彼らはある作戦に参加することになる
―――呉に帰還し数時間後
ヴィクトワール「あれか?」
尾張「ああ。あれだな」
―――影はまだ小さかったが、こちらへやってくる数十人くらいの影が見えた
那智「港は入港可能状態だ。到着までどのくらい掛かりそうだ?」
尾張「推定30分くらいだな」
那智「了解。」
ヴィクトワール「そういえば自衛艦娘の子たちはどうしてますか?」
那智「ドックに行ったぞ。歓迎してくるってさ」
ヴィクトワール「そうなんですか。自分たちも行ったほうが良さそうですかね?」
那智「あー...尾張は行ったほうが良いと思う」
尾張「分かった。だがこいつはどうするんだ?」
那智「ヴィクトワールは俺と一緒に来てもらう」
ヴィクトワール「...?何か始まるんですか?」
那智「...察しが良いな。」
ヴィクトワール「...作戦ですか?」
那智「そうらしい。帝国艦隊の合流後、また皆に伝えられると思うがお前には一度知っておいてほしい」
ヴィクトワール「いつ頃行けばいいですか?」
那智「今」
ヴィクトワール「え?」
那智「今からだ。行くぞ」
―――俺は半ば強制的に連れて行かれた。
―――呉基地 会議室
コンコンコン...
那智「那智一等海佐です。連れてきました」
久遠「来たか。入ってくれ」
那智「失礼します」ガチャ
久遠「二人はそこに座ってくれ」
ギッ...
久遠「早速本題に入ろう」
久遠「これを見てくれ」
二人の前に数枚の衛星写真が配られた
久遠「ここは小笠原諸島の近海だが、何か気づくことはないか?」
ヴィクトワール「何だか空が真っ黒ですね」
那智「それに豆粒...いやゴマ並みの大きさだが水面に何かが浮いている?」
二人「「まさか!?」」
久遠「恐らくそのまさかだ」
久遠「これは深海棲艦の拠点、もしくは巣だろう」
那智「ということはあの時出てきた奴らも?」
久遠「ああ。深海の偵察部隊だろうな」
久遠「これが見つかったのは先月だ。だが当時は天候が不安定だったために季節外れの巨大な積乱雲だと思われていたようだ」
ヴィクトワール「...これをどうするんですか?」
久遠「勿論破壊する。だが我が国だけでは戦力が足りない」
那智「ではどうするんです?」
久遠「...今は防衛省が各国に応援を要請している。」
久遠「承諾してくれたのは米国、中国、英国だそうだ。」
那智「また珍しい組み合わせですね」
久遠「私も少し予想外だった。」
那智「にしても何故中国は参加を...?」
久遠「前の戦争で中国は深海棲艦に国土の半分を燃やし尽くされたからな...それのトラウマからだろう」
久遠「...話を戻そう。」
久遠「深海棲艦の巣。これは直接攻撃をしてこないのがまだ幸いな点だ。」
久遠「だが巣ができた以上、その中枢には姫級あるいは暴走個体がいる」
ヴィクトワール「姫級...ですか。これだけ時間が経っているんです。前の戦争の時から大幅に進化しているはず」
那智「...確かにそうだ。」
久遠「うむ。...そういえば作戦概要を説明していなかったな」
久遠「あのホワイトボードを見てくれ」
そのホワイトボードには大きな日本地図が貼られていた
久遠「...ここが深海棲艦の巣がある場所だ」
久遠が指しているところには大きな丸が書いてある
久遠「そして、我々はこの島を中心に半径100kmの地点にミサイル基地、もしくは護衛艦を配置。包囲する」
久遠「巣の周辺の敵を殲滅次第、米中英の空母艦載機、護衛艦とミサイル基地のミサイルによる飽和攻撃を行う」
久遠「...どれだけ進化していようと物量の前には敵わないという戦法だろう」
久遠「万が一それでも撃破できなかった場合、プランBに移行する」
ヴィクトワール「プランBというのは?」
久遠「...戦艦部隊による砲撃戦だ」
久遠「米国はこの海戦のためだけに引退間近だった戦艦を引っ張り出してくるそうだ」
久遠「こちらからは帝国艦娘を出すつもりでいる」
ヴィクトワール「それでは戦力の差がありすぎます。米国の戦艦は近代化改修されているのに対しこっちはノーマルなんです」
久遠「分かっている」
久遠「現在、艦娘の近代化改修を行う準備をしている」
久遠「...だが勿論強制ではない。志願制だ。戦うこともな」
久遠「...短いが作戦概要はこんなところだ」
久遠「何か質問はあるか?無いならもう戻っていいぞ。」
久遠「...それと、作戦開始は十日後。」
久遠「それまでに呉には多数の外国船が入ってくる。問題行動は起こさないでくれ」
那智「了解。」
ヴィクトワール「了解」
―――俺達は会議室を後にした
ヴィクトワール「そういえば、俺の艤装はどうなってるんです?」
那智「後日ここまで輸送されてくる予定だ。」
ヴィクトワール「なら良かったです」
―――7日後
俺の艤装は届き、最終調整も完了。
後はCIC妖精を見つけて艤装に乗せれば完璧なんだが...
