走って行った。
「………」
「………」
「……セネル、アレは大丈夫なのか?」
魔物は脅威だ。だから討伐もされる。だが魔物が世界の調停に一役買っていて、個体数を減らすのが星に良くないのだとしたら。
だがウィルの懸念をセネルは笑い飛ばした。
「問題ないさ。多すぎても困るし、ラタトスクが契約してるのは殆ど……」
だがセネルはそこで口を噤んでしまった。
ラタトスクが主に直接契約を結んでいるのはゲート属だ。それを知るとウィルは暴走するのが目に見えているし、とばっちりを受けたくない。
「セネル?」
「……いや、何でもない。とにかく問題ない」
好き好んで面倒事に首を突っ込みたいわけではないのだ。
≈
誰かに見られているような気がする。
艦橋で謎の発光現象が起き、ノーマとモーゼスは行方不明。あの2人なら何かしらのトラブルを起こしてもおかしくないという、悪い意味での信頼もある。本当は放置したいが、これ以上騒動を大きくするわけにはいかない。モフモフ族からの情報で艦橋の次に発光現象が望海の祭壇で起きたと聞き、急いで最寄りのダクトで祭壇まで向かう。
「……シャーリィ。大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ。辛い思い出がある場所だけど……」
望海の祭壇は、シャーリィが託宣の儀式を行った場所。つまりはシャーリィを庇いフェニモールが死んだ場所だ。
「……託宣の儀式の前に、フェニモールに言われたの。自分を幸せに出来ないやつが、他人を幸せになんてできるわけ、って」
「フェニモールが、そんな事を……」
ガドリアの騎士の独断で犠牲となった、シャーリィの初めての友達。短い間しか一緒にいる事が出来なかったけれど、フェニモールは親友だと胸を張って言える。
「だから私、幸せにならなくっちゃって、いつも思ってる。テューラとも、よくその話をしているよ」
「……そうか」
双子の妹であるテューラは最初あまり仲が良くなかった。テューラが一方的にシャーリィを敵視していたが、大分仲は改善されているらしい。
村ではメルネスという肩書の所為かシャーリィに友達は出来なかった。だが今は同性の友人が増えている。それがとても喜ばしい。
望海の祭壇に、モーゼスもノーマもいなかった。だが、セネル達が来たことで姿を現したのが1人。
「よう、どうしたんだ?」
片手を上げ、気安く声をかけてきたのはラタトスクだ。
「ここにノーマが来なかったか?」
「ノーマぁ? あの喧しい陸の民の女だったか? 来てねえぞ」
「そうか、じゃあ謎の発光現象については?」
「それこそ知らねえな。この船に関しちゃ、俺よかテメエらの方が詳しいだろ」
陸の民の施設は忌む物だ、だから理解しようとすらしなかった。聞かれたところで分かるわけがない。
「皆さん、今度は光跡翼で発光現象です。それと、灯台にあった機関車が昨夜のうちに消えていたそうです」
どうやらここは空振りらしい。重々しく、ウィルは息を吐いた。
「何なんだ、本当に」
「発光現象との関連は不明ですが、目撃情報によると、機関車はノーマさんが乗っていったようです」
「やはりノーマか……人騒がせだな」
「見つけたら特大の拳骨を喰らわせてやる」
拳を握りしめるウィルを見て、そっとセネルたちはノーマの冥福を祈った。
「先に光跡翼に向かいましょう。ルートは開拓してありますから、天翔ける軌跡を使わなくとも大丈夫ですよ」
「流石ジェイだな」
「別に……それ程でもありませんよ」
クロエの称賛に、ジェイはそっぽを向いた。しかし耳が赤いのは隠せていない。
「……なあラタトスク。何も問題起きてない、よな?」
歯切れの悪いセネルの言葉に、ラタトスクは察した。
セネルは、メルネスとしての権能を封じてヒトに紛れている。つまり星への知覚も鈍っているのだ。
