真人救済ルートin渋谷事変   作:祈月4777

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特級の奇策

乙骨は、荒れた呼吸のまま立ち尽くしていた。

 

身体は内側から、魂ごと削られたように重い。

だが──

 

思考だけは、研ぎ澄まされていた。

 

(このままじゃ、勝てない)

 

祈月のバリアに阻まれ,祈月と真人に接近できない。

夢幻桃源郷は、真雁相愛を侵食し続けている。

 

そして,乙骨のコピー術式。

今、コピーできている術式は──呪言。

渋谷事変で宿儺に切り落とされた、

狗巻棘の左腕を「リカ」が取り込むことで得たもの。

 

しかし、そこには重大な制約がある。

 

取り込んだ“部位”が、再生された場合。

その瞬間、術式的価値はゼロになる。

 

つまり──たとえ今、真人や祈月の肉体の一部を奪い、

リカに取り込ませたとしても。

 

その後に“無為転変”で再生されたら、

コピーは成立しない。

 

つまり,乙骨は。

無為転変、彩城魔壁──どちらもコピーできない。

 

そして,呪言は既に対策されている。

祈月も真人も,"無為転変"により,

呪言が通りにくい脳と耳の構造へと変質済み。

 

加えて──

《リカ》との接続可能時間は、残り2分弱。

これが切れれば,真雁相愛は強制解除される。

そしたら,

夢幻桃源郷の必中術式の餌食になって終わりだ。

 

このままでは,"詰み"だ。

だが——-

 

乙骨「……なら、“このまま”じゃなくす」

 

乙骨の瞳が,ギラリと光り。

掌に呪力を集中させる。

 

乙骨は、狙わない。

 

祈月でも、真人でもない。

 

──放った呪力砲は、“その横”を抜けた。

 

ズオォォォォン……!!!

 

呪力砲はまっすぐ突き進み、

領域の“外郭”を正面から薙ぎ払う。

 

ドゴォォォッ!!

 

外殻の空間が、爆ぜるように揺れる。

 

真人「は?どこ狙って……??」

祈月「え…君,まさか———」

 

さらに、乙骨は──照射方向を旋回させた。

 

ズシュシュシュシュシュッ……!!

 

照射角が広がる。

呪力の奔流が、まるで空間そのものを“削ぎ落とす”ように、

領域の外殻全体を斬り裂いていく。

 

結界が、軋む。

 

──ビシィッ……!

──バキバキバキバキッッ!!

 

祈月「マズい……止めなきゃ!!」

阻止すべく,祈月が動こうとした、その刹那──

 

ズッ。

 

リカが、静かに乙骨の前へ立ちはだかった。

 

動かない。ただ、構えている。

 

その掌に、正のエネルギー…"反転アウトプット"の構え。

 

真人「マジか。それ、オマエもできんのか…っ」

祈月「……っ……ッッ!!」

 

これまでは、“リカ”が突っ込んできた。

だから、待ち構える形で,

そこに切断バリアを"置くだけ"で良かった。

 

だが──今、“リカ”は動かない。

 

待っている。

こちらが動けば、“触れてくる”。

 

その恐怖が、祈月と真人の足を縛る。

 

その隙に、乙骨はもう一手。

 

二つの領域──真雁相愛と夢幻桃源郷。

その“押し合っている部分”に干渉し始める。

 

呪力を細く、鋭く、境界に差し込み、

ゆっくりと、だが確実に──“かき混ぜる”。

 

混ぜられた空間は、“ねじれ”を起こす。

異なる呪力が、互いに噛み合わず、

摩擦を起こすように──

 

乙骨「……“解除”」

 

──バチン。

 

真雁相愛、乙骨自ら解除。

 

その瞬間、空間が崩れる。

 

ギギギギ……バリバリバリッ……ッ!!

 

混ぜられた“ひずみ”が、真雁相愛の解除とともに爆裂。

夢幻桃源郷の領域構造にも亀裂を走らせる。

 

そして。

──カシャァァァァァァン……!!

 

空間がガラス細工のように割れ、色が剥がれ落ちる。

 

真雁相愛,夢幻桃源郷——-同時崩壊!!!

 

 

 

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