俺の元の艤装がどこにあるかなんて見当もつかない。
ヴィクトワール「とりあえず那智さんを探すか」
俺は那智さんを探しに行った
―――数分後 沿岸防護壁上
那智「はぁ...もうそろそろで作戦開始か」
那智「何か気分が乗らないんだよなぁ...」
那智「まぁ、やらないといけないんだけど...」
那智は港に浮かぶ艦船を見ながら呟いた。
那智「突然艦長やれって...俺は艦娘部隊の指揮官しかやってきてないってのに」
―――那智は昨日、こう言われていた。
久遠「那智一等海佐。君に頼みたいことがある。」
那智「なんです?」
久遠「日本で帝国時代の戦艦が見つかってな。そいつの艦長をしてはくれないか」
久遠「といってもこれはほぼ命令なんだが...」
那智「戦艦?何で俺が?」
久遠「日本には数多くの海上自衛隊員がいる。だが君ほど帝国海軍を知り尽くしているものは居ない...ということらしい」
那智「...確かに自負はあります。ですが艦の艦名を多く知っているってだけで機関の始動とかそういうのは...」
久遠「それは帝国時代の艦娘達に聞くしか無いだろうな...できるだけ私の方でも調べてみるが...」
那智「...艦の近代化はされるんですか?」
久遠「ああ。勿論だ。少人数で運用できるように艦自体の半自動化、その他諸々をすでに行っている」
那智「はぁ...分かりました。ですが私はあくまで艦娘部隊の指揮官です。艦の指揮にはあまり期待しないでください」
久遠「分かっている。それはそうと、その戦艦はドックにあるはずだ。見に行ってみたらどうだ?」
那智「今日は忙しいのでまた明日にでも見に行きます」
久遠「そうしてくれ。...話は以上だ」
那智「はい。それでは失礼します」ガチャ
―――
那智「なんで了承しちまったんだか...」
ヴィクトワール「あ!那智さん!」
那智「ん?ヴィクトワールか。どうした?」
ヴィクトワール「いや、俺が前に着てた艤装あるじゃないですか」
那智「ああ。あるな」
ヴィクトワール「あれの場所知りませんか?」
那智「場所?俺わかるから案内しようか?」
ヴィクトワール「良いんですか?お願いします」
という感じで案内した
―――数分後 呉基地整備工廠
ガチャン!