だから、違和感を感じつつも『彼女』が現在進行形で介入していることに気付けていない。
「へ〜」
「……何だその視線と笑いは」
「いんや〜、面白いことになりそうだなと」
「どういう意味だ」
「気にすんなって。いずれ分かる」
ラタトスクの態度から悪いことではないらしい。だが小馬鹿された言動は純粋に腹が立つ。
「おっと」
だがセネルが拳を握りしめるや否や、ラタトスクは姿を消してしまった。
「ま、いずれ分かるって」
「おい!」
ここで追いかけるのも大人気ないので、仕方なしにセネルはブレスを放つのも諦めた。
「……お兄ちゃん、何かあったの?」
「いや、何でもない。何でもないんだけど……何かある、らしい。取り敢えず星の危機とかじゃないんだけど……何隠してるんだアイツ」
少なくとも切羽詰まっているわけではない。それくらいはセネルにも分かる。だが何とも言えないもどかしさがある。
こういう時ばかりは、鈍い器がもどかしい。
「……まあ、星の危機じゃない事が分かっただけでも良しとしましょうか」
「そうだな、光翼跡へ向かおう」
ラタトスクが笑う理由をセネルが知ったのは、この日2度目の望海の祭壇に向かうときの事だった。
ノーマと合流し、発光現象はノーマが機関車の発掘をしていた際に起きたことだと分かり、騒ぎを起こした罰としてノーマが殴られた後。ノーマはまず、グリューネに挨拶をしようと言い出した。
「グリューネさんに、ですか?」
「そそ! 望海の祭壇から声かけたら、グー姉さんに届く気がするんだよね。おーい、グー姉さーん!」
『はあ~い!』
その時、セネルは間違いなくグリューネの声を聞いたのだ。
そしてその傍から、泣きたくなるくらいに懐かしく愛しい気配を感じた。
「……そういう、事か」
「お兄ちゃん?」
上を向き、手で目元を覆う。何かが零れそうになるのと同時に、笑いも漏れてしまった。何せグリューネらしい緩さだったので。
「何? どったのセネセネ」
「……いや、何でもない」
ゆっくりと、頭を振る。
「え〜、絶対、何かあったっしょ」
「……もしやとは思うが、グリューネさんが?」
恐る恐る訊ねるクロエに、セネルは無言で笑みを浮かべるのみ。
「……まさか」
「本当に」
「グリューネさんが?」
「……ノーコメント」
違うのなら違うと言えばいい。けれどセネルは否定できない。だから、回答拒否はもう答えと同じだ。
「ええ〜!?」
『ちょっとこれ大丈夫なんですか!? セネルに聞こえてたっぽいですよ!?』
『そうねぇ、セネルちゃんは聞こえちゃうわねぇ。でも大丈夫よぉ、わたくし、神様だから何でもありなのよねぇ』
『えええええ!?』
「……ま、グリューネさんだし」
「……そうだな。グリューネさんだからな」
「ですね」
「……いいのかなぁ」
「いいんじゃないか? グリューネさんだしな」
グリューネの姿は見えず、彼らは直接会話をすることも出来ない。けれど見守ってくれている。
「……世界に負が満ちれば、再びシュヴァルツは現れる。なら、その対の存在はどうすればいいと思う?」
セネルの言葉に、仲間たちはにんまりと笑った。
立場上、明言は出来ない。グリューネの存在より星の未来を選択したけれども、セネルにとっては大切な仲間であることに変わりはない。
「成程、な」
「……そういえば、シュヴァルツもそんな事を言ってましたね。迂闊でした」
「なら、私達も努力するしかないな」
「うん! お兄ちゃん、私、頑張るよ!」
「よ~し、張り切ってこ~! ……あれ、何か忘れてるような気が」
ピッポ、キュッポ、ポッポが録音ホタテを持ってくるまで、セネルを含めた全員が何かを忘れていたことすら忘れていた。
サントラのリメイク、だと……!?
ゲーム本編じゃないのかよ! 買うけど!!