嘘つき天使のショータイム 〜その奇跡、詐欺です〜   作:蒼く生きる

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こちらは第一話になります。


第一羽 angel's gift Part1

「…そうみたいねー。記録にそう書いてある。…浮島環。幼少期から虐待三昧。おまけに両親揃って自殺!うん。あーしじゃ耐えられないわ、こりゃ。…でもその後、金持ちな夫婦に引き取られて…」

「最悪な人生を歩んだ。そう書いてない?」

夫婦はいい人だったよ。特にカレーが美味しかったね。でも…「家族」じゃなかった。

夫婦はいつも僕に遠慮してた。僕に同情して。

花瓶を割っても怒らない。赤点とっても褒め倒す。

…ずっと僕に…敬語で話した。

僕にとって…本心を隠すあいつらは詐欺師だった。

 

僕はそんなことしてほしいワケじゃない。思いやりは時に暴力よりも痛い。優しさの檻は厳しさより窮屈。

…こんなの家族じゃないだろ?

喧嘩したっていい。ぶつかったっていい。対等な立場で話がしたいだけだった。なのに———

「…家族を知らずに生きてきたんだ。」

「…。」

天使の言葉が僕を抉る。全く、ホント冴えてる。

最初の家族は僕に奴隷のように鞭を振るい、最後の家族は僕を王様のように奉った。

平民浮島環にはなれなかった。

「…だから詐欺師になったってワケね?」

凄いね。何でも記録してる。ギャルって実は頭いい説あるな。…やはり只者じゃないみたいだ。

「…そうだね。人は決断を迫られると本性が出るんだ。…僕に本心をさらけ出してくれて嬉しかったね。…すごく。」

これは嘘じゃない…本当だ。…本当なハズ———

「そう!君は確かに喜んでた!本音を引き出せた事に!!だから私は君をスカウトするよの!!」

後ろの扉からとんでもない爆音が聞こえてきた。耳が痛いね。それにしてもどこかで聞いたことが…あ、平成のツンデレヒロインかな?

 

 

声の主はメタトロンと同じ白スーツの天使。でも…オーラが違う。翠色なんて見慣れない髪色にオリンピック級の銅色の瞳。そして何より…メタトロンより眩く光る光輪がそれを物語ってる。

「あ、先輩。ちーっす。」

どうやらこの人、メタトロンの先輩らしい。悪いけど知性は感じない。カモ寄りの性格だね。

「…スカウト?僕を?ポジションはピッチャーとか?」

「いや違うわよ!!…君を天使にしてあげようって言ってるの。」

「え?」

天使?僕が?詐欺師だけど採用条件満たしてるのかな?

「悪いけど僕は透かしっ屁で異世界転生することにしたんだけど?」

「アハッ!あんた異世界なんて本気で信じてるワケ!?まじウケるんですケド!!」

メタトロンがケラケラ笑いながらそう言った。

「…え?僕の罰は?」

「ネタバラシしてあげてよ、先輩。」

「…実はね…異世界転生は嘘だったのよ!クソザコスキルを通して君の本質を暴くためのね。同情されたらきっと本性を出すでしょ、君。」

「ハァ!?」

詐欺師なのに騙されるとは…でも不思議とやな感じしないね。

「君は他の悪人とは違う。行動原理は悪意じゃない…ただ純粋に対等でいたかっただけ。金じゃなく…心を欲した。更生する希望はある。それに君には人の心を掌握する力がある!!お悩み解決にピッタリじゃないのよ!!」

…どうやらこのヒロインさん…僕に悪意がないなんて本気で思ってるのかな?陽気な僕に惹かれる気持ちはわかるけど…

「僕は君たちが思ってるより優しくないからね。」

「いいえ?残念だけど君は優しい子。それを今から証明してあげるわ。」

「…。」

「君には天使の資格がある。」

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