那智「整備長!居るか?」
???「那智か。そこの子は?」
那智「こいつは最近新しくここに配属された艦息です」
???「へえ。新顔か」
???「名前は?」
那智(少し首を縦に振る)
ヴィクトワール「戦艦ヴィクトワールです。」
???「戦艦?この時代に珍しい」
加藤「俺は加藤一尉だ。皆には整備長と呼ばれている。」
ヴィクトワール「よろしくお願いします」
加藤「敬語じゃなくて良い。第一艦娘は俺らより階級は少なくとも上だからな」
加藤「で、ここに来たからには用事があるんだろ?」
那智「ああ。こいつの元々着ていた艤装を探しに来た」
加藤「お前が押し付けてきた艤装のことか」
加藤「あれなら倉庫の左奥側、埃除けが被せてある」
那智「分かった」
俺達は倉庫へ向かった
―――整備工廠:倉庫
那智「...あれか」
加藤が言っていたように埃除けが掛けられた艤装があった
ヴィクトワールは急いで駆け寄り、埃除けを剥がした
ヴィクトワール「これで間違いないです。あとは妖精が居るかどうか...」
那智「俺には妖精が見えない。自分で探してくれ」
ヴィクトワール「...ん?...あ、居た」
俺はCIC室で寝ている妖精を見つけた
ヴィクトワール「点検用のハッチが役に立つとは...」
俺は妖精の頬を軽くつついた
CIC妖精「ん?」
CIC妖精「あれ...艦長?」
CIC妖精「ずっと放置されてたのでもう会えないかと思いましたよ」
ヴィクトワール「すまなかったな。突然で悪いが今日から別の艤装に配置転換だ」
CIC妖精「配置転換...ですか?」
ヴィクトワール「ああ。少し手に乗ってくれるか?」
CIC妖精「わかりました」
CIC妖精は俺の手にちょこんと乗った
俺はそっと手を動かし、艤装の外へCIC妖精を出した
CIC妖精「これは...ひどい状況ですね」
CIC妖精は艤装を見て言った
ヴィクトワール「ああ。これじゃまともに動かせない」
CIC妖精「配置転換はこれが理由ですか」
ヴィクトワール「それもあるが、次の作戦では必ずお前の力が必要になると思ってな」
CIC妖精「次の作戦...ですか?」
ヴィクトワール「ああ。詳しくは後々で聞くことになると思う」
CIC妖精「分かりました」
ヴィクトワール「よし。それじゃあ新しい艤装に行くぞ」
そう言って俺は歩き出した
那智「見つかったか?」
ヴィクトワール「はい。見つかりました」
那智「そりゃ良かった。妖精も新しい艤装を見たがってるだろうし足早に連れて行ったらどうだ?」
ヴィクトワール「そうですね」
那智「帰り道はわかるよな?」
ヴィクトワール「勿論です。」
那智「よし。じゃあ行って来い」
ヴィクトワール「はい!では!」
ヴィクトワールは走っていった。
那智「ハイテンションだな...それはそうと戦艦を見に行かないとな」
―――海上自衛隊 呉基地:整備ドック
ガリリリリリリリリ!キュインッ!
作業員1「そっちのパーツ、ここに持ってきてくれ!」
作業員2「すまん!誰かガスを持ってきてくれ!」
作業員3「代わりのガスはまだ届いてない!誰かガス以外で溶接できるやつは居るか!」
作業員4「資格は持っててもアーク溶接の道具なんて無いぞ!」
作業員2「ガスの到着予定は?」
作業員3「大体あと二時間!」
作業員2「仕方ない。一旦待つ」
作業員3「分かった」
作業員3「作業一時中断!二時間休憩を取る!」
作業員達「「「了解!」」」
―――
ガチャ
那智が扉を開けると、そこには巨大な艦が鎮座していた
那智「こいつが...」
那智「...それにしても、大和型に似ている」
ふと横の長机を見ると、上に資料があることに気づいた
那智「この艦の資料か?」ペラッ
資料にはこう書いてあった
―――超大和型戦艦:駿河
全長:360M
全幅:48M
基準排水量:155,000t
満載排水量:170,000t
主砲:51cm三連装砲 三基九門
副砲:20.5cm連装砲 二基四門
対空兵装:艦載CIWS 10基
:36連装対空噴進砲 8基
:その他自動制御式対空機関砲等 172基
機関:AI制御式蒸気機関
最大速力:通常時最大 25kt
過負荷時最大 27kt
―――
恐らく機密を伏せた簡易資料ではあるが、この艦がどれだけ強力なのか、この資料を見ただけではっきりと分かった
那智「すげぇな...これは...」
那智「帝国はどこにこいつを隠していたんだ?」
那智「...今考えても仕方ないか。」
那智「さて、このあとはどうするか...」
那智「まともな訓練無しでの出撃になるだろうからな。...最低限イメトレでもしておくか」
那智は静かにドックを去っていった
―――翌日 午後15:00 会議室
海外艦を含めた艦娘、艦息全員が会議室に集められた。
久遠「全員居るな?」
那智「確認済みです」
久遠「分かった」
久遠「...知っているものも居ると思うが、作戦が決まった」
久遠「先月、小笠原諸島近海に深海棲艦の巣が発見された」
久遠「今回の作戦の目標は、その巣を破壊し深海棲艦を殲滅することだ」
久遠「まず各艦の配置についてだが...」
久遠「第一攻撃艦隊。戦艦ヴィクトワール、戦艦山城、戦艦尾張、軽巡矢矧、駆逐艦吹雪」
久遠「第二攻撃艦隊。戦艦金剛、戦艦霧島、空母加賀、空母赤城、駆逐艦夕立」
久遠「第三攻撃艦隊。戦艦大和、空母蒼龍、軽空母隼鷹、軽巡天龍、軽巡龍田」
久遠「第一から第三攻撃艦隊の戦艦、軽巡、駆逐艦は敵艦隊に突撃。空母部隊は後方支援だ」
久遠「護衛にはここの護衛艦がつく」
久遠「そして海外艦の配置だ」
久遠「米軍艦隊は攻撃艦隊の後方に展開。」
久遠「中国軍艦隊は米軍艦隊の左右に展開し防空警戒網を構築。」
久遠「英軍艦隊は突入艦隊の支援、偵察に当たってくれ」
久遠「...作戦開始は二日後。作戦名は"Cloud Slayer"」
久遠「...これで会議を終了する。各員作戦当日に向けて英気を養うように」
久遠「以上だ。解散」
―――同日 午後18:00 食堂
今日の食堂は人数がとにかく多い。まぁ外国艦娘たちが多いせいでもあるんだが...
