真人救済ルートin渋谷事変   作:祈月4777

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療養&会議in湯けむり温泉

そして、まずはこの倉庫を出て、

休める場所を探そうという話にまとまった祈月と真人。

渋谷周辺を離れ、郊外の森へと移動した。

 

山の斜面、廃墟寸前の旅館の地下ーー

そこから自然の地熱で湧き出す小さな温泉。

 

ぬるめの湯けむりが静かに揺れる中。

戦闘の余波をもろに纏い,血や泥まみれ、

髪ボサボサの呪霊ふたりが、ざぶーんと肩まで浸かっていた。

 

祈月「.....生き返るぅ......」

真人「~~~~はあぁ〜〜~......!!」

ふたりとも、頭まで湯に沈みそうなほど、全身脱力。

 

当然,混浴。全裸。

でも、どちらも一切の羞恥心ゼロ。

なにせ、呪霊だから。

 

ふたりのとろけた声が湯に溶けて、

木々のざわめきと混じりあう。

静けさが、今はただ心地よかった。

しばしの沈黙のあと、真人がふと空を見上げた。

 

真人「陀艮……もしかしたら、

まだ生きてるかもしれないんだよな」

 

祈月「……うん」

 

真人「どこでどうなったか、見てないし。

魂も……ちゃんと感じ取れてない」

 

祈月「……だったら、探しに戻ろ」

 

祈月は湯の表面を見つめながら、小さく,しかしはっきりと言った。

 

祈月「“真人の仲間”なんでしょ?なら、あたしも会いたい」

「……でも、今は無理だよね?」

 

真人,祈月が陀艮捜索にあっさりOKしたことに,

少しぽかんとした顔を見せたが,

すぐにいつもの軽口テンションに。

 

真人「うん。今戻ったら、たぶん俺たち──

“術師側”に瞬殺されるね☆」

 

祈月「即・死」

 

湯気の中、顔だけ出して、2人して真顔。

 

祈月「そもそも呪力、すっからかんだし」

 

真人「俺も〜。渋谷とか,絶対,術師ウロウロしてるしな」

 

少しだけ間を置いてから、いたずらっぽく目を細めた。

真人「……というか,君は……まず,見た目から直したほうがいい」

 

祈月「はあ!?なにそれ!」

 

真人「いやいや、だって昨日来てくれたときさ、

君、髪ボッサボサだったし、服もはだけてるし、

完全に“末期”って顔だったよ? 」

 

祈月「や,ちょ……死ぬつもりだったんだから仕方ないでしょ!!」

 

真人「でも“仕方ない”のレベル超えてたよ?

あれ,敵も味方もドン引きするやつ」

 

祈月「うるさいなもう!!

真人だって、ひとのこと言える状態じゃなかったでしょ!?

脚,既に大半呑まれてたよ!?!?見たとき!!」

 

真人「.....それは.....じゃ,お互い様ってことで⭐︎」

 

昼前の温泉にて、脱力しながら,

わちゃわちゃと軽口を交わし合うふたり。

 

──だが、陀艮を探しに渋谷に戻るということは。

また,あの戦場に戻るということだ。

 

戦闘は終わったとはいえ,残党はいるだろう。

誰と遭遇するか予測できない。

 

わかっている。それでいい。

 

真人「虎杖に殴られて、そのまま逃げて終わり?

 ……そんなの、俺らしくないでしょ」

祈月「うん。戻るときは、ちゃんと殺す気で」

 

湯気越しに交わる視線。

真人の視線は,不敵さと僅かな興奮をまとい。

祈月の視線は,悪戯っぽさと真人への信頼をまとい。

 

ふたりとも。

次の戦いをはっきりと見据えていた。

 

湯にふわりと髪が漂う。

少しの沈黙のあと。

 

祈月「そういえば、真人の術式って……

あたしの傷,治してくれたけど…攻撃にも使えるの??」

 

真人「もちろん。“無為転変”。

魂に触れて、その形を変えることで、肉体ごと変形させる。壊すこともできるし、癒すこともできる」

「魂を術式で守ってるから,

魂に干渉してこない攻撃なら,いくら喰らっても平気。

逆に、触れたら──魂ごと潰せる。殺し技としては、最強」

 

祈月「へぇ……“魂に触れる”……

そもそも魂って,カタチとか…あるんだ…」

 

真人「まあ、俺は世界で唯一,魂の構造を理解してるからね……で,君のは?」

 

祈月「彩城魔壁。“バリア”を空間に重ねて設置する。

バリアって言っても薄い刃みたいな感じで,

バリアにぶつかった対象は真っ二つに斬れるよ。」

「あと,呪力が一定以下のやつなら,

肉体上にバリアを直接設置して斬れる。

これが"足切りライン"。」

 

真人「あー…あの時,俺の脚ぶった斬ったみたいに??」

 

祈月「ちょ…あれは!

あの袈裟のやつに設置できなかったから仕方なくだよ!」

 

真人「まあ,あの時の俺,やばいくらい消耗してたしね」

 

祈月「そーだよ,今の真人相手じゃ,肉体設置とかとても無理」

 

ふたりとも、どこか楽しげだった。

 

真人「ちなみに君,領域展開できる?」

 

祈月「もちろん。“夢幻桃源郷”。領域内、全座標バリア設置OK」

 

真人「うわ、いやらしそう,最高。」

「俺も領域展開できるよ,“自閉円頓裹”って名前。」

入れたやつの魂,ぶち壊して殺せる」

 

祈月「えげつなっ!いいじゃん。

…あとは,タイミングだね」

 

真人「そうそう。領域は切り札だから,いつ切るか」

 

この話題になると、

呪いとしての本質がのびのびと顔を出す。

 

ふたりとも、戦いを見据えながらも。

その声は,弾んでいた。

 

 

 

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