真人救済ルートin渋谷事変   作:祈月4777

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特級戦の結末

真雁相愛,夢幻桃源郷——-同時崩壊。

 

結界がひしゃげ、ガラス細工のように割れ、

色彩が剥がれ落ちる——

 

祈月「…巻き込んで…壊された…!!」

真人「はっ,やりやがったな……」

 

結界の圧が消え、

代わりに吹き込むのは、冷たい外気,血と鉄の匂い。

 

直後──

 

ビシュウウウ……ッ!

 

乙骨の背後に控えていた“リカ”の姿が、淡く霧散するように消えていく。

 

《リカ》との接続、強制終了。

 

そして、祈月と乙骨の術式も,同時に焼き切れる。

 

現在の三者の状態は——

全員,満身創痍。

 

"無為転変"を二度喰らい,腹部から血を流す,

術式焼き切れ中の乙骨。

 

反転アウトプットを喰らい,胸部に亀裂を抱えた真人。

 

真人による治癒により,現在は外傷こそないものの,

術式焼き切れ中の祈月。

 

三者とも,領域展開やここまでの戦闘により,

既に呪力の大半を消耗済み。

 

——しかし、止まらない。

 

静寂を切り裂くように。

 

乙骨が、動く。

 

即座に刀を構え,

祈月と真人めがけて突撃!!

 

乙骨(あの女呪霊の術式は焼き切れた

——もう切断バリアは飛んでこない!畳み掛ける!!)

 

だが。

真人「多重魂——撥体!!」

 

荒々しく改造人間ストックを指に挟んだ真人の両腕が,

即座に前に突き出される!

 

パァン──!!

その掌から,

改造人間同士の魂の拒絶反応を利用した

質量爆弾が一斉に発射!

 

乙骨(……!!真人の領域解除から,

まだ1分程度しか経っていないはず…

なのにもう,術式が…!!)

 

しかも。

撥体の向かう先——標的は,乙骨ではない。

 

虎杖悠仁。

 

真人「"守る"だろ?お仲間だもんな?」

心底楽しそうな,真人の声。

 

乙骨「────ッ!!?」

 

視線が跳ねる。

 

地面に倒れたまま、まだ目覚めない虎杖の姿。

 

真人に心臓を貫かれ,乙骨によって治癒され。

まだ意識が戻らないまま,

道路に転がっているその身体。

 

これまでの戦闘は,

真雁相愛vs自閉円頓裹,真雁相愛vs夢幻桃源郷——

領域の押し合いが常に起こっていた,

領域内戦闘だった。

 

領域内と領域外は,

結界によって完全に隔絶される。

虎杖の肉体は戦闘空間から隔てられていた。

 

だが今や、結界はない。

 

撥体は一直線に、虎杖へと向かう──!

 

急制動。

 

乙骨は反転するように足を踏み込むと、即座に進路を変更。

 

祈月と真人に迫っていた軌道を切り上げ、

即,Uターン!!

全力で虎杖の元へ向かって走る!

 

乙骨(間に合わせる──僕が間に合わせる!!)

 

撥体が迫る。

虎杖を飲み込む寸前——

その刹那。

 

ドンッ──!!

 

空気が破裂する音と共に、乙骨が割り込む。

そのまま虎杖の身体を抱きかかえ、勢いそのままに跳躍!

 

撥体はすぐ背後を掠め、道路を抉って爆ぜた。

土煙と破片が舞い上がる中、

虎杖の身体は乙骨の腕の中へ──

 

乙骨(……間に合った……!)

 

地面に着地すると同時に、乙骨は即座に状況を分析する。

 

乙骨(くそ……今、虎杖君を放したら

──また標的…最悪,人質にされる……!)

 

そして決断。

 

乙骨(……今は、離脱しかない…!!)

 

呼吸を整える暇もなく、再び地を蹴る。

虎杖をしっかりと抱えたまま、乙骨は渋谷を駆ける。

 

──これは“退却”ではない。

“虎杖悠仁を守るための戦略的撤退”──

 

走り去るその背を、呪霊ふたりは静かに見ていた。

 

真人「……お、逃げた逃げた♪」

肩を軽く回しながら、にやにやと口角を吊り上げる。

 

真人「どーする?追う?

俺、今けっこうノッてるけど?」

 

その問いに、祈月は視線を閉じて,呪力感知に集中。

空気の流れ。呪力の粒子。戦場の“外”──

 

祈月「そうしたいのもやまやまだけど…

……派手に暴れすぎた。

術師の気配が、集まってきてる」

「潮時かな」

 

淡々とした口調。

だが、その言葉には明確な判断力が宿っていた。

 

真人は、ふっと息を吐き、天を仰ぐ。

 

真人「まー……それもそっか。結構消耗したし」

「また“夏油”みたいなのに来られても、

シャレになんないしね〜」

 

苦笑混じりのその言葉は、

過去の敗北を思い出してのものだった。

 

祈月「だね。……帰ろ、真人」

 

真人「りょーかい♪」

 

ふたりはきびすを返すと,

渋谷を離れ,拠点へと帰っていく。

 

──渋谷に残る爪痕は,未だ全く癒えず。

だが、戦場としての渋谷は、

静かに幕を閉じようとしていた。

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