それだけだったらまだ良い。
問題なのは...
アイオワ「「♪~」」
尾張「う...上手い!」
ヴィクトワール(なんでカラオケやってんだ...)
多分見た感じ食堂の四分の三がカラオケ組に占領されて飯が食えないってことだ。
机が超融合して一枚のステージになっているあたり、最早公式イベントの勢いだ。
テンションが高いのは良いんだが...ハメを外しすぎないようにしてほしい。俺としては。
―――ふと横を見ると、那智が居た。
ヴィクトワール「あれ、那智さん。いつの間に居たんですか」
那智「少し前から居たんだがな。というか、何でこんな賑やかなんだ?」
ヴィクトワール「艦娘達がカラオケ大会中です。」
那智「なるほどな。」
ヴィクトワール「ハメを外しすぎないようにしてほしいもんです」
那智「まぁ重い雰囲気よりかマシだと思うぞ」
ヴィクトワール「それはそうですけどね」
那智「お前は歌わないのか?」
ヴィクトワール「キャラじゃありません」
那智「お前はそれで良いのか」
ヴィクトワール「別に良いんです。というかあの中に男子が行くのもちょっとあれでしょう?」
那智「意外と楽しいかもしれんぞ」
ヴィクトワール「そういう那智さんは行けるんですか?」
那智「万年陰キャを舐めない方が良いぞ」
ヴィクトワール「つまり行けないと」
那智「何でそういう事言うかな」
ヴィクトワール「じゃあ行ってきてください」
那智「無理!断固拒否する!」
―――
尾張(あいつらなんかヒソヒソ話してるな...そうだ!)
尾張(誰かちょうど良さそうな人は...)チラッ
視線の先には丁度歌い終わったアイオワが居た。
尾張(丁度いい!)
尾張(小声)「アイオワ!ちょっと頼みたいことがあるんだが!」
アイオワ(小声)「Hey、どうしたんだい?Ms.尾張?」
―――数十秒後
アイオワ「面白そうね!任せて、OK!」
尾張「じゃあ私はちっちゃい方をやる」
アイオワ「じゃあ私はMr.那智ね!」
―――
ヴィクトワール「なんだろう。すっごいバカにされた気がする」
那智「お前をバカにする奴なんて居るのか?」
ヴィクトワール「まぁ、いるにはいるんじゃないですかね」
尾張(ヴィクトワールの肩を叩く)
ヴィクトワール「...え?」
尾張「ちょっと来い」
ヴィクトワール「え、いや、あの。な、那智さん...助けt」
振り向くとそこに那智はいなかった
ヴィクトワール「逃げたなッ...」
尾張「逃げたんじゃない。連れて行かれたんだよあそこに」
尾張はカラオケ会場を指さしていった
ヴィクトワール「...まさか?」
尾張「そのまさかだ。という訳で来てもらおうか」
ヴィクトワール「い、嫌です!」
尾張「強制だ☆」ガッ!
