真人救済ルートin渋谷事変   作:祈月4777

4 / 44
ブギウギの翻弄〜真人の打開策〜東堂の奇策

夜の渋谷。

鉄骨と瓦礫に囲まれたその舞台で、三者の気配が激突した。

 

虎杖「……行くぞ、東堂!!」

 

東堂「当然だ、虎杖(ブラザー)!!」

 

息を整える間もなく、

再び真人に向かって走り出す虎杖と東堂。

タイミングは、もはや打ち合わせ不要。

ただ互いを信じて、動く。

 

だが、ここまで一切の攻撃を許されず、

若干頰を膨らませていた真人が、ニィと口角を上げた。

 

真人「……ったく、面倒な奴め……」

 

右足をゆっくりと引く。

そして、挑発するように両手を広げた。

 

真人「で、茶番は終わったか?」

 

そう言って,

腕を太い有刺鉄線のように変形し,

振りかぶって斬りかかる真人。

 

パンッ!!!

 

その攻撃に勢いが乗り切る前に,東堂が拍手した。

 

瞬間、虎杖と真人の位置が入れ替わる。

 

真人「……ッ!?!」

 

東堂の蹴りが、真人の側頭部に命中した。

 

真人「チッ……」

 

真人は吹っ飛ばされ,着地しながら舌打ちした。

魂に干渉できない東堂の攻撃はノーダメージだが,

真人にとって鬱陶しいことに変わりはない。

 

拍手ッ!!

 

再び入れ替わる。

 

今度は、虎杖と東堂が投げた瓦礫とが位置を交換する!

 

虎杖が飛んでくる!

 

真人(なんだこれ、まるで位置が読めない!)

 

だが、虎杖の拳はもう目の前に迫っている。

顔面に直撃する直前。

真人は腕でガードしつつトゲを生やし、カウンターで応戦!

 

ドチュッッッ!!

 

虎杖「うぐっ……ッ!!」

 

腕にトゲが深く食い込む。血が吹き出す。

それでも虎杖は拳を止めない!

 

虎杖「ッッッらぁぁ!!」

 

真人は即座に距離を取り、跳び退く。

 

真人(……ブギウギとのコンボ、かなり厄介だ)

 

虎杖は拳で魂に干渉してくる。

東堂は“位置替え”で防御も攻撃も予測不能。

 

加えて、改造人間を武器化して投げても──

 

真人(……攻撃の直前で入れ替えられたら、自分に直撃するのがオチ……!)

 

例えば、ランス型に変形した改造人間を投擲したとしよう。

だが、着弾の直前に“自分と相手の位置”が入れ替えられれば──

自分がランスで串刺しになる。

 

真人(この状況、正面突破は悪手……)

 

さらに、下手に東堂に触れて無為転変をかけ,

それにブギウギを合わせられた場合──

東堂と虎杖が即時入れ替わり、虎杖の魂に触れる羽目になる。

 

虎杖は宿儺の魂が同居しており、“無為転変は無効”,

触れた瞬間、宿儺のカウンターを喰らい殺されるリスク。

 

真人(いや、これはもう……接触そのものがリスキーだ!!)

 

ブギウギに翻弄され,思うように攻められず。

下手な攻めを打てば,自爆のリスクが高い。

ならば。

この局面を打開するのは、ただ一つ──

 

撹乱。

 

真人,一気に呪力を放出し、改造人間を多数解放!!

「じゃあ、鬼ごっこしよっか♪」

 

その声と同時に、場が“混戦”に変貌する。

 

数十体の改造人間が、

崩壊した渋谷の一角を埋め尽くすように出現。

建物から、地面から、柱の影から──

神出鬼没に飛びかかる。

 

虎杖「うおっ!!」

 

東堂「下がれ、虎杖(ブラザー)!!」

 

真人はその間に、戦場を縦横無尽に移動し始めた。

階段、天井、崩落したホーム、倒壊した電車の残骸。

構造の全てを利用して、姿を見せては消す。

 

小型化,流線型化などの変形を駆使し,

あらゆる物体や改造人間の影を駆け回る。

真人の位置を,虎杖と東堂に見失わせる狙い。

 

真人(あのブギウギのタイミングを、掴ませなきゃいい)

 

戦場全体を“攪乱フィールド”へと変える真人。

これは,

“奇襲”のための“撒き餌”だ。

 

一気に,戦場は混沌へと沈んだ。

 

改造人間の群れ、瓦礫の揺れ。

視界は悪く、音は飽和し、足場すら安定しない。

その中を縫うように、東堂と虎杖が応戦し続けていた。

 

だがその一瞬ーー

東堂の後方に控えていた虎杖が、

外周に湧き出した改造人間の対処に回る。

 

真人の近距離に残されたのは、東堂ただひとり。

 

真人(……今なら!!)

