切断バリアを何枚展開しても、次から次へと湧いてくる羂索の従属呪霊たち。
さらに―—
キュイイイ……
後方の従属呪霊が、口腔を裂き、高密度レーザー術式を放ってくる!
祈月「ッ…!!?」
ビュン――ッ!!
一閃、祈月の右肩を、鋭い光が掠める。
焼けた肌がバチッと火花を散らし、煙が立つ。
祈月「ッ……ッツッツつう……..!!」
(やば、直撃だったら……腕、なくなってた…….!)
祈月、痛みに顔を顰めながら,息を切らせて走り続け――
だが、次のレーザーがチャージされる音が聞こえる。
祈月「っ……もう一発……撃つ気だな……..!!」
その瞬間。
祈月、バリアをレーザー射線の真正面に展開!!
祈月「撃てよ……打ち返してやるッ!!」
ビイイイイイイ……ッ!!!
術式レーザー、彩城魔壁に命中。
そのままバリアが呪力を吸収し始める――!
祈月、腕を振る。
「ーー《彩城魔壁・逆流波》ッッ!!」
ズオオオンッッ!!!
バリアで攻撃を受け止め,呪力を吸収し、
反転させてビームとして返す。
バリアの反射軌道に沿って、ド直線に呪霊本体へ!
ドオオン!!
ビーム直撃で呪霊が吹き飛び、通行人に激突!薙ぎ倒しながら,
ガラス張りのオフィスビル1階ロビーをぶち抜いて彼方へ!!
祈月「よし………!!」
脅威は退けたと一瞬の安堵,地面を蹴りなおす。
しかしその直後――
背後に、空気が歪む。
羂索 「“近い”ねえ」
振り向いたときには、背後数メートル。
祈月の腕の中の真人狙いの,羂索の掌がこちらに伸びている。
呪霊操術の“吸収射程”、目前――!!
祈月「ーーさせるかぁ!!」
一瞬の判断。視界の端、走行中の車両。
祈月、路面を蹴って跳びかかる!!
バンッッ!!!
走行中の車に飛び移り,その屋根を足場に、跳躍!!!
祈月の跳躍速度に、車の走行スピードが上乗せされる!!
祈月、空中で体を丸めながら――
(このジャンプで、突き放すッ!!)
羂索「…………!!? そこまでやるか!」
ほんの一瞬、届きかけた吸収射程から……祈月が外れる。
その瞬間。
祈月はビルの縁へと着地、駆け出しながら,
即座にバリアを展開!
祈月「足止めッ……!!」
ビルの外壁に、彩城魔壁を斜めに設置!!
全ては、“真人”を抱えて生き延びるため――!
ー走る。
ー跳ぶ。
ー追われる。
背後からは、呪霊操術に従う複数の呪霊たちと――
吸収を狙う、羂索本人。
抱える真人の体重が全身に食い込み,
これまでの逃走の疲労の蓄積に加え,
レーザー呪霊に撃たれた右肩は未だ血が止まらず、
爬虫型呪霊に噛まれた左脚はじくじく痛み,
呪力はガンガン消費されてゆく。
でも――止まれない。
(止まったら、吸われる……止まったら、全部、終わる!!)
視界の奥に、連なる“障害物”。
祈月「――斬る!!」
標的ロック。座標指定…
彩城魔壁・多重展開!!
ギィィィ…ズバアアアアアンッ!!!
祈月の視線に沿って、ビル3棟が縦・横・斜めに斬られる。
ズズズズ……ドドオオンンッ!!!
斜めに傾いた切断面から――
崩れ落ちる、瓦礫の嵐。
足場を失ったビル内の人々の悲鳴が上がる,
…しかし、真人しか見ていない祈月にとって,
そんなことはどうでもいい。
大量のコンクリート、鉄骨、ガラス片、建材の残骸。
そのすべてに、混ぜ込む。
祈月「……仕込む!!」
空中に、複数の“切断バリア”を設置!!
崩落してくる瓦礫の隙間に、ランダムな軌道で混ぜるように差し込んでいく!!
まさに、“ギロチン地獄”。
しかも、どれが本物かは、外から見えない。
羂索(……なるほど。これは……)
瓦礫のシャワーが、まっすぐこちらへ向かってくる。
羂索は咄嗟に身を翻す。
バシュッ!! ズバァッ!!
“斬撃瓦礫雨”が、辺り一帯に降り注ぐ!
羂索「視界が……ッ!」
その狙いは、物量ではない。
――“視界封じ"
――“切断の罠”
その瞬間、一枚のバリアが羂索の喉元をかすめる!
ビィンッ!!
羂索「……ッツ!!」
肌が裂ける寸前、わずかに首を捻って回避!!
ドシャアアアア……!!
落下の瓦礫,従属呪霊たちやビル内にいた人々の死骸が混ざり、辺り一帯はまさに修羅場。
羂索、目を見開く――
羂索「……消えた……?」
祈月の気配が、視界から消えた。
真人の気配も、ない。
羂索「…………見失った、か」
羂索は静かに指を鳴らす。
周囲にいた呪霊たちが、ズズ……と影へと沈んでいく。
だが――
羂索「真人を助け、私から逃げ切るとは……完全に、予想外」
クク……ッ
クハハハハハハハ!!!!
羂索「面白いじゃないか!! 計画崩壊、それもまた良し!!」
「これこそが――混沌だ!」
羂索は踵を返し、その場から悠然と去る。
羂索「さて……君たちはこれから、何を見せてくれるのかな?」