それからすぐ、俺はヘッドロックされた状態でカラオケ会場にずるずると連行された。
ヴィクトワール「「いーやーだー!」」
そんな俺の声も虚しく、志願(強制)という体で歌わされた
―――翌日 05:00
ヴィクトワール「はぁ...昨日歌いすぎたな。お陰で声がガラガラだ」
ヴィクトワール「水でも飲みに行こう...」
―――05:11 食堂
グッ...サァァァァァァ...
ヴィクトワール「ウォーターサーバーがあってよかった。」ゴクゴク
ヴィクトワール「にしても、ここで全員寝てるとは...」
俺の視線の先には何故か机に突っ伏して寝ている艦娘達がいた。
ヴィクトワール「まぁ個人個人で上着とか着てるし風邪は引いてない...よな?」
―――06:32 沿岸防護壁上
俺は散歩ついでに海を見に行った。
見ると早めに起きた艦娘達が訓練を行っていた。
ヴィクトワール「訓練か。...俺も久々にやってみるか」
そう呟いて俺は艤装格納庫へ向かった。
―――呉基地 第二艤装格納庫
朝早いからかここには誰も居なかった。
ヴィクトワール「そういえば近接武器が欲しいな。大鎌も無いし」
ヴィクトワール「後で整備長に頼んでみるか」
ヴィクトワール「この艤装も最終調整済みだし、体を慣らすか」ピッピッ...
キュィィィィィン...ガチャン!
俺は艤装を起動した。
ヴィクトワール「この艤装を鹵獲した時よりも出力が上がっているな...制御しきれれば良いんだが」
ヴィクトワール「CIC妖精、起きてるか?」
CIC妖精「起きてますよ。いつでも出撃可能です」
ヴィクトワール「今日は訓練だからな。実弾は使うなよ」
CIC妖精「了解」
ヴィクトワール「艤装は大丈夫か?」
CIC妖精「リアクター出力安定。姿勢制御システム作動中。FCS、SPY-1Dレーダー問題なし。システムオールグリーン」
ヴィクトワール「了解。」
ヴィクトワール「今日の訓練は主砲の射撃訓練だ。的は長年放置されていたであろう物を使う。」
俺は倉庫の奥の方に放置されている標的を見ながら言った。
標的は穴だらけで、浮かべた瞬間に沈みそうな見た目だった。
CIC妖精「これ、使えるんですか?」
ヴィクトワール「分からん。でもまぁメインタンクは損傷してないからな。浮くだろう」
ヴィクトワール「あ、俺許可取ってないや」
CIC妖精「え?」
ヴィクトワール「すまんが今から走って許可を取ってくる」
CIC妖精「走るよりこの艤装で行ったほうが早いのでは?」
ヴィクトワール「おいおい、道をボッコボコにして進む気か?」
CIC妖精「あ、そうでしたね」
ヴィクトワール「そういう訳だ。行ってくる」
俺はそう言うと、艤装を外し急いで許可を取りに行った
―――数十分後
俺は速攻で許可を申請。偶然そこに久遠司令が居たのですぐに許可が出た。
まぁ本来なら結構時間がかかるんだろうが...明日が作戦だから。ということにしておこう
格納庫に着いてすぐ、俺は艤装を装着した。
ヴィクトワール「よし。許可はもらった」
ヴィクトワール「後は標的を持って出撃する」
CIC妖精「了解」
俺は戦艦型標的を二個と駆逐艦型標的を三個持った。
ヴィクトワール「よし。出撃するぞ」
CIC妖精「了解。艤装を戦闘モードに移行します」ピッ
ガチンッ!ウィンウィン...ガキンッ!ガキンッ!
艤装から主砲が展開される。
ヴィクトワール「よし。行くぞッ!」バシュッ!
―――数分後 呉基地近海
俺は標的をバラバラな距離に配置し、早速主砲の試験を行うことにした
ヴィクトワール「主砲、射撃用意。弾種徹甲」
CIC妖精「了解。主砲、発射用意。」カチッ
CIC妖精「冷却システム直結。フルローテート」
ヴィクトワール「全ての標的に照準。一斉射で標的を破壊する」
CIC妖精「了解。照準開始。」
CIC妖精「誤差修正。上方0.2」カタカタッ
CIC妖精「照準固定よし。いつでも撃てます」
ヴィクトワール「主砲、撃てェ!」
CIC妖精「発射ッ!」ガチッ!
(((ドドドドドドドドドドカァァァァァァァン!!)))
