冷えきった殺意を宿したまま、拳を低く構える虎杖。
その眼差しは──ただ目の前の“敵”を見据えている。
対する真人。唇の端をつり上げて笑うものの、
その瞳に浮かぶのは嘲りでも快楽でもなく,
ただ,目の前の相手を“壊す”という──純粋な執着。
刹那。視線が交わる。
──先制したのは,真人。
「ピッ」と軽い指の弾きとともに,一体の改造人間が射出される。
それは空中でブチュッと変形,
一気に巨大な肉塊へと膨張,
太く長い胴体を持つワーム状へと変貌し—-
猛スピードで虎杖に噛みつかんと迫る!
だが、虎杖は即座にジャンプ──
ワーム型改造人間の胴体を踏み台に飛び乗り、
数度の連続跳躍で一気に距離を詰め,
勢いそのまま,真人目掛けて──
虎杖「っらあああっ!!」
渾身のドロップキック!!
だが──真人は翼を生やし、ふわりと飛翔。
足元をかすめた虎杖の蹴りを空中で躱しつつ,
両手から新たな改造人間を、今度は“ランス”のように鋭く射出!
シュンッ!! シュンッ!!
鋭い風切り音とともに、ランス状の改造人間が次々に虎杖へ突き立てられる!
虎杖「──のっ!」
虎杖はステップを踏みながら,次々に迫るそれを回避。
飛んでくる一本のランスをガシッと掴み,
真人に投げ返さんと,振りかぶった──その瞬間。
空中の真人が,にやりと笑い—-
──ドチュッッ!!
ランスの表面から、不意に鋭いトゲが隆起。
虎杖の掌を内側から貫き,突き破る。
虎杖「……クソッ!……時間差変形か!」
痛みに顔を歪めつつ、虎杖はランスを手放す。
掌に深々と空いた傷口から血が滴る。
真人「ちょっとさぁ──想像力、足りてないんじゃない?」
そう言い放つと同時に、
翼を維持したまま脚部がぐにゃりと変形。
鉤爪のように変じた脚で、
そのまま虎杖へと蹴りを叩き込まんと,急降下!
──が、虎杖は即座に反応。
ギリギリのタイミングで体を低く沈め、蹴撃を回避。
そしてそのまま地面に手をつき、逆立ちの体勢から、勢いよく脚を跳ね上げ──
虎杖「ッ──らあ!!」
真人の胴体へと、鋭い蹴りが突き刺さる!!
真人「ぐっ……!?」
蹴りを喰らった身体が宙に弾かれる!
だが,空中でバサリと翼を解除し、
すぐさま体勢を整え—-
ズザアアッ!!
両足で地面を踏みしめながら着地。
小石と砂埃が舞う。
真人「……ははっ,いいじゃん」
一拍,口元を釣り上げる。
「続けようか──ラウンド2だ」
その言葉と同時に、
真人の掌から爆速で練り上げられ、
出現したのは——幾魂異性体。
拒絶反応の微弱な魂同士を掛け合わせた,
攻撃特化改造人間。
それが、虎杖めがけて一直線に疾走!
虎杖は即座に反応,幾魂異性体の真正面から走り去る。
そのまま歩道橋の根元へと回り込み、
金属の支柱を滑るようにして一周。
そして──
背後を取った虎杖の拳が、幾魂異性体の顔面へと炸裂!!
ドガァン!!
攻撃特化ゆえに耐久を捨て去っていたその構造は、
虎杖の一撃を受けきれず、鈍い音と共に崩れ落ちる。
骨のような繊維が砕け、ねじれた肉塊が地面に沈む。
──だが、その刹那。
虎杖「っっ……!? どこだ、真人……!!」
幾魂異性体に気を取られていた、ほんの一瞬。
視界から外れていたその隙に、真人の姿は──消えていた。
その時。
「多重魂──撥体」
背後。いや、真下から──。
ドドドドオオオオオッ!!!
虎杖の足元、アスファルトを突き破るようにして、
無数のムカデ型改造人間が噴出!!
地を這う異形たちが、うねるように虎杖の身体を取り巻き、絡みつき、持ち上げ──
虎杖「ぐっ……ああっ!!」
そのまま空中へ放り出された虎杖は、体勢を崩したまま──
ゴガァアアアアアン!!!
ビルの壁面に突き刺さるように、衝突。
土煙とガラス片、鉄骨の悲鳴が混じり合い、
爆音が響き渡る。
真人「ほらほら、」
真人が笑う。声は軽薄、だがその目は研ぎ澄まされていた。
「お仲間がいなけりゃ、オマエひとりの力なんて、こんなもんだろ?」
虎杖を衝突させたビルに向かって、余裕の煽り。
だが、その時──。
ヒュン!ビュオン!!
音を立てて、ビルから瓦礫が降ってくる。
……いや──投げられている。
真人「おっ……と?」
投擲される瓦礫を避けもせず,
それらに命中しながら,真人は視線を細める。
魂に干渉しない,ただの瓦礫の投擲はノーダメージ。
今,警戒すべきは,虎杖の一撃——
瞬間、視界の端から殺気。
ビュオンッ!!!
舞い上がる瓦礫を足場にし、飛び上がる虎杖!
右拳を振りかぶり、魂をぶち抜く一撃を真人へ──!!
真人「……ッ!!」
だが,真人は即座に読み切り、後方へ跳ぶ!
──ヂッ!!
虎杖の拳は空を裂き、
真人の頬をかすめるだけにとどまる。
弾け飛ぶ、一滴の血。
真人「……だからさぁ、」
真人は距離を取りながら、頬から垂れた血をぬぐう。
そして、また──笑った。
「君ひとりじゃ、俺に勝てないって♪」