 

小型化し,改造人間の陰に身を潜めていた真人が、

静かに口角を上げた。

喉の奥で印を組む。

 

「領域展開──」

 

────

 

一瞬。ほんの0.2秒だけの領域。

 

「《自閉円頓裹》」

 

視界が、一瞬だけ反転する。

真人が領域に内包したのは,東堂のみ。

 

領域内は結界により外界と隔絶される。

東堂が,"領域外"の虎杖を,"領域内"の自分と

入れ替えるのは不可能。

 

虎杖は気づいたが——

わずか0.2秒の領域,割り込みは間に合わない。

 

景色が歪み、術式が確定する。

0.2秒領域では,殺しきるのは不可能。

だが,部分破壊なら可能。

 

真人(コイツの魂——左腕を破壊する!!)

 

バギィッッ!!!

 

まるで“中から破裂する”ように、東堂の左腕が爆ぜた。

 

東堂「ぐっ……ぁあッッ!!」

 

激痛が走る。

筋肉の制御が抜け、膝が落ちかける。

 

真人は即座に動いた。

(今の俺は、術式焼き切れ中──無為転変は使えない)

(でも,叩く手はもうない,ブギウギは封じた)

(フィジカルだけでも、“殺しきれる”!!)

 

真正面から、東堂の懐に一直線に突撃する真人!!

狙うはトドメ。

だが。

 

その瞬間,東堂の首から,ロケットペンダントが落下した。

地面に落下し,パカっと開いたペンダント。

次の瞬間、真人の視界に入ったのは……

 

ちょうど閉じた時にキスをするように入れられた,

満面の笑みを浮かべた虎杖と高田ちゃんの写真。

 

真人「は………!?」

 

あまりの意味不明さに一瞬脳がバグる真人,

その刹那ーー

 

パンッッ!!

 

真人の掌に,東堂の掌が…叩きつけられていた。

 

東堂の,最後の賭け。擬似拍手。

 

真人「!!?しまっ──」

 

目の前。

 

虎杖と東堂が──入れ替わっていた。

 

──“狙っていた”はずの東堂はいない。

──そこにいたのは,虎杖。

そして,拳と共に迫る、黒閃の予兆。

 

黒い火花が爆ぜる。

 

虎杖「"黒閃”ッッッ!!」

 

ズガァァァァアァンッッッ!!!!!

 

虎杖の拳が、真人の腹部に,

臓物を捩じ切らんとするように叩きつけられた。

 

魂がぐわんと揺れ,ひび割れる。

 

真人「がッッ……ああああああッッ!!!」

 

白目を剥く。息ができない。

大量の血が,口までせり上がる。

 

そして、その身体は吹っ飛ばされ,

地面に激突し、受け身も取れず,数回転がる。

 

さらにそのタイミングは――領域展開直後,

無為転変、術式焼き切れ中。

 

つまり、魂の防御が使えない瞬間だった。

 

魂の形が、大きく、破壊された。

地面に倒れた真人は、身をよじって呻く。

 

その身体はもはや変形すら安定せず、

“魂の輪郭”が、暴れ、ブレている。

 

真人(……ダメージ……デカすぎ……)

(ふざけやがって…あのゴリラ…)

 

視界が霞みかける中、真人は見た。

 

倒れた東堂が、片膝をつきながら

──かすかに微笑んでいた。

 

東堂(……左腕を失ってすぐだったからこそ……)

(“自分の手 + 他人の手”で、ブギウギの条件が一時的に成立した……!)

 

最後の“奇跡”を──掴みきったのだ。

 

だが、その代償も大きかった。

 

真人の掌に一瞬とはいえ触れた右手が、

局所的に魂を破壊される。

皮膚は焼けただれ、指先は崩れかけ、

術式の中枢は粉砕される。

 

東堂(…これで、俺の役目は終わりだ……虎杖(ブラザー)……)

 

ふらりと、倒れ込む。

 

虎杖「……ッ!! 東堂ッ!!」

 

かすれた声とともに、血まみれの手が拳を握り直す。

 

虎杖「あとは任せてくれ……ありがとう,東堂……!!」

 

東堂は微かに笑いながら、意識を手放した。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。