―――数秒後
ガキンッ!という大きな音がすると同時に標的が次々に沈み始めた
CIC妖精「標的に全弾命中した模様。」
ヴィクトワール「目視でも確認した。流石だな」
―――同時刻 沿岸防護壁上
???「へぇ、面白そうな子がいるじゃない」
???「姉さん、何かあった?」
???「いや、あの子だけ何か雰囲気が違うなーって」
???「...姉さん、勝手に人を観察するクセ、直したほうが良いよ」
???「しょうがないじゃない。昔からのクセなんだもの」
???「はぁ...直してこなかった結果ジェラルド先輩の平手打ちを食らったんじゃないですか」
???「あれは痛かったわ。今でも軽く恐怖よ」
???「その恐怖が脳に焼き付いてるんだったらとっとと直してください」
???「だーかーらー!無理なもんは無理!」
―――
壁上で言い争っている人たちが見える
CIC妖精「...あのお二人、仲が悪いんでしょうか」
ヴィクトワール「いや、ただの姉妹喧嘩だと思う」
―――
言い争っているのは米海軍最新艦、「ディファイアント」と「リゾリュート」だった。
確かあの二人はこの戦艦不要論の時代に建造された戦艦だったはずだ
...なんて考えてたら口喧嘩が終わったらしい
―――
ディファイアント(無線)「戦艦級の子!ちょっといいかしら!」
ヴィクトワール「俺ですか?」
ディファイアント(無線)「そう。貴方よ!突然で悪いんだけど、私とバトルしてみない?」
ヴィクトワール「バトル...あ、演習ですか?」
ディファイアント(無線)「Yes!」
ヴィクトワール「ちょうど訓練も終わりましたので、できますよ」
ディファイアント(無線)「分かったわ。すぐ行くから、待ってて!」
―――数分後
ディファイアント(無線)「さて、始めましょうか!」
ヴィクトワール「そんなに離れていて大丈夫なんですか?」
ディファイアント(無線)「大丈夫よ。」
ヴィクトワール「分かりました。」
ヴィクトワール「...始めましょう」
―――
旧型戦艦と新型戦艦の演習が始まった。
―――
ディファイアント「先手必勝!目標、敵戦艦ヴィクトワール!」
ディファイアント「VLS全開放!CPS、全弾発射!」
ガチンッ!ガチンッ!ガチンッ!ガチンッ!
ガシュッ!...ドッゴォォォォォォォォン...
解放されたVLSから次々にCPSが発射される。
発射されたCPSは轟音を上げながら加速。猛スピードでヴィクトワールに向かい始める。
―――
CIC妖精「飛翔体を検知!数は5...6...次々に増加しています!」
ヴィクトワール「速度は?」
CIC妖精「推定速度マッハ4です」
ヴィクトワール「ミサイルは間に合わない!全対空兵装でミサイルを叩き落とせ!」
CIC妖精「了解。全対空兵装、射撃開始!」カチカチッ!
ヴィクトワール「シールドも展開!少しでも被弾時の被害を減らす!」
CIC妖精「了解。シールドに電力を転用。展開開始!」ピッ
ヴィクトワール「敵ミサイルは?」
CIC妖精「もうすぐそこです!数本は落ちましたが速すぎます!」
ヴィクトワール「迎撃は無理か...!」
CIC妖精「敵弾、来ますッ!」
(((ドドドッガァァァァァァァァァァァァン!!!)))
数本のミサイルが直撃。
巨大な水しぶきと衝撃波が発生した。
ヴィクトワール「...極超音速ミサイル...噂には聞いていたがこれほどの威力とは...」
ヴィクトワール「...被害状況は?」
CIC妖精「一部のミサイルがシールドを貫通し第一及び第三対空砲群が沈黙!」
ヴィクトワール「分かった」
ヴィクトワール「...さて、次はこっちのターンだ」
ヴィクトワール「主砲、発射用意!弾種演習!」
ヴィクトワール「敵艦の逃げ道になる場所全てに照準!一発でも当たれば良い!」
ヴィクトワール「VLSも全開放!トマホーク発射用意!」
CIC妖精「誤差修正完了。照準固定。」ピッピッ
CIC妖精「ミサイルロック。目標、敵戦艦」カタカタッ!カチッ!
