真人救済ルートin渋谷事変   作:祈月4777

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特級達の火蓋

三者の思考の交錯の後。

真っ先に動いたのは、真人だった。

 

真人「じゃ、始めよっか♪」

 

その掌から、改造人間がぞろぞろと溢れ出す。

形も数も様々な異形たちが、うめき声を上げながら、

乙骨へと一直線に殺到!

これは,あくまで囮。

 

真人(こいつらで動きを誘導して……)

(祈月の切断バリアに当てさせる──)

 

だが。

 

乙骨「……死ね」

 

ボソリと呟いたその瞬間──

 

ドサッ……ドサドサドサッ!!!

 

無数の改造人間たちが、まるで糸が切れた操り人形のように崩れ落ちた。

地響きのような“静寂”が、戦場に一瞬だけ満ちる。

 

呪言。

 

それは対象が“強大”であればあるほど、

強力な命令であればあるほど,通りにくくなる。

反動も重い。

だが、対象が有象無象の改造人間なら、

たった一言で事足りる。

 

真人「……くそ、白兵戦は通じないか」

 

舌打ちする真人。

 

──ズッ!!

 

突如、地を蹴った“リカ”が、

猛スピードで祈月と真人に向けて突撃!!

 

質量を伴う巨体が、破壊的な圧をもって迫る──が。

 

ズバアアァァァッッ!!!

 

“リカ”の腹部が、まっすぐ深く、断裂した。

 

祈月が先に読み、設置していた“切断バリア”に、

リカが真正面から突っ込んだのだ。

 

ドバッ──!!!

 

腹から血が噴き出す。

それでもなお、リカは無言で構えを崩さないが、

その動きは一瞬鈍る。

 

祈月「的がデカいとさ……動き、読みやすいんだよね」

 

無機質な笑みを浮かべ、祈月は呟く。

 

乙骨「っ……“リカ”!!」

 

拳を握り締める乙骨。

祈月のバリアの殺傷力は、今や完全に“認識”された。

 

乙骨(下手に突っ込めば、真っ二つだ……なら──)

 

下手な接近は悪手。

すぐに判断を切り替える。

掌に、巨大な呪力がチャージされ始める。

 

乙骨「──撃ち抜く!!」

 

狙うは、二人ごと焼き尽くす、呪力砲。

 

しかし。

 

真人「改造人間──噴霧爆裂ッ!!」

 

真人が指を弾く。

改造人間の魂を瞬間的に細かく砕き,

その肉体を霧状に変換し,ぶち撒ける!

 

次の瞬間、

シュウウウウウウウウッ……!!!

 

呪力と肉塊が混ざり合った、

白濁した煙幕が領域全体に拡がる。

 

乙骨「……!? 視界が……!」

 

その一瞬の隙をつき──

祈月と真人の姿が、煙の中からスッと消える。

 

乙骨「くっ……!!」

 

乙骨は呪力感知が得意ではない。

必死に目を凝らし、気配を探る。

 

──そのとき、斜め後方に“ぬるり”と浮かぶ,真人の影。

 

乙骨「そこかッ!!」

 

無音の接近。

構えた刀を一気に振り抜く!

 

──ズバァァッ!!!

 

視界に捉えた真人へと、乙骨の一閃が斬り込む。

 

刃は肩口から袈裟に通り──

真人の肉体はあっけなく、崩れ落ちた。

 

乙骨「……ッ!?(軽い……?)」

 

妙だ。

“真人”をこれほど容易く屠れるはずがない。

いくら何でも…"弱すぎる"

 

そして──背後から。

 

真人「……《無為転変》」

 

ゾワリ、と肌を撫でるような音。

 

そう,乙骨が斬ったのは"分身"。

乙骨の背に、いつの間にか回り込んでいた“本体”の真人が、

そっと掌を当てていた。

 

ビキビキビキィィィィ……ッ!!!

 

乙骨の魂が、引っ掻かれるように軋む。

 

まるでヤスリで削られるような、

不快な鈍痛が身体の芯から広がる。

 

乙骨「ッ──ぐっ……!!」

 

激痛に歯を食いしばりながら、乙骨は剣を逆手に振り抜く!

 

ヒュッ──

 

しかし、真人はその斬撃が届く寸前に

──バッと飛び退いて距離を取る。

 

真人「はぁ……オマエさ、呪力量お化けなんだよ」

 

飄々としながらも、瞳には確かな分析の光。

 

真人「魂、見えてないはずなのに,

——"無意識”でガッチリ防御してる。

ま、特級術師だし当然か?」

 

乙骨の腹部には、赤黒い“亀裂”が走っていた。

 

そこからじくじくと流れ出る血。

反転術式を流しても、せいぜい止血のみ。

完全な治癒には至らない。

 

真人「まぁ…でもね、あと2〜3回も触れれば、

──君、死ぬよ」

 

そう言って、

にたりと笑みを浮かべながら手を前に突き出す。

 

乙骨「……“動くな”!」

 

呪言──!

 

ズンッ!!!

 

真人の肉体が一瞬ピクリと震え、動きが止まる。

 

その瞬間。

 

乙骨の背後に控えていた“リカ”が、

すでにチャージを完了させていた呪力砲を

真人めがけて解き放つ!!

 

ズドォォォォォォン!!!!!!

 

砲撃が炸裂!

 

だが──

 

真人「同じ手をさっ……くらうわけないだろっ!?」

 

呪言による硬直は,ほんの一瞬。

 

真人の身体が砲撃の直前に飛び退き、

顔の一部が焦げるだけにとどまる。

 

真人「魂の形を変えて、

耳の構造も脳の回路も再設計済み。

そのうえで呪力を集中──」

 

ぬるぅ、と笑う。

 

真人「呪言なんか、もう効かないよ♪」

 

それはすでに、“呪言対策”を完全に済ませた者の余裕。

 

そして──

改造人間の霧が晴れ、領域内の視界が一気に開ける。

 

その瞬間、姿を現した祈月の目が鋭く細まる。

 

乙骨とリカの動き──

視線、足の角度。

 

祈月(次。動いたら…合わせる。斬る)

 

祈月はそれらを慎重に読み取り,

次の動きを予測し始める。

“切断バリア”で,決めるために。

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