2018年12月8日。
宿儺復活から、ちょうど一ヵ月が経過していた。
今,呪術界は——完全に,詰んでいた。
五条悟。
現代最強の術師にして、ただ一人の希望。
その存在は、いまだ封印されたまま。
獄門疆《表》は、依然として羂索の手中。
一方、獄門疆《裏》は天元が確保していたものの,
開く手段は、どこにも存在しなかった。
本来、獄門疆を破壊できるとされる呪具は、
ふたつあった。
《天逆鉾》——あらゆる術式を強制解除する。
《黒縄》──あらゆる術式を乱す。
だが──どちらも、もはやこの世には存在しない。
天逆鉾は、過去に伏黒甚爾が使用し、五条悟と激突。
その後、危険視した五条本人の手によって、
破壊もしくは封印された。
黒縄は、百鬼夜行の折に,
ミゲルが五条悟の足止め戦にて使用。
だが数十分の戦闘の末,
五条の術式に耐えきれず、完全に焼き切れた。
再生産は理論上は“可能”。
だが、そのためにはミゲルの故郷の術師が、
数十年かけて編み上げる必要がある。
つまり。
呪具による封印解除の可能性は、全滅した。
そして、獄門疆を破壊できる術式の持ち主は,
誰もいない。
残された唯一の方法。
それは、羂索から《表》を奪還すること。
だが、それはあまりに現実的ではなかった。
虎杖悠仁──死。
乙骨憂太──死。
脹相──死。
伏黒恵──依然として、宿儺に肉体を乗っ取られたまま。
残されたのは,
最後の特級術師、九十九由基のみ。
その彼女ですら、打倒羂索の勝算は、
天元にすら「薄い」と言わしめるほど。
呪術界は、戦力を失いすぎた。
10月19日。
真人による,メカ丸(与幸吉)殺害。
10月31日。渋谷事変。
特級呪霊たちと羂索による,五条悟封印。
漏瑚による、禪院直毘人殺害。
真人による、七海建人殺害。
釘崎野薔薇———昏睡状態。
東堂葵──左腕消失。
宿儺による《伏魔御厨子》展開での大量虐殺。
狗巻棘──左腕喪失。
羂索による,渋谷での,呪霊大量放出。
11月6日。
楽巌寺嘉伸、夜蛾正道を処刑。
11月8日。
祈月による,脹相殺害。
宿儺の完全復活。
宿儺による《伏魔御厨子》展開での
虎杖悠仁,乙骨憂太、伊地知潔高殺害,及び大量虐殺。
11月12日。
禪院真希による,禪院家壊滅。
そして今。
12月8日。
状況は一切改善されず——
悪化の一途を辿っていた。
宿儺。
羂索。
裏梅。
加えて、未だ消息の知れぬ呪霊・祈月と真人。
希望と呼べる光は、もはや存在しない。
天元でさえ、沈黙するほどの絶望。
──呪術界は、再起不能であった。