落ちぶれた元・幻術女王,特級仮想怨霊・九尾の狐   作:祈月4777

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元・幻術女王の戦闘

 

"九尾の狐"による人々のイメージが,時代の変化と共に,

"信仰""畏怖"から"萌え""マスコット"へと変化し始めた時。

九狐は,自分の弱体化を到底受け入れられなかった。

 

"幻術女王"の自負。

自身の幻術への,絶対的なプライド。

にも,関わらず。

 

日に日に衰えていく呪力量。

少しずつ,人型へと変貌し,

爪も牙も脚力も失われていく肉体。

精度と規模がみるみるうちに劣化していく幻術。

 

「……なぜだ。人間どもは、かつて私の幻影に震え上がっていたはず……」

「違う……これは、違う!!!」

「私は……最強の幻獣だッ!!!」

 

九狐,自暴自棄になり,

自身の縄張りの近くで呪霊調査をしていた術師3人相手に無策突撃。

その術師3人は,

全盛期の九狐なら,無傷で圧勝できていた相手だった。

 

だが,結果は無惨。

1人にしかかけられずに破られる幻術。

拳に撃ち負け,通じない爪。

領域展開での逆転を試みるも,呪力量不足で不発。

切り落とされる尻尾,

噛み付く機会すら訪れない牙。

 

九狐,死の窮地に立たされ,

かろうじて3人の中のリーダーの術師に幻術を見せ,

数秒間とはいえ,敵の戦線崩壊の誘発に成功。

その隙に逃走にこそ成功したものの,深手。

 

ボロボロになった九狐は,廃神社でうずくまっていた。

再生力すら劣化し,全盛期なら一瞬で治った傷すら,

なかなか治らない。

 

「違う,こんなものは私ではない……私は,私は……」

 

"あの程度"の術師にすら敗れた自分が受け入れられず,

ひたすらにカタカタ震えながら独り言を言い、

現実逃避する九狐。

 

しかし,時間が経てば,嫌でも心に現実が入り込んでくる。

 

九狐は考えた。

今の劣化した幻術,爪と牙もない肉体で,

術師を殺す方法を。

 

そして注目したのは,

もうほとんど人型に変貌してしまった肉体で,

唯一,元のまま残った九本の尻尾だ。

 

九狐は,自らの尻尾を最大で2〜3メートルにまで伸ばせるし,一本一本を手足のように操ることができる。

ただし、尻尾の力は手足よりも遥かに低く,

敵にぶつけても"もふっ"としかならない。

 

だが。

打撃性能はなくとも…拘束性能はある。

そしてひとり相手なら,幻術は見せられる。

つまり,幻術で自身の姿を消して背後から接近すれば,

尻尾で全身拘束,そして首を締め,殺すことができる。

 

1本1本の力は弱くとも,尻尾は9本ある。

手足4本しかない人間を,背後からの完全奇襲で,

尻尾7本で全身拘束。残り2本で首を絞めて殺す。

 

これが,今の九狐に残された,戦い方だった。

 

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