CIC妖精「全砲門及びミサイル、発射可能!」
ヴィクトワール「よし。」
ヴィクトワール「...全門斉射ッ!」
CIC妖精「主砲、発射!」カチッ!
(((ドドドドドドドドドドカァァァァァァァン!!!)))
ヴィクトワール「続いてトマホーク、撃てェ!」
CIC妖精「トマホーク、発射!」ピッピッ!カチッ!
ガチャンッ!ボッシュゥゥゥゥゥゥゥゥ...
―――
ディファイアント「嘘でしょ耐えられたッ!?」
ディファイアント「旧式の戦艦だからって侮っちゃいけないみたいね」
ピカッ...
ディファイアント「ッ!?やばいッ!」
光に気づいた瞬間、彼女のすぐそばに音速を超えた砲弾が突き刺さった。
ディファイアント「...あっぶない、もう少しでやられるところだった」
キィィィィィィン...
ディファイアント「!?」
(((ドッガァァァァァァァァン!!)))
―――
一瞬の油断を突きトマホークが直撃。
ディファイアントは大破判定となった。
―――
ディファイアント「やられたッ...」
???「いい戦いだったわね」
ディファイアント「その声は...」
ディファイアント「ジェラルド先輩!?」
演習を見ていたのは米海軍の原子力航空母艦「ジェラルド・R・フォード」であった。
ジェラルド「すごい音がしたと思ったら演習してるんだもの。少し見入っちゃったわ」
ディファイアント「あはは...」
ジェラルド「少しは腕を上げたようね」
ジェラルド「相手よりも早く先制攻撃を撃てたのはよかったわ」
ディファイアント「あ、ありがとうございます」
ジェラルド「...少し長く話しすぎたかしら。」
ジェラルド「細かいところは後で休憩がてら反省をしましょう」
ディファイアント「分かりました。では、私はこれで...」
ジェラルド「ええ。気をつけてね」
―――
演習の終了後、俺は自室でCIC妖精と話していた
ヴィクトワール「今回の演習で、ミサイルがシールドを貫通していたな」
CIC妖精「確かにそうですね...やはりシールドとは言え、限界があるのでしょうか」
ヴィクトワール「そうだな」
ヴィクトワール「...これは俺の勝手な憶測なんだが、電圧が足りていないんじゃないか?」
CIC妖精「電圧...ですか?」
ヴィクトワール「ああ。今回、シールドを展開した時にあまりにシールドが薄い気がしたんでな」
CIC妖精「なるほど」
ヴィクトワール「電圧を二割か三割増しにしても良いんじゃないかと思う」
CIC妖精「...分かりました。」
CIC妖精「何か他に改善するべきところはありますか?」
ヴィクトワール「...特にはないと思うな。」
CIC妖精「了解しました」
ヴィクトワール「そろそろ艤装に戻るか?」
CIC妖精「はい。調整を行いたいので」
ヴィクトワール「分かった。送ろう」
―――という感じでCIC妖精を送った。
部屋に戻った俺は疲れが来たのかそのまま眠ってしまったらしい。
―――翌日
今日は作戦開始当日だ。
艦娘達の士気も旺盛。
皆急ぎ足で出撃ドックに向かっている。
ヴィクトワール「俺も急いで向かうか」
ささっと朝食を食べ、ドックへ走った。
―――呉基地 第二艤装格納庫
ヴィクトワール「CIC妖精、作戦当日だぞ。調整は終わってるか?」
CIC妖精「完了しています。いつでも出撃可能」
ヴィクトワール「よし」
俺は慣れた動きで艤装を装着。起動した。
ガチンッガチッ!キュィィィィン...
ヴィクトワール「最終確認!」
CIC妖精「原子炉、正常に稼働中」
CIC妖精「FCS、レーダー及び全システム、オールグリーン」
CIC妖精「電圧問題なし」
ヴィクトワール「後は出撃開始の合図を待つだけか」
―――数分後
スピーカー「作戦開始時刻だ。全艦出撃せよ。繰り返す。全艦出撃せよ」
ヴィクトワール「よし。」
ヴィクトワール「...出撃するぞ」
ギギギギギ...という音を立てながら、格納庫のシャッターが開く。
シャッターが完全に開き切ると、俺は射出されたように出撃した。
前回の投稿から一ヶ月も経ってしまいました...
申し訳ありません。
次回はもっと早く投稿できるように努力します