真人救済ルートin渋谷事変   作:祈月4777

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察知

静かな山奥。

付近の天然温泉の匂いがうっすらと空気に混ざり,

静かな風の音だけが聞こえる拠点の小屋。 

 

祈月は,ふかふかのキャスターチェアの上、 

うつらうつらとまどろんでいた。

 

隣には、ハンモックの中で無防備に身を預ける真人の姿。

ゆるやかな寝息を立て,

その手は無意識に毛布を掴んでいる。 

 

呪い同士が,温もりを灯し合う。

この瞬間だけは、

世界に争いなど存在しないような静けさだった。

 

──だが、突然。

 

ビーッ、ビーッ、ビーッ!!!!

 

祈月の呪力感知が,爆音で警報を鳴らす。

 

祈月の瞳が、ぱちりと開かれる。

 

次の瞬間には、全身に総毛立つような震えが走った。

 

莫大で、異質で、禍々しい呪力。

遠い。彼方。だが——確実に感じる。

 

それはまるで、大地そのものが呻き声を上げるような…

 

"強者"とか,"猛者"とか,

そんな言葉で表現できる相手じゃない。

 

“厄災”の波動———

 

祈月「……っっっ!!!」

 

キャスターチェアを弾くように飛び出し、

祈月はハンモックに駆け寄る。

真人の肩を揺さぶる。

 

祈月「起きて!!真人!!」

 

真人「ん、……ぅ……どしたの……?」

 

眠たげな声。

呪いとは思えぬほど穏やかな顔で、

真人がうっすらと目を開く。

指で目元をこすりながら、まだ完全に覚醒していない。

 

祈月「ねぇ、これ……呪力反応……」

「ビリビリ来てるの、あっちの方角……何……!?」

 

声が震えていた。

ただの敵接近なら、祈月はここまで取り乱さない。

 

それは,こちらに近づいているわけではない。

ただ,"在る"だけでこの異常な圧。

この”質”だけで——祈月には、察するものがあった。

 

真人も、ようやく寝起きの頭を切り替え、

呪力感知に意識を集中させた。

そして、数秒後——

 

真人「………………宿儺」

 

静かな、しかし確信を帯びた声。

 

祈月「え……宿儺?でも……

アイツ、器から出てこれないはずじゃ——」

 

そう。

本来、両面宿儺は、虎杖悠仁の中に封じられている。

自ら肉体の主導権を奪うには、

「縛り」などの特殊条件が必要なはず。

 

真人「……そのはず、なんだけどね……」

 

ゆっくりと身体を起こす真人。

彼の表情からは、眠気がすっかり消えていた。

 

真人「これ、間違いない。アイツだよ、宿儺。」

「10月31日、渋谷で"見た"のと,同じだ」

 

祈月は、ぞっと背筋を凍らせる。

だが,思考は冷静さを取り戻していく。

 

世界は今,間違いなく急変している。

 

何をするにせよ,まず必要なのは,

一刻も早い状況把握。

 

祈月「……探ろう。情報が要る」

祈月の目が,鋭く細められた。

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