尻尾生えたせいで日常生活がヤバい   作:きちゅね

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 動物って人間生活しんどそう


生えた

 

 

「これは、とても珍しいスキルを取得しましたね!」

 

「えーと...」

 

 俺の目の前に興奮した様子の白衣を着た男が、聞いたこともない専門用語でマシンガントークを繰り出してくる。

 

 唾を飛ばさないタイプのマシンガンで助かった。

 

「この系統のスキルは、世界で貴方含め5人目です!日本では初ですよ!初!」

 

「は、はぁ...」

 

 会話についていけず思考が追いつかない。

 

 とりあえず珍しいことしか分からん。

 

「とりあえずサンプルだけ貰ったから今日は、帰っていいよ!気をつけて帰ってね!」

 

「ありが...もういねぇ...」

 

 スキルを使ったかのような素早さで裏にはけていった専門家の男に驚きながら部屋から退室する。

 

 廊下を歩いていると他者の視線が突き刺さる。詳しく言えば俺の頭と背後に。

 

「なんで、消せないんだよこの耳と尻尾...」

 

 俺の背後でゆらゆらと揺れる金色の耳と尻尾。

 

 まぁ、要するに、

 

「なんでスキルが、狐なんだよ...」

 

 狐になってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま〜」

 

「お帰...あんたどうしたの!?」

 

 家に帰ってただいまと言うと母が俺の容姿を一目見て驚く。

 

 そりゃそうだ、朝に出かけた息子が耳と尻尾つけて帰ってきたんだから。

 

「とりあえず、御飯時に話す」

 

「わ、分かったわ...?」

 

 いまいち理解が追いついていない顔をしているが無視だ。俺も理解が追いついてないし。

 

 手を洗いうがいをし自分の部屋へと辿り着き専門家に渡された袋を置きリビングへと戻る。

 

「あ、兄ちゃん帰って...って、えぇ!?」

 

「驚くな妹、俺も驚きたいから」

 

「いや、兄ちゃんそれ何?」

 

「御飯時に纏めて話すから待て」

 

 リビングでテレビを見ていた妹が俺の姿を見て声を上げる。

 

 テレビを差し置いて俺の容姿をマジマジと見る妹の視線が突き刺さる。

 

「そんなに見んなよ」

 

「いや、無理でしょ。ていうか触っていい?」

 

「いいぞ」

 

 触るぐらいならということで尻尾を動かして妹の目の前に差し出す。

 

「うわ、動かせるんだ」

 

「第三の手足みたいに動かせるぞこんな感じに」

 

「うわっ!?」

 

 妹の腰に尻尾を巻きつけて持ち上げる。

 

 重さはほとんど感じない。妹が軽いのか、尻尾の力が強いのか。

 

「絶対に後者だな」

 

「オイ」

 

「痛い痛い痛い!?やめて!俺が悪かったから!」

 

 何かを感じ取り腰に巻き付く尻尾の毛を鷲掴みにする妹により、悶絶する羽目になったが反抗しては、負けてしまう。

 

 いつか、復讐すると誓っていると父が帰ってきた。

 

「ただいま〜」

 

「お帰り」

 

「なんでコスプレしてんだ平良?」

 

「コスプレじゃねえよ」

 

 あ、俺の名前は、九里平良(くりていら)だ。

 

「とりあえず御飯時に話すよ」

 

「そうか、じゃあ着替えてくるからお母さんの手伝いしてこい」

 

「へーい。奈々美も手伝え、いつまで尻尾触ってんだ」

 

「手触りいいもん」

 

「後で父さんも触らせてくれ」

 

「嘘だろ...?」

 

 そう言って部屋に去っていた父を見送った後、手伝いに行くためにキッチンに行くと。

 

「まって!」

 

「どうした?奈々美」

 

「...抜け毛がすごい」

 

「...」

 

「...兄ちゃん絶対にキッチンに入らないで、ご飯に毛が混入する」

 

 そう言った奈々美は、手を洗い毛を洗い落としご飯の支度を母と共にしていく。

 

 俺は、試しに尻尾を掴んでみた。

 

 エグい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、どうしたんだ?」

 

「え〜と、今日こんなことがありまして...」

 

 俺は、今日あったことを説明した。

 

 ダンジョンの資格を取りに行ったこと、魔物を倒してスキルを獲得したこと、そのスキルが珍しく世界で5人しかいないこと、日本では初のスキル保持者ということ、そして、

 

「尻尾が消せない」

 

「いや、嫌がるとこそこ?」

 

「抜け毛」

 

「納得」

 

「そんなに酷いのか?」

 

 納得した表情をする妹とは反対に疑問の表情を浮かべる父と母に尻尾を差し出す。

 

 父と母は、目の前に現れた尻尾に驚きながらも触れた。

 

 最初は、気持ちよさそうに触っていた2人だったが手のひらを見た瞬間に絶望の表情を見せた。

 

「朝起きた枕元みたいになってる...!」

 

「いや、そこ?」

 

「お父さんにとっては死活問題なんだぞ...!」

 

「いや、触れづらいから」

 

 ちなみにお母さんは、うわごとのように「掃除...掃除が...」と死んだ目で呟いている。スマソ。

 

「まぁ、多分換毛期だから夏になったら抜けなくなると思うからそれまでの辛抱だよ。母さん」

 

「後、一ヶ月半...」

 

 それまでは、耐えてくれ。俺も掃除するから。

 

「とりあえず明日の学校は、休みになった。公欠」

 

「まぁ、世界で5人だけのスキルだもんね。検証とかあるだろうし」

 

「いや、制服がない」

 

「そこ!?」

 

 別に登校してもいいと言われているが尻尾が通る制服が無いため専用の制服を作ってもらっている。

 

 それまでは、公欠でいいらしい。

 

「制服以外にも私服とかパジャマも専用の作ってもらってるからそれまでは待機」

 

「ていうか平良の着てる服見たことない服ね」

 

「急ピッチで仕上げてもらったんだよ元々着てる服が尻尾で爆散したから」

 

「一応聞くけどどこで?」

 

「ダンジョン内」

 

「「「うわぁ...」」」

 

 思い出すと恥ずかしくて死にたくなる。

 

 レベルが上がると同時に服と下着が破れて尻尾が突き出て破れた瞬間に絶望を感じた。

 

 その後、破れた服を巻き付けながら近くの人に運営を呼んでと頼んだ時の恥ずかしさ。

 

 ていうか、尻尾で隠せば良かったやん。

 

「まぁ、そういうことで服ができるまで自宅待機かな。ご馳走様」

 

「とりあえず兄ちゃんは、部屋から出てくんな」

 

「必要なものがあったらLINEしてね」

 

「扱いがウイルス感染者だな」

 

 家族からの扱いが酷いと感じるが気にせずに部屋へと戻る。

 

 今日一日で起きた異常事態によって脳が疲れている。

 

 俺は、何も考えずにベットに倒れ込み寝る支度などせずそのまま夢の世界へと旅立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お母さん』

 

『何?』

 

『粘着クリーナー買ってきて』

 

『御愁傷様』

 






 ちなみに猫も抜け毛エグい
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