真人救済ルートin渋谷事変   作:祈月4777

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因縁の再戦,その幕開け

渋谷駅・井の頭線付近。

その道路上に,祈月と真人は立っていた。

風が吹き抜け、空気は殺気を孕み始めている。

 

祈月「……来てるね。向こうも、気づいてる」

真人「ふふ……さぁて、やるか!!」

 

祈月は静かに呼吸を整え、

真人は楽しげに舌をぺろっと出す。

中央に立つふたりを囲むように──

 

ザッ……ザッ……ッ!

 

道路の両側から、挟み撃つように現れたのは。

虎杖悠仁。そして、脹相。

 

虎杖の眼には、激情の火はなかった。

だが、その“無音の怒り”は、周囲の空気を震わせる。

 

虎杖「……真人。そして──あの女の呪霊も」

 

その声には、もはや怨嗟も叫びもなかった。

ただ、殺すための意思だけが滲む。

 

真人は、ひらひらと手を振りながら、

口元に軽薄な笑みを浮かべた。

 

真人「あははっ!!久しぶりじゃん、虎杖♪」

 

──だが。

その視線が、道路の反対側に立つ人物を捉えた瞬間。

その笑みは、急速に消え失せた。

 

真人「……ってアレ?脹相??」

 

きょとんとした顔で、首を傾げる。

 

真人「オマエ,虎杖殺したいんじゃなかったの?

弟の仇だって言ってたよな??」

 

脹相は冷静に、穿血の構えを取りながら答えた。

 

脹相「……悠仁と壊相,血塗が殺し合ったのは、

加茂憲倫の謀略だった。

記憶が戻ったんだ。悠仁も──血の繋がった、俺の弟。

……俺は、悠仁のお兄ちゃんだ」

 

その言葉に、真人は完璧に思考が停止した。

 

真人「はぁ?弟??お兄ちゃん???

……意味わかんねー」

 

ぽかんとした表情で虎杖と脹相とを交互に見る真人。

祈月が小声で尋ねる。

 

祈月「……真人、アイツ知り合い?」

真人「知り合い,ってか、仲間だったんだけど……

なんか虎杖の味方してるみたいだし。殺していいよ。

俺は虎杖殺すから──祈月、アイツお願い」

 

祈月「…了解。任せて」

 

そう言って、ふたりは迷いなく担当を決めた。

 

脹相が口に出した「加茂憲倫」という名は、

羂索のことなのだが。

 

祈月と真人のどちらも──その名など知らなかった。

 

祈月は「真人と関わりがあるっぽい」という雰囲気に注目し。

真人は「脹相が虎杖の兄」という事実に困惑していた。

 

──加茂憲倫というワードは、

よりインパクトのある情報に埋もれ。

ふたりの中で完全にスルーされた。

 

そんなすれ違いのまま,戦いの構図は完成する。

 

虎杖「行くぞ、脹相!!」

 

その声を皮切りに。

 

脹相「百斂——穿血!!」

 

脹相の掌に、強烈な圧縮が走る。

紅の光が一気に収束、レーザーの如き血槍が──

 

祈月と真人を貫かんと直進!

 

だが──

 

真人「多重魂——撥体!!」

 

真人が叫ぶと同時に、手にした複数の改造人間を,

自分と祈月の足元に、勢いよく叩きつける。

 

ゴゴォォォン!!

 

魂の拒絶反応による質量膨張が巻き起こり,

アスファルトが盛大に隆起。

巨大な撥体が道路を抉り、足元が大きくせり上がる。

 

穿血は──その即席の「せり上がった地面」に命中し、

祈月と真人の身体には届かない。

 

その瞬間──

 

真人は虎杖へ、祈月は脹相へ。

決めた“担当”通り、左右の敵へと同時に駆け出す!

 

虎杖は拳を握りしめ、真っ直ぐ真人へ。

 

ゴガァン!!!

 

真人の棘付きの棍棒腕と、虎杖の渾身の拳が

衝突の勢いそのままにぶつかり、両者は軽く弾かれる。

 

次の瞬間、真正面から──対峙。

 

真人は両手を広げ,煽るように笑う。

 

真人「じゃあ、あの日の続きやろっか、虎杖♪

今回はもう、オマエのお仲間は誰も来ない──

正真正銘の一騎打ちでさ☆」

 

虎杖は何も返さない。

ただ無言で拳を握り、静かに──構えた。

 

一方──

 

脹相は,せり上がった地面に命中した穿血の軌道を

即座に変え、祈月を狙う。

 

ヒュオン!!

 

祈月は穿血を躱しながら大きく跳躍。

ふわりと着地したのは、脹相を飛び越えた先──

 

すぐに脹相も振り向き、互いに正面で対峙。

 

脹相は冷静に、祈月の正体を探る。

 

脹相「オマエ、俺たちの陣営にはいなかった呪霊だな

……何者だ?

真人と個人的に繋がっていたのか?」

 

だが祈月は、殺意を一切隠さず、冷たく言い放つ。

 

祈月「あんた、真人の仲間だったのに裏切ったってことでしょ。

だったら、あんたも──あの袈裟のヤツ(羂索)と同類。

……あたしから話すことは、何もない」

 

渋谷で真人を吸収しようとした“あの袈裟の男”が、

真人の元仲間だったと知った時の,不快感。

それと全く同じものが,祈月の胸中に巻き起こっていた。

 

祈月の言葉に、脹相の眉がわずかに動く。

母を弄び、自分たちに兄弟殺しをするよう仕向けた、

“あの男”と同類──

 

だが訂正はしない。

この呪霊に弁解することに、意味はない。

 

今は,一刻も早くこの呪霊を退け。

真人と戦う弟——悠仁に加勢しなければならない。

 

脹相「そうか。なら、俺からオマエに話すことも

──何もない」

 

静かに、しかし確かに。構えた。

 

──二つの戦場が、同時に始まろうとしていた。

 

 

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