真人救済ルートin渋谷事変   作:祈月4777

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特級達の思惑

 

真人「ナイス。君、最高」

 

真人はそう言い、しかし視線は乙骨から逸らさない。

 

即座にスッと手を伸ばし、祈月の肩に触れる。

 

──“無為転変”。

グシャグシャに砕けていた祈月の右腕が、

肉の蠢きと共に爆速修復される。

 

そのまま,左腕も。ジュルル……と不快な音を立て,

裂傷と筋断裂が縫い合わされるように瞬間治癒。

 

真人「アイツに触られんなよ。

反転アウトプットあるから。

それから、呪言も飛んでくる。」

 

口調は軽いが、その語気には余計なものが一切ない。

短く、速く、必要な情報だけを伝える。

 

祈月は、小さく頷いた。

 

祈月(……間に合ってよかった)

 

実際、祈月がここに至るまでの経緯は――

一瞬の判断の連続だった。

 

脹相を両断,殺害し、戦闘を終えた直後。

 

あの“ぬるっ”とした、

異質で得体の知れない呪力を再び感知した時点で。

 

迷いはなかった。

 

祈月(あれ……真人に向かってる…!!近い…!!)

 

即座に判断し、限界の身体で全速力で走る。

 

呪力感知を最大精度にして、空間座標を読んで──

そして,その目的地にあったのは黒い球体。

領域の結界。

 

それを目視した瞬間、

祈月は迷いなく外郭の一部をこじ開け,内部にダイブ。

──乙骨の《真雁相愛》。

──真人の《自閉円頓裹》。

 

今、この空間では両者の領域が互いに干渉し、

必中効果が打ち消し合っている。

 

ゆえに、領域を展開していない祈月にも、

「必中の攻撃」が飛んでくることはない。

 

それでもこの空間に飛び込むのは──相応の覚悟が要る。

 

だが、祈月にとっては、

迷う理由など最初から存在しなかった。

 

祈月(真人を殺させるくらいなら、死ぬ)

あの日,渋谷で邂逅した瞬間から。

祈月の魂は、そう決まっている。

──その魂を、真人は感じ取っていた。

 

一方、乙骨。

(……通せなかった)

 

呪言によって動きを止め、

そこに反転アウトプットを叩き込む。

 

対呪霊における、“殺し切るための最強にして最速手順”。

それを、止められた。

 

寸前に現れた祈月によって──

 

“リカ”との接続時間は、5分のみ。

この5分が過ぎれば、術式も封じられ,領域も解除される。

 

そして,呪言は。

来るとわかっていれば,対策できない術式ではない。

耳から脳にかけてを呪力で守ればいい。

 

だからこそ,あの初見殺しで真人を仕留めておきたかった。

 

乙骨(だが仕方ない。切り替える…短期決戦だ)

 

そして、式神・リカ。

リカは、乙骨の傍に座し,ただ命令を待つ。

 

3者(あるいは4者)の思惑が交錯する領域空間。

戦いの鐘は,静かに鳴り響いていた。 

 

 

※ちなみに気づいている方は多いと思いますが…

──このルートでは、真人が吸収されておらず、

死滅回遊も発生していないため、

乙骨は「烏鷺の空を操る術式」などの術式を

一切コピーできていません!

(そもそも烏鷺たちが受肉していない世界線なので!)。

よって,コピー術式に関しては呪言一本で戦ってます。

 

 

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