真人救済ルートin渋谷事変   作:祈月4777

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因縁の再戦,代理戦争——決着

虎杖は、真人への殺意を漲らせながら──

その頭脳は、極めて冷静だった。

(……くそ,瓦礫投げで目眩しからの不意打ちもダメか。

真正面から行けば、変形・改造人間・撥体

……全部捌かれて終わりだ)

 

正面突破で勝てる相手ではない。

向こうは変幻自在。変形、改造人間…手数が多すぎる。

それに対して、自分は拳ひとつ。

ならば──

 

虎杖は、真人に背を向けた。

──そして、一気に全力疾走開始!!

 

真人「は!?……おい、待てよ、逃げんの!?」

 

一瞬、思考がついてこず、声を上ずらせる真人。

しかし、すぐに追走を開始。

 

虎杖(……思った通りだ。ついてくる)

そのまま、虎杖は瓦礫を駆け抜け、

シャッターの歪んだショッピングモールへと滑り込む!

 

廃墟のようなアパレル店を抜け、

崩れたガラスの破片を踏みしめ,

ぐん、と階段を二段跳びで上がり──

 

──目の前に現れた、スタバの看板を飛び越える!

 

真人「……どこ行ったんだよ……っ、ああもう!!」

後を追ってきた真人もモール内に入るが、

2階に上がったところで──虎杖の姿を完全に見失う。

「ちっ……!」

 

じり、と舌打ちした直後、

真人は苛立ち混じりに手を振り上げた。

──「多重魂・撥体!!」

 

ズドォォォォン!!!

 

魂の拒絶反応により、爆発的に肥大化した肉塊が、

ショッピングモールの床下から激突!

 

困ったら撃っとけ感のある,

足場破壊の便利技,発動!!

 

ガラガラガラッッ!!!

 

ショッピングモール全体が、地鳴りとともに大崩落!!

 

だが。

 

虎杖は、すでにその“先”に。

(来るって思ってた……!)

 

建物ごと吹き飛ばされると読むや、

すでに虎杖は屋外へ脱出済み。

 

真人「……どこだ……クソッ……」

 

崩壊する瓦礫を器用に躱しながら、周囲を見渡す真人。

その背後──!

 

虎杖の身体が、無音で宙を駆ける。

 

足場に踏みつけるは,崩れた瓦礫。

狙うは──ただ一つ、真人の背中。

 

ドゴオオオオッ!!

 

炸裂したのは、虎杖の回し蹴り!

渾身の全体重を乗せた、背後からの殺意。

 

真人「がはっ……!? ぁあッ……!?」

 

完全にノーガード。

呪力の察知すら遅れた、完璧な奇襲。

真人の身体が吹っ飛び、地面に激突。

 

ズザァァアッ!!!

 

土煙を巻き上げながら、真人の体が転がる。

 

虎杖(……決まった!!)

 

チャンスは逃さない。

即座に瓦礫から跳び降りる!!

 

虎杖「うおおおおッッ!!」

 

拳を振りかぶり、真正面から、

"追撃”を叩き込まんと突撃!!

 

 

 

一方——もうひとつの戦場。

対峙するふたり。

左腕を負傷した祈月と,

脇腹を負傷した脹相——

 

その戦場には、もはや言葉はない。

先に動いたのは祈月だった。

 

祈月(あの血のレーザー…もう見切った。

次に来ても…バリアで受けて,逆流波で返せる!!

このまま接近……射程に入れて,領域展開で仕留める!!)

 

だがその思考の奥で、冷静な危機感も同時に点滅していた。

 

──脹相の“穿血”は音速に匹敵する。

一瞬でも反応が遅れれば、それだけで致命傷。

脳天にでも貫かれれば──それで終わり。

 

だからこそ、祈月は呪力感知を最大まで引き上げていた。

 

——祈月にとっては,一撃でもまともに被弾すれば,

敗北に直結,あるいは致命傷になるのが戦場の常。

 

自らの肉体の脆さ。

特級呪霊にして、驚異的な再生力のなさという弱点。

 

その制約を背負いながらも,生き延びてきた82年。

それにより,極限まで研ぎ澄まされた感知の精度。

 

先程,脹相の"超新星"

