2018年10月31日,その夜。
崩壊した渋谷ーー瓦礫と血の匂いが漂う。
そこに立つのは、人と,人ではない,二つの存在。
虎杖は拳を握りしめ、呪力を滾らせて進む。
拳にみなぎる呪力は,
順平と七海を殺した真人への殺意の証。
虎杖「…もう…これで、終わらせる…!」
彼の正面、瓦礫の山の上には──
青年風のツギハギの呪霊・真人が,
灰青の三束おさげをもっふりと揺らし,
ニヤついた顔で虎杖を見下ろしていた。
真人「うんうん、いい顔。もう“壊れそう”な目してる……
でも、その怒り、どうやって俺にぶつけるの?」
「拳?黒閃??それとも、ただの八つ当たり?」
真人は,改造人間を次々に解放。
それらは,かつて"人"だったもの。
虎杖の眉がピクリと動く。しかし、真人の口は止まらない。
真人「ちゃんと魂を壊したよ。ほら、もう戻れない。
絶対に,ね?」
虎杖の拳が強く握られすぎ,血が滲む。
呪力の青い光が立ち上る。
虎杖「オマエ……ッッ!!」
真人「あー、その顔だ、その顔!それが見たくて、
俺……生きてんだよなぁ!」
真人の周囲に、十を超える改造人間たちが現れ,
一斉に虎杖へと跳びかかる。
虎杖は殴り飛ばす!!
改造人間が次々に撃破され,
辺り一帯に鮮血がぶちまけられる!
だが、いくら倒しても本命ーー真人には届かない。
虎杖「チッ……!」
噛みついてくる個体を,振り払うように蹴り飛ばす。
真人(そうそう、接近されなければ、“拳”なんて怖くない)
「どうした、虎杖〜?こっちには来ないの?……あ、怒りすぎて動けなくなった?」
虎杖「黙れ…!!」
怒りに呑まれながら拳を振るう虎杖。
だが改造人間たちの壁が厚い。真人に近づけない。
真人は悠然と構え、舌なめずりしながら囁く。
「ほら、もっと見せてよ。壊れてく虎杖悠仁の“魂”、さ」
そして現れるのは──多重魂・幾魂異性体。
拒絶反応の微弱な魂たちを融合させて作り上げた,
攻撃特化の改造人間が、虎杖に迫る。
ガツンッッ!!
虎杖「ッッッ……くっそ!!オラっ!!」
一発被弾するも、受け身を取り即座に反撃!
幾魂異性体、撃破!
真人「へぇ…少しはやるじゃん?…でも,改造人間のストックならさ,
まだまだあるんだよ?」
虎杖(不味い……真人にこのまま近づけなきゃ、ジリ貧だ……!!)
──そのとき。
カンッー!
金属が跳ねるような音が響く。
虎杖も、真人も、一瞬だけ動きを止めた。
呪力の波長。空気の揺らぎ。
──仲間の気配。
真人「あー、来ちゃった?」
改造人間の群れを突破し、虎杖の背後にぴたりと立つ影。
釘崎「おまたせ、虎杖。手こずってるみたいね!」
虎杖「釘崎ッ!!来てくれたのか!」
小さく頷いた釘崎は、すでに準備していた釘を虎杖の手に押し込む。
釘崎(小声)「渡しとく。あんたの接近戦なら、こっそり差し込めるでしょ」
虎杖(小声)「….了解」
このやりとりを遠巻きに見ていた真人は、にたりと笑う。
真人「へえ?お仲間と2人なら、俺に勝てるつもり??」
「ふふっ、でもね。俺の魂には──届かないだろ??」
再び改造人間をけしかける真人!!
——だが次の瞬間、
釘崎が一斉に釘を発射,
"簪”を打ち込み、改造人間たちが硬直。
その隙を虎杖が逃さず、怒涛の連撃で距離を詰め──!
虎杖(今だ──!!)
連撃の隙間に、呪具の釘を真人の肩へ、すっと挿し込む!
真人「…..ッッ!?な──」
釘崎「共鳴り!!」
ビキイッッ!!!
真人の肩から、魂がぶるんと震え、赤黒いヒビが肉体に走る!!
真人「……っぐうッッ!!」
本物のダメージに、表情が歪む。
その刹那――虎杖の追撃。
拳で1発、2発、次いで蹴りの3発目!!
真人「ぐっ……あ!!」
真人は吐血し、体勢を崩した。
だが4発目が当たる直前――ふらつきながらも咄嗟に飛び退き、虎杖から距離を取る!
虎杖「釘崎……やった!!」
釘崎「ああ。私の術式が突破口なら、あんたの拳が……トドメになる!!」
しかし──
真人「…..ふふふ……」
「あー、ちょっと効いた。うん。いやー、でも……」
嗤いが戻る。
真人「だけどさ、言うだろ? 奇襲は1回限り、って」
ドゴォン!!
地面が隆起し、地面から無数の【多重魂・撥体】が飛び出す!!
爆音と土煙──虎杖と釘崎が分断される!
虎杖「釘崎ッ!!」
真人「──はい、俺のターン」
その間に真人が一瞬で距離を詰める!
釘崎、咄嗟に釘を放つが――
真人はそれを、紙一重でかわす。
真人「…..じゃ、おしまい」
パアンッ!!
真人の掌が、釘崎の顔面に叩き込まれる!!
ズシャアアアアッ!!
顔の右側が“ぐしゃり”と爆裂し──
言葉を発する間もなく。
釘崎、崩れ落ちる。
虎杖「…..っ!!」
仲間が、一人──目の前で倒れた。
喉の奥から、怒りとも悲鳴ともつかない声が漏れる。
虎杖「な、なん…で……」
真人は血と肉の飛沫を浴びながら、片目を細める。
真人「うん、やっぱり“魂ダメージ”は怖いよ。
だからさ,受ける前に——潰しとけばいいって話♪」