——ほぼ初見殺しの技に,

祈月がバリアによるガードを滑り込ませられたのも,

この呪力感知能力と反応速度のおかげに他ならない。

 

脹相の呪力の流れは全て見切った。

もう,何が来ても対応できる

——そのはずだった。

 

しかし。

祈月は,その瞬間。

"ぬるっ"とした,異質な呪力を感知。

 

脹相ではない。虎杖でもない。

もちろん,真人でもない。

 

猛スピードで渋谷——ここへと向かってくる,

不気味で,膨大な呪力——

祈月「………っっっ!?」

 

その呪力に感知が引っ張られ,

一瞬,脹相から警戒が外れた瞬間——

 

脹相「赫鱗躍動・載!!」

再び身体能力をブーストした脹相が,

祈月の懐に入り込んでいた。

 

祈月「!?…しまっ——」

 

バリアは──間に合わない。

 

咄嗟に右腕でガードし、防御に出る!

 

だが。

ベキッッッッッ!!

 

肉体強度の差は歴然。

 

脹相の,赫鱗躍動・載で強化された右腕に打ち負け—-

祈月の細い右腕が、嫌な音を立ててねじ曲がる。 

 

骨が砕け、関節が逆方向に折れ曲がる。

次の瞬間には,大きく吹っ飛ばされ。

地面を転がっていた。

 

ズザアアアアアッ!!!

 

祈月「っ……ぁあああああッ!!!」

 

呻き声とともに地面に叩きつけられる。

右腕はダランと垂れ、完全に使用不能。

 

脹相「今だ…やれる!!」

 

脹相,即座に地を蹴る。

 

“赫鱗躍動《載》”のブーストを最大限に乗せ,

祈月めがけて突撃!!

 

 

 

──“逆転”の兆しは、まさに一瞬だった。

 

視界ロストによる虎杖の奇襲。

背中を抉る、全力の回し蹴りが真人の身体を吹き飛ばし、

地面に叩きつけた。

 

祈月の高精度な呪力感知。

しかし、それが一瞬逸れた隙を突いた脹相の一撃が、

祈月の右腕をへし折り、地を転がらせた。

 

それは別々の場所。

だが,奇しくも同時刻。

 

地面に転がった両者──

 

そこに畳みかけるかのように、

虎杖と脹相は、それぞれ敵へと突撃を開始!!

 

真人めがけて突撃する虎杖。

祈月めがけて突撃する脹相。

 

だがその一手──

勝利を確信したがゆえの“緩み”と“直線的な攻め”だった。

 

対する真人と祈月。

吹き飛ばされ、倒れていながら──

その目は、冷静に、静かに敵を見据えていた。

 

真人(これ,まっすぐ来るな。なら——)

仰向けに転がったまま、口元に笑み。

上体をゆっくりと起こしながら、腹部へ呪力を集中。

ぐにゃり、と腹部の肉が蠢く。

 

祈月(あ,突っ込んでくる。直線的な動き。

…これ,"読める")

祈月の左手が、脹相へとすっとかざされる。

呪力のラインが僅かに光る。

 

そして。

虎杖の拳が真人まで残り30センチに迫り。

脹相が,祈月へと突進した,

 

その瞬間。

 

ドチュッッッッッ!!!!

スパァァァァァン!!!!

 

炸裂したのは、2つの致命。

 

 

 

虎杖の目の前。

 真人の鳩尾から──突き出された巨大なトゲが、

 そのまま虎杖の心臓を,正面から貫いていた。

 

虎杖「っ……が、……あ…………ッ!!?」

 

その表情に、驚愕も、痛みも、間に合わない。

身体の動きが完全に止まり、

口元から赤が溢れ──そのまま膝から崩れ落ちた。

 

 

 

脹相の目前。

 祈月の左手が示していた切断バリアの座標。

 そこが、脹相の突進軌道と完全に重なり、

 ——脹相は,切断バリアに自ら突っ込む事態となり—-

 

脹相「っっっ──!?!!」

 

肉と骨と呪力を、まるごと貫いた音。

痛みすらない。

一瞬で,意識と命が落ちる。

 

脹相の身体は,胴体から真っ二つに裂け──

勢いのまま、地面に両断された上下が滑り落ちた。

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